ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

偉大なる使い魔-26

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匿名ユーザー

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「プロシュート、見ててくれた?わたし、スクエアのワルドに勝ったのよ」
「ああ……見事……だったぞ……ルイズ」
「あとは帰るだけでしょう、さあ行きましょう」
「ルイズ……お前だけで行くんだ……オレは……もう……動けねえ」
プロシュートは、もう喋ることさえ苦しそうだ。
「いやよ!一緒に帰るのよ」
「任務を……やり遂げろ……ルイズ……オレが死んでも……お前が……
手紙を……持って帰る……ことが……出来れば……
それが……オレたちの勝利だ!」
「わたしたちの……勝利」

「ゴホッ……ウェッ……カ八ッ……ゴホゴホッ」

激しい咳き込み。それはプロシュートじゃなくワルドのものだった。
「くそ……この『閃光』がもはや後れを取るとは……」
「ワルドォォォォ」
ワルド……ボロボロだが傷は塞がっていた。
「今の治癒で精神力をほとんど使ってしまったよ……
今日のところは引くとしよう。ルイズ、きみはいずれ『虚無』に目覚め……
そして聖地を目指すことになるだろう、その時にまた迎えに来るよ僕のルイズ」
予言じみた台詞を残しワルドは部屋から出て行った。
姫さまに手紙を届けないといけない。でも、プロシュートを置いては行けない。
そのとき……プロシュートの横たわった隣の地面が盛り上がった。

「な、何?」
ぼこっと床石が割れ、茶色の生き物が飛び出してきた。
「ヴェルダンデ!」
ヴェルダンデは、またしても体をまさっぐてきた。
「こら!ヴェルダンデ!どこまでお前は穴を掘る気なんだね!いいけど!
って……兄貴イイイイィィィ」
ヴェルダンデが掘った穴からギーシュが出てきた。早くなんとかしなさいよ。
「ルイズ!一体なにがあったというのだね?」
ギーシュがヴェルダンデを止め、わたしに詰め掛けた。
「……ワルドが裏切ったのよ」
「あの子爵、裏切り者だったの?」
穴からキュルケとタバサも這い出てきた。
「タバサッ!」
プロシュートが助かるかもしれない。
「おねがいタバサ、プロシュートに治癒の魔法を」
しかし、タバサは首を横に振るだけだった。
「どうして?おねがいよタバサ!」
キュルケがタバサの前に出てきた。
「ごめんなさい、ルイズ。
わたしたち、ラ・ロシェールの戦いで精神力を使い切っちゃたのよ」
……そんな、助かったと思ったのに。
「うう……」
!!プロシュートがうめき声を上げる。
「そこに……居るのは……ギーシュ……か?」
「兄貴!」
ギーシュがプロシュートの側に跪いた。
「どうして……ココに?」
「『水のルビー』です。ヴェルダンデは、その匂いを辿りここまできました」
ギーシュがプロシュートに手を差し出す。

「この穴から敵に見つからず、脱出することができます。さあ行きましょう!」
「で……でかしたぞ……ギーシュ……
良く……やった……助かったぞ……気が……きいたな」
「ありがとうございます兄貴」
「ギーシュ……頼みが……ある」
「なんなりと」
「オレを置いて……ルイズを……連れて……逃げろ……頼ん……だぞ……」
それっきり、プロシュートは喋らなくなった……。
「はい……任せてください」 
ギーシュは低いが力強い声で答えた。
「プロシュート!」
わたしは血で汚れるのも構わずプロシュートに縋りついた。
「こんなことで、あなたが死ぬはず無いじゃない」
プロシュートの生命の鼓動はスデに止まっていた……
「プロシュートォォォ」
礼拝堂にわたしの絶叫だ響いた。
「ううう。ごめんなさい、ごめんなさい、わたしのせいで……」
泣き喚くわたしの肩にギーシュが、そっと手を置いた。
「さあ行こうルイズ、騒がしくなってきた。そろそろ、ここも危なくなってきた」
「ねえギーシュ、頼みがあるの」



「君もかい、なんだね?」
ギーシュは、しょうがないと言った口調で聞いてきた。
「プロシュートに『レビテーション』をお願い。せめて弔ってあげたいの」
すまなさそうにギーシュは首を振った。
「すまない、僕も魔法を使い切ってしまったんだ」
わたしは弔ってあげることもできないの。
「兄貴も言ってたじゃないか、オレを置いて行けと」
「嫌よ、使い魔を見捨てるなんてメイジのする事じゃないわ!」
「ルイズ」
「なによ……って」
ギーシュはわたしのマントをつかみ引きずり起こした。
「失礼!」

ぱしん

ギーシュの平手打ちが、わたしの頬を叩いた。
「なにすんのよ、ギーシュ……!」
……ギーシュ……泣いているの……。
「気持ちはわかるが置いて行くしかないんだ……
ルイズ……僕は……その『手紙』に何が書いてあるか知らない。
だが姫さまが、この様な非常時に取り戻して欲しいと無茶を言うぐらいだ。
もし失敗したらどうなるか、君なら分かるだろう」
ゲルマニアとの婚約破棄。
トリステインは単独で戦争に挑まなくなくてはならない。
メイジだけでなく平民もたくさん死ぬわね。
「わかったわ」
「ありがとうルイズ。グズグズしてられない、ついてきたまえ」
ギーシュ、わたし、タバサ、そして最後にキュルケが穴に入る。
「キュルケ、すまないが側に落ちていた絵で穴を塞いでくれたまえ……
しばらくは、それで誤魔化せると思う」
「ええ、わかったわ」
わたしたちはアルビオンを脱出し、無事、姫様に手紙を返すことが出来た。

ここは、トリステインの王宮。
姫さまの居室に、わたしと姫さまがいる。
キュルケたちは別室で休んでいる。
わたしは、ことの次第を説明した。
ウェールズさまの死を伝え『風のルビー』を渡すと、姫さまは上の空になった。
あと『水のルビー』を返そうとすると断られた。
ホントにいいのかしら。

王宮から帰る途中。アルビオンのことを振り返る。
城に置き去りにしてしまったプロシュート。
もう弔ってあげることも出来ない。
どうしたら喜んでくれるかしら。
プロシュートは特に不平不満を言ってた訳じゃない
買ってあげた物といえば、ソファーと剣くらいね。
どうすれば……

『成長しろ』!ルイズ。『成長』しなきゃあ、オレたちは『栄光』をつかめねえ。

成長しろ……栄光をつかめ……か。
…………………………………………………………………………
…………         …………………
栄光をつかんでやる……
『虚無』のメイジになってやるわ。
歴史に名を残しやる!偉大なる『虚無』の担い手として。
そしてその偉大なる使い魔、プロシュートの名前を
トリステインに……いや……ハルケギニア全土に、その名を轟かせてやるわ!


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