ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

風と虚無の使い魔-5

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匿名ユーザー

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教室を爆破した罰として、ルイズは魔法無しでの掃除を命じられた。(無論この教室は使えないため、休講となった)

「なるほど、それが『ゼロのルイズ』のいわれか」
「なんとでも言いなさいよ!どうせ私の魔法成功率はゼロよ!あんたは掃除が終わるまでどっかいってなさい」


ぷい、とそっぽを向いてルイズは一人で掃除をし始めた。
すると、ワムウが歩いてきて横に立つ。


「なによ、同情の代わりに手伝ってくれるとでもいうの?これは私の受けた罰なんだから私がやらないと。
まあ、強制はしないけどやってくれるっていうなら別に手伝ってもいいわ」

無言を肯定と受け取ったルイズ。
「じゃあ、あんたはあっち側をお願いね」

しかし、動かない。
「なによ?手伝ってくれるんじゃなかったの?」
「少し待て」

ぶっきらぼうに返すワムウ。

ワムウは小型の竜巻を作る。そしてッ!その竜巻は部屋中のほこりを一箇所に集めていったッ!


「……すごいじゃない、亜人のくせに私より魔法みたいなことができるなんて…」
「俺を召還したんじゃなかったのか?使い魔は主人の能力を示すというがそれならば大したメイジとやらだといえるんじゃないのか?」
「…努力したって、練習したって、どうにもならなのよ!生まれてこの方、まともな魔法なんて成功したことないのよ!」
「努力、か。我々には縁のない言葉だな」
「そうよ!あんたみたく才能だけでそれだけやれるような奴とは出来が違うのよ!」

ルイズは目に涙を浮かべる。
が、それを無視してワムウは語りつづける。

「そうだ。我が風の流法は天賦の才。我々一族はそういった能力を生かして戦ってきた。だが、多少荒削りでもありのままの能力を生かす
のは貴様ら人間の方が上手いのではないだろうか?俺が今までに戦ってきた戦士たちにも波紋の強さ、弱さなどはあったが、決して自分の
本質を見失い、闇雲に攻撃してくるような敵は手ごわくない。が、自分の弱ささえも武器にする、そういった人間が手ごわいのは
二〇〇〇年間変わっていなかった。俺が負けた相手も、波紋の強さは数々の勇士とは劣っていたが、自分の本質を最大限に生かしていた」

この大男が負けたと聞いて、ルイズは唖然とする。


「あ、あんたが負けたって?『はもん』とか、よくわからないけど……そいつはなにかすごい能力を持ってたの?」
「目に見える能力だけなら、我々が戦ってきた者の中でも一般的な強さであっただろう……しかし、奴の武器は状況、怪我、道具、
能力、相手、自分全てを利用する、そういったしたたかさであった。これに敵う人間、いや我々を含めてもそんなのは数少ないだろう

そして、そういったしたたかさ、というのはどんな能力だろうと発揮できる。お前の『爆発』も天賦の才、違うか?」
「そ、そうやって、高い目線で私をバカにして!励ましになってないんだから!」


言葉とは裏腹に機嫌を戻したのか掃除を再開した。

「あ、あの~」
入り口のあたりにメイドの女性が立っている

「あら、どうしたの?確かあなたは、メイドの…」
「シエスタです、ミス・ヴァリエール。あの、掃除など私めに頼んでいただければ請け負いましたのに」
「いいのよ、これは私の罰なんだから私がやらないと」
「じゃ、じゃあ手伝わせてください!」
「せっかくだけど、私の失敗が原因だし、責任くらい私が果たさないと」
「で、でも隣の…ええと…貴族様…じゃないですよね…?」
「ああ、あいつは私の使い魔よ、どうしても手伝いたいって言うから手伝ってるだけよ。貴女がやらなくても構わないわ」

ワムウは風でゴミを集めつづけている。

「いいえ、やらせてください!私もどうしても手伝いたいんです!」

といってシエスタは有無を言わさず部屋に入り込み掃除を始める。
数十分後にはほとんど片付いていた。

「ミス・ヴァリエール、掃除は終わりましたか…って貴女!魔法は禁止したはずですよ!」
「え、違います、これは私の使い魔がおこした風で……ねえワムウ、そうで…」

ワムウは既に居なかった。

「ちょっとぉぉおおおおッ!どこ行ったのよあの木偶の棒はぁあああッ!」
「貴族たるもの、掃除を手伝ってもらうくらいはいいでしょう、しかしミス・ヴァリエール!今のは魔法を使っていたのに
一方的に嘘をついていたように見えたわ!貴族のすることではないッ!」
「え、ち…違いますわ!」
「いいわけ無用です!ふたりとも、ふたりともあとで罰を与えるわ!」

