ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

うわっ面の使い魔-3

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集
魔法学院の朝①





窓から差し込む日の光で間田は目を覚ました。
固い床に寝転がっていたせいで体中が痛む。ストレッチでもして体をほぐそうかと思っていると、右手に何かを握り締めていることに気付

く。
それは、昨日ルイズに洗濯しておいてと投げつけられたシルクのパンツだった。
昨日はこれのおかげで固い寝床でもなんとか寝ることができた。パンツに感謝しつつ、間田は他の洗濯物をかき集め、外に出―――ようと

したところで、どこで洗濯すればいいのか、いや、そもそもどうやって洗うのかわからないことに気がついた。

昨夜、ルイズを質問攻めにした際に返ってきた答えを聞いた限りでは、この世界には機械なんてものは存在せず、医療や土木といったあら

ゆる分野で魔法の力を利用しているのだという。洗濯機なんて便利なものはなさそうだった。
となると、やっぱり洗濯板かなんかでゴシゴシこするしかないだろう。
力仕事が苦手な間田は、想像しただけで気が滅入った。

「魔法って便利なモンがあるんなら、わざわざ俺に洗濯させなくてもいいんじゃねーかなぁ・・・?」
そう呟いて、枕に顔をうずめているルイズを見やる。
よく考えれば、こいつらメイジは様々な分野に応用できる魔法の力を使えるというではないか。なぜ魔法も使えない(間田はスタンドが使

えるが)平民にわざわざ洗濯なんかさせるのだろう。
魔法なら腕力に頼る必要もないだろうし、ずっと効率もいいはず・・・。

まあ、考えていても始まらない。
とりあえず洗濯場の場所を突き止めて、洗濯物を片付けよう。
ルイズを起こすとうるさそうだったので、サーフィスでルイズをコピーし、そのコピーから洗濯場の場所を聞き出すことにした。
そーっと、細心の注意を払いながら、ベースの人形の手の先をちょん、とルイズの頬に触れさせる。

サーフィスは粘土細工のように形を変え、ネグリジェ姿のルイズへと変身した。
「朝から何なのよ? まさかまた変な真似する気じゃないでしょうね?」
コピールイズは不機嫌そうに言う。

「うるせぇぞサーフィスッ! とっとと洗濯場に案内しろや」
「何よその口の利き方は。 ご主人様に対してそんな口利いていいと思ってるの?」
「クキィーッ! な、ナメやがってえ!」
サーフィスはコピーした人間の性格がそのまま反映される。今までコピーした中には命令を聞かなかったり反抗するヤツもいたが、ルイズ

のコピーはズバ抜けて言うことを聞かない。
口で命令するのは諦め、スタンドを『操作』し、無理やり案内させることにした。
クローゼットからルイズの制服を拝借し、サーフィスに着せると、一人と一体は部屋を出た。

サーフィスの案内のおかげで、洗濯場はすぐに見つかった。
間田は最後まで(魔法の力で動く洗濯機みたいなのがあればいいなー)とか淡い期待を抱いていたが、井戸の傍にタライと洗濯板がぽつん

と置いてあるのを見てげんなりしている。
ため息をついて、タライに水を入れようとロープを引っ張っていると、後ろから足音が聞こえた。

「おはようございます、ミス・ヴァリエール」
「ん、おはよう」
女の子の声だ。コピーを本物のルイズと勘違いしたらしい。
額のネジに気づかれないようにしろよ、とサーフィスにこっそり命令しようとちらりと振り向いた刹那、固まった。




そこには。




『ある嗜好』を持つ者たちの憧れの存在がいた。




ヘッドドレス。黒い服。フリルがついた純白のエプロン。




そいつの名は。




 『 メ イ ド 』 ッ ! !




