ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

第十三話 『魂を蝕む毒』前編

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 今日この日……
 アカデミーの手によって、ルイズと才人の二人は死を迎えた。



 ……そこは、随分と柄の悪い酒場だった。
 並べられたテーブルや椅子は傷や汚れのない場所を探すほうが難しいし、立地条件も貧民街のど真ん中。客層も全うな商売の人間は一人もおらず、犯罪者か傭兵ばかりだ。 だれそれが死んだだの、だれそれを殺しただのと、交わされる会話もひたすら物騒だった。
 地下にあるため窓などは一切なく、漂う空気には陰気なものが混ざり、殺意や敵意が入り混じっている。

 だが、静かだった。テーブルの一つ一つにサイレントがかけられているのだから当たり前だが、それを差し引いても静か過ぎた。
 普通に柄の悪い酒場のような喧騒とは無縁の世界……ここにいる人間は全員が全員一流以上の犯罪者であり、彼らの御用達という事で有名な酒場だった。
 酒場では常に何らかの取引や商談、情報のやり取りが行われており……聞き耳を立てただけで耳が切り飛ばされ、盗みを働けば腕が飛ぶ。
 下手に騒いでそれらを妨害しようものなら、心臓と頭にいくつもの穴を開ける事になるだろう。そういう物騒な場所だった。
 お互い干渉せず、干渉されず。そんな暗黙の了解の下に成り立つ、稀有な場所だった。

 その静かな店の片隅で。
 イカシュミ・ズォースイ……リゾット・ネェロは人を待っていた。
 杖を腰に下げ、パッと見質素ながら高級な服に身を包みその姿は、この店の客層を占める物騒な御歴々の食指を刺激せずにはいられなかったが……からむ人間は一人もいない。
 物騒な人間は、その性質ゆえに同類をかぎ分ける能力に秀でる。その彼らの本能は、リゾットがただの貴族ではなく、自分達と同じ側の生き物だと感じ取っていたのだ。
 それもこの店の客層にも滅多にお目にかかれないレベルの、生半可な軍人や傭兵では絶対に発する事の出来ない気配だ。

 居並ぶ『同業者』達は、男が目を見張る美女を見るかのように、リゾットの一挙一動に注目していた。昨今のきな臭い情勢の中では、裏の世界でも実力者は引く手数多だ。 あわよくば、自らの仲間か部下にできないかと言うぎらついた欲望に晒されたが、リゾットは頓着しなかった。
 ただ、無言で手にしたグラスを傾けるだけである。

「よぉー! イカシュミ。待たせたな」

 酒場の静寂を引き裂き、取引のノイズとなる大声が酒場に響き渡り、その視線の主に視線が集中する。
 皮製のブーツにジャケットと言う、かなり変わったで立ちの男だった。凛々しい顔立ちに整った目鼻……完璧とは行かないまでも、色男で十分通じる人相である。
 『騒音排除』の為に雇われた用心棒は、静かに自分の武器に手を当てた。
 すぐに攻撃はしないが、『次』があったらすぐさま攻撃すると言う合図だ。
 だが……果たして攻撃したところで勝てるかどうか、はなはだ疑問だった。

「静かにしろ」
「……とと、悪ぃな」

 リゾットの静かな忠告に、来訪者は頭を掻いた……その動作に用心棒たちに対する頓着は一切感じられない。
 無視しているのでもなく、気付かないのでもなく、気付いた上で脅威にならないと判断した上での態度だった。
 来訪者はリゾットと向かい合う形で座り、注文をとりに来たウェイターにワインとチーズを注文してから、改めて口を開いた。

「久しぶりだな。イカシュミさんよ」
「……その呼び方はやめろ」
「なんだよ。似合ってんのによぉ……『イカシュミ・ズォースイ』! ンッンー~、いい名前だなこれは!」
「……早く本題に入れ」

