ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

ジョルノ+ポルナレフ-6

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あ、ありのまま今起こったことを話すぜ!
私はジョルノの横にマジシャンズレッドを使って亀を置いて眠りについた。
だが起きてみると部屋には誰もいなかった…部屋は綺麗に片付けられており、ここから出て行ったのかどうか判断がつかなかった。
殆ど私物は亀の中に仕舞い込んじまうんですっきりしてるのが仇になった形だ。
嫌な予感がするぜ。
ジョルノは私を置いていくのはかわいそうと思うより先に、『少しがらんとしちまったが、まぁすぐに馴れるさ』と思うタイプ!
…あ、ありそうだ。
な、何を馬鹿なことをって言う奴もいるかもしれねぇが、お、俺にはありそうって気がして判断できねぇ。
今俺の頭はうまく働いてねぇのはわかってるが、こんな気持じゃあ仕方がないだろう。
お、置いてきぼりとか戦力外通知とかそんなちゃちなもんじゃねー!
もっと恐ろしい…あん?
思わず燃え尽きるほどHeatしちまった私だったが、テーブルに書置きがあるな。

『マチルダさんに街を案内してもらってきます』
…私も連れて行けよ。ジョルノ。
いや待てよ。
綺麗なお姉さん&邪魔者は排除…これはもしや、デートってことなのかもしれん。
奴に浮いた噂はあんまり聞かなかったが、奴もイタリア野郎だ。

奴らは侮れん…一つ私が見聞きした話をしよう!
とあるイタリアの街角での会話だ。
私はそれをカフェでカプチーノを飲みながら聞いていた。

『ペッシ。お前さっきチラチラ見てたが、ああいう綺麗なお姉さんが好きなのか?』
その伊達男の声がなんともダンディでなんとなく私は見ていた。
伊達男の視線の先には去っていく綺麗な後姿…コートを着たパイナップル頭が純情そうにテレていた。
そして普通そう聞かれたら答えるであろう台詞『大好きっすよ兄貴っ!』と言った。
そう答えるのは当然。至極当然だ。私だって大好きだ。
お近づきになりたいと思う!
だが、そこでイタリア野郎ならっ!
『このマンモーニがっ!』
殴られても仕方ねぇっ!ようだ。
『イテテッ兄貴!いきなりなにすんか!もう…!』
『ペッシ!だからお前はマンモーニなんだよ! いいか! 俺達のイタリアには『ああいうタイプの女性が大好きです』なんて言葉は存在しねぇんだ!』
伊達男は殴られて椅子から転げ落ちたパイナップル頭の胸倉を掴み片腕で持ち上げていく。
困ったようにする周りの人と、同意する数人の男達が印象的だった。
『何故なら! 『好みのタイプ』そう心で思った時には、既に口説き終わっているからだ! 愛してるぜ…そう囁いて熱いキスを交わすか強烈なビンタを食らってる! だから存在しねぇ!』
そう言った伊達男は自分の鬼気迫る様にビビっているのパイナップルの首筋から後頭部を優しく撫でてやる。
あの流れるような手つきっ、あれは、(何のとはあえて言わないが)恐ろしく扱いになれた動きだったぜ。
『わかるよなぁペッシ。俺の言いたい事…勿論、お前もそうなるよなぁ、ペッシ!』
『わかったよ兄貴! 兄貴の言葉が頭じゃあなく、心で理解できた!』
先ほどまでのマンモーニとは思えない覚悟を秘めた表情で、パイナップルは去っていった。
様子を見ていた仲間らしき男の一人が納得いかなさそうな顔で伊達男を見る。
『そういうお前がナンパしてる所はみたことねえぇんだがよぉお、それはどー説明すんだ?』
『俺の好みのタイプは老いて尚美しい女。そうは見かけねぇだけだ』
目を閉じて淀みなく答えた伊達男はそれ以上は何も言わず食べかけのスイーツを齧る。
『なるほどな…あいつだけじゃあぁ不安だからよぉぉ、俺も一緒にいってやることにするぜ』
返事に納得したらしい仲間の一人が椅子から立ち上がり歩き出した。
隣のテーブルで一人パソコンを弄っていた服装は普通に見えるが、どこか変態っぽい男が笑い声を上げる。
『…お前が行った方が不安だろう。仕方ないから俺も一緒に行くぜ』
パソコンを鞄に仕舞い、その変態っぽい野郎も後を追っていく。
伊達男はため息を一つ零してコーヒーを飲み干すと、食べかけのスイーツ片手に立ち上がる。
代金は全員の分が纏めてテーブルに残されていた。
『チッ、あいつら。てめーらが俺達の中で一番危ねぇのを忘れてんのか?』
そうしてそいつらは街の雑踏の中に消えていった。
俺の話は以上だぜ。

