「きゃああああああああああ!」
30mはあろうかというゴーレムの落とす影は、強烈なプレッシャーになる。
その重圧に、最初にキュルケが悲鳴を上げた。
そしてその悲鳴を合図に、ここにいる全員が蜘蛛の子を散らすようにして逃げていく。
未だ、身体に縛られて思うように動けない、僕と才人を除いて。
その重圧に、最初にキュルケが悲鳴を上げた。
そしてその悲鳴を合図に、ここにいる全員が蜘蛛の子を散らすようにして逃げていく。
未だ、身体に縛られて思うように動けない、僕と才人を除いて。
「おい、おいていくなよ!」
才人が去っていくキュルケの背中に叫んだ。
しかし、キュルケはそのまま本塔の方へと走り去っていってしまう。
自力で何とかするしかないか。
幸い、僕にはスタンドがある。
パワー自体は強くないが、このくらいの縄、刃物さえあれば切断は可能だ。
まず、僕は今この広場にある刃物は、僕の槍、デルフリンガー、キュルケの買ってきた剣の3つだ。
デルフは論外だ。威力は兎も角、切れ味は鈍い。第一、今タバサの竜がくわえているしな。
次にキュルケの買ってきた剣。コレが一番の候補だが、これまたタバサの竜がくわえたままだ。
となると、切りづらいが僕の槍しかないか。
しかし、キュルケはそのまま本塔の方へと走り去っていってしまう。
自力で何とかするしかないか。
幸い、僕にはスタンドがある。
パワー自体は強くないが、このくらいの縄、刃物さえあれば切断は可能だ。
まず、僕は今この広場にある刃物は、僕の槍、デルフリンガー、キュルケの買ってきた剣の3つだ。
デルフは論外だ。威力は兎も角、切れ味は鈍い。第一、今タバサの竜がくわえているしな。
次にキュルケの買ってきた剣。コレが一番の候補だが、これまたタバサの竜がくわえたままだ。
となると、切りづらいが僕の槍しかないか。
僕はハイエロファントを、立てかけておいた槍に向かって伸ばす。
と、それに合わせたかのように、我に返ったルイズが此方へ駆け寄ってきた。
と、それに合わせたかのように、我に返ったルイズが此方へ駆け寄ってきた。
「な、何で縛られてるのよ! あんた達!」
「お前等が縛ったんだろうが!」
「お前等が縛ったんだろうが!」
兎に角、駆け寄ってきたルイズは、僕達の縄に手を掛け、それをほどこうとする。
しかし、男二人を縛り上げている縄だ。そう簡単にはほどけないだろう。
案の定、ルイズはその縄の前に悪戦苦闘している。
そうこうしている合間にも、ゴーレムの影は刻一刻と此方に迫り来る!
僕も急ぎ、槍の穂先を外そうと試みるが、今に限って中々外れない。
クソッ! こんな時に!
しかし、男二人を縛り上げている縄だ。そう簡単にはほどけないだろう。
案の定、ルイズはその縄の前に悪戦苦闘している。
そうこうしている合間にも、ゴーレムの影は刻一刻と此方に迫り来る!
僕も急ぎ、槍の穂先を外そうと試みるが、今に限って中々外れない。
クソッ! こんな時に!
「ルイズ! お前だけでも逃げろ!」
「く、このロープ!」
「く、このロープ!」
良し、何とか外れた。
が、今から槍の穂先をたぐり寄せても、どうやら間に合いそうにない!
そんな僕の頭に、いつぞやと同じような選択肢が浮かぶ。
が、今から槍の穂先をたぐり寄せても、どうやら間に合いそうにない!
