ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

アンリエッタ+康一-25

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康一の考え通りなら、この本に記されたルーンの記録は間違ってはいないということになる。
しかしそうなってくると話は複雑だ。
何故なら記録正しいならば、間違っているのは康一の右手のルーンということになってしまうから。
だが実際に今、康一の右手には一画欠けたルーンが存在している。

少々複雑すぎる状況にアニエスが頭を振りかぶった。
「あぁ。何か話が複雑すぎて頭が色々混乱してきたな…」
魔法とは余り縁のない平民出のアニエスは少し疲れた様子。

そんなアニエスを見て、自身も多少混乱してきているアンリエッタが提案した。
「そうですね。この辺りで少々休憩といたしましょう。
それに、そろそろマザリーニ卿が戻ってこられるはずですし。卿ともご相談してみましょう」
ちらりとアンリエッタが廊下と繋がるドアを見た。

康一はACT1を発現させ、ドアを透過して廊下の様子を伺う。
こういうとき視聴覚のある遠隔操作のスタンドは便利だ。席を立たずに外の様子を伺うことができる。
右左右と横断歩道を渡る小学生のように廊下を見たACT1が人通りを伺う。

ACT1の視界の先には特に何も見当たらない。
康一はマザリーニが向かった方向を思い出し、その方向の曲がり角を見た。
そしてその先から来る、特徴的な頬骨の浮き出た面相の彼を見取った。
「あ、マザリーニさん来ましたよ。……てゆーか、本当に僕も飲まなきゃあダメです?」
康一はアンリエッタにマザリーニが来たことを伝え、縋るような目で彼女を見た。

そんな康一にアンリエッタは微妙にイイ目をしながら、こう言った。
「ダメです」
目が据わっているアンリエッタを康一が見つめる。
「ダメです」
二度言われた。康一はもはや脱出不能であることを悟った。

よく分からないやりとりを交わしている主従。
今一つ状況が飲み込めないタバサが康一に聞いた。
「何かダメなの?」
ダメというか、何というか。康一としては一応モラルの問題なのだが。
康一は少々説明に困ったような表情で苦笑いするしかない。

そんな雰囲気にスルリと自然な感覚で入り込んでくる、ドアのノック。
「どうぞ」
アンリエッタが声で促し、外の彼はノックの音と同じように自然な感覚でドアが開く。
「お待たせいたしました」
ドアから居室へ入室したマザリーニは、瓶入りの小ぶりなバケツを抱えていた。

アンリエッタはマザリーニの持ってきたバケツ。
正確にはバケツに入った瓶を、少々頬を上気させながら見つめている。
「おやおや、姫さま。待ちきれませんでしたかな?」
普段あまり見せない、やや楽しそうな表情を浮かべてマザリーニは手に抱えたバケツをテーブルに置いた。

康一は余り縁のない物、バケツの名称は何だったかなと思う。
確かアイスバケツとかワインクーラーだとか言われてる物じゃあなかっただろうか?
ちなみにタバサは学院や生家で飽きるほどバケツを見てきたので、もう大方状況は掴んでいた。

アンリエッタはバケツの瓶を大事に両手で掴み、バケツの中から引き抜く。
そして瓶をゆっくりとテーブルへと置き、朗らかな笑みを浮かべた。
「それではお楽しみといきましょうか?」
その笑みは、どこか年相応の悪戯めいたものだった。

テーブルに置かれたワイン。
高価な大理石を磨いたテーブルにあっても、見劣りしない風格を備えた強者。
まさしく一国を代表しようかという人間が飲むに相応しい一品である。

康一に酒のことが分かるはずもないが、スゴイ高そうだなァ、と思うぐらいには分かった。
お酒は二十歳になってからと真面目に思っている康一がワインボトルを見つめる。
どうやらワインは白らしく、緑色付きの瓶に封印されていても見て取れる透明感がある。
ヤッパリお酒飲むのは異世界に来ちゃってもマズイんじゃあないかな~、と思っている康一。
しかしボトルを見つめるその瞳が、ワインの中に僅かに浮かぶ気泡を捉えた。

