ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

ゼロの番鳥-4

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机を拭いて、床を掃き、爆発の結果により起こった惨状の後始末をしたルイズとペットショップ
まあ、足で箒を使ったり塵取りを運んだりとペットショップが掃除の大部分をやったのだが
主人の不始末は使い魔の不始末。それ故にルイズの頭にはペットショップの行動など勘定に入ってない、そんなこんなでアルヴィーズの食堂に到着した一人と一羽。
三列の食卓には絢爛な飾りつけがされており、その上には飾りに負けず劣らずに豪華な食事が並んでいる。
始祖ブリミルと女王陛下にお祈りをしてから、モグモグと食べ始めるルイズ。朝に食べられなかったからか、かなり幸せそうだ。
だが、ある程度食べ進めてから、隣をキッ!と見るルイズ。その先には使い魔ペットショップの姿
「ペットショップ! あんたはご飯抜きって言ってるでしょ!そんな物欲しそうな目で見たってあげないんだからね!」
ルイズとしては格好良く決めたつもりだろうが、使い魔は食堂の外で待機するのが普通だ。
(食堂の中に入ってる事に注意しろよ!)と、割と色々な生徒が思ったが、ペットショップの目を恐れて口に出せずに居た
と言うか、近くに居ると飯が不味くなる所の話ではないので、ルイズとペットショップの周囲の席がガオン!されたみたいに開いている。
食事に集中するあまりに、この異常事態に気付かないルイズは本当に大物である。

ルイズが食事に集中している時。
彼―――ペットショップは食事が欲しい等とは欠片も思っていなかった。食事抜きはマスターから与えられた罰でありそれを理不尽とは感じてない
彼が今考えているのは『下僕を如何にかして調達する必要がある』それだけである
キュルケとタバサの間で起きた朝の1件もそうだが。
『それよりずっと前から』彼は、自分は何かを守りながら戦うのは苦手であると分かっていた。
自分だけでマスターを守れるとは自惚れていない。だから早急に、マスターを守る盾となる奴隷が彼には必要であった。
それなりに力があってタフであり、そして一番重要な事だが命令には絶対服従する下僕。それをどうやって捜すか彼は悩む
マスターを置いて旅に出る訳にはいかない、予期せぬ幸運が入り込むのを期待するほど神経は図太くは無い
どうやって奴隷を獲得するかペットショップが悩んでいる時、食堂の端で何か騒ぎが起こってるのが彼の目に見えた
距離は結構離れているが、彼の目は数km先の虫も軽く見える、故にその騒ぎを至近距離から見ているがごとくに鮮明に視認できていた

騒ぎは、ギーシュと言う名の金髪の少年が香水の瓶を落とした事から始まった
それを黒髪のメイド、シエスタと呼ばれる少女が拾い、純粋な親切心からギーシュに渡そうとした
だが、ギーシュはそれをガン無視、疑問に思うシエスタだが、ギーシュの友人がその疑問を解消してくれた。ギーシュにとって最悪な形で
その香水の瓶はモンモラシーと呼ばれる少女の物!だが、今ギーシュは下級生のケティと言う少女と付き合っているはず!
つまりそれが意味する事はただ一つ、ギーシュが二股を掛けていると言う事実!
それから話しはトントン拍子で進んだ

「・・・・・・・・・・・・」
「ち、違うんだよケティ!これは誤解だ!」
オラァッ!バチンッ!
「一体全体どういう事よギーシュ!?」
「モ、モンモランシー!」
ムダァッ!ビシャッ!

ケティから強烈なビンタをくらい、モンモラシーから香水の瓶を頭にぶちまけられたギーシュ
踏んだり蹴ったりだが、元の原因は二股を掛けた彼にあるのだから同情は出来ない。
しかし、肝心のギーシュの怒りは止まらなかった。

「き、き、君ぃぃ!な、ななな何て事をしてくれたんだい!」
こめかみを引き攣らせながらシエスタに詰め寄るギーシュ。
シエスタは恐怖のあまり何も言えずに頭を下げる事しか出来ない。殆ど土下座である。
ギーシュもそこで止めておけばよかった、だがしかし、周りの生徒達の視線が彼の恥を刺激して怒りを更に上昇させた。
割と洒落にならないぐらい切れたギーシュが無言で薔薇の造花を振る
すると、花びらが宙を舞い、甲冑を着た女戦士の人形が現れた。ギーシュのゴーレムである
貴族が平民に魔法を使う、その恐怖のためなのか、シエスタの歯がカチカチと音を立てる。
「ひぃ・・・・・・!」
腰が抜けたらしく、地面に尻餅を突いた形でそのまま後退りを始めたシエスタ
恥も外聞も無く、ただ貴族と人形の恐怖から逃れるために逃走する哀れなメイド
そんなシエスタの背に何かが当たった。
怯えたように後ろをゆっくりと振り向く、するとそこには。
「・・・・・・・・・・・・」
ギーシュが生み出した二体目のゴーレムの姿
それを見たシエスタは完全に静止していたが、半秒後、メイド服を汚して床に生暖かい液体が流れた『失禁』ってやつである
そして大声で泣き始めるシエスタ。かなり可哀想である

