ヴェストリの広場に向かうルイズとワムウ。
「勝算はあるのか?」
「ないわ」
「作戦はあるのか?」
「ないわ」
「俺に助けろなどというのか?」
「言わないわ……ああ、なんであんなこと言っちゃったのかしら…あんたに似てきたのかも」
口調は嫌がっているようだが後悔の念はなかった。
「勝算はあるのか?」
「ないわ」
「作戦はあるのか?」
「ないわ」
「俺に助けろなどというのか?」
「言わないわ……ああ、なんであんなこと言っちゃったのかしら…あんたに似てきたのかも」
口調は嫌がっているようだが後悔の念はなかった。
「ならば、付き添いは必要ないな」
「あら、何様のつもり?主人に付き添いって私子供じゃないのよ」
「俺から見れば人間なんぞ皆子供だ」
ワムウがフッと笑う
「あら、何様のつもり?主人に付き添いって私子供じゃないのよ」
「俺から見れば人間なんぞ皆子供だ」
ワムウがフッと笑う
「よく言うわ」
「遅れるなよ」
「遅れるなよ」
「あいつが笑ってるところなんて……初めて見たわね。雨でも降るのかしら」
* * *
「はあ?ゼロのルイズが決闘?あの恐ろしい使い魔じゃなくて?」
キュルケがタバサから噂を聞き、首を傾げる。
キュルケがタバサから噂を聞き、首を傾げる。
「変ねえ、あいつは後先考えないことがあるとは忍耐だけはあると思ってたのに。
ま、あのヴィリエじゃもし気に入らなくなったらなにするかわかんないけどね、最近は落ち着いてきたと思ってたけど。あいつ何されたのよ」
「メイドが侮辱された」
たまたま食堂にいなかったキュルケの代わりに事態を見ていたタバサは答える。
ま、あのヴィリエじゃもし気に入らなくなったらなにするかわかんないけどね、最近は落ち着いてきたと思ってたけど。あいつ何されたのよ」
「メイドが侮辱された」
たまたま食堂にいなかったキュルケの代わりに事態を見ていたタバサは答える。
「あいつも素っ頓狂な理由で決闘なんかするわねー。確か禁則事項だったわよね?校則は守らないと」
「私たちも人のことは言えない」
「未遂でしょ。校則破りなんてバレなきゃいいのよバレなきゃ」
「私たちも人のことは言えない」
「未遂でしょ。校則破りなんてバレなきゃいいのよバレなきゃ」
キュルケは立ち上がって歩き出す。
「どこ行くの?」
「あんた程じゃないけどヴィリエは確か風のラインメイジでしょ?点もないのにどれだけやれるかからかいに行くのよ」
「どこ行くの?」
「あんた程じゃないけどヴィリエは確か風のラインメイジでしょ?点もないのにどれだけやれるかからかいに行くのよ」
* * *
「なに?あのルイズが決闘だって?本当かい、モンモンラシー」
決闘でのケガでまだ医務室暮らしのギーシュ。
決闘でのケガでまだ医務室暮らしのギーシュ。
「ええ、本当よ」
「やれやれ、あの使い魔に影響されたのかな?それで、原因と相手は?」
「風のラインメイジのヴィリエよ。原因は私は直接見てないけど、シエスタっていうメイドの平民らしいわ」
「ああ、あの脱いだら凄そうな」
「ギーシュ、そうえいばケティの件問いただしてなかったわね?あと見舞いに来た子達のことも」
モンモンラシーに殺気が宿る。
「やれやれ、あの使い魔に影響されたのかな?それで、原因と相手は?」
「風のラインメイジのヴィリエよ。原因は私は直接見てないけど、シエスタっていうメイドの平民らしいわ」
「ああ、あの脱いだら凄そうな」
「ギーシュ、そうえいばケティの件問いただしてなかったわね?あと見舞いに来た子達のことも」
モンモンラシーに殺気が宿る。
その気配を感じ取って慌てるギーシュ
