ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

ジョルノ+ポルナレフ-7

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あ、ありのまま今起こったことを話すぜ!
私は気が向いたんで部屋を掃除していた。
亀の中にある部屋も次第に汚れてしまうからな。
掃除は上から行う。埃が落ちてしまうからだ。
高い所から水で濡らした布で拭いていった私は、壁に違和感を感じた。
一見すると普通に見えるのだが、どこか妙なのだ。
私はそこを念入りに調べた。
結果。私は隠し戸棚を発見してしまった。亀の中で暮らし始めてから暫くが立つがこんなのがあるなんて聞いてなかったぜ。
中には引き出し一杯の白い粉があった…

……な、何を言ってるのかわからねぇと思うが私にも何を見つけちまったのか分からなかった!
薄力粉とか砂糖とかそんなちゃちなもんじゃねー!
もっと恐ろしい空くの片鱗を垣間見たぜ。
頭がどーにかなりそうだった…! 
が、とりあえずこれが何か確かめなければならないだろう。
これで本当に砂糖だったら笑えんからな。

「ペロ…これは、青酸カリ! ではないな」

改めてもう一舐めする。
味は特にどーということはない。
だが次第に私の視界は奇妙な事になっていく…そして心地よい。
間違いない。これは麻薬だ。
パッショーネで取り扱っているような話は知っていたがまさか亀の中にまであったとは…裏をかかれたような気分だぜ。
ジョルノを問い詰めねーとな。
そんなことを思っていると、ちょうど狙ったようなタイミングでジョルノが亀の中へと入ってきた。
私は粉を見せる。

「おいジョルノ、こりゃなんだ?」
「ああ、それは麻薬ですね。僕がこちらに着てから作ったものです」

…落ち着けポルナレフ。
私に隠れ麻薬なんぞ作っていたとあっさり言うジョルノには怒りがわいてくるが、なんとか堪える。
昔ならとりあえずフルボッコにしていたところだが、私も丸くなったな…ジョルノは爽やかな笑みを浮かべていた。
余計腹が立った。

「…色々といいたい事はあるが、まずは理由を聞こう」
「既にこの世界にも麻薬などは存在しているようですから、僕もお金を得る為に市場に参加しようというわけです」

勿論子供には売りませんがとジョルノは言うが、私にはそれがいい事とは思えなかった。
この世界の連中は麻薬の危険性を本当に理解しているのか?
市場ってもんがあるんだからある程度理解はしているとは思うが、私達の世界でも麻薬は増え続けているってことを考えると子供騙して金せびってるような感覚を覚えるぜ。
だがそこまで考えた瞬間ジョルノの表情を見て私はジョルノはそれよりも優先している考えがあるのを思い出した。
それが危険性を知っていて使用するのは彼らの価値観って奴であり、彼らの自由だとジョルノの目は語っていた。

「ポルナレフさんのいいたいことは分かります。ですが帰る方法を探しながら暮らしていくには大金が必要になりますから」

なんてことなさそうな口調でジョルノが言う事もわからなくはない。
何をするにも金は必要だし、私達にはスポンサーがいるわけじゃないからな。
実際今なんてテファのヒモになってるようなもんだ。

「普通に働いたりするわけにはいかねーのか?」

憮然とした私の言葉にジョルノは首を振った。

「ギャラが安すぎます。傭兵の真似事をするなり何年かかっても構わないならそれでいいでしょうが…」
「ちっ…それはごめんだな」

パッショーネにも暗殺チームなんてのが存在しているが、人を殺して報酬を得るというのは私は拒否する。
普通に働くのは、私にとっては問題ないがジョルノには時間がかかりすぎる。
最近忘れがちだが、ジョルノはまだ高校にも通ってるか通ってないか位のガキだからな。

「…納得はできん。だが、理由はわからんでも…ない!」

結局、私はジョルノの勝手にさせることにした。ソファに転がるが、その動作が一々乱雑になるのを抑えられん。
私は自分自身に憤っていた。
ジョルノのやり方が正しいとは思わないが、それを今更言い出す事はできん!
それなら向こうの世界にいる時から辞めさせるべきだったのだ。
市場自体は既に存在しているのだし、状況は向こうと変わらないんだからな。

ある程度譲歩している分コイツの方が他の売人たちよりはマシ、と考えるしかないのか?
どーにも情けない現状に私の表情は曇ったが、ジョルノは相変わらず嫌味なくらい爽やかな表情だ。

