ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

ジョルノ+ポルナレフ-2

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匿名ユーザー

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あ、ありのまま、今起こっている事を話すぜ。
私はイタリアにいたのに鏡に突っ込んだらファンタジーな世界にいた。
な、何を言っているかわかんねーと思うが麻薬をヤッてラリッてるとか妄想乙とかそんなちゃちなもんじゃねー。
もっと恐ろしい現実をリアルタイムで味わってるぜ…!
全世界で大人気なポッター君位の世界じゃねぇ、もっと恐ろしい…!
私のいた世界とは全く文化レベルの違う中世的なファンタジー世界だ。
ここは恐ろしい世界だ…一言で言うとガスと水道、電気がないんだぜ?
聞いた話によればラジオどころか印刷技術とかもたいしたことはない…改めてその事を考えるとため息が自然と漏れた。
何故わかったか、それはジョルノの奴は私が思ったよりも案外頭がよかったからだ。
あいつめ、人畜無害そうな面して快方した胸が特にけしからん娘と身振り手振りを交えてコミュニケーションをとる内に、娘が使う言語を理解し始めたのだ。
「フランス語にちょっと似てますね」
…フランス人の私にはさっぱりなんだが?
そう言った私にジョルノは曖昧な笑みを浮かべて言った。
「…別に全く一緒ってわけじゃあありませんからね」
ジョセフの爺さんならわかるかもしれねぇが、慰めてるつもりなのか嘲笑ってるつもりなのか私には全くわからねぇ。
今までジョルノと付き合ってきた経験から言うと…わざとそうしてる気がするぜ。

まぁ、それはまだいいんだが、お陰で私はよくわからん言語で会話する二人の足元にいる亀の中で一人映らないテレビの前に座り込む羽目にはっちまったのには困っている。
亀から頭を出してまた驚かせるのも面倒なんで私は顔を出さない事にしたんだがジョルノが亀に入ってくるのを待つしかないってのは案外暇なもんだ。
(当然だが)放送局がないんでTVはずっと映らないままだし、持ってきたMANGAをずっと読むってわけにもいかない。飽きるからな。
外の状況もまだ言語を習得していない私にはジョルノの話からしか情報を得られないしな。
今私にわかっているのは胸がけしからん娘の名前がティファニアで、愛称がテファってこと。
それにテファがエルフと人間のハーフで(エルフってのはこの世界の人間にとっては天敵、まぁ蛇と蛙みたいな関係にある為…)生まれのせいで迫害されるから森の中でガキどもの世話をして暮らしているってことだ。

眉唾ものの話しだと思ったが、その証拠にテファの耳は尖っていてそれはテファの母親がエルフだかららしい。
他にも複雑な事情があるようだと、直接話を聞いたジョルノは言っていたがそこらへんはジョルノがうまくやるだろう。
ああ見えてジョルノの親はどうしようもないクズだ。悲惨な子供時代を過ごしたことは簡単に想像できるくらいにな。
そんなジョルノだからうまくやるかもしれん。


だが、私達がこんな所にくる羽目になったのはどーやらこのテファのせいらしい。
信じられない話だが、さっき言ったとおりこの世界は中世ファンタジーの世界で魔法ってもんがある。
テファにはその魔法の才能があって、それで使い魔を呼び出そうとして私達二人を呼び出したらしい。
ジョルノにキスしようとしていたのはそれが契約の儀式だったからで、決して初対面のジョルノに迫ったわけじゃねーってことを説明したかったらしいが…その時一瞬見せたジョルノの表情は子供には見せられないぜ。
ギャングスターになるのが夢だったジョルノだ。
案外キレてるのかもしれねぇな。

