ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

風と虚無の使い魔-14

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匿名ユーザー

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「わかってるさッ!僕だってこんなところで死ねないよ!ワルキューレッ!」

フーケの巨大なゴーレムの前に二体のワルキューレが現れる。
ルイズは男の上半身を自分たちの後ろに置く。

「あら?あなたは確か七体まで出せたはず…出し惜しみしてるなんて余裕ね」
フーケはキュルケとタバサの土人形を出し、向かわせる。

構わずワルキューレがゴーレムの脚部に突っ込む。
フーケのゴーレムが片方のワルキューレに蹴りをかまし、粉々に砕ける。
そこを上がっていないほうの足をルイズが呪文で爆破する。

「宝物庫を壊したときから不思議だったけれど…再生が遅いわ、なんの呪文なの…?」
フーケが呟く。

フラフラの状態のフーケのゴーレムに片方のワルキューレが突っ込み、フーケのゴーレムを押し倒す。
フーケのゴーレムは尻餅をついた形になる。

「錬金ッ!」
ギーシュがワルキューレと、ワルキューレの破片を錬金し、変形させる。
フーケのゴーレムの足を青銅で固定する。
丁度、フーケのいる位置の高さはワルキューレほどになる。

「これで、対等というところかしら?」
ルイズがフーケの召還する土人形をひきつけて、爆破する。

「私が上ッ!お前らが下だッ!!」
フーケは悪態をつき、石礫を放つ。
ルイズ達に正確に石礫は飛んでくる。

「この高さならァアアアッ!迎撃可能ゥウウウウッ!食らえ重機関砲をォオオオオッ!」
飛んできた石礫は粉々になり、破片が周辺に着弾する。

「どう、わかった?もうそのガラクタのゴーレムは乗り捨てて、大人しく投降しなさい」
「脚なんて飾りですわ!あんたらみたいな小娘にはわからないのね!」
青銅で固定されている部分を殴って破壊し始める。

「ま、こうなると思ってたわ、ギーシュ、残りも作戦どおり頼むわよ」
「はあ、こんな作戦だけどやるしかないのか」

ギーシュはちょっと落ち込みながらルーンを唱え、残りのワルキューレ五体を召還する。
その五体のワルキューレは四角形でフーケを囲み、一体だけ背後に一歩離れて立っていた。

男が口を挟む。
「フフ、そのような陣形で囲むのか、ワルキューレで五角形に囲むでは呼びにくい…この俺が名付け親(ゴッドファーザー)に
なってやろう!そうだな、森の守り神という意味のソナタ・アークティカというのはどうかな!」
「その呼び名、その名前グーだね!ベリーグーだッ!」
「やれやれ、男ってのはこんなのばっかしなのかしら」
ため息をつきながら杖を振り土人形を爆散させる。

「やれやれ、なにかと思えばこんなちゃちな作戦かい、考えてることがわからないわね」
フーケのゴーレムは拳を振るい、正面のゴーレムから順に一撃で破壊していく。

男はうろたえる。
「う、うろたえるんじゃあないッ!ドイツ軍人はうろたえないッ!」
「うろたえてるのはあんただけよ」
しかし、ルイズは冷静と見つめている。もっともギーシュはワルキューレのあまりの脆さに呆然としていたが。

破壊した途端!そのゴーレムの頭部に入っていた燃料…小屋にあった暖炉に使われていた液体燃料…がフーケに降りかかる。
「臭いでわかるように燃料をぶっかけたわ…食らいなさい!私の爆発を!」
ルイズは杖を振る。


フーケは高らかに笑い出す。
「あはははは!なに考えてると思ったらそんなことかい!あんたら土くれのフーケをなめてるんじゃないの!」
ガソリンは次々と泥に姿を変える。
「液体の燃料なんて滅多にみないけど、しょせんは化石燃料!この程度の錬金、鉛筆の芯をボキッと折るようにできるわよ!」

ルイズの呪文が頬を掠める。
呪文は後ろの最後のワルキューレの顔面に着弾する。まだそのワルキューレは動けるようだが、攻撃の成果は期待できなさそうだ。

「やれやれ、最後は同士討ちかい?悲しいねえ、じゃあとっととあんたらを始末して…」

フーケは最後まで言葉を言い終えることはできなかった。
杖を落とす。

フーケは縛られていた。

「な、これは…ロープ!?いつのまに高所にいる私を縛ったの!」

そう…先ほどの五体のワルキューレの中にロープを仕込み、一体目から四体目までのワルキューレはガソリンを撒いて
気をそらしている隙に錬金しフーケのゴーレムに外側に落ちないよう突起に引っ掛けておく。
そして最後のワルキューレには両方の先端を入れておき、片方の先端を頭部、もう片方の先端を肩に入れておく。
頭部の先端には錘をつけておき、頭部を破壊すれば、片方の先端だけ落ちていき、フーケは縛られることになる。