「助かります。既に2万エキューほど売ってしまいましたから止めにくいんですよ」
「…ちょっとまてジョルノ。お前今なんて言った?」
「二度は言いません、無駄な事は「さっさと言え!」既に2万エキュー程度の利益は得たと言ったんですよ。三度目は言わせないでくださいね」

マジシャンズレッドで胸倉掴んだからではないだろうが、ジョルノがうんざりしたような顔で言った言葉に私はショックを受けた。
百二十エキューあればこの世界では一年暮らせるって話をどこかで聞いた。
なのに既に2万とか、ありえねぇだろ。

「ど、どこからそんな金が出てきたんだ!? おかしいだろ! 稼ぎすぎだ!」
「僕が扱う麻薬はこの世界にはありませんからね。それに…」

私はマジシャンズレッドを動かしジョルノを揺さぶったが、ジョルノはあくまで冷静に返した。
その目には冷たい獰猛な輝きがあった。

「貴族達は溜め込んでますからね。散財するのも彼らの勝手だし、家宝と引き換えに何を買おうが彼らの自由ですから。フーゴ達がいたらもっと稼げるんですが…」

言うジョルノの表情は、イタリアを超えEUに乗り出すパッショーネのギャングの一面を見せていた。
ちょっとばかし、背中に氷を入れられたような気持で私はジョルノの胸倉から手を離させた。
知らぬ間に私の顔からは冷や汗が吹き出ていた。
こいつ、どこまで既にやってるんだ?
麻薬を売って大きく儲けた、だがそれだけなのか?
この野郎の表情。更に何か隠してそうな感じが拭えねぇ…私は疑心暗鬼に陥っていた。
つい先刻までは、麻薬を見つけるまでは全幅の信頼を置いていた男に対して、情けない話だが。


「おい、それだけか?」

私はそう口に出していた。

「当然それを元に情報を集めてますが?」
「そういうことじゃねぇ。変な奴に売ったり別のことはしてないだろうなって話だ」

ジョルノは意外そうな顔をした。

「ポルナレフさんがそんな事に気付くなんて意外でした」
「おまっ、私だってそれ位…「ちょっと待ってください」」

失礼な発言に私は引っ込めようとしたマジシャンズレッドを呼び出すが、ジョルノは慌てずゴールドエクスペリエンスでマジシャンズレッドを抑える。
ゴールドエクスペリエンスのスピードはマジシャンズレッドよりかなり上田から、一瞬の事だった。
(私が使ってるせいではっきりとはいえないんだが)パワーでは負けないと思うが、体勢が悪く振りほどく事が出来ない…ジョルノは私には目もくれず耳を澄ましていた。

「テファが僕を探しているようです。少し出てきますね」
「仕方ねぇな。行ってこい」

話はまだあるが、テファに今後言うかどうかはどもかくとしてこんな事でばれちまうのは面白くない。
ジョルノが出て行って暫くの間私は部屋の中で私は頭を抱えてゴロゴロと転がる。横では同じようにマジシャンズレッドも腕を組んで何か考えているように見える。
私にはどーしよもないことばっかりになっているし、どーしたらいいものか。
つってもどーにもならんのじゃねぇの?って気がするが。
私はマジシャンズレッドを見る…こういう頭を使うのはアヴドゥルの仕事だよなぁ。

ちょっと考えたが、できることといやジョルノがそこまで酷い事はせんだろうと信用するしかないかもな、と私は結論した。

「じゃ散歩でもしてくるか」

食える実でも探すとしよう。
気晴らしにマジシャンズレッドを出した私は亀を抱えさせて外へ行く。
外ではなんかしらんが黒板っぽいものの前に座るコロネとそれを囲んでるガキどもが見える。
目がただの線にしか見えないめちゃくちゃやる気なさそうななコロネが黒板書かれた字を指す。
もしかして、勉強会か?

「では昨日のおさらいです。これは…「「「無駄ァッ!」」」ええそうですね。ではこっちは「「「な、なにするだー」」」違います。な、なにをするだーです」

…アホか。
私は脱力して森へ向かった。
その背中にでは「次は算数の復習になります」とかジョルノが言ってるのが聞こえた。
ジョルノが何をしたいのか私にはよくわからん。
暫く歩くとオークと鉢合わせするが、そこは最近着々と森の中では地位を築いているこの私。
オークは亀と目があっただけで元来た道を引き返していった。
ちっ今絡んできたらいい感じに焦がしてやるんだがな…
私は野苺っぽい実を見つけるとそれをマジシャンズレッドで取って亀の中に入れる。
中々美味そうだ。
そう思って口に入れ一かみして私は実を吐き出した。

