ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

偉大なる使い魔-22

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匿名ユーザー

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ここは・・・?学院のわたしの部屋。
「忠誠には、報いるところがなければなりません。」
部屋の中央で姫さまがプロシュートに左手を差し出していた。
姫さま?なんで?
「お手を許す・・・そんな事は出来ないさ!ただし、お前がだ・・・
『アンリエッタ』」
プロシュートは、そう言い終わると姫さまの左手を両手で握り締めた。

「グレイトフル・デッド!」

「きゃああああぁ」

「きゃああああぁ」
わたしはベッドから勢いよく身を起こした。
学院の寮じゃない、宿の部屋だ。
夢か・・・、姫さまが・・・姫さまが。
落ち着け、落ち着けルイズ。プロシュートは姫さまにキスしたじゃない。
あんな事してないわ。
わたしは部屋を見渡すとワルドはもう居なかった。
テーブルの上に一枚の手紙が置いてあった。
『錬兵場で待つ  ワルド』
何かしら、わたしは身支度を素早く済ませると錬兵場に向かった。

わたしが錬兵場に着くとワルドとプロシュートが立っていた。
「ワルド、来いって言うから来てみれば、何をする気なの?」
「彼の実力を試したくなってね」
魔法衛士隊の隊長とプロシュートが戦う・・・ただで済むはずが無い!
「もう、そんなバカな事はやめて。今は、そんな事してる時じゃないでしょう?」
「そうだね。でも、貴族というヤツは厄介でね。強いか弱いか、
それが気になるともう、どうにもなららくなるのさ」
そんなこと、気にしなくて良いじゃない。わたしはプロシュートに話し掛けた。
「やめなさい。これは、命令よ」
「ああ、そうだな」
プロシュートは立ち去ろうと背を向けた。
「今、なんといった?」
ワルドがギロリと睨むとプロシュートがチラリと顔だけ振り返り答えた。
「断ると言ったんだ」
プロシュートは、わたし達を残し一人で去っていった。
「臆したか、あの男は?」
ワルドは呟くが、それはないわね。
まったく、敵の襲撃より仲間同士のいざこざの方が気になるなんて、
思ってもみなかったわ。

その夜、一階の酒場でギーシュたちは酒を飲んで騒ぎまくっている。
その場にプロシュートは居なかった。部屋に残ってるのかしら?
部屋を訪ねるとプロシュートはベランダで月を眺めていた。
「プロシュート」
わたしが声を掛けるとプロシュートが振り向いた。
「なんだ?」
「よく断ったわね、てっきり受けるとばかり思っていたわ」
わたしは、思い切って言ってみた。
「お前がヤメロッつったんだろーが」
「それはそうなんだけど」
プロシュートが手合わせを断るなんて思わなかった。
「まっ、命を懸けずに戦うなんて無意味だからな」
「無意味なの?」
プロシュートの戦いに対する考え方に思わず聞き返した。
「ああ、そうだ。本当の強さってのは、追い詰められ命を懸けた時に
初めて発揮されるもんだぜ」
本当の強さか・・・。

「うお!」
プロシュートが叫んだ。視線を追うと岩でできた巨大な
ゴーレムが立っていた。
巨大ゴーレムの肩に誰かが立っている。その人物は長い髪を、風に
たなびかせていた。
「フーケ!」
わたしたちは同時に怒鳴った。
「プ、プロシュート!ど、どうしてココに?」
フーケが震えながら叫んだ。
「そりゃこっちの台詞だぜフーケ。
オメー、ムショにぶち込まれてたんじゃねえのか?」
プロシュートはフーケを鋭く睨んだ。
「はい。そ、それはですね、こちらの方が革命に一人でもメイジがいると
仰いまして、わたしが今ココにいるわけです。はい」
フーケが体を横にずらすと暗くてよく見えなかったが白い仮面をつけた
黒マントのメイジが立っていた。

プロシュートが質問を続ける。
「俺達を襲ってきた傭兵は貴族に雇われたと言っていたな、その貴族は
お前だったのか?」
「え?えっ?あっ!」
あのトライアングルのフーケが小動物の様に怯えている。
「つまり、お前は敵っつーワケだな」
「違います!」
フーケは力の限り叫んだ。
「違います、違います、何も知らなかったんですぅ」
ここから見ても分かるほどの見事なうろたえっぷりだ。
「・・・・・・・」
仮面の男がフーケに話し掛けるが何を言っているのか聞こえなかった。
フーケが男に言い返す。
「裏切る?革命にも参加しよう、エルフにも喧嘩を売ってやるさ。」
エルフですって!?貴族派は何をしようっていうの?
「だけど・・・だけど、その男だけは別なのよー」
「・・・・・・」
「何も無いわ!私は絶対にあの男には勝てない!」
プロシュートと二度と戦いたくない。その気持ち、嫌というほど良く分かるわ。