まぁ今の所私が聞いてるのはそんな事くらいだ。
あぁ、重要な事を一つ忘れていた。私達はイタリアには帰れない。
少なくともテファはやり方を知らないし、知ってるかもしれないテファの保護者で腕のいいメイジのマチルダお姉さんは出稼ぎ中だ。
使い魔召喚の儀式もそのマチルダお姉さんがテファを守ってくれるお友達ができるような事を言って教えてくれたそうだが。
酷い話だが、責めても泣かれたりするだけで解決されるとは思えないな。困ったもんだ。
「テファとは仲良く遣っていけそうです。友人が欲しかったそうですからね」
今日の成果を語るジョルノの笑顔はなんと言うか、邪悪だ。
「気のせいか? 私にはお前が子供を騙す悪党に見えるぞ」
「騙しはしません。だが僕らがこの世界に馴れるまで世話を焼いてもらわないと困るでしょう?」
私の嫌味にもしれっとした顔でジョルノはそういいやがった…黄金の精神を見た気がするんだが、気の迷いだったのかも知れんな。
「そういえばテファだが、お前あの子が村から出られないような事を言ってたが、本当か?」
これ以上その事を聞いても仕方がないんで、私は話を変えた。
尋ねたのはテファの事。


先日、テファの事を説明してもらったんだが、信じられない話だったんで私は気になっていた。
ジョルノの言葉を信じないわけじゃあないんだが、村の中でずっとガキの世話だけってのは、な。
「らしいですね。話を聞く限り、十字軍が編成された時のユダヤ人のような扱いを受けるようです」
「…なんだって?」
「何度か十字軍も結成されていますしね。(エルフは人間の魔法使いが束になっても敵わないほど強いとかどうとか言う話はどうでもいいんですが)」
はぁ、とジョルノは嘆息した。
「問題は我々の世界では聖職者はユダヤ人への迫害を禁止しましたが、こちらでは指導者も聖職者も迫害を推奨するほどエルフを敵視しているようです」
私は目が点になっていたと思う。
馬鹿な…とても信じられない話だ。
『最初のホロコースト』と呼ばれる事件がある位、十字軍が結成された時の反ユダヤ主義は凄惨なものなのだ。
しかも向こうの世界では町や村の指導者たちはユダヤ人をかくまい、聖職者はユダヤ人への迫害を禁止していた。
当時の教皇庁もヨーロッパに住むユダヤ人やイスラム教徒への迫害を再三禁止していたが…ここでは推奨しているという。
ここはそんなイカれた世界でもある、というのか?

そんなことを考える間にジョルノは先ほどの私のように話を変えようとして、砂嵐状態のTVを見た。
「テファの話通りかは確かめられませんけどね。所で何してるんです?」
「ん? ああ、仕方ないだろうが映らねぇんだから」
呆れたような顔を見せるジョルノに私は話をあわせた。
そんな私の返事にジョルノは合点がいったらしく微笑みながら何もない壁を開く!?
そこにからジョルノはココ・ジャンボそっくりな亀を取り出した。どうやら住んでいる私も知らない隠し戸棚だったようだ…何時の間に作りやがったんだ?
「お、おいそれは…」
初めて見る亀の事を聞く私に、ジョルノは笑みを浮かべたままその亀の甲羅に手を突っ込んで中からDVD数枚とDVDレコーダーを取り出して見せた。
多分ナランチャのものと思われるアニメと「レ・ミゼラブル」。私はソレを手にして驚愕を隠せないままジョルノとDVDを交互に見た。
「亀の細胞から生み出した亀です。便利なんで僕も持っているんですよ」
「おま、持ってるならさっさと出せよ!」
文句を言いながらも私は笑みを浮かべてTVにDVDレコーダーをセットしていく。
「グラッツェジョルノ!」
「見終わったらまた別に物を出しますね…あぁそれと」
ジョルノの手が横から伸びてきて、DVDを奪い去っていく。
「見るのは構いませんが、先に僕の用事に付き合ってください」
「用事だと?」
頭に疑問符を浮かべた私に頷き返し、ジョルノは外へ出て行く。
亀の外へ出たジョルノは亀を掴み取るとテファに気付かれないうちに居間を通り抜け外へ出る。
辺りはすっかり暗くなっており、灯りは星しかなかった。
だが、この世界が異世界だって言う証拠に、私が居間まで親しんできた月よりずっと大きな月が二つ空に浮かんでいた。
月明かりもずっと強烈なお陰で私達は難なくうろつきまわる事が出来る。
フ、家の明かりとかは向こうと比べれば慎ましいもんだが、自然の物はこちらのほうが派手らしい。
どこかへ行くのかと思っていたが、どうやらそうでもなく、ジョルノはすぐに足を止めた。
私も甲羅にはめ込まれた鍵から頭を出してジョルノを見る。
ジョルノは集中しているようだった。真剣な眼差しで地面を眺めている。
そして突然、ジョルノはスタンドを出した。
「ゴールドエクスペリエンスっ…!」
ジョルノの呼び声に応えるようにジョルノのスタンド『ゴールドエクスペリエンス』が地面を貫く。
私にはもうジョルノが何をしようとしているのか見当がついた。
ジョルノはその能力を使い、新たな生命を生み出そうとしているのだ…!