ロープに簡易とはいえ縛られ、身動きができなくなり、ゴーレムから落ちる。
もうそれほどの高さではないため怪我はないが、そこにはルイズが立っていた。

「燃料といい、ロープといい、色々小屋から拝借しちゃって、ごめんなさいね
さあ、土くれのフーケとはいえ、杖がなければなにもできないわよね?人間そっくりで話す土くれを
作るなんて…今思えば学校で襲われたときに助けたミス・ロングビルも土くれだったわけね。
…さあ、もう諦めなさい」


「そうね…確かにこのスタンド…ジャッジメントは魔法も干渉するし…魔法と同じように精神力が必要…」
フーケが、不適に笑う。

「だけれどもね、杖はいらないのよ!『ジャッジメント』!」

ジャッジメントがルイズに殴りかかる。

「あんたの…スタンド、って言うのね。実はほんの少し前にあなたみたいなのと戦う機会があってね、不運だったわね
杖を落としても使えるようだったから、手は打っておいたのよ」



後ろから叫び声が聞こえる。
最後に残ったワルキューレの胴体からだ。
「ギクシャクする脚もないがァァァァァ!おれの機関銃は完了ォォォォッ!そしてくらえッ!MP40機関銃をォオオオオッ!」

地面にいるフーケに向かって弾丸の雨が降り注ぐ。
後ろからとっさに攻撃され、ジャッジメントで致命傷になりそうなものは叩き落したものの、何発かの弾丸がフーケに突き刺さり、
フーケは痛みで気を失った。


 * * *


「それにしてもあの作戦…まるで僕のワルキューレがかませ犬扱いじゃないか!一撃でやられる前提で作戦を立てるなんて!」
「実際そうだったでしょ、なによ、文句でもあるの」
「いや、でも…一つのワルキューレにロープの先端と錘、もう一つの先端、そして胴体に男を組み込んだ僕の錬金の上手さは
特筆すべきものがあったんじゃないかね?」
「だからどうだってのよ、私は作戦立てたのに土人形破壊で忙しかったのに、あんたは自分のワルキューレがやられる様を
呆然と見てただけじゃない。土なんだからあんた得意の錬金で分解できたでしょ?」
「う…で、でも僕が居なければこの作戦は…」
「消火終わった」
火をつけた森の消火に行っていたタバサたちが帰ってくる。

「それにしても、ミス・ロングビルが『土くれのフーケ』だったなんてね」
「意外」
「精巧で話す土人形を生み出すなんて恐ろしすぎるわよ…でもルイズ、私たちを人形とはいえ躊躇なく爆破したらしいわね。
あんたの図太さには呆れるわ。それに比べて私は繊細すぎわたね」
「タバサはともかくなんであんたの土人形を爆破するのにためらわなきゃいけないのよ」
「あら、ルイズとはいえ一応知り合いだから躊躇った私とは大きな違いですね、そんなんだから胸がないのよ」
「む、胸は関係ないでしょ!」
タバサが割って入る。
「起きる前に運ぶ。シルフィードに乗って」
「ああ、そうだった!早くしないと!」
ルイズたちは気絶したままのフーケを乗せる。

「ルフトバッフェ(ドイツ空軍)出身の俺でも竜には乗ったことなかった
…だが我がドイツの空軍は世界一ィィィ!乗れんことはないイイィーッ!」
ギーシュが仮止めして一応五体満足な男が叫ぶ。

「きゅいーきゅいー…(怪我明けに六人は辛いのねー!)」
シルフィードがバタバタする。
「この怪我だと六人は辛いみたいだから、乗らないで」
「む、むう、まあしょうがないな……かなり興味があるが…」
「あとでまともな土メイジも送る」
シルフィードが飛び立とうとする。

「そうか、配慮感謝する…そして、金髪の少年と桃色の少女!貴様らには危ないところを助けられた、我が
ドイツの軍人ならば鉄十字章の申請をするところだが…生憎ここはドイツではない…感謝しかできなく、すまない」

飛び上がったシルフィードに男はいつまでも右手を斜め45度に掲げていた。


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