念写! じょせふ・じょーすたーきさまみているな!
成田新東京国際空港
「パパ! ここよパパ!」
「ホリィ!」
空港で互いを抱きしめ合う一組の親子!
それはDIOの呪縛から解かれたホリィと、二代目ジョジョのジョセフ・ジョースター!
「パパァ! よく来てくれたわ!」
「わしは一人娘のお前が困っているなら、
地球上どこにでも24時間以内に駆けつけるつもりヂャ!」
いつぞやのような会話をした後、二人は空条家に向かった。
そして居間でお茶を飲みつつ、ジョセフは語る。
「スピードワゴン財団の調査でだいたいの事は把握しておる。
承太郎が失踪して数日経つ! 最後に確認されたのは××駅の防犯カメラじゃ!
調査の結果……承太郎は××駅から電車に乗り……。
恐らく目的地じゃったろうと推測される、○○駅で降りる事なく、忽然と姿を消した!
すなわち、承太郎の身に何かが起こったのは電車の中という事になる!
じゃが承太郎の乗っていた電車に異常は無く、他の乗客も事件に巻き込まれた様子は無い。
まったくもって謎じゃ! 承太郎が電車の中からどうして! なぜ! いなくなったのかッ」
ジョセフは承太郎がいなくなった理由をひとつ思いついていたが、
それを言うつもりは無かったし、その必要も無かった。
それは……『承太郎が敵スタンド使いに始末された』という可能性。
邪悪の化身DIOは倒したものの、その残党や信奉者まで撲滅できた訳ではない。
DIOを殺された恨みを晴らそうと、敵スタンド使いが承太郎を始末した可能性は十分ある。
ポルナレフから聞いた『物質を暗黒空間に飲み込み粉微塵にするスタンド』などなら、
承太郎のフイをついて一撃で全身を粉微塵にし倒す事も可能だろう。
冷静な判断力と優れたスタンドを持つ承太郎が不覚を取るとは思えないが、
日常の中の暗殺となれば話は別だ。
承太郎は五十日間の旅の時は常に敵に警戒していた。
だが平和な日常の中でまで警戒し続ける理由はない。
先程の暗黒空間に飲み込むスタンド使いはポルナレフが倒したが、
スタープラチナとザ・ワールドの件もある、同じようなスタンドがいても不思議ではない。
だが……その可能性は無いと、ジョセフはすでに理解していたッ!
だからその可能性をホリィに伝えて不安がらせる事は無い!
「じゃが安心するんじゃホリィ!
承太郎の居場所の手がかりはすでにッ、わしが掴んでおる!」
「パパ! 本当なの!? その手がかりっていったい……」
「忘れたのか? わしが承太郎の悪霊……スタンドの問題を解決しに来た時、
ホリィにも見せたはずじゃ。わしのスタンド能力を」
そう言ってジョセフは懐から写真を二枚取り出し、机の上に置いた。
「こ、これは!」
「そう! 念写じゃッ! わしはすでに承太郎の居場所を探り念写をしている!」
ホリィは承太郎の無事を確認しようと急いで写真を手に取った。
そこには確かに愛しの息子、承太郎の姿があった!
一枚目の写真、承太郎がどこかの厨房でシチューを食べている姿。
「ああ、承太郎! パパ、承太郎は無事なのね!」
「そうじゃ! どこにいるかは解らんが、その写真を見るに、
承太郎はどこかに監禁されている訳でも大怪我をしている訳でもない!
うまそうに飯を食う程度の余裕はあるって事じゃ。
疑問なのは……なぜ連絡が無いかッ!? 電話くらい世界中どこにでもあるし、
緊急時のためのスピードワゴン財団のコレクトコール対応の電話番号も教えてあるッ。
なのに連絡が一切無いというのは謎じゃ!
承太郎自身の意思で身を隠しているとしか思えん!」
「も、もう一枚の写真は……」
二枚目の写真、それは高級そうなアンティークのベッドでタバコを吸う承太郎の姿。
「パパ、承太郎がいるのは……いったいどこなの?」
「それは解らん。だが厨房と違い、部屋の造りから大方の推測は可能じゃ。
見ろ、部屋の中は調度品と薔薇でいっぱいじゃ。
さらに雰囲気からどうやら日本ではなくヨーロッパ方面だと思われる。
ここが高級ホテルの一室なのか、それとも誰かの個人所有する高級邸宅の一室なのか、
さすがにそこまでは解らんがのォ~……。
ほれ、隅っこに金髪の少年が写っておる。恐らく従業員や執事の類じゃろう」
「ヨーロッパ……でも承太郎が行きそうな国なんて……?