最初、それは巨大な熊だと私は思った。
何もなかった地面から生み出された生き物はソレぐらいのサイズだった。
だが…以外っ! それは巨大モグラ!

「…でかいモグラか?」
「はい。ジャイアントモールです。僕が読んだ本によれば「お前、もう字がわかるようになったのか?」」
しまった…本を読んだなどと言われ、思わず口を挟んじまったぜ。
案の定ジョルノに亀を裏返しにされる。
「うぉおおおっ!」

じたばたする亀の動きにあわせ、私は無理やり体を隙間にねじ込んで頭を出す。
恨みがましい目で私はジョルノを睨み上げたが、ジョルノは何事もなかったかのように私への返事を返した。
「いいえ、勉強中です。今日テファと一緒に図鑑を見たんですよ。コイツは宝石の匂いなどが好きで土系のメイジはこいつを使い魔にして秘薬の材料を探させたりするそうです」
「で…こいつにそれを探させてみようって腹か。おい、もういいだろ」
「そういう事です。こんな条件付けをしたのは初めてですからうまく行くかわかりませんが…試してみる価値はあるでしょう」
言いながらジョルノは自分にじゃれ付いて鼻を押し付けてくる巨大モグラをよしよしと撫でてやる。
巨大モグラは自分を生み出したジョルノに懐いているようだった。
自分で生み出したモグラに宝石捜させて売ろうって、そんなのうまく行くのかよ?
「そううまくいくものなのか?」
「さぁ? こればかりはやってみなければわかりませんね」
疑問に思った私は思わず本音を言ってしまったが、ジョルノは口元に爽やかな笑みを浮かべて返事を返すだけだった。
まぁどう転がるにせよ、「さっさと亀を元に戻しやがれ」
「ああ、そんなこともありましたね」
このどSめっ!
ジョルノはすっかり忘れていたような台詞を吐きながら亀をひっくり返そうとして、突然止めた。
「ぐえっ」
またひっくり返った亀の甲羅に挟まれて潰れた様な声を出す私には眼もくれず、ジョルノは背後を振り向く。
ったく、私が幽霊じゃなきゃ死んでるぞ!
「…テファ。こんな時間にどうしたんです?」
「ご、ごめん。外で話し声が聞こえたから…」
テファの話す言葉は断片的になら私にも分かる。
まぁ多分、うるせぇぞってとこだろう…俺達は結構普通に喋っちまってたからな。
この村の家では防音なんて無理だから、聞こえちまったんだろう。
私からはジョルノが邪魔で見えないが、声の調子からすると申し訳なさそうにしてるテファにジョルノはいいんですよ、と首を振った。
テファはこれまでの生き方から何かあった時自分の方が悪いと思いがちなようだから、ジョルノにしてはちょっと大げさな身振りだった。
私はその間に亀の中に退避する。
話してたのは誰?とかそんな面倒くさいことはジョルノにお任せして私はDVDを見る準備をしたいからな。
「少し、この亀と話しかけてたんですよ。恥ずかしいですけどちょっとホームシック気味だから…」
聞かれる前に何か適当な事を言っている…故郷がどーだのと言ってるからまだまともな事だろう。
私は肩を竦めてDVDレコーダーをセットする為説明書を読み始めた。
機械はあんまり得意じゃねぇから熟読しないとな。
久しぶりに見る地球の文字が懐かしいぜ。
「ジョルノ…ごめんなさい。私が貴方を召喚したせいで「ならアンタに責任を取ってもらおう」
湿っぽい声が聞こえるが、まぁ気にしない…なんて思ってる場合じゃないようだな。
責任! 
確かにそう聞こえたぜ!
湿っぽい雰囲気、ロマンチックな月夜…つまりこの場合、アンタの体で責任を取ってもらうってことじゃあねぇのか!と私は推測する!
「わ、わかったわ…」
心配になってきたんで私は地面に裏っ返しにされたままの亀から顔を出す。
筋肉に力をいれ、地面と亀の隙間に潜り込んでいく私の耳に、ジョルノ達の話し声が聞こえる。
「僕が旅から帰ったら、笑顔で迎えて欲しい。後、ピッツァマルゲリータをご馳走してくれないか?」
「「え…?」」
ジョルノの要求に、私も思わず声を出しちまった。テファも戸惑ってるようだ。
ピッツァマルゲリータ…一体どんなプレイなんだ…?
お陰で私の声は気にしなかったみたいだが、私は甲羅の中に逆戻りだ。
もうすぐ出れるところだったんだが、慌てて口を押さえたせいで持ち上がりかけた亀がまた倒れ、押しつぶされそうになったんでな。
出戻りだ。だが、別に様子を窺う必要はねーのかもしれない。
ジョルノにそう言う湿っぽい雰囲気はねぇのが、今の発言で分かったからだ。なんとなくだが…ここは奴を信用しよう。
「僕はいつかここから出て戻る手段を探しに行く。だがいつ見つかるかわからないし、途中で疲れちまうかもしれない…だからもしテファの所を訪ねて行ったら笑顔で迎えてほしいんだ」
「いいけど、それだけでいいの?」
「それだけでいい。ピッツァマルゲリータは作れるようになってもらうが」
「う、うん!頑張るわ」
ジョルノの冷静な声とテファのちょっと上擦った声。
なんだかどーにも聞くだけで背中がむず痒いぜ。ニュアンスだけでお腹一杯になりそうな空気を、私は感じていた。
「ココジャンボ。私は顔を出しづらい世界って感じになってきたと思うんだがそこんとこどうだ?」
亀は答えてくれなかった。
かわりにテファにおやすみなさいなんぞと言って話を切り上げたジョルノが亀を元に戻して入ってきやがった。
「ふぅ…」
もう勝手にしてくれって気分だった私はDVDレコーダーをセットしながらジョルノに聞く。
「ジョルノ。お前何言ったんだ?」
「え? ああ、そうですね。僕を呼んだ責任は時々ピッツァマルゲリータを作ってくれればいいって言っておいたんです」
「ほぉ、意外だな」
「何も頼まないよりはこの方がいいでしょうからね」
帰ってきた言葉に私が振り向くと、ジョルノがソファに腰掛けこの世界の本を見て文字を覚えている姿が目に入った。
その姿を見て直感する-コイツ、疲れて帰るつもりなんかこれぽっちもねぇんじゃねぇか!?
少し頭痛がしてきたぜ。だが…