二人の揉め事を見ながら、プロシュートが話しかけてきた。
「ルイズ、ヤツ等から話を聞くか?傭兵より詳しく話を聞けそうだ」
その瞬間、フーケが言い争いをピタリと止め此方に叫んだ。
「知りません!何にも知らないんです!本当なんです!私が知っている事は、
今ここの一階を雇った傭兵で襲うことだけなんです!」
何ですって、みんなが危ない。
「プロシュート、下に行くわよ」
「ああ」
わたし達は部屋を出て、階段を駆け下りた。
宿の一階は修羅場だった。ギーシュ、キュルケ、タバサにワルドが
魔法で応戦しているが、数の差で傭兵が圧倒している。
「状況は?」
プロシュートは近くにいたタバサに尋ねる。
「外、傭兵たくさん」
タバサが簡潔に答える、その後をキュルケが引き継ぐ。
「奴等は魔法の射程外から矢を射かけてきているわ。こちらに魔法を
使わせて精神力が切れたところを見計らい、一斉に突撃してくるわよ。
そしたらどうするの?」
プロシュートの後ろに薄っすらとした人型が・・・グレイトフル・デッド!
「なるほど『射程距離』か、オレなら余裕だな」

「ダーリン?」「兄貴?」
「オレの能力を無差別に使い、ヤツ等を無力化した後、皆殺しにしてココを
突破する!」
男も女も赤ん坊でさえも老いる、身の毛がよだつ光景が思い出される。
うろたえるなルイズ、自分の使い魔に怯えるメイジなんていない。
「ちょっとまってダーリン。今、無差別って言った?」
抜け目の無いキュルケが気づいたようね。
「ああ」
「それって・・・ゴクリ・・・わたし達も、て事?」
「そうだ、すぐに済ます。我慢しろ」
「お願いダーリンそれだけは止めて!それだけは!」
キュルケは一瞬で想像したのだろう、フーケの様に老いる自分の姿を。
「放せ!纏わりつくな」
何時も余裕の態度を崩さないキュルケの取り乱しようをみると、
なんだか凄く気分が良いわ。わたしってちょっと嫌な奴かも・・・
いやいや、相手はあのツェルプトーだから良しとしよう。
「わたし達、わたし達でなんとかするからそれだけは」

「よし!それでいこう」
ワルドは低いが響く声で言った。
「いいか諸君。このような任務は、半数が目的地にたどり着ければ、
成功とされる」
タバサが本を閉じ、ワルドの方を向いた。自分とキュルケと、ギーシュを
杖で指して「囮」と呟いた。
それからタバサは、わたしとワルドとプロシュートを指して「桟橋へ」と呟いた。
「時間は?」ワルドがタバサに尋ねた。
「今すぐ」と、タバサは呟いた。
「聞いてのとおりだ。裏口に回るぞ」
言い終えるとワルドは裏口に向かった。
「え?え?ええ!」

「今からここで彼女たちが敵をひきつける。せいぜい派手に暴れて、
目だってもらう。その隙に、僕らは裏口から出て桟橋に向かう。以上だ」
「で、でも・・・」
わたしはキュルケたちを見た。キュルケが赤髪をかきあげ言った。
「ま、仕方ないかなって。あたしたち、あなたたちが何しにアルビオンに
行くのかすら知らないもんね」
ギーシュは薔薇の造花を確かめ始めた。
「うむむ、ここで死ぬのかな。どうなのかな。死んだら、姫殿下と
モンモランシーには会えなくなってしまうな・・・」
タバサはプロシュートに向かって頷いた。
「行って」
「わかった、いくぞルイズ!」
「ちょ、待ってよ」
酒場から厨房に出て、わたしたちが通用口にたどり着くと、酒場の方から派手
な爆発音が聞こえてきた。その後もっと大きなフーケの怒鳴り声が聞こえてきた。
「誰がおばあちゃんだ!小娘が!泣かす!殺す!いわす!」


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