 にたにた笑顔を絶やさない来訪者に、リゾットは殺気すら滲ませて先を促した。
 常人なら息を呑むような殺気を当てられても、来訪者は臆さず笑顔を絶やさず、本題に入った。


「『博士』はあんたらの言い値でブツを買い取るってよ。金は近日中に用意できるから、そちらの準備が出来次第取引に移りたいそうだ」

 ウェイターが持ってきたワインをグラスに開けて、来訪者は一旦手を組んだ。
 ハルケギニアには存在しない宗教の作法で祈りをささげる男の姿に、リゾットは何も言わない。

「――最近、昔の相棒が捕まっちまってな。二度と会えねーだろうから、一応」

 聞かれてもいない事に答えて、ワインを煽ってチーズをつまむ……店の雰囲気にそぐわない、貴族が食べるような一級品の代物である。

「……何度も言うが、ブツの売買は別の仲間が担当している。今連絡を取っているところだが……」
「わかってるわかってる。先に買い手がついてるかも、ってんだろ? そんなの耳にタコが出来るほど言い聞かせてるさ。
 ……その時は相手の倍額出す準備があるってよ。呆れた事に」
「……随分と金回りのいい事だな」
「最近、大口のパトロンが見つかったんでな」

 言って、笑いをかみ殺す男。脳裏をよぎったパトロンの姿があまりに滑稽だったからだ。
 アカデミー暴走派にとって致命的となる不正の証拠を握り、『ばらされたくなければ一枚かませろ』とお約束な脅迫をしてきた相手なのだが。
 他の連中は兎も角、『博士』の方は呈のいい貯金箱としてしてしか見ていない。しかも、借金の名目で金を出させるだけ出させたら、とっとと始末してバッくれる腹積もりなのである。
 相手が掴んで有頂天になっている証拠の隠し場所まで把握済みであり、その気になればいつでも相手を処分する事が可能だった。
 ……にもかかわらず勝ち誇った相手の顔と言ったら!

「ともかく、『博士』は本気でそいつを欲しがってるぜ」

 リゾットは無言だった。あくまで用心深いその様子に、男は感心させられる。
 先程から『仲間』とか『ブツ』とか、持てる情報を抽象的にすることで、手札がばれるのを徹底的に防いでいるのだ。
 オールド・オスマンには『アカデミーの人間が自分をフーケの一味と誤解しているから、そのフリをして情報を収集する』とでも主張しているのだろう。
 ここ最近リゾットの周りを調べさせているのだが、何処にもフーケやその仲間らしき影すら確認する事が出来ず、それどころか誰よりも熱心にフーケ捕縛に情熱を燃やす、真逆の立場の人間にしか見えなかった。

 全くの偶然で手に入れた情報がなければ、リゾットとフーケを結びつける事すら出来なかったに違いない。

 どの陣営から見ても『ユダ』に見えないように、かりそめの立場を演じる……それを完璧にやってのけているのだ。目の前の男は。

「……そういう事だから、俺の周りを調べるのはよしてもらおう。話を伝えたくても伝えられない」
「! ……わかった。伝えとくぜ」

 ひやりとさせられる一言だった。
 実はアカデミー側は、売買を担当すると言う仲間に直接交渉する為にリゾットの周りをかぎまわっており……それに釘を刺されたのである。

「連絡が取れ次第、こちらから伝える」

 席を立とうとするリゾットに、男は慌てて声を張り上げた。まだ用事が残っている。

「ああっと! ちょいと待った!」
「?」
「渡すもんがあるんだよ。いわゆる袖の下って奴だ」

 言いながら男が手にした布袋から取り出したのは……一本のワインだった。

「こいつをあんたにってな……『博士』からだ。『シャトー・オーブリオン』の『白』85年ものだと」
「なんだと?」


 手渡されたそれをまじまじと眺めて、リゾットは呻いた。
 飲兵衛のフーケの影響で、やたらとこちらの酒に詳しくなったリゾットには分かる……いや、ワインの知識が無くても、シャトー・オーブリオンを知らない者はいないだろう。ヴィンテージワインの中でももっとも有名な名前だ。しかも、『白』ともなれば……