「(う、うおおおおおおぉぉぉッ!? マジか! マジでかァーッ!!)」
自他共に認めるオタク、間田。『ある嗜好』すなわち、彼はメイド萌えな男だったのである!
初めて見る本物のメイドに、彼はヤバイくらい興奮していた。

「(すげぇ・・・コスプレなんぞとは訳が違う! 本物は『良い』ッ!! なんて清楚なんだッ!)」
黒髪に東洋人的な顔立ちも間田の興奮を上昇させるのに一役買っていた。要するに、彼女は間田のタイプだったのである。

「あの・・・・ミス・ヴァリエール? あちらの方は一体・・・?」
血走った目で自分を見つめる陰気な男を見て、若干おびえた表情をサーフィスに向けるメイドさん。
サーフィスは「やれやれだわ」と呟き、間田を彼女―――シエスタに紹介する。

「あいつは私の使い魔のトシカズ。たまにああなるけど、悪い奴じゃないわ」
「は、はぁ・・・」
何事かブツブツ呟きながらギラついた目でこちらを見ている間田は、悪い奴どころかアブナイ奴なのだが、貴族の言うことなのでシエスタ

は信じることにしたらしく、間田に近づいていくとペコリとお辞儀をし、自己紹介をした。

「初めましてトシカズさん。私、シエスタと申します」
「ど、どーも! 間田敏和ッス!」
子供のようなニコニコ顔で元気良く名を名乗る間田に、シエスタはクスッと笑う。
つい先ほどまでは明らかにヤバそうな奴に見えたのだが、意外とまともそうだ。

それから二人は、それぞれが持ち寄った衣服を洗濯した。
洗濯板を使って衣服を洗うのは間田にとって初めての経験だったので、シエスタに教えてもらいながら洗った。
その間、間田はずーっとシエスタを鼻の下を伸ばして見ていた。
全ての洗濯物を洗い終えると、間田が持ってきた分も干しておくと言い、シエスタは去っていく。
その後姿を、間田は涙ぐみながら見つめる。

「か・・・感動だッ! やっぱり本物のメイドさんは優しい上に気が利く!」
もうトリステインに永住しちゃおっかなぁ、と早くも故郷を捨てる気になっている間田の頭を、後ろにいたサーフィスが小突く。
「あんた、メイドごときに良くそこまで感動できるわね」
「だってメイドだぜメイド! 日本なんかにゃ一人としていねーんだぜ!? あ、待てよ。メイドさんて他にもいる?」
「まあ、あの子がいるんなら他にもいるでしょうね」
「・・・・う、うおぉおおぉ! 今日は人生最良の日だァーッ!!」
雄叫びをあげる間田に、サーフィスはもう何も言うまいと、寮へ向けて歩き出した。
「ほら、置いてくわよ!」
「おーう! 今行く!」
スキップしそうなほどルンルン気分の間田を見て、サーフィスは深いため息をついたのだった。

ルイズの部屋につくと、本物のルイズはまだ気持ちよさそうに眠っていた。
コピーに着せていた制服をクローゼットにしまったところで、サーフィスが口を開いた。

「この時間になったら起こしてくれる? そうしないと朝食に間に合わなくなるから」
「わかったよ。そんじゃ、戻れサーフィス」
コピーは瞬く間に元の木の人形へと戻り、力なく床に倒れる。
人形の関節を折りたたみ、ナップザックへ押し込むと、間田はルイズを起こしにかかった。

「おーい、起きろー」
「・・・・うー・・・・」
肩を揺する。起きない。
「ルイズ、早く起きないと遅刻するわよ!(裏声)」
「・・・・むー・・・・」
頬をつつく。そっぽを向かれた。
この女、幸せそーに寝やがって。今さらながら、自分を差し置いて暖かいベッドで寝るルイズにムカついてきた。
自分は固い床に寝転がるしかないというのに。

「早く起きろコラァー!」
なんとなく腹が立ってきた間田はルイズの毛布を引っぺがし、どさくさ紛れにルイズの頬をつねる。
ルイズは夢でも見ていたのか、何か叫びながら飛び起きた。

