ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

使い魔は引き籠り-13

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匿名ユーザー

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厨房でないとすると、私達は一気に行き場を失って早くもぐだぐだし始める。
特に良案も浮かばなかったので一旦中止!テラスで休憩。とりあえずはキュルケの使い魔・フレイムに捜索を頼んだ。
「そうよルイズ、貴方の使い魔なんだから、視覚でも聴覚でも共有すればいいのに。」
「うぐ。・・・・出来るんならとっくにしてるわよ!私の使い魔は他よりずうっと変なんだもの、出来ない事もあるの。」
「出来る事は?」
「あーあーあー聞こえない聞こえなーい」

ばつが悪くなって、カップに少しだけ残った紅茶でずーずー音を立てる。(先生方に見つかったら絶対に怒られる)
キュルケは虚空に視線を逃がし(フレイムの視界を覗いているのだろう)「ゴミ箱の中も、花壇の裏にも居ない」と
半ば自棄を起こしたように呟いた。見なくたって居ないと判るところを探すほど、本当に、消えちゃったみたいに居ないのだ。
「タバサ、何か思いつかない?居そうな所。」
「消えた。」


「消えたあ――――!!」

うおう、何事。すっかり諦めムードで和んでいた私達の耳朶を強打する声、主はモンモランシーだ。

彼女らしくなくうろたえて、ツカツカとルイズに詰め寄る。
「ギーシュが朝から居ないのよッ!荷物も杖も部屋に置きっぱなしで居なくなっちゃったの!
そしたら貴方の使い魔も居なくなったって言うじゃない!ねえ、まさか仕返しとかしてないわよね?確かにギーシュはやりすぎたけど、彼だって・・・・」
「しししししないわよそんな陰湿な!多分恐らくしないと思うわ、いくらイルーゾォでも・・・・」
 ・・・・どうだろう。見た感じ陰湿そうだし意外と行動力があるし。正直自信ない。
自分の言を今一度見直す私をぐいと押しやって、話を聞いていたキュルケがきっぱりと言い放つ。
「ダーリンはあれだけ正々堂々と戦ったのよ!仕返しなんてギーシュがしても、ダーリンはしないわ!」
言い切った。すごいなあ、その信頼は何処から来るんだろう。私イルーゾォの事良く知らないんだもの。キュルケはもっと知らない筈だけど。
「ギーシュだってしないわよ!」
そうかな、しそうだけどな。影から、とか。

あっという間に口論を始めてしまった恋する女二人(ただただ感心するばかりだった。恋は盲目って奴かも。)を眺めていると
タバサがくい、と袖を引いた。
「何?」
「ギーシュが消えたなら、『イルーゾォ』は帰ってくる。」

タバサはまっすぐな目でこちらを見て、「よかった。」と微笑んだ。(笑うところは始めてみた気がする。)
「・・・・何故?」
「彼は魔法を知らなかった」
「そうよ」

『イカレてんのか?』は思い出すだけで腹が立ったけど、そう、確かに彼は魔法を知らなかった。
(その癖自分は魔法としか思えないような方法で消えたり消したりする。)

「帰ってくるつもりがないなら、魔法は知らなくていい。一人で消える。
 ・・・・ギーシュをつれて消えたなら、彼は魔法を知りたいの。」

そこまで言ってタバサは、視線を本へと戻した。

ルイズの使い魔の平民は、何故か勝手知ったる様子で僕の部屋(だと思うんだけど、左右が反転している)を歩き、
勝手に僕の椅子に腰を下ろしてから「まあ座れよ」と言った。
「自信がないけど言わせて貰う、ここは僕の部屋だろう?」
「お前の部屋だけど『オレの世界』なんだ」
いいからさっさと座れ、とこの上なく邪険に扱われて、しぶしぶもう一つの椅子を引き寄せ・・・・ようとしたら
椅子の方から勝手にこっちへ来た。レビテーションというよりは、見えない使用人が気を利かせたって感じだ。

「そんなにビビるなよ、お前臆病だって言われないか?カッコ悪いぞ?ちょっと世間話をしようってだけなんだ」
何か凄く言いたい放題言われてる気がするけれど、まあいいさ、座ろうじゃないか。
良くわからない事だらけだが、今は害意が無いらしい。それならまあ、世間話くらい付き合ってやっても構わないよ、僕としても。

「実は昨日、最高に頭の痛くなる噂を耳にしたんだよ。魔法が何とかって」
「魔法?」
「ある訳無いよな?(・・・・無いって言え)」
「無い訳ないじゃないか、此処を何処だと思ってるんだい?」
「そんな難しい事オレに聞くな!」

おお、頭を抱えたよ。魔法を知らない平民なんて何処の田舎に存在したんだろう。ルイズの奴、器用に召喚したものだ。
でも、そうなるとこの意味のわからない状況はなんだろう。無意識で使える魔法なんてあるのか?