 トリスティンに限らずハルケギニアで飲まれているワインは、リゾットの世界で言うところの『赤ワイン』が主である……白ワインは極端に数が少なく、希少なのだ。
 昔は赤白ロゼの各種が、リゾットの世界と同じように大差なく飲まれていたのだが、3000年前のある事件を境に白ワインはめっきり数を減らしていた。

 白ワインの原材料となる色素の薄い葡萄に、深刻な病害が発生したのだ。ハルケギニア全土を席巻したその病害によって、白ワインの原材料は壊滅状態に陥った。
 それに伴い、白ワインの価値が高騰し……今では、白ワインというだけで普通の五倍近い値段がするような有様である。

 シャトー・オーブリオンの白ともなれば、高いものとなるとエキュー金貨で4000は下らないという。
 85年物と言えば、メイジの間では有名な伝説があり、余計にプレミアものだ。
 はっきり言って、取引相手への袖の下としては、高級すぎて警戒心を招くような過ぎた代物だった。

「……これを、俺にか。本気か?」

 何をたくらんでいるのか、そんな目つきで男を見返すリゾット……手にした瞬間に、呑んで騒いでしているフーケの姿が脳裏をよぎったのはご愛嬌である。

「あんた達に、だ……まぁ、ここだけの話だが呑む用じゃねーしな」
「何?」
「85の伝説は知ってんだろ? そいつは、その伝説に出てきた『本物』らしいぜ」
「……本気なのは分かったが、正気か?」
「ああ。だからくれぐれも気をつけてくれとさ」

 『本物』なら、気をつけようが無いと思うが。
 リゾットは『博士』とやらが何を考えてこんな代物をよこしたのかますます分からなくなった。転売して金にしろとでも言うつもりなのだろうか?
 確かに、『本物』ならば相場の倍で売っても文句は出ないだろう。

 あるいは、この品の流れからリゾット達の使う販売ルートを探ろうと言う腹なのだろうか?
 相手の思惑が全く読めず、リゾットは胸中に沸き立つ不安を抑えきることが出来なかった。

(騒ぎの種にならなければいいが……)

 ……結果から先に記そう。
 このときリゾットが抱いた懸念は、エピタフも真っ青な確立で的中する事になる。
 確かにこのワインは騒ぎの種になった……それも、学院中を巻き込むような大騒ぎを巻き起こすのだ。


 雲ひとつ無い青空に、太陽だけが孤独に、しかし暖かくその姿を誇示していた。
 陽光が髪を程よく暖めて、頭蓋骨の奥にある脳髄に至るまで温もりを与えてくれる。
 その恩恵は気温や衣服にも及び、全身を包む陽気は心地よく神経を愛撫し、横になって瞼を閉じればそのまま夢の世界に旅立てそうだった。

 その日、平賀才人は暇だった。何をするでもなく相棒のデルフ背負って、ボーっと広場の片隅で日向ぼっこをしている。
 いつアカデミーの手の者がやってくるとも限らない危機的な状況の中で、暇があるなら訓練でもするべき……そう考えていた時期が才人にもありました。
 事実、つい昨日まではスポコン漫画顔負けのハードトレーニングを繰り返していたのだが。
 それを塗り替えたのは、朝の特訓を終えた才人、ギーシュ、ルイズの三人に対して、医務室勤務のメイジが送ってくれた言葉だった。

 『傷つけられた筋肉は、回復する事で以前よりも太くなる』……ようするに、運動したら休めと言う単純な話。
 たったそれだけの事に、才人は眼を見開かんばかりにして驚いた。その後メイジが聞かせてくれた理論は、才人達の世界で言うところの『超回復』の理論そのままだったのである。

 才人自身、漫画で聞きかじっただけの知識だったのですっかり忘れていたのだが……メイジの言葉でその概念を完全に思い出し、文明的に遅れていると思い込んでいたハルケギニアに、『超回復』の理論が存在する事そのものが、才人に衝撃を与えた。

(思った程、遅れてないのか?)