はっ! そういえばパパは元々イギリス生まれ。
もしかしたらジョースター家に関係のある場所じゃあないかしら?」
「それはわしも考えた。じゃが我が祖父ジョナサンの屋敷は火事で無くなっているし、
エリナお婆ちゃんと一緒に暮らしていた屋敷にこんな部屋は無いッ。
ヨーロッパという事でフランスの友人にも問い合わせてみたが、心当たりは無いそうじゃ。
念のため写真のコピーをフランスに送っておいた。
電話で聞いても解らなくとも、写真を見れば何か解る事があるかもしれんしな」
「でもパパ。この二枚の写真を見て、不思議に思った事があるの」
ホリィは二枚の写真を見比べながら、震える声で言った。
「何じゃ? 何に気づいたんじゃ? 言ってごらんなさい」
「承太郎がどうしてヨーロッパにいるのかは解らない……。
何か事件に巻き込まれたのかもしれないし、もしかしたら家出かもしれない。
純粋に旅行を楽しんでいるだけかもしれないけれど……そうだとすると、
どうしてもおかしなところがあるの」
「おかしなところ? わしには見当もつかんが……いったい何じゃ? ホリィ」
「だっておかしいわ……承太郎ったら、ヨーロッパにいるのに……」
そこでホリィは息を呑み、意を決したように言った。
「どうして学生服を着たままなの!?」
ド―――――z______ン
「承太郎はくつろいでいるように見えるわ。
だとしたら学校じゃないんだから、服くらい着替えるはずよッ。
留置場みたいに不自由な環境じゃないんですもの。
そうでしょう!? パパ!」
ホリィの意見を聞き、ジョセフは、気まずそうにそっぽを向いた。
「……いや、実はじゃなホリィ……。これはお前にも言ってない事だが……。
承太郎は、日本からエジプトまでの旅の間……実に五十日間……。
毎日、常に、海の上でも、海の中でも、砂漠でも、どんなに暑い日も!
ずぅ~っと学ランを脱がなかったんじゃぁ~~~~ッ!!」
バァァ―――――z______ン
「一時期! とあるトラブルで承太郎の学ランが焼けちまった事があった。
だがそれでも! 承太郎はパキスタンの仕立て屋に頼んで……日本の学生服を、
すなわち学ランを、ウール100%で仕立ててもらったんじゃ~!」
「何ですってー!?」
意外ッ! 学ランに対する異常な執着心!!
「……ま、まー学生は学生らしくとかそういう理由で着とったんじゃ。
高校を卒業したらさすがに学ランは着んじゃろう」
「そ、そうよねパパ!」
そして二枚の写真を机の脇に置き、ジョセフが鞄からポラロイドカメラを取り出す。
「さて、一枚目の写真は一昨日、二枚目の写真は昨日念写したものじゃ。
そして今日! 三枚目の写真を念写する!」
ジョセフはハーミットパープルを出した右手でポラロイドカメラをぶっ叩いた。
すると写真が一枚出てくる。
「さて、どんな写真が撮れたかのう?」
「承太郎、無事だといいけれど……」
二人は不安げに写真を覗き込んだ。
三枚目の写真。
髪をピンクに染めた美少女が、ネグリジェ姿で承太郎と向かい合っていた。
そして承太郎は、その少女と『下着の受け渡し』をしていた。
「…………」
「…………」
黙り込む祖父と母親。
承太郎が下着を渡しているのか、承太郎が下着を受け取っているのか、
そんな事は些細な問題だった。ぶっちゃけどっちでもいい。
『髪をピンクに染めて』『ネグリジェを着た』『胸がペッタンコな幼児体型の美少女』と、
妖しい関係を築いているらしき事実、その一点のみッ!
ジョセフとホリィの中で、承太郎に対するイメージがグルリンッと一転した。
そしてこの写真は重要な『手がかり』として、
フランスの友人、J・P・ポルナレフにも送られる事となる。
スターダスト外伝 完
成田新東京国際空港
「パパ! ここよパパ!」
「ホリィ!」
空港で互いを抱きしめ合う一組の親子!