「ははは、何言ってるんだモンモンラシー、君の愛のこもった看護のおかげで全治数週間のケガだってのにもう歩けるようになったし、僕もヴェストリの広場を見に行こうかな」
「ははは、何言ってるんだモンモンラシー、君の愛のこもった看護のおかげで全治数週間のケガだってのにもう歩けるようになったし、僕もヴェストリの広場を見に行こうかな」
言うが早いか、ギーシュは立ち上がって医務室を出ていった。
「まったく、あの浮気癖の治療法はないのかしら…」
モンモンラシーはため息をついて、医務室を出て行った。
モンモンラシーはため息をついて、医務室を出て行った。
もちろん、行き先はヴェストリの広場。
* * *
「おい、また決闘だってよ」
「誰と誰がだい?またゼロの使い魔かい?」
「その主人とヴィリエだってよ」
「チハとシャーマンくらい差があるな」
「いや、クリリンと魔人ブウくらいだろ」
「いやいや、勇次郎とディーノ男爵くらいだって」
「ちょっと待てお前、地獄の魔術師バカにしやがったな?」
「あんな奴ヘタレじゃねーか、所詮鎮守直廊三人衆だろ」
「黙れ、今その思いをはらしてやる!キレまくってはらしてやる!」
「俺が最強だ!はらしてやる!」
「最高にハイ!って奴だーーッ!」
「誰と誰がだい?またゼロの使い魔かい?」
「その主人とヴィリエだってよ」
「チハとシャーマンくらい差があるな」
「いや、クリリンと魔人ブウくらいだろ」
「いやいや、勇次郎とディーノ男爵くらいだって」
「ちょっと待てお前、地獄の魔術師バカにしやがったな?」
「あんな奴ヘタレじゃねーか、所詮鎮守直廊三人衆だろ」
「黙れ、今その思いをはらしてやる!キレまくってはらしてやる!」
「俺が最強だ!はらしてやる!」
「最高にハイ!って奴だーーッ!」
* * *
ヴェストリの広場、決闘開始10分前。
「立ち見席でいい、買うぜ!50ドニエまで出す!」
「金さえ出すなら一番前の席だって引っ張ってきてやる」
「特等席だっ!……500ドニエ以上出せる奴っ……!ケチケチしてると買い損なうぞ!」
「金さえ出すなら一番前の席だって引っ張ってきてやる」
「特等席だっ!……500ドニエ以上出せる奴っ……!ケチケチしてると買い損なうぞ!」
席の売買まで行われ、非常に活況を呈している。
この前のワムウとギーシュの決闘での結果が尾を引いているのか、それともルイズがどう戦うか見ものなのか。
この前のワムウとギーシュの決闘での結果が尾を引いているのか、それともルイズがどう戦うか見ものなのか。
「ヴィリエに5スウ賭けるぜ!」
「あ、あれは!1ヶ月分の小遣い全部だ!」
「あ、あれは!1ヶ月分の小遣い全部だ!」
賭けも行われ、さながら祭りのような異様な雰囲気だ。
あまりの騒ぎに校長を含め、教師が駆けつけたが、止めるどころか声すら届かない。
「のう、ミス・ロングビル。ワシ、けっこう娯楽だけは用意しているつもりなんじゃが、近頃の子供はそんなに退屈しておるのかのう……今期の学生は色々と不安じゃ……なんとか仲裁できんかの?」
「ミスタ・オスマンがやらないなら無理でしょう」
「スクウェアクラスが5人居ても仲裁なんて無理ですな」
「やれやれ、こういうときはいつも風を自慢しておるミスター・ギトーに押し付け…任せたいんじゃが、あやつはどこにいるんかの?ミスタ・コルベール」
「えーっと、さっきチラっと見たんですが…」
「ミスタ・オスマンがやらないなら無理でしょう」
「スクウェアクラスが5人居ても仲裁なんて無理ですな」
「やれやれ、こういうときはいつも風を自慢しておるミスター・ギトーに押し付け…任せたいんじゃが、あやつはどこにいるんかの?ミスタ・コルベール」
