ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

ジョルノ+ポルナレフ-3

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匿名ユーザー

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あ、ありのまま今起こったことを話すぜ!
私は茶目っ気と騎士道精神に溢れたフランス紳士の一人だ。
だがその私は今日…この世界に来て半月が過ぎた日の朝…!
いつもどおりジョルノを起こしてやろうと亀から顔を出すと着替え中のテファがいた。
な、何を言っているかわからねーと思うが、私も頭がどうにかなりそうだった!
亀が寝てる間に移動したとか、貧乳には夢が詰まってるとか、そんなちゃちなもんじゃねー恐ろしい胸の片鱗を味わったぜ!
あれ?
お陰でテファはあっさり失神し、慌ててベッドから起き上がったジョルノから「エロナレフさん」呼ばわりされちまった…

そろそろ私の事を説明してもいいと思わなくもないのだが、亀の能力を知ったがきどもの反応を考えてみるとろくな事が起きない気がするからやっぱダメだ。
だから今、ジョルノにテファを誤魔化してもらっている…んだが、見るのにも飽きちまったんで私は亀の中で一人第16回キャプテン翼一人鑑賞会をすることにした。
私の語学力ではまだ二人の今の会話にはついていけねーからな。
このファンタジー世界にはテレビ局がないんでテレビは相変わらず砂嵐だが、ビデオやらDVDとソレを見るための機材をジョルノが提供してくれたんで見れるようになっている。
「あれ? 知らなかったんですか?」
そう言って毎回新しいDVDを取り出して来るジョルノに私は怒りを覚えたが、キャプテン翼があったので許す。
あれはサッカーを志すものが一度は夢に描くストーリーだからな。

私はセリエAのサッカー選手に憧れる前に復讐を誓ったんで関係なかったがな…悪ガキどもも小屋に入ってきたらしく、外が騒がしくなってきた。
ジョルノも悪ガキどもに辟易するだろーなって頃に、タイミングよく見事に誤魔化されたテファが食事を提案したようだ。

この世界の食事ははっきり言うと不味い。
この地方だけか? テファには悪いが、こんなのを美味い美味いと言って食えるのはイギリス野郎だけだぜって味だ。
あぁ、トニオ・トラサルディの料理が懐かしいぜ。
瀕死だった私を介抱し、不思議な料理で癒してくれた男のスマイルと奴の得意料理の数々が思い出される。
トマトとモッツァレラチーズのサラダ。娼婦風スパゲティ…んまぁ~い!と言いながらそれらを平らげちゃんと栄養を取ったお陰でどうにか私は生き残れた。
日本に行くと言っていたが、店は開けたのか?
いつか食べに行くと言って別れたが、その約束もまだ果たせていない…話が逸れたな。
悪いがテファの料理はトニオの足元にも及ばねぇ。
キノコのスープとパンが定番料理だが、どうにも舌の肥えたフランス&イタリア人には物足りない。
ジョルノもそれには同意見らしく料理を手伝っているようだが。
だが哀れな糞ガキどもはそれしか食った事がないから皆歓声を上げて小屋を出て行く…ジョルノも何食わぬ顔でそいつらの後を追おうとしていた。
おいジョルノ!
私を忘れているぞ!
私だって食事くらいはする。腹は減らないんだが、これはもはや精神的な問題だった。
亀は私の思い通りには動かないのでいつもはジョルノに連れて行ってもらう。
しかしジョルノはガキどもに我慢するので一杯なのか私(亀)を忘れて小屋から出ようとしていた。
その時、私とジョルノの一瞬目が合った。
こ、これは…!
残念だけどあんた幽霊だから食わなくてもいいし反省してなって感じの冷たい目だ!だがそんな私にも救いの女神はいた。テファが気付いてくれたのだ!
オォブラヴォー! ディアーナかと見まがうばかりに美しいぜ!

「ジョルノ、亀を忘れてるわ」
私にもやっとゆっくりなら簡単な文章は理解できるようになった言語でテファが言う。
そうだ。忘れてるぜジョルノ。
だがジョルノは相変わらず冷たく見下ろしていた。
「人騒がせな亀には反省が必要なんです」

…ジョルノの言葉は冷たい気がするな。
あれはちょっとしたアクシデントだぜ?

「も、もしかしてさっきのこと? い、いいの。私の勘違いだったから…かわいそうだし」
テファはいい子。ジョルノは悪魔の如き冷たさだな。
ジョルノがため息をついたのを察し、私は亀の中で思わずガッツポーズをとる。

「わかりました。いきますよエロナレフさん」

こうして私が入った亀はジョルノの腰にヒモで括り付けられた。
話は変わるが、こちらに来て力仕事が増えたジョルノの肉付きはよくなってきていた。
そのせいでますますジョルノはディオや承太郎に似ている気がしてきたぜ。
ディオと同じ髪の色。二人と同じギリシャ彫刻を髣髴とさせる色気のある肉体が、奴を思い出させるのだ。
こうなると本当に気のせいなのか確かめたいような気もして来るんだが、この世界にはそのどちらも欠片すら存在しないのだ。
そう思うと、ちょっぴりだが寂しいぜ。