 無意識のうちにハルケギニアの文化を低く見ていたことを自覚し、才人は頬を掻いた。

 休めと言われたのだから、大いに休ませて貰おう。こんな時間からゴロゴロ昼寝だなどと、普段ならばご主人様の雷が落ちるところだが……幸いと言うかなんと言うか、今日は彼女も自室でグロッキーだ。雷を落とす元気など余ってない。
 ……おせじにも逞しいと言えない彼女が、肉体派の二人と同じ勢いで特訓などしたのだから、当然の結果ではある。
 体を鍛えていないと言う条件はギーシュにも当てはまるのだが、そこは流石は男の子と言ったところか。少なくともルイズのように過労死体になってはいない。過労死体には。
 ……他の女性に鼻の下伸ばしたのを目撃したモンモランシーの手によって、撲殺死体である。今頃は、医務室でうんうん唸っているはずだった。

 暖かい日差しと昨日から続く疲労……二つの要素が重なって、才人の意識をまどろみの向こうへと誘おうとしている。
 しかし、微熱の少女の誘惑よりも強力なその誘いを、才人は受け入れようとしなかった。

 理由は簡単……睡魔以上に気色の悪い感覚が、彼の皮膚で蠢いていたのである。

「うへぁ……」

 皮膚と服、双方の設置面に感じられる、ねばついた感触……朝の特訓で流した汗の残滓だった。
 いくら疲れているとはいえ、こんな状態で眠っても熟睡できるとは思えない。
 どうせ休むのならば、これ以上ない状態で休みたいのが、才人の正直な欲求だ。

 もといた世界でなら風呂に飛び込み体を洗えばそれで終わりなのだが、ところがどっこしここはハルケギニア。才人のいた東京とは文化も違えば時代も違う異世界である。 現代日本で慣れ親しんだユニットバスなど存在するはずもなし。
 お湯を張って漬かる風呂もあるにはあるが、貴族専用平民お断りの高級品。
 平民にあてがわれる風呂と言えば、サウナで流した汗を水で洗い流すと言う、現代日本人の神経にはなはだ優しくない、一度入っただけで嫌になるような原始的な代物だった。

 今までは贅沢を言わずに使っていたが、折角公認で怠惰を満喫できる機会、思う存分贅沢をしたくなるのが人情と言う者だろう。

(とはいえ、風呂なぁ……)

 最初はギーシュに頼んで貴族用の風呂にでも入れさせてもらおうかなどと思っていたが、頼みの綱が撲殺死体になっているので頼みようがなく。
 どうしたものかと、寝転がったまま首をかしげ……傾いた才人の視界に、でかくてまるい何かが移りこんだ。
 厨房の片隅に立てかけられた、でっかいお釜……風呂と大がま。ハルケギニアでは無関係極まりない双方を結ぶ単語が、才人の脳裏でひらめいた。

(釜……? おお! 五右衛門風呂!!)

 降って沸いた贅沢の種に、才人は横たえていた体を跳躍させ、特訓の疲れを感じさせない動きで走り出した。


 全身の筋肉をつたい覆う痛みに、ルイズはベッドの上で唸っていた。
 彼女はひたむきな努力家であり、徹夜の勉強など日常茶飯事。その上で他者にそれを悟られぬように、眠いそぶりを見せず授業に出る事も多々あった。
 己の努力の結果生じた弊害に耐える美徳が、彼女にはあるのだが。
 その彼女をして耐え切れないほどの、それは苦痛だった。いや、耐性がないというほうが正しいかもしれない。
 彼女が行ってきた努力と痛みは、勉学とそれによる眠気であり、今味わっているような痛みは全くの未知の領域だった。