「えーっと、さっきチラっと見たんですが…」
コルベールがあたりを見回す。
そして、ギトーを見つける。
そして、ギトーを見つける。
「最前席に座ってますな」
コルベールはため息をつく。
「なあ、ちょっとあやつを殴ってきていいかの?わしゃもう泣きたくなって来たわい…」
「なあ、ちょっとあやつを殴ってきていいかの?わしゃもう泣きたくなって来たわい…」
「やれやれ、すごい活況だね、モンモンラシー」
立ち見席で遠巻きに広場を眺めるギーシュとモンモンラシー。
立ち見席で遠巻きに広場を眺めるギーシュとモンモンラシー。
そこに席を探しているキュルケとタバサがスペースを目ざとく見つける。
「……ほんと、どこも空いてないわね…あ、ギーシュの隣が空いてるわね。あそこで妥協しましょう、行くわよタバサ」
「妥協ってなんだねキュルケ、そんなに僕の隣がいやなのかい?」
「あんたの隣なんて座ってたらうるさいのが増えるもの、あんたの女だなんて思われると色々と面倒だしね」
「…僕の名誉を貶すのがそんなに好きかい?」
「あんたの名誉なんてこの前の決闘で急落も急落、整理ポスト行き同然じゃない」
「せめて、そういうことはモンモンラシーの前以外で言ってくれよ…」
「……ほんと、どこも空いてないわね…あ、ギーシュの隣が空いてるわね。あそこで妥協しましょう、行くわよタバサ」
「妥協ってなんだねキュルケ、そんなに僕の隣がいやなのかい?」
「あんたの隣なんて座ってたらうるさいのが増えるもの、あんたの女だなんて思われると色々と面倒だしね」
「…僕の名誉を貶すのがそんなに好きかい?」
「あんたの名誉なんてこの前の決闘で急落も急落、整理ポスト行き同然じゃない」
「せめて、そういうことはモンモンラシーの前以外で言ってくれよ…」
決闘後の医務室で五股もバレ、使い魔に決闘で敗れて取り巻きも消え、唯一残ったモンモンラシーの中での評価もガタ落ち。
それでも彼女が残ったのは決闘の原因が彼女の香水であったこともちょっとだけ影響している。
それでも彼女が残ったのは決闘の原因が彼女の香水であったこともちょっとだけ影響している。
「おいお前らも賭けないか?1口10ドニエだ」
小銭の入った箱と賭け金の額を書いている紙を持った同級生が彼らに尋ねる。
小銭の入った箱と賭け金の額を書いている紙を持った同級生が彼らに尋ねる。
「今の倍率どうなってんのよ」
キュルケが興味を示す。タバサはギャンブルは嫌いではないが、野暮だと思って顔を上げない。
キュルケが興味を示す。タバサはギャンブルは嫌いではないが、野暮だと思って顔を上げない。
「賭けになんねーよ、今ならルイズに賭ければ140倍だ、どうだい賭けないかい」
彼は肩をすくめる。
彼は肩をすくめる。
ギーシュがポケットの財布を出し、
「そうだな、じゃあルイズに5口かけるよ」
「ほう、ギーシュ、なかなかギャンブラーだな」
「彼女が勝ってくれれば彼女の使い魔に負けた僕も少しは汚名返上できるかもしれないからね。まあお祈りみたいなもんさ」
ギーシュは苦笑する。
「そうだな、じゃあルイズに5口かけるよ」
「ほう、ギーシュ、なかなかギャンブラーだな」
「彼女が勝ってくれれば彼女の使い魔に負けた僕も少しは汚名返上できるかもしれないからね。まあお祈りみたいなもんさ」
ギーシュは苦笑する。
「そうねえ…」
キュルケが呟く。
「じゃあこれくらいかしら…5スゥだから…50口ね」
「はいはい、ヴィリエに50口ね」
「待って、わたしの『投票先の選択』の発言がまだすんでないわ」