…マチルダお姉さんは、今そんな(主に性的な意味で)戦闘民族と一緒にいる。
な、なんて勿体無…いや危険!

先ほどとは違う意味で雄たけびを上げそうになった私の気分に水を差す形で、部屋の扉が開く音がした。
「ジョルノ? いないの?」
マジシャンズレッド!
我に返った私は思わずスタンドを出して亀の外を確認した。
このけしからん胸、テファだな。
ジョルノの奴、テファにも何も言わなかったのか?
仕方ねぇ奴だな。

なんか用があったみたいだが、テファが困ったような顔をして出て行くのを私は見送った。
スタンドが見えるなら慰めようもあるのだが、テファには見えないし顔を出して驚かせたりってのも面倒だ。
ガキどもにもすぐ見つかっちまうだろうしな。
そんなわけで放っておく事に決めた私はマジシャンズレッドに私が入っている亀を持ち上げさせ、窓を開けた。

空は快晴。実にいい散歩日和だ。
今日はジョルノがいない…ついていきたかったって気持は勿論あるが、ここは逆に考えよう。
監視役がいねぇから俺はやりたい放題と考えるんだ!

「オオオオッ!!」
マジシャンズレッドは私の指示に従い投球フォームに入る。
一旦足を持ち上げ、大きく踏み出しながら咆哮、そして体を捻りながら亀を森の方へと投げる!
投げた瞬間、私は一旦マジシャンズレッドを仕舞う。
マジシャンズレッドのパワーは亀を遠くに投げるには十分!
亀は簡単に投げ飛ばされ、回転しながら森の上空へと突っ込んでいく!
徐々に失速していく亀…放物線を描き森へと落下していく。
このままでは木とかに当たっちまうが、何も問題はない。
私は再びマジシャンズレッドを出して、木に激突する直前でしっかりとキャッチさせた。
され、これで距離は稼いだ。
ここからは散歩と洒落込もうか。
だが私はまだ空飛ぶ亀の姿をテファらに目撃されている事には気づいていなかった…ウホッ美味そうな木の実とかに夢中でな。
どうもマジシャンズレッドに気合の雄たけびをあげさせたのが不味かったらしい。
その後私は帰ってきたジョルノに説教を食らった。
抜け駆けしたんだから普通逆だと思うんだがな?
私は神妙に反省するようなふりをしながらそう思っていた。

「…どうやら反省してないらしいな」

ジョルノが不意にため息をついてそう言った。
正座した体勢のまま私は意外な言葉に間抜けな顔をしてジョルノを見上げる。なんというか、ある意味爽やかな笑顔だった。

「え?」
「声に出てましたよ?」

指摘を受け冷や汗が流す私の脳裏に一つの言葉が思い出された。

『本来、笑みとは攻撃的なものである』

 *

ポルナレフさんは何か勘違いしてるような気がするしいい加減落ち着けよと思うジョルノだったが、説教をしてから散歩程歩いてどーでもいいかと忘れる事にした。
少し忙しくなるので毎度毎度行われるポルナレフのうっかりに長時間を割いているわけにはいかなくなってきている。
マチルダはジョルノにとても都合の良い人間だった。
良い人だが腕の立つ犯罪者でもある、という点が実に良い。
ジョルノの目的を果たす為には裏社会への窓口を探さなければならないが、テファ達にはそれを教えたくない。
マチルダは貴族相手に盗みを働いているがそれをテファには隠しているので、彼女からばれることはないと考えられるのだ。