 その正体は、『筋肉痛』。
 少しでもスポーツしたり、体を使ったりした人間なら誰でも体験する、アレである。

「あ、あの馬鹿犬……!」

 そもそもの元凶は、才人が自分達の特訓にルイズを誘った事だった。

 使い魔である才人がアカデミーから狙われる以上、ルイズも無関係ではいられない。
 彼女の抱く貴族の理想像は、厄介だからと言う理由で使い魔を見捨てたりはしないし、使い魔に守られっぱなしなのも良しとしなかった。
 最近自分の失敗魔法を活かす道を見つけ出したこともあって、ルイズは以前よりも一層成長するための努力に貪欲になっていた。
 才人からの特訓の誘いを断る理由はなかったために、二つ返事で付き合ったのだが。

 簡潔に言うと、彼女はマヌケだった。ようやく自分の魔法に自信が持てたせいで舞い上がっていたオオマヌケだった。
 メイジと武器を手にして戦うメイジ、肉体資本の近距離パワー型スタンド使い……相互の性質の違いに思い至らなかったお間抜けさんだった。

 熱血スポコン漫画よろしくダッシュから始まり、とことんまで肉体を追い詰める特訓内容に、線の細いルイズがついていけるわけが無い。
 途中でギブアップすればいいモノを、生来の負けず嫌いが災いして最後まで付き合った結果……参加一日目で屈辱のギブアップをする羽目になり、翌日の今日、朝の特訓の直後に疲労と筋肉痛で動けなくなったのである。

 部屋中を包む薬品の匂いは、ルイズの体に張られたシップを中心になおも広がり続けている。自分がこんな状態だというのに、彼女の使い魔はさしたる疲労も見せていない事実が、ルイズを苛立たせるのだ。

 これでは、自分よりも才人のほうが優れているみたいではないか。

 肉体派の戦士と頭脳派のメイジを比べる愚を理解してはいても、そう思わずにはいられなかった。
 最近の才人は……はっきり言って凄い。
 『灯の悪魔』や『黄の節制』との戦いで見せた動きは一級の戦士でも色あせるほどに凄まじいものだったし、星屑騎士団の精鋭達から手ほどきを受けたせいか輪をかけて凄くなった。
 今の才人なら、ラインやドットクラスなどものの相手ではないだろう。それに比べて自分はどうだ。

 イカシュミの指導の下大分マシになったとはいえ、彼女の爆発を応用した戦術は、実戦に耐えうるものではなかった。錬金以外の魔法だと狙いが定まらない。
 肝心の錬金は、動き回る対象を錬金することが出来ず、石を使った『爆弾』も一度タネを見られてしまうと対応されてしまう。

 どんどん強くなっていく才人と、立ち止まったままの自分。
 日を追うごとに開いていく距離に、ルイズは名状しがたい感情に襲われ、嘆息した。


 トリステイン魔法学院の門はお世辞にも堅牢と言えるつくりではなく、その警戒は厳重でもなかった。
 衛士が24時間在中しているが、そこに覇気は無く文字通りいるだけの存在であった。貴族の子弟が通う環境と、その家門による威光が、関係各位の危機意識を著しく下げていたのだ。
 『まさか、学院に族が進入するはずが無い!』と、そう思っていたのである。

 それらの事実が過去形と扱われるようになったのは、つい最近の事だった。
 フーケの姫殿下に対する大逆と宝物庫荒らし、ラバーソールによる貴族子弟への傷害事件……相次いで学院内で引き起こされた犯罪は、貴族の名誉を著しく傷つける結果となったのだ。
 貴族であるメイジの通う学院が、薄汚い平民によって踏み荒らされ、害された事実に、宮廷のおわす『自称・良識者』の面々は自分達の油断と責任を忘却の彼方に押しやって、激怒した。

 その結果が、現在の有様である。
 城門には6時間交代制で常に殺気立った衛士が張り込み、出入りするものは手荷物から素性まで徹底的にチェックされる。
 例え身元が確かなものでも前もって連絡が無ければ、入る事まかりならぬという厳戒態勢であった。