キュルケが呟く。
「じゃあこれくらいかしら…5スゥだから…50口ね」
「はいはい、ヴィリエに50口ね」
「待って、わたしの『投票先の選択』の発言がまだすんでないわ」
帳簿に書き込もうとした彼の手が止まる。
「ルルルルルルルルルルル、『ルイズ』だとッ!あんたは一番バカにしてるはずじゃ…」
「140倍なら十分儲かる見込みありよ」
「驚いた、こんだけもらえれば黒字だな、サンクスキュルケ!」
彼は去っていった。
「ルルルルルルルルルルル、『ルイズ』だとッ!あんたは一番バカにしてるはずじゃ…」
「140倍なら十分儲かる見込みありよ」
「驚いた、こんだけもらえれば黒字だな、サンクスキュルケ!」
彼は去っていった。
「どういう風の吹き回しだい、キュルケ?」
「言ったとおりよ、殺し合いならともかくルールのある決闘なんだから十に一つくらいはルイズでも勝てるでしょ。
1割で勝てるんだから140倍なら限界まで張らないと……それに、なんとなく『なんか』やりそうなのよね、あの子」
「言ったとおりよ、殺し合いならともかくルールのある決闘なんだから十に一つくらいはルイズでも勝てるでしょ。
1割で勝てるんだから140倍なら限界まで張らないと……それに、なんとなく『なんか』やりそうなのよね、あの子」
ギーシュはニヤっと笑った。
「君はルイズ以上に素直じゃないな」
「どういう意味よ、燃やすわよ」
キュルケはニコリともせずにギーシュを睨んだ。
「君はルイズ以上に素直じゃないな」
「どういう意味よ、燃やすわよ」
キュルケはニコリともせずにギーシュを睨んだ。
「ふーっ、もうすぐ決闘開始か、まあこんなもんだろうな」
帳簿を見直し、一息つく。
帳簿を見直し、一息つく。
「おい、そこの男」
「ヒッ!な、なんですか?」
いきなり後ろから巨漢に話し掛けられ、ビクりとする。
どうみてもメイジではないが、平民からの賭けも募っているため、その件かと思う。
「ヒッ!な、なんですか?」
いきなり後ろから巨漢に話し掛けられ、ビクりとする。
どうみてもメイジではないが、平民からの賭けも募っているため、その件かと思う。
「なんでしょうか?賭けならば一口10ドニエですが」
「賭けをやっているらしいな、この宝石を賭けよう、証明書もある」
「賭けをやっているらしいな、この宝石を賭けよう、証明書もある」
大男は宝石と証明書を懐から出してくる。素人でもわかるくらい素晴らしい輝きを誇っている。
「そうですね…それはいくら分ですか?」
「100エキューだと書いてあるな」
「100エキューだと書いてあるな」
冷や汗が彼の頬を走る。
(ひゃひゃひゃ100エキューだって!?馬が何頭帰るんだ!?えーと…2頭、3頭、5頭、7頭…)
(ひゃひゃひゃ100エキューだって!?馬が何頭帰るんだ!?えーと…2頭、3頭、5頭、7頭…)
「どうした?受けないのか」
「そ、そんな、ヴィリエにそんなに賭けられたら赤字ですよ」
「そ、そんな、ヴィリエにそんなに賭けられたら赤字ですよ」
「ヴィリエ?誰だそれは、俺はルイズに賭けると言ってるんだ」
彼の汗が引く
(やったァーーッメルヘンだ! ファンタジーだッ!こんな体験できるやつは他にいねーッ!)
「わかりました、ルイズに100000口ですね!」
(やったァーーッメルヘンだ! ファンタジーだッ!こんな体験できるやつは他にいねーッ!)
「わかりました、ルイズに100000口ですね!」
(でも…万が一…当たっちゃったら…俺破産だな!そんなわけないだろうけどね!ハハハ!)
「「ルイズ・フランソワーズの入場だァーーッ!」」
場内から歓声があがった。