ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

風と虚無の使い魔-17

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匿名ユーザー

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「なあ、一つお願いしたいんだが…」
アルビオンに向かうために馬に跨ろうとするルイズにギーシュが問い掛ける。

「なによ」
「僕の使い魔を連れて行きたいんだけど」
「好きにしなさいよ」

ルイズは興味を失い、再度馬に跨ろうとする。

「わかったよ、おいで!僕のヴェルダンテ!」
ギーシュが使い魔の名前を叫ぶ。

ギーシュの数歩前の土が隆起し、大きなモグラが姿を現す。
大きさは直径60サント程度だろうか。

「なにこれ、ジャイアントモール?これがあんたの使い魔?」
ルイズが尋ねる。
「そうさ、ヴェルダンテと呼んでくれ!ああ、僕の可愛いヴェルダンテよ!僕とワルキューレとヴェルダンテの
心が一つになれば僕らの正義は100万パワーさ!」
「そう、じゃあ66万パワーで妥協しなさい」
「ど、どういう意味だね、それは。使い魔を連れて行っていいと言ったんじゃないのか?」
「そんな大きなの馬のどこに積むのよ」
「決まってるさ、こう見えても地中を掘る速度は馬にも負けないんだ」

ルイズはため息をつく。
「あんた、姫様の話聞いてなかったでしょ?私たちはアルビオンに行くのよ?これ以上なにか言うなら「ひと言」につき
一発殴るわよ。「何?」って聞き返しても殴る。クシャミしても殴るッ。動かなくても殴る。あとで意味もなくまた殴る」
「ちょっと待ってくれ、最後のはなんだ最後のは」
「問答無用よ」

ギーシュに華麗に左アッパーを決めたとき、なんと使い魔のヴェルダンテがワムウに襲い掛かった。
ワムウは一応手加減しつつも反射的に殴り飛ばし、地面にモグラが転がった。

「な、何をするだァーーッ!」
「それはこっちの台詞だ、急に飛び掛かるなら殴られても仕方が無いだろう」
「うーむ、昨日アンリエッタ姫から貰った指輪に反応したんだろうね、僕のヴェルダンテは優秀な使い魔だから宝石を…」
ルイズが右頬にフックを叩き込む。
「これ以上使い魔の自慢をやるようなら大好きな使い魔と寝ててもらうわよ、急いでるんだから」
ギーシュは頬を抑えながら立ち上がる。
「ルイズ、君なんか変わったなあ…それにしても君たち、僕と使い魔になにか恨みでもあるのかね?」
「ないけどあるわ、さあそろそろ行くわよ」

やっと一行が出かけようとしたとき、朝もやの中から一頭のグリフォンが飛来する。
「やれやれ…どうやら間に合ったようだな」
グリフォンに乗った長身の男は声を漏らす。

「誰だッ!」
それにワムウが襲い掛かろうとする。
「やめてワムウッ!その人は敵じゃないわ!」
「やあ、愛しのルイズ。君の一行なかなか屈強だね、少しビビってしまったよ」
長身の男は明るく笑いながら一行に声をかける。
「お忍びの任務であるゆえ、一部隊つけるわけにはいかない。そこで、姫殿下から僕が指名されたというわけさ」
「ワルドさま…」
ルイズが声を漏らす。

ワルドはルイズに近づき、抱き抱える。
そして、二人のほうを向く。
「自己紹介が遅れたな、魔法衛士団グリフォン隊隊長、ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルドだ、よろしく頼む」

ギーシュは肩書きを聞き、肩をわなわなとふるわせる。
「あ、あのグリフォン隊の隊長だって!?
ワムウはギーシュに尋ねる。
「そんなにすごいのか」
「ああ、『背中に目がある』『心臓が核鉄だ』『血管にドーピングコンソメスープが流れている』だのなんだの
言われてるぜ、半分は冗談だろうがもう半分はそうでも言わないと説明できない精鋭部隊さ。そこの隊長だったなんて…」
ワムウは姫の護衛についていることから精鋭部隊であることは察していたが、実戦でもそこまで恐れられているとは
思っていなかった。

「お褒めの言葉ありがとう、同行する仲間であるし、君たちの自己紹介もお願いできるかな?」
「ギーシュ・ド・グラモンだ、系統は土、二つ名は『青銅』です」
「ワムウだ」
ワムウは低く呟く。
「ふむ、もしかしてあのグラモン元帥の親族かい?」
「ええ、末っ子です」
「なるほど、それは心強いな、僕のは風のスクウェア、二つ名は『閃光』、よろしく頼むよ。
そして、そこのワムウくんは……どうやらメイジではないようだが…」