(さて。どうしたものか)

 城門をくぐって帰還したリゾットは、たった今チェックされた荷物を扱いあぐねていた。
 シャトー・オーブリオンの白。85年の『本物』。
 ワインの体裁は保っているものの、れっきとした危険物の一種であり、誰かに飲ませれば犯罪が成立してしまうような代物である。
 売ってしまえば話は早いのだろうが、ものがものだけに品物の流れが判明してしまう可能性が高い。盗賊の一味としては売買ルートがばれるような真似は自重したかった。
 売り払うわけにも行かず、呑むわけにも行かず、実に扱いに困る代物である。

(とりあえずは……)

 『リゾット・ネェロ』が、『イカシュミ・ズォースイ』の仮面を被る。
 気分を入れ替え教師としての態度で広場を歩きながら、ふと違和感を覚えた。

 普段ならそこに見えるべき光景が、無かった。
 走り込みに素振り、組み手にと汗を流すギーシュと才人……事情を知らない人間たちからは奇異の目で見られる二人の姿が見当たらないのである。
 何があったのかといぶかしむリゾット……別に教師としての愛情に目覚めたわけではないが、毎日繰り返されていた光景が無いと言うのはどうにも落ち着かないものだった。

 ギーシュと才人。
 二人の事が脳裏をよぎった際に、リゾットは奇妙な事に気づいた。
 つい先程町で会って来た男……アカデミーからの使者の口から、二人に関する言葉が一切出てこなかったのである。
 傭兵を雇って犯罪行為に走るほどに欲していたと言うのに……協力しろとまではいかないまでも、話題にくらいは上らせるべきではないだろうか。
 あえて触れない。その事実こそが、ことさら不自然だった。

(……一応、報告しておくか)

 考える間もリゾットの足は止まることなく、学院長室に向かって動き続けた。


 それは、久しく忘れていた類の感覚だった。
 戦場の空気とか、殺気とか……そんなご大層なものではない。目の前にうずたかく詰まれた書類の量、それが発する圧迫感に、オスマンは眉を潜める。

(全く、老体に鞭打ちおって)

「のぉ、ミス・ロ……」

 自分が仕事を溜め込んだ事を棚上げして愚痴を吐き……それを聞くべき相手がいない事を思い出した。

『オールドオスマン。使い魔を使ってスカートを覗くのはやめていただけますか?』

 彼のイタヅラにクールに応対する秘書は、もういない。彼が求める美しい声の持ち主は、その声を含めたすべてを失って久しいのだ。

 ミス・ロングビル。
 オスマンの間近でセクハラの被害を受け続けた、有能な秘書。
 彼女は、本来失われるべきでないその命を、理不尽に散らされていた。

「……どーも、いかんのう」

 オスマンは嘆息する。その視線と声にこめられた哀愁は、普段の好々爺からは連想すら難しい湿ったものであった。
 散々セクハラしておいて、どの口が言うのかと思うかもしれないが……オスマンは彼女の事を本当に大切に思っていた。
 恋人とも違う、娘とも違う、奇妙な感情ではあったが……
 セクハラして、蹴られて、踏まれて、逃げて、怒られて。
 一連の威厳を削る行為は、オスマンのライフサイクルに組み込まれていたと言っていい。正直なところ、とても愉しいやり取りだった。
 その名残だろうか。こうやって、いないはずの人物に話しかけてしまうのは。

 胸元で十字を切り、短く黙祷してから、溜まっていた仕事の処理に取り掛かる。
 有能な秘書を失った事で、オスマンの事務処理能力は眼に見えて落ちていたが……新しい秘書を雇おうとは思えなかった。