だが、それに一番慌てたのは元凶のギーシュ。
ちょっとビビらせようと思ってゴーレムを出したのだが、失禁してマジ泣きを始めるとは血が昇った頭では考え付かなかった
一気に頭が冷え、落ち着いて周りをゆっくり見るギーシュ。
男子からは「おいおい、相手が平民だからってそれはやりすぎだろ」と生暖かい視線
女子からは「サイテー」と分かり易い侮蔑の視線。

彼は、拙い事をやったのに今更ながら気付いた
この事が広まるとモンモラシーやケティに本気で絶縁されるかもしれない
慌ててシエスタに優しく話しかけるギーシュ。
「あ、あの大丈夫かい?僕はもう怒ってないから安心しなよ」
だが、シエスタの目は完全に恐怖に染まっており、ただ「ごめんなさい」と連呼するだけ
自業自得だが、どうすればいいんだとギーシュは頭を抱えかけた、その瞬間。
「キョキョッ!」
甲高い泣き声。
慌てて声の元を見ると、ルイズの使い魔がこっちに飛んで来るのが見えた

私はその騒ぎを注意深く見る。初めはただのくだらない痴話喧嘩と分かって幻滅しかけた、が。
男が出した騎士の存在が、私の興味を引いた。脳裏に浮かぶのは、先程考えていたマスターの盾となる下僕の調達
マスターを見る、昼食を食べ終わったのか、机に突っ伏して眠っている。
周りを見る、マスターに害をなす存在の気配は感じない。
今、この空間に危険は一切無い!ならば今がチャンスだ!
『あれ』がマスターの盾に相応しい物か試してみよう
私は一声鳴くと、あの男に向かって飛んで行った。

目の前にはルイズの使い魔が見える。確か名前はペットショップだと思い出す
「ペットショップ君かい?見世物じゃないんだよ、こっちは忙しいんだ。どっか行ってくれ!」
割とテンパっているので声に何時もの余裕が無いギーシュ
その一瞬、ペットショップが自分目掛けて恐ろしい勢いで氷柱を飛ばしてきたのに彼は気付いた!
「え?うわぁぁぁぁぁ!?『ワルキューレ』!」
ギーシュの叫びに青銅の女騎士が動く。
ドガッ!バゴンッ!
氷柱とギーシュの間に入る事が精一杯だったのか、防御行動すら取れずに氷柱をまともにくらって吹っ飛ばされる。
そんなワルキューレを冷めた目で見るペットショップ。
ギーシュの背筋に冷や汗が流れる
「何するんだ君ぃ!」
対するペットショップは返答の代わりに再度氷柱を発射!
ブン!ガキィィィン!
しかし、これは攻撃を予測していたワルキューレが防御
ワルキューレの装甲は少々凹んだが、発射された氷柱は砕かれ周囲に破片を撒き散らす
(何でルイズの使い魔が僕に攻撃してくるんだぁぁぁぁ!?)
と、錯乱するギーシュ。だが、次の瞬間これはチャンスだと思い直す
それは―――――メイドを嬲った事を有耶無耶にするチャンス!
「今の行為・・・・・・僕への挑戦だと判断した!決闘だ!『ゼロ』の使い魔如きに舐められてはグラモン家の名が廃る!」
さっきの醜態を忘れて、良く言えば気障に、悪く言えば優雅に決めるギーシュ
「ヴェストリ広場で待っているぞ!」
とペットショップに伝えるとワルキューレを伴い、急いでその場を抜け出す。
ペットショップもそれに続こうとするが。
「あ、あの、ありがとうございます!」
シエスタの感謝の言葉。涙で潤んだ彼女の目にはペットショップは救いの手を差し伸べた勇敢なる騎士として映ったようだ。
勿論、ペットショップにはそんな気など一切無かった。下僕となるべき者の性能をテストしてみようとしただけである。
何か勘違いしているシエスタを一瞥しただけで済まし、ペットショップはギーシュの後を追って飛んで行った。

そして
「zzz・・・・・・もう・・・・・・食べられない・・・zzz」
ルイズは幸せそうにまだ寝ていた


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