それはDIOの呪縛から解かれたホリィと、二代目ジョジョのジョセフ・ジョースター!
「パパァ! よく来てくれたわ!」
「わしは一人娘のお前が困っているなら、
地球上どこにでも24時間以内に駆けつけるつもりヂャ!」
いつぞやのような会話をした後、二人は空条家に向かった。
そして居間でお茶を飲みつつ、ジョセフは語る。
「スピードワゴン財団の調査でだいたいの事は把握しておる。
承太郎が失踪して数日経つ! 最後に確認されたのは××駅の防犯カメラじゃ!
調査の結果……承太郎は××駅から電車に乗り……。
恐らく目的地じゃったろうと推測される、○○駅で降りる事なく、忽然と姿を消した!
すなわち、承太郎の身に何かが起こったのは電車の中という事になる!
じゃが承太郎の乗っていた電車に異常は無く、他の乗客も事件に巻き込まれた様子は無い。
まったくもって謎じゃ! 承太郎が電車の中からどうして! なぜ! いなくなったのかッ」
ジョセフは承太郎がいなくなった理由をひとつ思いついていたが、
それを言うつもりは無かったし、その必要も無かった。
それは……『承太郎が敵スタンド使いに始末された』という可能性。
邪悪の化身DIOは倒したものの、その残党や信奉者まで撲滅できた訳ではない。
DIOを殺された恨みを晴らそうと、敵スタンド使いが承太郎を始末した可能性は十分ある。
ポルナレフから聞いた『物質を暗黒空間に飲み込み粉微塵にするスタンド』などなら、
承太郎のフイをついて一撃で全身を粉微塵にし倒す事も可能だろう。
冷静な判断力と優れたスタンドを持つ承太郎が不覚を取るとは思えないが、
日常の中の暗殺となれば話は別だ。
承太郎は五十日間の旅の時は常に敵に警戒していた。
だが平和な日常の中でまで警戒し続ける理由はない。
先程の暗黒空間に飲み込むスタンド使いはポルナレフが倒したが、
スタープラチナとザ・ワールドの件もある、同じようなスタンドがいても不思議ではない。
だが……その可能性は無いと、ジョセフはすでに理解していたッ!
だからその可能性をホリィに伝えて不安がらせる事は無い!
「じゃが安心するんじゃホリィ!
承太郎の居場所の手がかりはすでにッ、わしが掴んでおる!」
「パパ! 本当なの!? その手がかりっていったい……」
「忘れたのか? わしが承太郎の悪霊……スタンドの問題を解決しに来た時、
ホリィにも見せたはずじゃ。わしのスタンド能力を」
そう言ってジョセフは懐から写真を二枚取り出し、机の上に置いた。
「こ、これは!」
「そう! 念写じゃッ! わしはすでに承太郎の居場所を探り念写をしている!」
ホリィは承太郎の無事を確認しようと急いで写真を手に取った。
そこには確かに愛しの息子、承太郎の姿があった!
一枚目の写真、承太郎がどこかの厨房でシチューを食べている姿。
「ああ、承太郎! パパ、承太郎は無事なのね!」
「そうじゃ! どこにいるかは解らんが、その写真を見るに、
承太郎はどこかに監禁されている訳でも大怪我をしている訳でもない!
うまそうに飯を食う程度の余裕はあるって事じゃ。
疑問なのは……なぜ連絡が無いかッ!? 電話くらい世界中どこにでもあるし、
緊急時のためのスピードワゴン財団のコレクトコール対応の電話番号も教えてあるッ。
なのに連絡が一切無いというのは謎じゃ!
承太郎自身の意思で身を隠しているとしか思えん!」
「も、もう一枚の写真は……」
二枚目の写真、それは高級そうなアンティークのベッドでタバコを吸う承太郎の姿。
「パパ、承太郎がいるのは……いったいどこなの?」
「それは解らん。だが厨房と違い、部屋の造りから大方の推測は可能じゃ。
見ろ、部屋の中は調度品と薔薇でいっぱいじゃ。
さらに雰囲気からどうやら日本ではなくヨーロッパ方面だと思われる。
ここが高級ホテルの一室なのか、それとも誰かの個人所有する高級邸宅の一室なのか、
さすがにそこまでは解らんがのォ~……。
ほれ、隅っこに金髪の少年が写っておる。恐らく従業員や執事の類じゃろう」
「ヨーロッパ……でも承太郎が行きそうな国なんて……?