そんな僕の頭に、いつぞやと同じような選択肢が浮かぶ。
3択-一つだけ選びなさい
①ハンサムの花京院は突如、起死回生の案が思い浮かぶ。
②誰かがきて助けてくれる。
③踏みつぶされてペシャンコ。現実は非情である。
①ハンサムの花京院は突如、起死回生の案が思い浮かぶ。
②誰かがきて助けてくれる。
③踏みつぶされてペシャンコ。現実は非情である。
僕の理想は2だが、キュルケは既に逃げ、タバサは既に上空。どうがんばっても間に合いそうにない。
ルイズは僕らと同じ立場だから、アテにはならない。
となると1しかないが、ハイエロファントで引っ張り上げようにも、3人同時は辛いし、何よりとっかかりになる物が無い。
となればッ!
ルイズは僕らと同じ立場だから、アテにはならない。
となると1しかないが、ハイエロファントで引っ張り上げようにも、3人同時は辛いし、何よりとっかかりになる物が無い。
となればッ!
「エメラルドスプラッシュ!」
僕は自分めがけてエメラルドスプラッシュを放つ。
これなら多少怪我は負うが、命は助かるッ!
これなら多少怪我は負うが、命は助かるッ!
「え!? ……きゃあ!」
「お、おいちょっと待……うぐあっ!」
「ぐうッ!」
「お、おいちょっと待……うぐあっ!」
「ぐうッ!」
とっさに撃ったエメラルドスプラッシュは加減が効かず、縄を引きちぎって、僕ら三人の身体は大きく宙に舞い上げられた。
思わず食いしばった歯が唇を切ったのか、口内に血の味が広がる。
が、そんな痛みは全身の激痛に比べれば……ッ!
思わず食いしばった歯が唇を切ったのか、口内に血の味が広がる。
が、そんな痛みは全身の激痛に比べれば……ッ!
直後、地面に身体が叩きつけられた衝撃に加え、才人、ルイズの身体が、僕の上へとのしかかる。
その衝撃に思わず、意識が飛びそうになった。
が、何とか意識を一枚繋いで、二人の様子を確認する。
才人や、ルイズは落下の衝撃が弱まった御陰で、意識を持っている様だ。すぐには動けないだろうが、逃げることは出来るだろう。
とりあえず、首の皮一枚だが、命は繋がったか。
その衝撃に思わず、意識が飛びそうになった。
が、何とか意識を一枚繋いで、二人の様子を確認する。
才人や、ルイズは落下の衝撃が弱まった御陰で、意識を持っている様だ。すぐには動けないだろうが、逃げることは出来るだろう。
とりあえず、首の皮一枚だが、命は繋がったか。
幸い、ゴーレムの動きがのろく、大雑把なのでもううっかり進路上にでも出てしまわない限り、大丈夫であろう。
が、身体の痛みはどうしようもないな…ッ
何とか、未だに激痛のする身体を持ち上げ、僕はゴーレムの様子を見る。
が、身体の痛みはどうしようもないな…ッ
何とか、未だに激痛のする身体を持ち上げ、僕はゴーレムの様子を見る。
先程までは影しか見えなかった、そのゴーレムはいやにずんぐりむっくりな体型をしていた。
そしてその肩の所には、黒いローブをまとった人影。おそらくアレが、侵入者。つまりこのゴーレムを操っているメイジだろう。
残念ながら、ローブのフードを深くかぶっている為、顔は解らない。
わざわざ姿をさらしているのは、自信の現れだろうか。
其奴はこっちをちらりと見、どうでも良いかと判断したのか、僕らを無視して本塔の方へと近づいていく。
そしてその肩の所には、黒いローブをまとった人影。おそらくアレが、侵入者。つまりこのゴーレムを操っているメイジだろう。
残念ながら、ローブのフードを深くかぶっている為、顔は解らない。
わざわざ姿をさらしているのは、自信の現れだろうか。
其奴はこっちをちらりと見、どうでも良いかと判断したのか、僕らを無視して本塔の方へと近づいていく。
「痛ぅ… 何なのよ、もう!」
「ぐぅっ…… 花京院! もう少し、やり方があるだろ!」