「これ気泡ですよねェ。もしかして、これって……」
明らかに一つ、二つ、とボトルの口に浮かび上がっていく細かい気泡。
アンリエッタはボトルを手に取り、キャップシールを剥がして、栓を抑えながら針金をほどく。
そしてチョッピリ身構える康一に構わずに、栓を手で固定しながら瓶を回す。

アンリエッタが栓から手を離した。が。
「あれ…飛ばない?」
康一の予想に反して栓は飛ばず、口の部分を見てみるといつの間にか栓は無くなっていた。
アンリエッタが手を開いてみせる。するとそこにはすでに栓が収められていた。

「もしかしてアンリエッタさん。コレ開けるの慣れてます?」
「ええ、以前飲んだときに少々失敗しまして。でもコーイチさん、このワインの事をご存知で?」
アンリエッタが康一の言葉に軽く驚いたような反応をした。
中々珍しいワインのはずなのだが、アンリエッタにはコーイチが知っているとは思いもしなかったからだ。

「よく知ってるって訳じゃあないですけど、僕の国だと結構有名なんで」
感心したような顔でアンリエッタが頷いた。
異世界だと風土も違えば文化も違う。それなら知っているのも頷ける。

「でもこれ開けるのチョット緊張しますよね。栓が飛んできたら危ないですし」
「以前失敗したとき、それで危なかったです。結局天井まで飛んでいってしまいました。
その時、少しワインが目に入ってしまって凄く痛かったです」
苦笑してアンリエッタが自分の失敗談を語る。
そういえば康一はテレビで、アメリカの野球チームが優勝したらコレをブッ掛けまくってたのを見たことがあったのを思い出した。

何処からともなくマザリーニが人数分、五つのグラスをテーブルに差し出した。
そして手に持ったワインをアンリエッタ自ら、一つ一つグラスに注いでいく。
シュワシュワ、と泡立ち。気品高い香りを辺りに振り撒くワイン。
コレは康一の世界で言う、シャンパン。
否。シャンパンというのはヨーロッパの葡萄の原産地から取った名称らしいので、ハルケギニアでの呼び名は正確には違うだろうが。

それでも康一にしてみれば、ほぼシャンパンと変わりない。
久しぶりに見た、酒とはいえ炭酸飲料。これなら飲んでもいいかも、と甘い誘惑に駆られる。
本来は日本の高校生なのだ。スナック菓子は食べる。ジュースも飲む。炭酸でゲップする。
それがコーラを飲んだらゲップするぐらい確実な一般高校生の生活なのだ。
康一は酒を飲んでもバレなきゃいいか、と一歩不良精神に近づいた。

そしてこの発泡酒というものも初めて見る者というのも存在する。
おおっ、と初めて見た泡立つワインにアニエスが見とれていた。
初めてそれを見る者にとっては、これがいかに幻想的な光景なことか。
まさに原初の新鮮な、見る者を楽しませてくれる驚きである。

そうする間に自分がワインを注がれる番になってアニエスが慌てて言った。
「あっ、姫さま。わたしは自分で注ぎますので……」
さすがに姫自らの勧めとあれば、自分の年収では到底飲むことができないワインでも断るわけにもいかない。

しかしアニエスはアンリエッタ自らワインをグラスに注がれるのは、さすがに遠慮しようとする。
何だか何処に来ても、人って目上の人からお酒を注がれるのを遠慮しようとするもんだなぁ、と康一は思った。
アニエスの気分は、さながら無理やりお酒を酌される新入社員。

いやいや。ですが…。どうぞどうぞ。しかし……。
とかなんとか二人は、注ごうと、注がせまいと、やんわりとした攻防を繰り広げるが結局アニエスが折れた。
テーブルにグラスを置いたまま、ワインをアンリエッタに注がれるアニエス。
康一はこれって宴会じゃあないかと直感した。

