ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

偉大なる使い魔-29

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集
わたしが医務室に着くと、既にモンモランシーが治癒を受け終わり、
ベッドで静かに寝息を立てていた。
わたしも続けて治癒を受け終わり、わたしとギーシュとモンモランシーの三人
だけとなった。
なんと声を掛ければいいのか考えてるとギーシュから声を掛けてきた。
「すまなかったねルイズ、彼女は君がチヤホヤされる事に嫉妬してたんだよ。
彼女には僕が良く言い聞かせておくよ」
てっきり、わたしを責めるかと思ってたのに。
「ギーシュ・・・どういう風の吹き回しよ?」
ギーシュはファサと髪をかきあげた。
「なに、兄貴に君の事を頼まれたからね」
 ・・・・・・?
「ちょっと待って、頼んだのは連れて帰る事で、ずっと面倒を看ることじゃ無かっ
たと思うんだけど?」
「いいじゃないか、そんな細かい事は」
あっはっは、と高笑いをあげた。
「細かくないわよ、あんた一生わたしの面倒を看るつもり?」
「一生じゃないさ、君が一人前のメイジになるまでは見守るつもりさ」
「あんた、わたしが『ゼロ』だということを忘れたの?」
「その事について僕は大して心配なんかしてないさ。君は兄貴を召喚したんだ
近い内にきっと僕など足元にも及ばないメイジになるさ」
ギーシュがわたしをプロシュートを通じて認めてくれている。
「ほ、褒めたって何も出ないんだからね」
「別に見返りが欲しくてやっている訳じゃないさ」
コンコン。開けた扉からキュルケがノックをしていた、タバサも一緒だ。
「お邪魔だったかしら?」
「ちょ、キュルケ!そんなんじゃないんだから」
「よしてくれたまえキュルケ。僕には心に決めた人がいるのだから」

わたしは不快を隠さずキュルケに問う。
「で、何しに来たの?」
「何しに来たのとは、ごあいさつね。お見舞いに来たんじゃないのよ。後、報告」
「報告?」
「さっきの騒ぎ、授業に来たコルベール先生の耳に入ってね、珍しく恐い顔を
してたわよ。後でここにも来るんじゃないかしら」
バタバタと廊下から足音が聞こえてきた。
「早いわね、もう来たわ」
キュルケが廊下を見ながら呟いた。
「コルベール先生・・・」
先生が息を切らせながら部屋に入ってきた。
「よかった、無事だったのですね」
先生は静かに眠っているモンモランシーの顔を確かめ息を整えてから、
こちらを向いた。
「ミス・ヴァリエール、事情は聞きました。
きみは自分の魔法をミス・モンモランシーに打ちましたね」
確かに、今のコルベール先生は恐い顔をしていた。
何人も人を殺しているような・・・プロシュートと少し雰囲気が似てる・・・
 ・・・まさかね・・・。
「はい、その通りですミスタ・コルベール」
後悔はしていない。わたしはモンモランシーが許せなかった・・・
「この貴族の学び舎で『規則』を破り魔法を打ち合うなどと、とても許せる
行為ではありません。この事は実家に連絡させていただきますので
そのつもりでいるように。」
今、何て言いました?
「ごめんギーシュ、もう一回先生を呼んできてもらえる?まだ耳の調子が
良くないみたい・・・実家に連絡するって聞こえたわ」
「聞き間違いではありませんよ、ミス・ヴァリエール」
きっぱりとコルベール先生は言った。
「ちょっ!ちょっと待ってくださいよッ!」

「う、嘘ですよね。ちょっとおどかして気合を入れてから
あとで本当は許してくれるんですよね、罰当番とかで」
コ・・・コルベール先生の目・・・
いつもの暖炉の火のような暖かい眼差しなんかじゃなく
トライアングルスペルの炎の如く全てを焼き尽くさんと燃えている・・・
わたしの取るべき行動は・・・
わたしは部屋の窓を開け、窓枠に両手をかけ足を乗せ、そして・・・
「ちょっとルイズ、ここ三階よ!」
キュルケに後ろから羽交い絞めにされた。
「放して、放してよキュルケ」
死に物狂いでもがくが体格の差で、わたしは部屋の中央に戻された。
「もうダメよ・・・おしまい・・・コルベール先生に連絡されたら・・・
あたしもう・・・生きてられない・・・もう死にたいわッ!!クソッ!!クソッ!!
飛び降りたいよ~、窓から飛び降りたいよ~」
嘆くわたしをキュルケが冷たく見下ろしている。
「・・・さっき、あなたの目の中にダイヤモンドのように固い決意をもつ『気高さ』を
みたわ・・・だが・・・堕ちたわね・・・ゼロのルイズに・・・!!」
「ンなこたあ、どーでもいいのよッ!」
キュルケの侮辱も今はどーでもいい・・・
「お・・・おわりよ・・・わたしはもう・・・おわったのよ・・・」
「ちょっとルイズ、一体何なのよ」
わたしの只事じゃない様子にキュルケが心配そうに声を掛けてくる。
「親がそんなに恐いの?」
親という単語が出ただけで震えが止まらない。
「な、なんて言ったら理解してもらえるのかしら・・・
そうね、プロシュートが『二人』説教しに来ると想像してみて」
嫌な沈黙が場を支配する。


「ご、ごめんルイズ。あたし用事を思い出したわ」
キュルケが慌てて部屋を出て行こうとする。
「用事って、どこに行くのよ?」
「ちょっとスティクスに会いに・・・」
「別れたんじゃなかったの?」
「・・・じゃあ、ペリッソン」
「じゃあって何!」
わたしとキュルケが言い合いをしている脇をそっとタバサが抜けようとしていた。
「ちょっとタバサ、どこに行くのよ?」
「・・・シルフィードにエサあげなきゃ」
「あんた、いつも放ったらかしでしょうが!」
視界の隅にギーシュが映る。モンモランシーをやさしく起しているところだった。
「さあ。ここは騒がしいので自室でゆっくりと休もうじゃないか」
「ギーシュあんたは見捨てないわよね、わたしを見守ってくれるのよね」
蜘蛛の糸に縋る思いでギーシュを見つめた。
人目があっても『あの方』の罰が緩くなるとは思えないが、もしかしたら九死に
一生を得るかもしれない。
「うむ、確かに言った!」
ギーシュは力強く頷いた。
「だが、それはそれ、これはこれだ!!」

「うらぎりものおおおおおおぉぉ!!」


タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

記事メニュー
目安箱バナー