「助かっただけマシです。贅沢を言わないでください」
「お前なぁ…」
「ぐぅっ…… 花京院! もう少し、やり方があるだろ!」
「助かっただけマシです。贅沢を言わないでください」
「お前なぁ…」
どうやら二人も起きたようだ。
二人は震える体を動かして、互いに肩を貸すような体勢でゴーレムを見上げる。
二人は震える体を動かして、互いに肩を貸すような体勢でゴーレムを見上げる。
「しかし、なんなんだよ。あれ」
「わかんないけど、巨大なゴーレムね」
「わかんないけど、巨大なゴーレムね」
二人が見たままの感想を述べた。
あんなに大きくては、生半可な城壁では意味がないだろう。
あんなに大きくては、生半可な城壁では意味がないだろう。
「あんなデカイのアリかよ……」
「あのサイズのゴーレムを操れるなんて、トライアングルクラスのメイジに違いないわね」
「あのサイズのゴーレムを操れるなんて、トライアングルクラスのメイジに違いないわね」
トライアングル。確か、分け方としてはスクウェアの下のクラスだったか。
「アレでトライアングル…… ということは、スクウェアはもっと大きいゴーレムを操れるんですか?」
「サイズ的にはあのくらいが限度だけど、スクウェアクラスとなると、もっと機敏だったり、全身が鉄で出来てたりするわね」
「サイズ的にはあのくらいが限度だけど、スクウェアクラスとなると、もっと機敏だったり、全身が鉄で出来てたりするわね」
アレよりも凄いのが居るというのか。
全身土で出来てるとはいえ、重量だけならン百トンぐらいありそうなのだが。
常識が通じない世界だと思ったが、まさかここまでとは。
まさしくファンタジーだな。
しかし、一体何が目的で……
全身土で出来てるとはいえ、重量だけならン百トンぐらいありそうなのだが。
常識が通じない世界だと思ったが、まさかここまでとは。
まさしくファンタジーだな。
しかし、一体何が目的で……
「どうして、こっちの方に来るのよ!」
キュルケの悲鳴にも似た大声によって、僕の思考は中断される。
見れば、キュルケが丁度ゴーレムの進路上に突っ立っていた。今にも踏まれそうな状況だ。
上空のタバサも気がついたのか、キュルケを助けようと急降下しているが……アレでは間に合いそうにない。
だが、そこは丁度さっきエメラルドスプラッシュを放った場所と、今僕がいる場所の一直線上。
つまり、
見れば、キュルケが丁度ゴーレムの進路上に突っ立っていた。今にも踏まれそうな状況だ。
上空のタバサも気がついたのか、キュルケを助けようと急降下しているが……アレでは間に合いそうにない。
だが、そこは丁度さっきエメラルドスプラッシュを放った場所と、今僕がいる場所の一直線上。
つまり、
「僕がスタンドの力で、簡単に引っ張り上げられる! 『ハイエロファント・グリーン』ッ!」
引っ張られたキュルケの身体は、低空で風を切るようにして、僕達の方へ引き寄せられた。
「大丈夫ですか?」
「え、ええ。助かったわ……」
「え、ええ。助かったわ……」
キュルケは少し呆然とした感じの表情で、僕の顔を見ている。
しかし、とっさのことだったので、引っ張る時にスタンド越しではあるが、思いっきりキュルケのムネを触ってしまった。
その、何というか、大きいことは良いことだと思います。
柔らかくて、張りがあって……
って、何を考えている、僕はッ!
しかし、とっさのことだったので、引っ張る時にスタンド越しではあるが、思いっきりキュルケのムネを触ってしまった。
その、何というか、大きいことは良いことだと思います。
柔らかくて、張りがあって……
って、何を考えている、僕はッ!
そうやって、僕の思考があちら側に行っている間に、巨大なゴーレムは本塔の辺りに付き、その大きな上体を反らして、拳を思いっきり本塔の壁に叩きつけた。
ッ!?