康一達はマザリーニが、また何処からともなく取り出したチーズを摘んでいる。
そしてタバサが持ってきた本を、先ほどまでいなかったマザリーニに見せて事の次第を説明した。
「ふぅむ…確かにコーイチ殿の推測通りなら、右手のルーンと本に記されたルーン。
二つのルーンの紋様が違っているのは、何か理由がありそうですな。
それに今、何かわたしは取っ掛りのようなものを掴んだ気が………いたします」

マザリーニも康一の推測。記録が正しく、右手のルーンが欠けているという考えには同意すべき点がある。
そもそも、よくそのような些細な矛盾に気が付いたのかと感心さえした。
そしてこの物事の順序が逆になった矛盾は些細なことではあるが、何か大きな意味を持っているような気がする。

それはルーンだけの問題ではない。何か重大な閃きを示す意味。
この瞬間的な閃きというものはハズレることもあるが、時として途轍もなく大きな事柄を指し示す事がある。
それは今まで生きてきた中での経験であったし、経験が警鐘するサインだ。
警鐘がハズレても別に構うことはない。何も無ければ、それはそれで悪くないことでもある。

だが閃きの意味は、政治家としての長年の勘がマザリーニに何かを伝えようとしている。
されどマザリーニは、その意味を今一つ推し量ることができない。
しかし、何か一つ見つければ、見ている世界を全て引っくり返してしまう。そんな感覚が今マザリーニを包んでいる。
この閃きを見つけた時、間違いなく事は大きく動くであろうと、マザリーニは半ば本能的に悟った。

しかしジレンマ、後もう一歩で見つかりそうな倦怠感にも似たこの感覚の意味する事は一体何なのだろうか。
だが今はこの感覚について話し合う場ではない。話を本題に戻そう。
「ですがルーンの字画が記録より足りないということは、コーイチ殿のルーンの能力が使えない事。
それと関係があるということでしょうか?例えばルーンが欠けているので能力が使えない、または使うのに条件があるなどですが」

マザリーニは例えで出した程度だが、康一には結構当たっているような気がした。
「でも何かイイ線いってる気がしますね。僕のスタンド能力を発現するのも条件があったりしますし。
いや案外、能力使用に条件があるっていうのが正解なのかも…」

康一の能力の条件と聞いてタバサは、重くする能力の条件を思い出した。
「三番目の能力で重くできるのは「一撃一箇所」という事?」
「はい。あとACT3、スタンドの姿は皆に見えてないから分かんないでしょうけど。
僕のACT3は人型で、その拳で対象を叩くか触れるかしないと重くする能力は発現しないんです。
友達のスタンド使いや、前に戦ったスタンドにも同じ条件があったんで、結構よくある条件みたいですけど」

ちょっとしたスタンド能力の蛇足も付け加えながら、能力の条件を語る康一。
確かに自分の能力にも条件があるのだから、ルーンの能力にも条件があるというのは理に適う。
いや、康一の勘だが多分このルーンの能力の使用には条件がある。
意外と簡単で盲点な条件。とりあえずそれを探す事が今後の課題になりそうだ。

しかし現在これ以上情報が無い中で、結論を出すのは性急すぎるとマザリーニは考える。
「とりあえずその本は誰かに解読、或いは調査していただくのが一番よろしいでしょう。
して問題は誰、または何処に調査をお願いするかという事ですが」
専門の知識と設備・施設を有する魔法書解読が頼める人物というとやはり限られてくる。

順当なところだと魔法学院など研究機関の誰かという事になる訳だが、依頼するとなるともう一つ条件が出てくる。
「依頼するなら、なるべく手の内は明かしたくはありませんな。
姫様の使い魔のルーンの特殊能力となると、公に知られるのは少々問題があります」
そう。使い魔である康一の主人、アンリエッタの身分がここでネックとなる。

一国の姫の使い魔の能力を知られるとなると、警護や今追っている敵と相対する際などに危険が伴う。
もちろん公に知られるのにもメリットが無い訳ではない。
しかし先日の襲撃事件などで厳しい警護体制を敷いて、アンリエッタを守るという今の現状では、
ルーンの能力を知られるのは一枚守りの壁が薄くなるという事に他ならない。
この状況さえ脱せばあまり余人に能力が知られるのは問題無いが、今は時期がマズイ。