説明には掃除していた時間よりも多くかかった。


 * * *


寮の廊下を歩いている二人。

「ふう、ひどい目にあったわ…貴女も災難だったわね、ごめんなさい」
「い、いえ、そんな!貴族の方が私なんかに謝らないで下さい!」
「そんな貴族だとか平民だなんて関係ないわよ。あなたの好意で手伝ってもらったのに、迷惑かけちゃって…
あなたにもまだやることはあったんでしょう、ごめんなさいね」
「い、いえ、仕事なんかもうありませんよ、その……もうすぐ貴族の方の家に専属で勤めることになっていて…」

シエスタが続きを話すのを止める。ワムウが部屋の前に立っていた。

「あ、あんた!どこ行ってたのよ!あのあと説明とかすごい大変だったのよ!」
「俺の風で集められるゴミはあらかた集め終わった。あいにく不器用なんでな、残りはそこのシエスタにやってもらった方が
効率的だっただろう?力仕事は先に終えていたしな。俺の仕事が終わったら俺の好きにさせて構わんだろう」
「そうじゃなくて!あんたのあの風が魔法と間違われたのよ!先住魔法の類だって言って誤魔化しておいたけど…
あんたのその風の仕組みを知らないんだから説明だって難しいわよ!だいたい、窓から出て行ったのにすぐ見えなくなったなんて」
「少々日差しが強かったんでな、プロテクターを纏っていたからな」
「『ぷろてくたー』?なによそれ、よくわかんないけど今日はあんたの能力について教えなさいよ!いい、わかった?」
「教えてやるから扉を開けてくれ、扉や壁を壊されては困るんだろう?」

ブツブツといいながら扉のカギを開ける。
ワムウがすっと中に入っていく。


「さ、話の続きは中でしましょう。よくわからないけど、今は特にやることがないんでしょう?」
「え、ええ。ではお邪魔しますわ、ミス・ヴァリエール」

先ほどの話に入る。
「えーと、どこかの貴族に専属で勤めることになったんですって?」
「ええ」
「どこに勤めるのかしら?それくらいもう聞いているでしょう?」
「それが………その……モット伯というところで……」

ルイズは唖然とする。

「も、モット伯ってあの変態ドスケベオヤジ?」
「そ、そんなミス・ヴァリエール、そんな言葉をおっしゃらないでください」
「で、でも…貴女だってモット伯の評判くらい聞いているでしょう?断れないの?」
「私たち平民が貴族様に抗うなんて…私にもタルブに家族が居ますから…」

場が重くなり、二人の口は止まる。

シエスタが先に口を開く。
「でも、残り数日間ここで生活ができますから、思う存分その間は楽しませていただきます」
「じゃ、じゃあね、あさって一緒にでかけない?綺麗な湖が森の方にあるんだけど」
「本当ですか!じゃあ、お言葉に甘えて、ご一緒させていただきます……あら、もうこんな時間ですので部屋に戻らないと…
楽しみにしてますわ、ミス・ヴァリエール。」

シエスタは出ていき、扉が閉まった。

「おい、ルイズ、シエスタが言っていたモット伯とやらはどんな人間なんだ?」
「クズもクズ、貴族の風上にもおけないクズよ!いろんなところから目をつけた平民の女性を逆らえないことをいいことに
屋敷に連れ込んで、ご禁制の薬やらなにやらを使っていろいろやっているらしいけれど、王宮直属の国吏でそうそう手は出せないのよ」

「そうか、ではそんなクズは生きていても仕方がないな」

話を聞き終えたワムウは、
ワムウは窓を開け出て行こうとする。

「待ちなさい、これは命令よ。いくらクズでも貴族ですし、王宮直属の国吏なんか殺したらあんたの死刑は確実、わたしだけじゃなく
シエスタも含めて使用人たちにもなにか罪を科せられるかもしれないわ」
「人間どもの社会は面倒だな、ならば死体さえ残さない『事故』にすればいい。体ごと取り込んで食えばそれも可能だ」
「ダメといったらダメよ。これはね、あんたのことも心配して言ってるのよ。とにかく、そのルーンがあって私の使い魔である以上命令は聞いてもらうわ」

それを聞いたワムウは質問で返す。

「ルーンがなければいいんだな?」

「無理よ、使い魔の契約は死なないと切れ……」


ワムウは、ルーンの刻まれた左手の甲を、切り落とした。


「なにをやってんのよワムウゥウウウッ!手首はともかく理由を言いなさい!なんでそんなにあのシエスタにこだわるのよ?」
「主人が恩を受けた以上、使い魔がその義理を返すのは当然だ、違っても今更曲げる気にはなれん」

ワムウは、窓から夜の闇に飛び去った。

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