ワムウが答える様子が微塵もないのを察したルイズが代わりに答える。
「私の使い魔です、ワルド様」

ワルドが感嘆の声を上げる。
「使い魔とは思わなかったな、さすが僕のルイズ、こんな屈強な使い魔を召還するなんて!
さすが僕のルイズだ!それにしても、なんて頼りになりそうな一行なんだ、
僕も胸を借りるつもりで同行させて貰うよ。さあ諸君、ではそろそろ出発するぞ!」

ルイズはヴァルキリー、ワムウは巨馬、ギーシュはヘイ!ヤア!という馬(名前のセンスがないとルイズにバカにされた)
ワルドはここまで乗ってきたグリフォンに再度跨り、一行はまずは港町、ラ・ロシェールへ駈けていった。

 * * *

ラ・ロシェールまでは早馬で2日ばかり。ルイズは特技である馬術を生かし、ワムウの巨馬はなぜかスタミナ切れ知らずだったため
数時間おきに休めばワルドのグリフォンにもそれほど離されなかったが、ギーシュの馬および本体はすでに疲れきっていた。

「最後に休んでからいったいどれだけ立っているんだ…ええい!彼らの馬は化け物か!」
「私の馬もいい馬だけど、それだけじゃないわ。私のは『技術』よ、馬術には未知の部分があるわ」
「だいたい、なんで君の使い魔の馬はあんなに大きいのになんで疲れないんだね!
馬力のある馬ほどすぐ疲れるはずなんだ……『エネルギー』使うからなあ…」
「歩幅も大きいんだから大して変わらないわよ」
「いや…おかしい…これは辻褄が合わないッ!これが現実ではないッ!ほら、誰もいないはずの谷だってのに明るいし…」
「ギーシュ、しっかりしなさい」

実際にその谷は明るくなっていた。崖の上から松明が投げ込まれ、無数の矢が飛んでくる。
「奇襲だぞ、君たち!」
ワルドが叫ぶ。

ギーシュに向かってくる矢をワルドの魔法が弾く。
「た、助かった…」

しかし、息をつく暇もなく、二の矢が飛んでくる。
今度はワムウが左手でデルフリンガーを抜き、ギーシュとルイズに飛ぶ矢を弾き、右手で自分に向かってくる矢をつかむ。

「やあ相棒、やっと俺の出番が…」
二の矢が終わると、デルフをしまい、矢をもったまま右手を後方にしならせ、矢を崖の上の敵に向かって射出する。
「MOOOOOOOO!!」

数本の矢がものすごい勢いでワムウの手から崖の上まで飛んでいき、数人の体を貫いた。

「ほお、やるね」
ワルドが驚く。
一行が次の攻撃に備えていたが、急に矢の弾幕が収まる。
「だ、弾幕薄いよー、な、なにやってんだ敵さんは」
ギーシュが震える歯で強がりを言う余裕があるのは次の攻撃が来なかったからである。

竜に乗った少女が崖の上の敵に向かって小型の竜巻を放つ。
もう一人の女性が武装解除を徹底したのち、崖から転がり落とすと竜はこちらに向かって降りてきた。

「シルフィード!」
ルイズが竜の名前を叫ぶ。
竜の上からタバサとキュルケが降りてくる。
「お待たせ」
こともなげに数人の武器を剥いだキュルケが降りてくる。
「お待たせじゃないわよ!何しにきたのよ!これはお忍びの任務なのよ!」
「お忍びだなんて言ってくれなきゃわかんないわよ」
肩をすくめるポーズをとる。
「とにかく、感謝しなさいよね。危ないところを救ってあげたんだから」

ケガで抵抗の出来ない兵士に対してギーシュがいつもの尊大な態度で尋問を始める。
「子爵、こいつらはただの物盗りのようです」
「ふむ、最近は盗賊の集団化も進んでいるらしいしな、懸賞金に興味は無いし急いでいるし放っておこう。
もうすぐラ・ロシェールだ、あそこで一泊して朝一番の便でアルビオンに向かおう」

そして、彼らはもう明かりが見えてきたラ・ロシェールに向かって駆け出した。


To be continued.


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