つまりタバサが持ってきた魔法書解読には、専門の解読知識・設備を持ち、
尚且つ調査内容を余人に知られぬような対策の打てる、口の堅い信用の置ける者でなくてはならないという事だ。
「そうなって来ますと、頼める方はかなり限られてまいりますわね」
アンリエッタの脳裏には、そのような人物は思い浮かばない。

元々アンリエッタは王族として国民の御旗となり、トリステインの顔となることが仕事である。
彼女の一番の力は文字通り、一国を動かすほどの権力。
当然ながら人には得手不得手があり、彼女の力はこういう事には向いていない。
この中で一番向いているのは、背の小さな魔法使いと、豊富な人脈を持つ枢機卿であるだろう。

アンリエッタの視線の先には、チーズをモクモクと食べ続けていたらしいタバサがいた。
「ミス・タバサ。魔法学院の方で、調査をお任せできそうな方はご存知ありませんか?」
その問いに、タバサは食べるのを止め、口に残ったチーズを嚥下してから言った。
「解読だけなら何人かいる。けど調査内容を止めて置けるかは疑問」

あまりいい内容ではないタバサの回答に、アンリエッタは思案気に眉根を寄せた。
そんなアンリエッタが問う前に、マザリーニも自身の回答を言った。
「申し訳ありませんが、わたしの方もあまり心当たりはございません。
調査を頼む人材は、できるならば姫様と面識があるか関係の深い方がよろしいのですが……」

マザリーニの答えも芳しくない。物事はそう上手くは運んでくれないのだ。
「じゃあどうするんです?それだと頼めそーな人がいないって事になっちゃいますけど」
康一としてもアンリエッタを守る力になりそうな、魔法書の解読は重要な問題だ。
しかし調べる前から行き詰ってしまってはどうにもならない。

だがマザリーニは焦らない。
何故なら自分の人脈で紹介できる者がいなければ、その人脈に紹介してもらえばいいのだから。
「いいえ。コーイチ殿。調査ができる方を「紹介していただけそうな方」は存知あげております。
それはミス・タバサもよくご存知ではないかと思いますが」

マザリーニが視線を送り、その視線を受けたタバサも同意するように鋭くなった視線を送った。
「タバサさん、ですか?……もしかしてタバサさんを紹介してくれた人です?」
康一がタバサがここに初めて来た時の理由を思い出した。
以前アンリエッタが魔法学院の学院長に協力を求め、その力となれるタバサを学院長が紹介してくれたのだった。

魔法学院の長ともなれば、魔法関連の研究者などにも顔がきく。
その中にはおそらく調査を依頼できる者も存在するであろう。
「なるほど。オールド・オスマンなら信用できる方を探していただけるでしょう」
アンリエッタも、その考えには同意する。

目の前のタバサを紹介してくれたのもオスマン老だ。
少女は先日の情報収集に魔法学院とのパイプ役など、その身をもって重要な働きを示した。
ならばオスマン老に力を借りるのに異論がある筈が無い。

マザリーニはアンリエッタが、この案に賛成したものと見て更に付け加える。
「それと調査を頼むにあたって都合のよろしいことが、もう一点。
数日後の舞踏会ですが、すでにオスマン老に招待状を送っております。
例年通りならオスマン老には直接城へとお越しいただけるでしょう」

アンリエッタにとっては、まさに朗報である。
数日前から舞踏会の準備をしていたが、これほどタイミングよくオスマン老と直接会えるとは思いもよらなかった。
「素晴らしいですわ、マザリーニ卿。それでは舞踏会の終了後。
オスマン老と直接お話をして、魔法書解読の件をお願いしてみましょう」

「分かりました。一応何か先方に不都合があられては不味いので。
ミス・タバサを通じ、オスマン老に用事があるので来ていただけるよう伝えていただきましょう」
マザリーニはタバサを見る。タバサもそれを了承してコクンと頷いた。

そして舞踏会と聞いて、フト思い出したように康一が言った。
「そーいえば、僕って結局舞踏会の時どうしてる事になりました?」
それは康一自身すっかり忘れてしまっていた事だ。
いや、結構色々あったし。ねェ?