「ぺっぺっ!…す、すっぱいな」

実を外に投げ捨てて私は散策を続けた。
自分の気持を整理する時間が必要だった。
ここで割り切れないのなら、私とジョルノの関係はここで切れてしまうだろう。
当然だが、マジシャンズレッドはあの口うるさいアヴドゥルのスタンドのくせに物言いたげな面をしているだけで何もいいやしなかった…俺は難しい事をあれこれ考えるのは苦手なんだよな。


どうにか気持の整理をつけた私は夜には村に戻った。
ジョルノに宛がわれた部屋に戻ると、粗末なテーブルの上に食事が置かれている。
食器などを見るとわかるが、どうも私の分を取っておいてくれたようだ。
私はマジシャンズレッドにそれを運ばせ、無言で食べていく。
視線は液晶に映るドラゴンボールに釘付けだった。フリーザ様ツエー。
そこにジョルノが入ってくる。ジョルノは湯上りで、軽く湯気の放つコロネが輝いていた。

「なぁ、お前なんであいつら相手に教師なんぞしてたんだ?」
「居候ですからね。恩返しに少勉強を見てあげようと思ったんですよ」

私は首を傾げた。
この世界の識字率なんぞ中世ヨーロッパ以下だからしなくても別に困らんと思うんだが。

「意味あんのか? 字が読めない奴だって多そうなのに」
「ええ。彼らの武器になる可能性がありますからね…商売をしたくなった時などに少しは活用できるかもしれません」

ジョルノは髪をタオルで拭き、乱れたコロネをセットしなおしながら少し残念そうな表情を作る。
コロネが見る見る内に二つから三つに増えていく様は圧巻だった。
私はもう慣れたからドラゴンボールに夢中だけどな。

「惜しいのは」
「ん?」
「子供の一人に理数系に強い子供がいるようです。すぐに中学程度の数学はマスターできるかもしれません。他にも1人2人、覚えの良い子供がいましてね」

私はそれを聞いてジョルノを見た。
髪を拭きコロネをセットしているジョルノを見て、何故か嫌な予感がする。
…ここは釘を刺しておくか。

「そいつらを育ててお前に協力させたりするんじゃねぇぞ?」
「そんな気はありません。それは彼らの自由ですからね」

半眼になる私に返された返事は、嘘は言っていなさそうな感じだ。
だが少し神経質になっていた私はもう一度念を押すように聞いておくことにする。

「本当だろうな?」
「はい。彼らがもっと高度な学習をし、それを役立てたいと思うなら僕と来るのが最も早い道ですが…」

勧誘する気にしか思えねぇのは私だけか?
ちょっと監視しておかねぇと拙いかもな。
そう考えながらクリリンが爆発するシーンを眺める私を他所に、髪をセットし終わったジョルノは幾つかの手紙を開いていた。
良い事だったのか、薄く笑みを浮かべたジョルノは次々に読み進めていき…最後の手紙を開いたジョルノの手は止まった。
笑みは浮かんでいたが、爽やかなだけではない、残酷さが微かに姿を見せていた。

「ポルナレフさん。このアルビオンで後一月もしない内に戦争が起こるようです」
「は?」

私は耳を疑った。
いきなり戦争が起こるとか言われてもな。流石に信じられん。まぁ、ジョルノが言うんだから嘘じゃネェだろうが。
信じられずにいるのを悟ったのか、ジョルノは手紙を置き私へと向き直った。

「僕が麻薬を売る相手は基本的に貴族と傭兵。自然、彼らと繋がりができ…そこから情報を得たと言うわけです。まだまだ僕の情報網は狭いですが、信頼性はまぁまぁですよ」

流石にこんな事で嘘つくはずがないか。
つかここ、浮いてんだろ?
良く攻め込むな。戦争なんかしにくくて仕方がないと思うんだが…

「どことだよ?」
「貴族派と王党派。所謂内戦って奴です」


…共和制に移行しようとでもしてんのか?
貴族派が聖地を奪還するとか意味の分からん野望を掲げてるとは知らなかった私はそれを聞いた時そんな風に感じた。
別にどーでもよさそうだとか。そんな風にな…ジョルノは手紙を幾つか書いてからその日は眠ったようだった。
そう言えば何時だったか、テファはアルビオン王家の血を引いているとかなんとか…言ってたような気がするな。
ジョルノは…その辺りはどうする、のか。
今度、聞いて…

私もちょこっとだけ今後について考えてみたのだが、そこまで考えてあっさり意識を失った。


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