本来、見えないはずの衝撃が、見えたような錯覚を覚える程の強さを伴い、空気を伝わって広場全体に広がる。
まるで耳栓をしている人間の横で、銅鑼を叩いたような感じである。
その衝撃が広場に伝わりきったのを確認して、黒ローブの人物は腕を下げる。。
すると、召使いが王の命令を聞くようにゴーレムはゆっくりと本塔から腕をどけた。
本来、見えないはずの衝撃が、見えたような錯覚を覚える程の強さを伴い、空気を伝わって広場全体に広がる。
まるで耳栓をしている人間の横で、銅鑼を叩いたような感じである。
その衝撃が広場に伝わりきったのを確認して、黒ローブの人物は腕を下げる。。
すると、召使いが王の命令を聞くようにゴーレムはゆっくりと本塔から腕をどけた。
「なッ!」
そこで僕の目に入ったのは、傷一つついていない壁。
あの衝撃を耐えられる耐久度。一体、何で出来て居るんだ?
驚かずには居られない!
あの衝撃を耐えられる耐久度。一体、何で出来て居るんだ?
驚かずには居られない!
それは黒ローブの人物にとっても意外なことだったらしく、しばし、その動きを停止させていた。
そしてしばし間をおいて、ゴーレムはもう一度上体を捻って、パンチの体勢を造った。
今度は先程と違い、振り上げられたその腕が、鈍い光を放っている。
明らかに土じゃあない。
あの光沢は、金属の物だ。
そしてしばし間をおいて、ゴーレムはもう一度上体を捻って、パンチの体勢を造った。
今度は先程と違い、振り上げられたその腕が、鈍い光を放っている。
明らかに土じゃあない。
あの光沢は、金属の物だ。
「……宝物庫!」
突然、ルイズが声を上げた。
宝物庫。いったい何のことだ?
宝物庫。いったい何のことだ?
「思い出したわ。ここは丁度、宝物庫の裏手になるのよ」
「ってことは、つまり泥棒か」
「凄く大胆な泥棒ね」
「盗賊といった方が正しい気がします」
「ってことは、つまり泥棒か」
「凄く大胆な泥棒ね」
「盗賊といった方が正しい気がします」
成る程、あくまで盗むのが目的だったから、僕達を無視して本塔に近づいた訳か。
音がしなかったのは、この大胆な盗難行為を隠蔽するためか、兎に角、人を寄せない為なのは間違いない。
だとすれば、ここに僕らが来たのは相手にとっては大誤算ということなのか。
と、すると、次はどんな行動を取ってくる?
そう思っている内に、二回目の衝撃が辺りに走る。
今度は先程より強烈だ。
しかし相変わらず、壁には傷一つついていない。
音がしなかったのは、この大胆な盗難行為を隠蔽するためか、兎に角、人を寄せない為なのは間違いない。
だとすれば、ここに僕らが来たのは相手にとっては大誤算ということなのか。
と、すると、次はどんな行動を取ってくる?
そう思っている内に、二回目の衝撃が辺りに走る。
今度は先程より強烈だ。
しかし相変わらず、壁には傷一つついていない。
それを見、黒ローブの人物は突然、此方に向きを変えた。
今度は此方を確認する。という感じではなく、明らかに此方に狙いを変えたといった風である。
どうやら、強行逃走に目的を変えたようだ。
今度は此方を確認する。という感じではなく、明らかに此方に狙いを変えたといった風である。
どうやら、強行逃走に目的を変えたようだ。
「あんた達も運が無かったねぇ!」
黒ローブの人物が声を上げ、右手を振り上げた。その手には、教鞭程度のサイズの杖が握られている。
それに合わせ、ゴーレムも同じように右腕を振り上げる。
それに合わせ、ゴーレムも同じように右腕を振り上げる。
「恨むのなら、こんな所にきちまった、自分の不運を恨みな!」
その言葉と共に、ゴーレムはその振り上げた右腕を振り下ろしてきたのだった。
To be contenued……