ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

偉大なる使い魔-24

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匿名ユーザー

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わたしたちは、痩せた空賊の男に部屋から連れ出された。
甲板の上の部屋に通されると、ガラの悪い空賊たちがニヤニヤと笑っていた。
立派な部屋に豪華なテーブル、一番の上座に派手な男が座っていた。
どうやら、こいつが頭のようね、杖をいじってる所をみるとメイジなのか。
水晶の付いた良い杖ね……。
わたしたちを連れてきた男が、わたしをつついた。
「おい、お前たち、頭の前だ挨拶しろ」
わたしは、頭を睨んでやったが、頭はにやっと笑った。
「気の強い女は好きだぜ。ガキでもな。さてと、名乗りな。」
「大使としての扱いを要求するわ」
誰が、こんな奴等に恐がってやるもんですか。
「馬鹿かお前?空賊を相手に何を言っているのやら」
頭は静かに、わたしの言葉を跳ね除けた。
「……王党派と言ったな?」
頭がわたしの瞳を覗きこんでくる。
「そうよ」
「目的はなんだ?あいつら、明日にでも殺されちまうのによ」
頭の台詞に焦りが募る。
そうなる前に、ウェールズ様に会わないといけないのに。
「あなたたちには関係ないわ」
「貴族派につく気はないか?あいつら、メイジを欲しがってる。
たんまり礼金も弾んでくれるだろうよ」
こいつ等、そんなにお金が欲しいの?
「わたしは、大使だって言ってんでしょ」
「『大使』……それだ、そこが良いんだよ」
頭は杖を、わたしに向け囁いた。

「何を言ってるの?」
「大使なら労せずに、ウェールズ皇太子に会えるだろう……
そこで、斬るなり焼くなり好きにできる。『大使』なら簡単に出来るだろう?」
「この外道!死んでもイヤよ」
わたしの言葉をまったく気にしない頭。
「もう一度言う。貴族派につく気はないかね?」
まだ言うか……わたしの肩にプロシュートの手が置かれた。
「つかねえって言ってんだろ」
「貴様はなんだ?」
頭がじろりとプロシュートをにらんだ、人を射すくめるのに、なれた眼ね。
プロシュートは真っ向から睨み返す、こちらは視線だけで人が殺せそうな眼だ。
「使い魔さ」
「使い魔?」
「そうだ」
頭は笑った。大声で笑った。
「トリステインの貴族は、気ばかり強くって、どうしようもないな。
まあ、どこぞの国の恥知らずどもより、何百倍もマシだがね」
頭は立ち上がり黒髪を剥ぎ取り、たくわえたヒゲを毟り取った。
変装してたのね、そこに立っているのは凛々しい金髪の若者だった。
「アルビオン王国皇太子、ウェールズ・テューダーだ」
まさか空賊の頭がウェールズ様だったなんて。

わたしは手紙を返して貰うために、城に向かう。
途中、貴族派に邪魔されること無く無事に手紙を手に取ることができた。
一番困難だと思っていたウェールズ様との接触……
思いもよらぬ形で出会い、簡単に手紙も返して貰った。
後は手紙を姫さまに届けるだけね……なんだか拍子抜だわ。

だから、この時。まさかあんな事に成るなんて夢にも思わなかった。

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