 雇ってしまえば……それこそ本当にミス・ロングビルの居場所が無くなってしまう様な、そんな気がして。

 女々しい自分の考え方に苦笑するオスマン……学院長室のドアがノックされたのは、丁度そのときだった。

「オールド・オスマン。ズォースイです」
「! おお、ミスタ・ズォースイか。
 入りなさい」

 沈んでいた表情で至高を瞬時に切り替え、オスマンはペンを置いた。間をおかずに扉が開かれて、イカシュミ・ズォースイが室内に入ってくる。

「情報収集の報告にあがりました」
「して、状況は?」
「相変わらず、俺の事をフーケの一味だと誤認したままです……仲間に連絡を取ってみると、お茶を濁しておきましたが、疑っている様子はありませんでした」
「ふむ……そうか。まだ疑ってはおらんようじゃな。
 あまり深入りしすぎんようにな。ワシの指図で動いておるとばれたら、何が起こるかわからん」
「かぎまわるな、と釘を刺しておきましたから、しばらくは大丈夫でしょう。
 ……俺も、元々は傭兵です。いざと言う時の荒事にはなれています。ご心配なく。
 今回の交渉では、何故か平賀才人とギーシュ・ド・グラモンについて言及されず……交渉で値段を引き上げてみたところ、興味深い情報が入手できました」
「ほう?」
「『もの』の値段をこの程度とふっかけてみたのですが……」


 DISCの名前は出さない。イカシュミはその名前の事を知らされていないのだから。
 オスマンは彼にDISCの具体的な情報は与えず、『破壊の杖に隠されていたもう一つの秘宝』という扱いで調査を進めさせていたのである。
 言いながらズォースイが提示した金額に、オスマンは眼を見開いて止まった。

「…………」
「……オールド・オスマン?」
「あ、い、いやその」

 再起動を果たしたオスマンは、咳払いを一つした後、

「……吹っかけすぎじゃないかのぉ。『もの』の相場の、倍近いんじゃが」
「倍? 俺は三倍を想定してふっかけたつもりなのですが」

 オスマンとリゾット、両名のこの言葉は、嘘である。
 提示された金額はDISCの価値としては至極全うなものであり、オスマンが面玉ひん剥いて驚いたのは、リゾットが正当な価格をつけたことに対して。
 リゾットの言葉は、DISCの事を知っているのではないかと言う情報を勘繰られない用心の産物。
 全ての真相を知るものがいれば、空々しさを感じずにはいられない会話であった。

「問題は、倍率ではなく連中の返事です。
 連中は、この金額を『出せる』と言いました。他に買い手があるのなら倍額を出すとまで」
「……!? なんじゃと!」

 今度は、腹に隠すものが何一つ無い驚きが、オスマンを襲う。
 『全部』……複数存在するものに対してこの金額を支払う事が、どれだけの出費になるのか! メイジとして知られたオスマンですら想像ができない世界である。

「……それは、間違いないのかね?」
「直接交渉しに来た男は、まず間違いなくこの道のプロです。取引で嘘をつくほどマヌケではないでしょう……大口のパトロンがついたと言っていましたが……」
「君にあっさり教えるという事は、調べてもそう簡単にはわからんようにしてあるじゃろうなあ……」
「あるいは、使い捨ての財布扱いなのか」
「ふむ」
「こんなものを送ってくるところを見ると、かなりの資金源が想定されます」

 言って、リゾットは手にしたものをオスマンのデスクに置いた。
 おかれたワインのビンをいぶかしげに眺めるオスマンだったが……そのラベルに書かれた文字を読み解くにつれて、その顔がこわばっていった。

「しゃ、しゃとーおーぶりおん……」
「白の85年もの。伝説の本物です」
「しかも本物か……君が吹っ掛けたのと同じくらいの金にならんか? これ」
「なりますね。おそらくは」
「…………潤沢、なんてレベルじゃねーの。資金源」
「はい……国から支給される予算だけではないでしょう。 状況的にも、連中にパトロンがついたことは確かです」
「むううううう……」

