ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

偉大なる使い魔-23

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匿名ユーザー

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わたしたちは船に乗るために階段を駆け上がる。
階段の隙間から、ラ・ロシェールの明かりが見えた。
みんな無事かしら。
階段を駆け上がっていると一番後ろを走っているはずの、わたしの後ろから
足音が近づいてくる。
フーケと一緒に居た白い仮面の男!
わたしが気づくと同時に男は、わたしを抱え上げた。
「ルイズ!」
プロシュートが剣を抜き常人とは思えない程のスピードでわたしに接近する。
男は、わたしを抱えたまま宙に浮いた。
プロシュートは、男を見上げるとグレイトフル・デッドを出現させ跳びあがらせた。
男を殴ろうとグレイトフル・デッドの拳がせまる。仮面の男が杖を構えると、丁度
拳がわたしの目の前に来るコースになった。
「きゃあああ!」
アレで殴られると、どうなるのか。ギーシュのワルキューレの様になるの?
「ちっ!」
ここまで聞こえてくる舌打ちと同時にグレイトフル・デッドの拳が止まる。
その隙に仮面の男が呪文を完成させる。
「『ライトニングクラウド』!」
男の杖から稲妻が伸びてプロシュートの体を直撃した。
「ぐぁああああああ!」
プロシュートがうめくと、そのまま失神した。
「プロシュート!」
電撃の痕が服の袖を焦がしている。左腕の大火傷は見ているだけで痛そだ。
わたしが傷跡に気を取られていると仮面の男からドンと衝撃が伝わってきた。
男の手が、わたしから離れる。わたしはそのまま地面に落下していくと、間一髪
ワルドがわたしを受け止めた。
「大丈夫かいルイズ」
「ええ、ありがとうワルド」
さっきの衝撃は、ワルドが風の呪文を仮面の男にぶつけたものだったのね。

仮面の男とワルドが対峙する。
「エア・ハンマー」
ワルドが仮面の男に向かって杖を振った。
目に見えない空気の塊が仮面の男を吹き飛ばす。
仮面の男は階段から足を踏み外し地面に向かって落ちていった。
それを見届けると、わたしは倒れたプロシュートに駆け寄り胸に耳を当てる。
鼓動がする、強力な電撃を受けたみたいだけど死んではいないようだ。
「ううっ」
プロシュートの目が開いた。そして、苦しそうに立ち上がる。
「いてぇ…。くっ!」
デルフリンガーが心配そうに声を掛けた。
「今の呪文は『ライトニング・クラウド』。『風』系統の強力な呪文だ。
あいつ相当の使い手のようだな」
ワルドがプロシュートの様子を確かめる。
「しかし、腕ですんでよかった。本来なら、命を奪うほどの呪文だぞ。ふむ…。
この剣が、電撃を和らげたようだな。よくわからんが、金属ではないのか?」
「知らん、忘れた。」
デルフリンガーが答える。
「インテリジェンスソードか。珍しい代物だな。」
プロシュートは奥歯をぎりっと噛み、無理やり立ち上がった。
デルフリンガーを鞘に収め何事も無かったように振舞う。
「行こう、もう大丈夫だ」

港に着き、船を強引に出港させたが、わたしたちは空賊に捕まってしまった。

「空賊だ!抵抗するな!」
黒船から、メガホンを持った男が大声で怒鳴ってる。
「空賊ですって?」
よりによって、こんな時に!
わたしたちの前にわらわらと得物を持った屈強な男達がやってくる。
その数およそ数十人。
プロシュートは剣を握るが、怪我が痛むのか表情は苦しそうだ。
「プロシュート…」
わたしの声に応えるように、プロシュートは剣を握り締めた。
左手のルーンが光る。
しかし、いつの間にか背後に現れたワルドに肩を叩かれた。
「ここで暴れてどうにかなるか?ルイズも、きみも、ここにいる全員が魔法と
大砲と矢弾で蜂の巣だ」
プロシュートが剣から手を放す。
「わかった」
前甲板に繋ぎ止められていたワルドのグリフォンがギャンギャンと喚き始めた。
その瞬間、グリフォンの頭が白い雲で覆われた。
グリフォンは甲板に倒れ、寝息を立て始めた。
「眠りの雲…、確実にメイジがいるようだな」
ワルドは呟きながら両手をゆっくりと挙げた。

わたしたちは、空賊に捕らえられ船倉に閉じ込められた。
他の乗組員たちは、自分たちのものだった船の曳航を手伝わされてる。
プロシュートは剣を取り上げられ、わたしとワルドは杖を取り上げられた。
あまり意味がない行為ね…、プロシュートは剣を持てば強くなるみたい
だけど無くても充分に戦えるし、わたしは…魔法を使えないし。
ワルドは魔法を、あの船を動かす為に使い打ち止めだし…。
まあ、向うはそんな事情を知るわけないわよね。
ワルドは周りに積まれている荷物を興味深そうに見て回っている。
プロシュートは船倉の隅に腰掛ようとするが、つっ!と顔をしかめた。
「…やっぱり、怪我が痛むんじゃないの」
「なんでもねえよ」
プロシュートはぶっきらぼうに言った。
「なんでもないことないでしょ。見せてごらんなさいよ」
わたしはプロシュートの腕をつかむと、服をたくし上げた。
「きゃ!」
…すごいミミズ腫れ…

「ひどい火傷じゃないの!どうしてほっとくのよ!」
手当てしないと。わたしは立ち上がり、ドアを叩いた。
「誰か!誰か来て!」
看守の男が、むくりと立ち上がった。
「なんだ?」
「水を!あとメイジはいないの?『水』系統のメイジはいないの!
怪我人がいるのよ!治してちょうだい!」
「いねえよ。そんなもん」
「嘘!いるんでしょう!」
プロシュートが、わたしの肩をつかんだ。
「おとなしくしてろ。オレたちは捕まったんだぜ」
「いやよ!だって、あなた怪我してるじゃないの!」
「いいって言ってんだろ!」
プロシュートは怒鳴った。
なによ、あなたの為に言ってるじゃないの…なんだか涙が出てきた。

「泣くなよ」
「泣いてなんかいないもん。使い魔の前で泣く主人なんかいないもん」
わたしは壁際まで歩くと、そこにしゃがみこみ顔を押えて、うずくまった。
どうして、わかってくれないのよ。
「ルイズ」
プロシュートが声を掛けてくる。
「何よ」
わたしが顔を上げると、すぐ目の前にプロシュートが座り込んでいた。
そのまま両手をわたしの肩に置き顔を近づけてきた。

コツン

くぁwせdrftgyふじこlp;@
「ルイズ、ルイズ、ルイズ、ルイズよォ~~~。オレはお前を信じているんだ。
オレがさっき、お前を怒鳴った事なら『自信を持て』…

使い魔の前で泣く主人はいないじゃねーのか?そうだろ?
ここが正念場だぜ、ルイズ!オレたちは目的に近づいてる!」
顔が、顔が!おでこが!
「『成長しろ』!ルイズ。『成長』しなきゃあ、オレたちは『栄光』をつかめねえ」
プロシュートが右手でわたしの頭をなで。左手でわたしのほっぺに手を当てた。
「心配するなルイズ。こんなのは掠り傷だ。オレはお前を必ず守る!
たとえ腕を飛ばされようが脚をもがれようともなッ!」
励ましてくれてるの?
…でも、もっとこう言い方ってもんがあるんじゃ無いの?

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