しかし康一自身忘れていたことでも、この有能な枢機卿が忘れる筈がない。
「それに関しては、舞踏会の警護にアニエス殿がまわっていただきますので、
彼女と一緒に行動していただく事になるかと思われます」
すでに警護にアニエスをまわせるよう、マザリーニは手を打っておいたのだ。

その旨アニエスにも伝えておいたので、警護上の問題はクリア済みである。
「そういうことだ。お前の能力の射程距離が長い一番目の能力が、舞踏会中でも姫様に届く距離を保つ。
それなら多少離れても能力で姫様を視界に納めるつつ、音の能力で会話もできるだろう」
スタンドはスタンド使い以外には見ることができないので、余人には能力を使って会話するのはほぼ気付かれることはない。
音の能力を持つエコーズだからこそできる連絡方法だ。

康一の能力を把握して、その力を最大限に発揮させることがアンリエッタの身を守る事にも繋がる。
これがアンリエッタの警護を任されもするアニエスの仕事である。
「それなら大丈夫ですね。でも僕裏方でよかったですよ。舞踏会とかって堅苦しそうで緊張しそうだよなァ~」

そもそも康一はそういったお堅い事には向いていない。
テキトーに友達や仲間とお喋りしていたりした方が、康一の性に合っているのだ。
そんな康一にアニエスも同感だ、といった感でもらす。
「確かに。今回の舞踏会は小規模だが、その分来賓の方々は有力な貴族が多い。
ヘタを打ったり、打ったりしなくても、こっちの首が飛びかねん。やれやれ…面倒な事だ。」

少々ゲンナリとした感じで首を振るアニエス。
しかし言ってから目の前にマザリーニや、この国の姫であるアンリエッタがいる事に気付いて、明らかにヤッテしまったといった顔になった。
そんな少し青くなった顔のアニエスを見て、おかしそうにクスクスと小さく抑えるように笑うアンリエッタ。
「構いませんわ、アニエス殿。わたくしも……そういった事があることは、承知いたしておりますし」
最後のアンリエッタの笑いは、少々苦い笑いになった。

マザリーニも澄ました顔ではあるが、内心アニエスと同じ事を思っているので文句を言う気にもなれない。
正直なところマザリーニとしても、そんな事で有能な人材が切られる事があるのは大きな損失だと考えている。
しかし現実ではそういった事が多い。これも苦労人な枢機卿の悩みの一つだ。

タバサも誰にも言わないが、自分の過去の事例ほどではないにしろ不快な気分になるのは間違いない。
自分と同じような運命を辿る者は見たくない。痛みはタバサ自身、よく知っている。
それは自分と同じ痛みであり、自分が共有する痛みだからだ。

だが彼らを尻目に、康一は何でもないように言ってのけた。
「でもこのお酒、その舞踏会で出すお酒なんですよね。
それだと、そんな堅苦しいトコでじゃあなくて、皆で楽しく先に飲めちゃってチョッピリ得した気分じゃあないです?」

奇妙な一拍の間が生まれた。

その間に康一はグイッとグラスに注がれたワインを飲み干した。
「あー、ヤッパリ炭酸って美味しいなァ」
微妙に顔が赤くなったような気がする康一が、ワインボトルを掴んでまたグラスに注いだ。

そんな康一を見ているアンリエッタ達も、あれよあれよとボトルを掴んでワインを注ぐ。
そして皆でグイーッと煽るように一気飲みした。摘みを手に取るスピードも止まらない。
この後、もう一本ワインをマザリーニがワインセラーから持ってきて、それもあっという間に空けた。
何だか皆、割と結構楽しんで飲んでいた。

ちなみに康一は途中で潰れた。


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