ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

風と虚無の使い魔-9

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匿名ユーザー

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歓声と怒号の飛び交うヴェストリの広場。
ルイズとヴィリエが対峙する。

まずはルイズが口を開く。

「開始の合図はどうするのかしら?」
「いつでもよろしくてよ、魔法の使えないゼロのルイズに先制攻撃されたところで私の勝利は変わりませんから」
余裕綽々と答える。

「あら、それじゃあお言葉に甘えておきたいところだけれども…魔法が使えない、は訂正して貰わないとね」

詠唱の短い、コモンマジックを唱える。詠唱は短いが、威力は十分である。
ヴィリエの手前に大穴が空く。
圧倒的にヴィリエムードであった広場はざわめく。

「確かにゼロかもしれないけれど、あなたくらいを吹っ飛ばすくらいの威力はあるわ」
ルイズも負けじと余裕を見せる。

「ゼロのルイズに魔法の侯爵をされたとあっちゃあラインメイジの名が廃れるわね」
しかし、ヴィリエは余裕の姿勢を崩さず、杖を構え、長々と詠唱した。

そして、彼女は2人に増えた。
「これが『偏在』。どう、驚いたでしょ?詠唱が長すぎるから実戦で使えるのはトライアングルの上くらいからだけれど、あなた相手の1対1の決闘なら十分使えるわ」

そう言って偏在を戻す。

しかし、ルイズは挑発に乗らなかった。
「風の魔法の講義、ありがとう。でもミスタ・ギトーの授業で十分でしたわ、じゃあ始めましょうか……
開始の合図は……貴女がコイントスをして、そのコインが地面に落ちたら詠唱を始める、これでいい?」
「ええ、構わないわ。ただ、手加減はするつもりないの」
ヴィリエは一瞬話すのを止めて、また話し始める。
「この世で最も大切な事は『名誉』であると私は考えているの。すなわち最も忌むべき事は『侮辱』する事と考えているわ。
私たち貴族は平民と違って、金や利益のため、あるいは、劇場や食堂の席を取られたからといって、人と争ったり、命を賭けたりはしないわ。争いは実にくだらんバカのする事。
だけれども、!『侮辱する』という行為に対しては、命を賭ける。殺人も、ブリミル神は許してくれると思っている!
……あなたが決闘を受けた以上、負けたときの仮にも貴族なんだから貴族らしく覚悟くらいはしておきなさい」

観客がざわめく。
食堂の関係者数人は憎憎しげに見つめ、一部の生徒はそうだそうだと野次を飛ばしている。

「あなたこそね、さあ始めましょう」

ルイズは数歩歩き、コインを投げて渡す。
そして、両者が杖を構え、ヴィリエがコインを右手に持つ。
ヴィリエがコインを弾いてトス!
コインが高々と空中を舞う。

コインが上がった瞬間!
ヴィリエはルイズの意外な行動に驚いていた!
なんとルイズは、ヴィリエに向かって突っ走っていった!

コインをトスしたために左手だけで杖を持っていたため、杖を構えるのが遅れる。
そして、後ろでコインが地面にあたり甲高い音を鳴らしたときには

ヴィリエはルイズのタックルを受け杖を落としていた。

「私の勝ちよ、ミス・ヴィリエ」
ルイズはそう宣言した。



 * * *


「な、納得いかないわ、卑怯よ!開始の合図の前に突っ込んでくるなんて!」
「私は、こう言ったのよ『貴女がコイントスをして、そのコインが地面に落ちたら詠唱を始める』
合図の前に走ってはいけないなんて一言も言ってないわ」

ヴィリエは歯軋りをする。
「それだけじゃないわ!コインを自分でトスすればいいのに、わざわざコインを渡すためを装って近づいて、そして相手の片手をコイントスで塞いで注意がコインに言っている間に…」

「なんとでも言うがいいわ。普通にやってたら風のラインメイジ相手にはやればやるほど不利になることはわかってる。
でも、なんにも覚悟も戦術もない、偉そうな口上叩いて余裕ぶっていた相手ならペンタゴンだって私でも倒せるわよ。
負けたからにはあんたのいう、貴族らしくシエスタを許しなさいよ」
ルイズは片膝のヴィリエを見据えて、いや睨んで、そう述べた。