私は学者として世界中を旅する友もエジプトで倒した宿敵も知らないであろう場所に来た事を思い出し、

「エロナレフさん、今後は気をつけてくださいね」
「お、おう」

同じ境遇の友がいる事に、ほんのちょっぴりだが目から塩味のする水がでちまった。
おっと、断じてエロナレフ扱いにではないと言っておくぜ。
私は食事を終え、手際よく斧を使ったまき割りとかの雑用を終え、狩りをしに森を進むジョルノの腰にぶら下がった亀の中心に座り込み、頭を捻っていた。
最近私の地位が脅かされているような気がする。
向こうではワ…ミスタのポジションだった場所に追いやられちまいそうな、実感がある。

「ここは一つ汚名挽回の機会を作らなければならないっ!」
「アンタが騒ぐから獲物が逃げちまったじゃないか…それとエロナレフさん、汚名は返上するものです」

ジョルノはそう言いながらガキどもに教わった小型弓で離れていく獲物に矢を放つ。
力仕事ばかりで逞しさを増したジョルノの矢は狙い違わず獲物を射た。

「そんなことは知ってるぜ。わざとだよ、わ・ざ・と!」

ちょっとしたジョークで場を和ませようとした私の言葉を全く信用していないジョルノの視線が痛いが、私は負けじと亀から顔を出して一つ咳払いをする。
それで何か言いたい事があるのに気付いたジョルノは離そうとした視線をまた私に戻した。

「所でジョルノ、一ついい事を思い出したぞ」
「なんです?」
「ある健康法だ。これを続ける事で肉体を若々しく保ったり、凄いパワーが得られる」
「僕は今のところ健康には問題ありませんが…」

得意げに話す私だったが、何故かジョルノはその時点で聞く気をかなり失っているような気がした。
だが負けじと私は続けるぜ。何せこの話はデマなんかじゃねぇからな…私はこれを実際にやっていた男を知っているからだ。
これをやり、効果を実感すればジョルノも私の事を見直すはずだ。

「ふっふっふ、驚くべき事にこの健康法は対生物との戦いや夜の生活にも使えるぜ。生き物を操ったり細胞を活性化させて気持ちよくさせるんだ」
「それもゴールドエクスペリエンスと自前のアナコンダがありますから」

しれっと言い切るジョルノのゴールドエクスペリエンスとアナコンダは確かに中々のもの。
だが、人間の技術には未知の部分がある。
そには取り付く島がないようにも見えるが、フフッ私は知っているぜ。
これがジャパニーズの言う”ツンデレ”、ジョルノは私の話が聞きたいはずだ。私は得意げに説明を続ける。
ジョルノは生き物の痕跡を追いながら、私の言葉に耳を傾ける。
「この健康法は昔一緒に旅をしたジョースターという爺さんに聞いた方法で名前は”波紋”という」
「…わかりました。どうやるんです?」
ちょっとため息をつきながらジョルノは食いついてきた。
私は実演しようと息を吸い込み…しかしできなかった。ゆ、幽霊の体で行うにはちょっとばかり無理があったようだな。
「…ポルナレフさん、何やってるんです?」
「ゲホッ!ゲホッ…! ふぅ…じょ、ジョルノ! LESSON1だ!」
限界まで素早くやったせいで乱れて息を整えながら私は指を一本立てた。
「は、波紋の基礎は一秒間に10回の呼吸ができるようになること!」
「ポルナレフさん」
言い切った私にジョルノは何故か今までにない暖かい光に輝く笑みを浮かべていた。

「昔の仲間を信じたいって気持はわかります。でもアンタ、騙されてますよ?」

「い、いや今回は違うぞ!? 違う…はずだ!」

私は力の限り言い切ろうとしたが、不思議だぜ。
OH!MYGOD!と言っているジョースターさんの顔が脳裏に浮かぶたびに不安になってくるんだ…
不安が鎌首上げてきたんで私はこの話を聞いた時の事を思い出す事にした。
その時の状況によっては真面目に言ってるのかどうかわかるかもしれないと思ったからだ。

私が波紋の事を教わった時、あの爺さんは酒が入ってすげぇ気分良さそうだった。
そしてジョースターさんはその浮かれた気分のまま若い頃どーだったかとかそんな事を聞いた私に武勇伝を一つ語ってくれたのだ。
『その時わしは言ってやった!『そうカーズ。きさまは「これも計算のうちかJOJO」…というってな!』
ダメだあの爺さん…
私は顔を手で覆った。

「ポルナレフさん、見てください」
「ん?」

いつのまにか村に戻ってたらしい。
ジョルノの声にとりあえず私は考えるのを止めて亀から顔を出す。
ジョルノが見ているのはテファとガキだった。
ガキが、怪我をしている。結構大きく切っちまってて赤い血が流れていくのを布で抑えていた。
だが…テファが指輪を近づけて何かすると、見る見るうちにガキの怪我は癒される!

あれが魔法ってやつか!
私達は感心してどうやったのか聞きたかったが、そういうのはジョルノに一任してるんで見つからないうちに私はまた亀の中に頭を引っ込めた。

「あっ…! お前なんかにテファ姉ちゃんは渡さないぞ!」
「えっ? あ、ジョルノ。お帰りなさい。狩りはうまくいったのね!」
「テファ、今のは…」

後は頼んだぜジョルノ。朗報を期待する。
なんとなく、湿っぽい話になりそうだからな…そんな話を盗み聞きするような真似はできん。


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