「いいい、いだいいだい! ごめんなさいお姉さま! ごめんなさ・・・アレ?」
「おはよーございます、お嬢様ーッ」
「・・・あ、あんた誰よ!?」
「マジで頭がカワイソーなことになってんのか? 間田敏和だ」
「へ・・・あ、ああ、使い魔ね。そっか、昨日召喚したんだっけ」

ルイズはひとつ欠伸をすると、ベッドに腰掛ける。
「服ー」
「ほい」
ダルそうに命令するルイズ。眠そうな目をこすりつつ足をブラブラさせる姿はなんとも可愛らしい。
思わず間田は微笑んでしまう。世話の焼ける妹ができたようなものだと思えば、この命令口調も気にはならない。
服を渡すと、今度は下着を取るように言われる。
ネグリジェを脱ぎ始めたルイズを見ないようにしながら、クローゼットの一番下をあさる。

「・・・チッ、ハデなのはねーなぁ」
「何か言った?」
「いや、何も。ほい」
後ろを見ずにパンツを投げる。あとはルイズが着替え終わるまで彼女に背を向けていればいい。
しかし、女の子が自分の真後ろで着替えているというのは・・・何というか、その・・・フフ・・・・。
間田が『チラッと見るだけならバレないかなぁ~』とか邪な思考を巡らせていると、ルイズが再び声をかけてきた。

「服ー」
「・・・あ? 今渡しただろ」
「着せて」
時間が止まった。間田の周囲だけ。

「ごめん、もっかい言って」
「だから、服。着せて」
「おま、なっ、何言ってんの! 自分で着ればいいじゃねーか!」
「平民のあんたは知らないだろうけど、貴族は部屋に下僕がいるときは自分で着替えたりしないのよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
振り向くと、下着姿のルイズが早くしろよとばかりに間田をねめつけていた。

「(い・・・いいのか!? 本当にいいのか、俺ッ! こんな展開マンガでしか見たことがねえぞ・・・!)」
心臓は早鐘を打つように激しく鼓動し、額には脂汗。
順子やアニメキャラなどで似たような妄想は腐るほどしてきたはずの間田だったが、それを本当に実行するとなるとさすがに尻込みしてし
まう。

「ほら、早く! 朝食に間に合わなくなるでしょ!」
「は、はいィ~ッ! ただいま~!!」
間田はルイズに怒鳴りつけられ、慌ててブラウスを手に取るとルイズの元へ近づき―――そして落胆した。
何せルイズの体は凹凸というものがなかったのである。
見事なまでの幼児体系に、間田は先ほどまでテンパッていた自分を情けなく思った。
「(うん、俺はペッタンコには興味ねえんだ)」

ルイズに服を着せ終わり、外へ出ようとするルイズだが、ドアノブに手をかけようとしたとき、間田が何かを肩に背負っているのが目に入
った。
見れば、それは昨夜の木の人形が入った荷物である。
ルイズは当然のごとく顔をしかめ、荷物を指さす。

「・・・・あんた、それ持ってくの」
「え? ダメ?」
「いや・・・まあ、いいけどね」
ルイズは気味悪げに間田と荷物を見やり、再びドアに向かう。
ドアを開き、外に出ると同時に隣の部屋のドアが開き、中から褐色の肌と燃えるような赤毛を持つ美女が出てきた。
ルイズとは正反対とも言えるほどのナイスバディである。

「あら、おはようルイズ」
「・・・・おはよう、キュルケ」
キュルケと呼ばれた赤毛の美女はニヤリとした笑みを浮かべ、反対にルイズは露骨に嫌そうな顔をする。
―――そして、我らが間田はというと。

「(す、すっげぇ・・・。おっぱいがルイズの頭蓋と同じくらいの大きさじゃねえか・・・)」
マンガでしか見たことのない爆乳に、再び感動を露にしているのだった。




.....To Be Continued →


タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

記事メニュー
目安箱バナー