「わかったわ、あんたがなんでそこまであのメイドに肩入れしてるかはわからないけど…貴族らしく約束は守るわ」
それを聞いてルイズは背を向けて去っていく。


しかし、
「でも…あんたは許さないわ……それに、杖を落としたら負けなんて聞いてないわ!エアカッ…」


しかし、その詠唱は止められる。
観客席から乱入してきた2つの物陰に殴られて。
「負けは負けだ、油断するならそれくらいのハンデ与えても十分戦えるようになってからするんだな」
「おーおー、俺も同じ意見だぜ。気が合うな、亜人さん」

ルイズは、ぽかんと口を開ける。
「えーと…ワムウと…あなたは確か……料理長さん?」
「ああ、料理長マルトー、以後お見知りおきをな」

「許さんぞ平民!ジワジワとなぶり殺しにしてくれる!平民の方は逃がさんぞ!覚悟しろッ!」
起き上がったヴィリエが憤怒の表情でマルトーを睨む。

「あんたがどこの貴族だかは知らんが、決闘後に背後から狙った、なんて知れたら貴族の力は使えるのかねえ?」
しかしマルトーは屈しない。
そのセリフを聞いて、ヴィリエは杖を構える。

「決闘なんていうまどろっこしいことはもう終わりよ!ルイズとその使い魔はともかく、平民一人くらい、家の力がなくても…」

マルトーはなにかを取り出しそれを注入する。
すると彼のオーラが変わりだす。

バルバルバルバル!!
これがッ! これがッ! これが『ドーピングコンソメスープ』だッ!
ウォォォーーム!!
「もしかしてお前、まだ自分が死なないとでも思ってるんじゃないかね?」

ヴィリエは、杖を落として逃げた。


 * * *


ヴィリエが逃げるのを見て、ギーシュとキュルケが手を合わせる。
「しあわせぇ~~~~~っ!」
「私たち金持ちっ………! 億万長者………!」

こっそりと逃げようとする胴元。
それをギーシュがタックルで倒し、押さえ込む。
「嘘だ…夢だろ…これ…夢に決まってる…!」
「ところがどっこい…夢じゃありません!これが現実です!」
「ぐにゃ~~~~」

その日から数日間、ギーシュの羽振りが異常に良くなるが、70スゥくらいなんてすぐ飛んでいくものである。
半分だけでも実家に送れたのは幸運だっただろう。


 * * *


「あ、ありがとうございました…」
決闘が終わり、広場を離れて厨房に来ている。
普段の料理長の姿に戻ったマルトーにルイズは礼を述べる。

「なあに、いいってことよ、『我らが杖』よ!俺たちがかばうはずのシエスタをわざわざこんな騒ぎまで起こして守ったんだ!
その辺の貴族は嫌いだが…外見や服装だけじゃねえ、あんたは精神的にも貴族だ!気に入ったぜッ!」

周りのコックなども同意見のようで、しきりにうなずいている者も多かった。
「さーて、戦勝祝いだ!おい!1924年物のシュタインベルガーをもってこい!」

ルイズは厨房奥の部屋に案内され、そこの席に座らされる。
すると、料理が運ばれてくる。ヨダレずびっ!なくらい美味しそうだ。
料理に手をつけようとすると、シエスタが厨房に入ってくる。

「ミス・ヴァリエール!大丈夫ですか!」
実際はかすり傷一つしていないのだが、まるで今夜が山だと言われたかのような慌てぶりだった。
「だ、大丈夫よシエスタ、そんなに慌てないでよ」
「で、でもミス・ヴァリエールが私なんかのために決闘を申し込んだなんて気が気じゃなくて…」
「そうやって自分を卑下しないの。ほら、マルトーさんがすごい上等そうなワインを下さったから、一緒に飲みましょう?」
「え、い、いいんですか?ミス・ヴァリエール?」
「前から思ってたけど、そのミス・ヴァリエールっていうのやめてよ、ルイズでいいわ」
「そ、そうですか……じゃあルイズさん、乾杯……」
グラスが鳴る。
「さっ、俺たちも飲みますか。ワムウさんもどうです?」
「少々用があるんでな、その分今日の主役にでも飲ませてやってくれ」
ワムウは食堂から出て行った。



「ひ…ひと思いに宝石を…とっていってくれ」
NO NO NO
「あ…ありがね全部?」
NO NO NO
「りょうほーですかあああーーッ?」
YES YES YES
「もしかして借金ですかァーーッ!?」
YES!YES!YES! ”OH MY GOD”

追記。質素な生徒が一人増えたそうです。

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