「すまんなジョルノ」
「なんです?」
「その、私はてっきりテファの事を恨んでるかと疑っちまってたんでな」
謝る私に、ジョルノは本から目を離した。
? 
私は不思議に思った。
ジョルノは眉を寄せていたのだ。
「怒ってますよ? できれば僕の手でブチャラティ達から受け継いだものを先に進めたいと思ってますからね」
「さっきはそんな様子じゃねぇか」
戸惑う私に、ジョルノは爽やかに微笑んでいた。
「あぁ、当然です。無駄な事は嫌いなんだ…彼女を締めあげても後味の悪いものを残すだけって事です」
その言い草に私は表情を変えちまったんだろう。
言葉を足して、珍しくジョルノは考えてる事を説明する。
開いたままの本を腹に載せ、ジョルノは何かを思い出しでもしているかのように天井を見上げる。
「それに帰れないなら,ここでギャングスターになるだけです。パッショーネにはワキガですがミスタは頼りになりますしキレやすいがフーゴもいますから、彼らを中心にしてブチャラティ達の意志を引き継いでくれるでしょう」
その事に関しては心配してないらしくジョルノは相変わらず爽やかな表情をしていた。
「テファを守りながらギャングスターになる。ブチャラティに出会った時とそう変わりがないと思いませんか?」

ジョルノがどんな意気込みで言ったかはわからなかった。何せこの世界と向こうとでは条件が違い過ぎる。
この世界にギャングなんてもんが存在するのかどうかすら、ジョルノにだってわからねぇだろう。
だが、その前向きな考え方には賛同するぜ!
私は笑みを浮かべてジョルノに頷き返した。

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