はっ! そういえばパパは元々イギリス生まれ。
もしかしたらジョースター家に関係のある場所じゃあないかしら?」
「それはわしも考えた。じゃが我が祖父ジョナサンの屋敷は火事で無くなっているし、
エリナお婆ちゃんと一緒に暮らしていた屋敷にこんな部屋は無いッ。
ヨーロッパという事でフランスの友人にも問い合わせてみたが、心当たりは無いそうじゃ。
念のため写真のコピーをフランスに送っておいた。
電話で聞いても解らなくとも、写真を見れば何か解る事があるかもしれんしな」
「でもパパ。この二枚の写真を見て、不思議に思った事があるの」
ホリィは二枚の写真を見比べながら、震える声で言った。
「何じゃ? 何に気づいたんじゃ? 言ってごらんなさい」
「承太郎がどうしてヨーロッパにいるのかは解らない……。
何か事件に巻き込まれたのかもしれないし、もしかしたら家出かもしれない。
純粋に旅行を楽しんでいるだけかもしれないけれど……そうだとすると、
どうしてもおかしなところがあるの」
「おかしなところ? わしには見当もつかんが……いったい何じゃ? ホリィ」
「だっておかしいわ……承太郎ったら、ヨーロッパにいるのに……」
そこでホリィは息を呑み、意を決したように言った。
「どうして学生服を着たままなの!?」
ド―――――z______ン
「承太郎はくつろいでいるように見えるわ。
だとしたら学校じゃないんだから、服くらい着替えるはずよッ。
留置場みたいに不自由な環境じゃないんですもの。
そうでしょう!? パパ!」
ホリィの意見を聞き、ジョセフは、気まずそうにそっぽを向いた。
「……いや、実はじゃなホリィ……。これはお前にも言ってない事だが……。
承太郎は、日本からエジプトまでの旅の間……実に五十日間……。
毎日、常に、海の上でも、海の中でも、砂漠でも、どんなに暑い日も!
ずぅ~っと学ランを脱がなかったんじゃぁ~~~~ッ!!」
バァァ―――――z______ン
「一時期! とあるトラブルで承太郎の学ランが焼けちまった事があった。
だがそれでも! 承太郎はパキスタンの仕立て屋に頼んで……日本の学生服を、
すなわち学ランを、ウール100%で仕立ててもらったんじゃ~!」
「何ですってー!?」
意外ッ! 学ランに対する異常な執着心!!
「……ま、まー学生は学生らしくとかそういう理由で着とったんじゃ。
高校を卒業したらさすがに学ランは着んじゃろう」
「そ、そうよねパパ!」
そして二枚の写真を机の脇に置き、ジョセフが鞄からポラロイドカメラを取り出す。
「さて、一枚目の写真は一昨日、二枚目の写真は昨日念写したものじゃ。
そして今日! 三枚目の写真を念写する!」
ジョセフはハーミットパープルを出した右手でポラロイドカメラをぶっ叩いた。
すると写真が一枚出てくる。
「さて、どんな写真が撮れたかのう?」
「承太郎、無事だといいけれど……」
二人は不安げに写真を覗き込んだ。
三枚目の写真。
髪をピンクに染めた美少女が、ネグリジェ姿で承太郎と向かい合っていた。
そして承太郎は、その少女と『下着の受け渡し』をしていた。
「…………」
「…………」
黙り込む祖父と母親。
承太郎が下着を渡しているのか、承太郎が下着を受け取っているのか、
そんな事は些細な問題だった。ぶっちゃけどっちでもいい。
『髪をピンクに染めて』『ネグリジェを着た』『胸がペッタンコな幼児体型の美少女』と、
妖しい関係を築いているらしき事実、その一点のみッ!
ジョセフとホリィの中で、承太郎に対するイメージがグルリンッと一転した。
そしてこの写真は重要な『手がかり』として、
フランスの友人、J・P・ポルナレフにも送られる事となる。
スターダスト外伝 完