「スタンドを『魔法』って呼んでいるのかも知れない、とも思ったんだ。でもお前は確かに見えてない」
(マン・イン・ザ・ミラーがギーシュの眼前で猫騙しをして見せた。遊び心だ。)
「『スタンド』?」
「『別』、なのか・・・・スタンドとは別に、ここには『魔法』があるんだな・・・・?」

そのスタンドってのは一体何だい?彼が魔法を知らないように、僕は『スタンド』を知らない。好奇心がツンツン(ry
ブツブツと何かを呟く平民は(どうやら『魔法』を信じるか否か、自分に折り合いをつけているらしい。)意を決したように一呼吸置くと、
「『魔法』について教えてくれ、何も知らないんだ。」と言った。

「だが断る!このギーシュがもっとも好きなことのh」
「・・・・『世間話』は既に、『拷問』へと変わっているんだぜ・・・・!」
「すいません調子乗りました。だけど少し待ってくれよ。僕は思うんだけれど」

何も無いはずの場所から物凄い威圧感を感じて脂汗をかきながら、僕は続ける。

「君は僕との決闘に引き分けた!・・・・・・・・あ、うん、別に君の勝ちだっていいんだ。うん。そっちにしておこうかな・・・・
それだから、もう僕達の間に『貴族』と『平民』の落差は無い事になると思わないか?そうだろ?」
「お、おお。」
「だったら『対等』だ。何も困ってる君を見捨てようとは思わないさ。
僕が『魔法』について教えてやるのは全く構わないから・・・・君の言う『スタンド』って言うの、僕に教えてくれないか?」

僕は『戦い』を経て彼に、一種の絆のようなものを感じている。お互いを認め合った男の友情って奴だ。
彼の方はどう思ってるか判らないけれど・・・・

「イルーゾォ。名乗るのはすっかり忘れてたな。」
 ・・・・ね。

(いいや俺が上!貴様が下だ!)
何を隠そう、この手の質問をギーシュにしているのは、この先何度戦ってもこいつには勝てると踏んだからだ。
他の奴は(認めてしまおう、全員魔法使いらしい)何が出来るんだかさっぱりわからないが、
少なくともコイツは先日、『全力で戦う』とハッキリ言った。それで勝ったんだ、恐れる事は無い。

シエスタ以外に協力者が出来れば正直ありがたいし、
考えてみれば『スタンド能力』だって『魔法』と同じくらいにファンタジーでメルヘンだ。
交換条件としてこれほど適当なものも無い。悪くない・・・・か?

『虚無』という魔法の使い手は今は絶え、魔法の属性は現存するもので土・水・火・風の四種類。
一人一つ以上得意科目のようなものを持ち、(それに関する『二つ名』を持つんでわかりやすい。ギーシュは『青銅』、土だ。)
優秀な魔法使いほど使える魔法や属性の数が増える。

「『微熱』『雪風』『香水』『風上』・・・・ああ、あとそうだね。『ゼロ』だ。」
「ああ、聞いた事がある。ルイズだろう?爆発ってことは火属性か?」
「何でもかんでも消し飛ばすのが火属性だと思ってたらキュルケに怒られるよ。
 ・・・あれはな、魔法が失敗してるだけさ。『レビテーション』でも爆発、『アンロック』でも爆発、所により大爆発・・・・
『魔法の成功率ゼロ』のルイズ。あいつに属性なんて無いよ。」

――――失敗?てっきり『爆発させる魔法』だと思っていたが、あれは事故なのか?
少し違和感を感じる。確かに『爆発しか出来ない』のは不便かもしれないが、威力が異常だ、十分戦力に・・・・
 ・・・・平和ボケしきったこいつらは、そんなこと考えないのかもしれないが。

だが『なんでも爆発する』のは危ないな。やはりルイズには要注意だ!とんでもない事が起こりそうな気がする――――

他にはコモン・マジックだとか呼ばれる属性の関係しない魔法も存在し、難易度はずっと低いらしい。(それもルイズは失敗するらしいが)
まったく『魔法』って奴の数は限りなく膨大で、オレ達の『スタンド』は往々にして単一の能力しかないものだから、
成る程『魔法』のイメージに違わずなんでも出来るって印象を受けた。これから先魔法使いと戦う羽目になったら、随分面倒な思いをするだろう。
「なあ、これぐらいでいいかい?僕ばっかり喋っているじゃあないか」
「がっつくなって、まだ全然わからねえよ。」
「じゃあ実際にいくつか見せようか、その方が早いかもね」

そうだな、実際詠唱だのなんだのオレにはイマイチピンと来ない。危険さえなければ実際に見てしまったほうが・・・・
「あれ?」
左右の狂った部屋で不便そうに、『造花の杖』を探し出したギーシュは違和感を訴える。
杖が机に、机が床に接着されてしまったように、ぴくりとも動かないのだ。
「どうした、何してる?」
「杖がないと魔法は使えないんだ。けれど、あれえ・・・・?」
「ふうん。」
ギーシュが悪戦苦闘する様を見て、『杖を渡してやる』ついでに『スタンド』の事を少しだけ、教えてやってもいいかと思う。
『マン・イン・ザ・ミラー』は性質上、有利な状況と不利な状況が露骨に分かれて危なっかしいんだが、
どうせこいつ等に『マン・イン・ザ・ミラー』は見えないんだ。いいかな・・・・


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