ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

白銀と亀な使い魔-1

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匿名ユーザー

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トリステイン魔法学院。トリステイン王国のメイジ達のための全寮制の学校である。
そして今、第二学年に進級するために生徒一人一人によるサモン・サーヴァントの儀式が行われていた。
その過程で『ゼロ』のルイズが呪文を咏唱した直後いつも通り爆発が起こり、誰もがまた失敗か、と思った。が、何人かがその砂塵の中に何かが在るのに気付いた。
そしてそれは使い魔としては平凡な様に見えたが、その場にいた、呼び出した本人を含め、全員の予想を遥かに超越していたッ!



「何かいるぞッ!」「まさか成功だとォッ!?あの『ゼロ』のルイズが!?」「あ、あれは…」


「『亀』?」

ルイズが召喚したもの。それは人間でも吸血鬼でも究極生物でもなく意外ッ!それは平凡そうな亀ッ!
場にいる全員が信じられないという顔付きで硬直しているッ!そんな連中を尻目にルイズはようやく成功させたことを大いに喜んだ。
(あたしはもう『ゼロ』なんかじゃあない、これからはそう呼ばせない!)
彼女は喜びを隠し切れない様子で亀に近づいていった。
近くで見るとヨボヨボだが、何故か装飾を施された鍵が甲羅に埋め込んであるようだ。そんな所に何かしらの魔力を感じる気もする。
ますますウキウキして自分の使い魔となるであろう亀を持ち上げ、契約の呪文を唱えようとしたその時だった。

『何をしようとしてるんだ?小娘?』
どこからか男の声がした。それもすぐ近くからである。
「え…?だ、誰…?」
辺りを見渡すが、近くにいる男性といえばコルベールだが、それとも違う声。

『何をしようとしているのか聞いているのだ。答えろ小娘。』
流石に二度目で気付いた。声がしている所は…
『どうしたのだ?早く答えろ。』
ルイズはこの時
(しゃべっているのは亀だったァ~。しゃべるわけないのにィ~)
と思ったがそれも違った。しかし、次の瞬間、目の前の異常な光景に暢気に構えていた他の生徒たちも流石にビビったッ!

亀の甲羅、いや、鍵の装飾から『男の生首』が出ていたのだった。

「……」
まるで蜘蛛頭の男に止められたかのごとく場が固まる。
男は不思議そうに顔をかしげた。
「どうした?」

「「「「ギャアアアァァァァァァ!!!」」」」
男以外、全員が悲鳴をあげた。パニック状態だ。教師であるコルベールですら慌て、生徒を宥める所ではないッ!ルイズに至っては男ごと亀を投げ捨てたッ!

「ぬおッ!」
今度は男が慌てた。
亀から鍵が外れてしまったのだ!
何故慌てるか?
それは男が亀の中に住む幽霊だったからだ。亀の甲羅から出たらどこかに飛んでいってしまうのだ。
だから慌てたのだが、幽霊の彼にはどうしようもなかった。
「ま、待ってくれェェ」
亀から引きずり出されてしまった。流石に勘忍して
(ああ、最期にジョースターさん達に会いたかったな。)
そう思ったが、彼の体は天に昇らなかった。逆だった。地に落ちたのだ。
落ちた衝撃に一瞬思考が止まったが、すぐに気付いた。死んだはずの肉体があることに。しかもそれどころか『立てた』。
「こ、これは一体…?」
一応ベタだが頬を抓る。幽霊だった頃には無かった、『痛み』を感じた。

「まさか…『蘇った』とでもいうのか?」

(信じられない、死んだはずなのに肉体が戻るなんて…そんなこと、どんなスタンド…たとえレクイエムでも不可能のはずだ。)
男はそこまで考えると、悲鳴をあげるのをやめ茫然としてへたりこんでいるルイズを見た。
(この娘が俺を生き返らせたのか?どうやって…てか、ここは何処だ?)


茫然としていたルイズだが、何とか気を取り直し、目の前の男に話し掛けた。
「あああ、あんた何?な、何で亀の中にいたの?てかどうやって!?」
「人に何か尋ねるならまず自ら名乗るのが礼儀じゃないのか?小娘。」
当然彼女はそんな答えにムッとした。
「あんた…貴族を何だと思ってるの?平民のくせに。そっちこそ礼儀がなっちゃいないわ。」
「…フン。貴族といえば友人にその末裔がいたが、お前みたいな高慢な態度はとらなかったな。貴族イコール紳士だと思うがな。」
「何ですってェェ!?」
物凄い剣幕で睨み付けるルイズ。

会話している内に周りも落ち着きはじめ、コルベールがルイズを呼び出した。
「何ですかミスタ・コルベール?」
「また君は他と違うことをやってくれた…ただ成功には変わりないとは思うがね…で、どっちにするのかね?」
「言っていることがいまいちよくわかりませんが…?」
「亀かあの男か。どっちを使い魔にするのかと聞いておるのだが?」
ルイズは事に気付き、頭を抱えこんだ。どっちが私の使い魔になるの?両方?否!
「ミスタ・コルベール!もう一度させてくださいッ!」


しばらくして諦めた様子で亀と男の前に戻ったルイズは両者を見比べた。
ここで普通のメイジだったら亀を選択する。誰だってそうする。ルイズだってそうした。

「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」
すっと亀を杖でつき、そのまま亀にキスをした。

もしも普通の使い魔だったらこの後使い魔のルーンが刻まれて終了だった。
しかし、彼女は例外過ぎた。

「ぐぉぉぉぉ!?」
突如隣にいた男が左手の甲を右手で押さえたのだ。そして右手を外すとそこには契約もしてないのにルーンが刻まれていたッ!
あまりの出来事に場にいる全員が「理解不能理解不能理解不能ッ!」といった感じだった。

「お前は一体俺に何をした!?」
男は怒りつつルイズを問い詰めた。ルイズとしても何が起こったのか分からず混乱していた。言えることはただ一つしかなかった。
「コントラクト・サーヴァント…」
「はあ?」
「私はその亀と使い魔としての契約をしただけ。なのに何故かあんたにも契約が適用されたのよ」
「…全く訳が分からん」
男はこれ以上尋ねるのをやめた。
コルベールが近づいて来たからだ。そして亀を見た後、男に刻まれたルーンを見た。
「珍しいルーンだな」
それだけ言うと他の連中を連れて飛んで行った。

「…飛んだ?何だあれは…?新手のスタンド使いか?」
男はポカンとしている。
「そりゃ飛ぶわよ。メイジなんだから。」
さも当たり前の様に返答し、さて私たちも行くわよ、と言おうとしたが、その前に聞いておかねばならないことがあった。
「そういえばあんた名前は何て言うの?あと亀も。」
男は答えたくなかったが、ここがどこか分からないし、世話になるかもしれないと考え一応名乗ることにした。
「俺はJ・P・ポルナレフ。亀の名前は…確かあいつらはテキトーにココ・ジャンボと呼んでいたが…ちゃんとした名前は知らん。」


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