このアルビオンが内戦状態になりかけた為、もしもの時を考えてテファに使い魔を召喚させたらしいマチルダとしては…
その大事なテファが召喚したのがギャングで、こちらでもそれをやるつもりだと言うのはとても不服だろうが、ジョルノにはジョルノの夢がある。

そんなわけでジョルノは今日最初の一仕事を終えてきた。
ジョルノの考えでは、これで大きく進展する予定。
うまく行かなかった場合の為の手も幾つか打ってあった。
この世界とジョルノ達の世界の大きな違いの一つは速さだとジョルノは考えているからだった。
電話やメールがなく、手紙も街道には傭兵兼任の賊が多数いる為それなりの手段を使わなければ確実には連絡が届かない。
お陰で輸送費は案外高いようだ。
それにメイジ頼みだった為、量産技術などが予想よりもかなり低い。
ゲルマニアは平民でも金があれば爵位が手に入れられたりするので、事情が変わってくるようだが…ゲルマニアには百メートル程度の金属柱位は作り出せそうな程度の製造技術などがあるそうで、他の技術も発展している可能性がある。
その分、メイジの数や虚無とかいう系統を扱ったブリミルを神とする宗教などは余り振るわないそうだが。

「ゲルマニアには、いつかいかなければなりませんね」

ポルナレフが住んでいる亀から出て一人、石ころから生み出して収穫したオレンジからオレンジジュースを絞りながら考えていたジョルノは、そう言って100%オレンジジュースを飲み干すとココ=ジャンボとはまた別の亀を用意し、中に入っていく。
ゴールドエクスペリエンスの能力で生み出されたココ=ジャンボの細胞を持つ亀の一匹。
ココ=ジャンボの中にもこっそり何匹か用意してあるのだが、それとはまた別に携帯用に小さい固体を生み出してあるのだった。

中にはアンティーク調のベッド、テーブル。薄型液晶などの家電。
ブチャラティ達の写真。それに亀の入った大きめのケースが並んだ棚。
亀の世話は案外大変で、自動化するのに多くの手間と費用を費やしたが、今のところうまく行っている。
その中の一匹に、ジョルノは更に入っていく。
中は先ほどと似た部屋だが、こちらはさながら倉庫のように並んだ棚しかない。
番号が降られた棚に入っているのは特定の生き物を生み出す必要が出てきた時の為に用意された生き物の一部が入った保存用ケース。

一応どこに何があるか程度は覚えているジョルノは迷いのない足取りで棚の間を進み、棚の一つから小さなケースを取り出す。
中身について書かれたラベルを確認し、目的の物を手に入れたジョルノは自分のスタンドを出してケースから細胞を出させる。

『ゴールドエクスペリエンス!』

ジョルノのスタンド、ゴールドエクスペリエンスが触れた細胞から今にも生命が生まれだしそうなのが、ジョルノにはわかった。
これを離し、能力を発現させれば新たな生命が生まれ…時間を置けばその生命はジョルノの能力が及ばない一個の生命となる。
だがそれをジョルノは「…解除」する。
解除された細胞はまたただの物質に戻り、棚に戻された。
元来た道をジョルノは戻り、ブチャラティ達の写真を一瞥して亀から出る。

「ブチャラティ、貴方達の死を乗り越えて…僕はちょっぴり成長できたらしい。今なら、もっと色々な種類の大型の生き物も生み出せる気がしますよ」

昼間いなかったせいで日課の力仕事が残っているジョルノはそう言って外に出た。
風呂に入るようになったと聞き驚いているマチルダの手を引いて、テファが皆で川の傍に作った風呂へと連行していくのが見える。
飛んでいるように見えないように中腰で亀を運ぶマジシャンズレッドの姿がギャグだったが、風呂の準備は万端なようだ。

「テファ、今日はゆっくり入ってきてください。僕は風呂上りの飲み物で準備しておきます」

ジョルノはそう言って、隠れて石ころを果物に変えていった。
この世界にはない果物もあったが、飲み物になってしまえばばれる事もない。
用意された果汁100%ジュースが何から出来ているのか湯上りで肌を上気させたテファ達はおいしそうに飲んでいった。
(普段は振舞われるのだが、)勿論その日ポルナレフの分は用意されなかった。


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