 上級貴族でも滅多にお目にかかれないヴィンテージを前にして、オスマンは唸り声を上げた。想像以上の敵の規模に、最早言葉もない。
 おかしな話だが、オスマンは今の今まで、アカデミー暴走派をトリステイン王国国営の研究所だと言う認識を持っていた。
 実状は兎も角として、王宮から賜った予算で動いているという認識だ。
 予算が打ち切られれば動きが取れなくなって、必ず尻尾を出すだろうと考えていた……甘い予測だったと言わざるを得ない。
 連中は王宮の命令を聞かないばかりか、資金に至るまで王宮の支配を逃れている……そんな連中に対して予算をカットしても、焼け石に水だ。

 間違いない。
 『アカデミー』は、完全に王国直下の研究機関という枠組みすらも踏み外し、暴走している……!

「こりゃ……とてつもない規模なのかもしれんのう。相手の具体的な人数が知りたいところじゃわい」

 この金額をほいほい動かせる上に、袖の下にこんなものを持ってくるような資金……人数によっては下手な犯罪組織よりも厄介な存在となるだろう。
 オスマンのつぶやきに、リゾットは生真面目な表情で一つ頷いて、

「……調べましょう」
「頼む。
 ……ああ、このワインは君のほうで保管してもらえるかの」
「わかりました」

 ズォースイに異論は無かった。こんな得体の知れないものを売ったり使ったりするぐらいなら、保管したほうがましである。

「売るなりコレクションするなり好きにして構わんが……くれぐれも、使ったりせんようにな」
「……学院長」
「流石に冗談じゃよ。保管するんなら、わしからマルトー君に話をしておこう。厨房のワインセラーを使うといい。
 いかにいわく付とはいえ、これほどのワインを不用意に扱って酸化でもさせた日には夢見が悪いからの」
「助かります」

 ……二人は後日こう述べる。

 『あの時、止めておけばあんな事態にはならなかったのに』と。


 まず、Uの字型の台を作ってその上に古い大釜をのせる。そして火をつけてお湯を張り、底板を落として風呂にする……文章にすればたったこれだけの行動である。
 しっかりとした土台を作るのには手間がかかったものの、風呂そのものが完成するまでにはそんなに時間はかからない。
 それ以上に余計な部分に時間をかけ、背中を預けられる木製の背もたれや、脱衣所まで自作する始末だった。
 平賀才人。贅沢すると決めたら、とことんまで贅沢する男である。

 結果として入浴は夕方になってしまったがそれは幸運だったと言うべきだろう。
 人が余り来ないヴェストリの広場の隅とはいえ、360度晒し者の風呂に日中から入浴するのには、結構勇気がいる。
 遅い時間帯だからこそ、羽を伸ばしてのんびり出来るわけで。

「っはぁ~~! 生き返るぜこりゃあ!」

 何処から持ってきたのやら。
 タオルを頭に載せ、鼻歌歌って、いかにも極楽を満喫してますと言う表情の才人だったお盆に徳利お猪口載せて渡したら、未成年の分際で酒盛り始めそうである。

『いい気分なのはいいがな相棒。こういうのはこれっきりにしてくれ……』

 不満そうな声を上げるのは木材の切断やら釘打ちやら……風呂場の構築に不本意な形で協力させられたデルフリンガーである。
 特訓の汗に加えて、この風呂を作るのに流した労働の汗も一緒くたに洗い流せて、ご機嫌な才人だった。そんな彼の鼓膜に、雑音など入るはずも無く。

(どーしたもんかねー)

 やたらと上機嫌な相棒の姿に、デルフリンガーは言葉を捜すのに苦労していた。苦言を呈する以上に、伝えなければならない重要な話があるというのに……

 才人の持つルーンの力……これについて、思い出した事があるのである。
 武器を手にすることで持ち手の身体能力を引き上げる力を持っている代物で、その事自体は才人の周りにいる殆どの人間が理解しているだろうが。
 問題なのは、その発動の仕方だった。確かに、今の才人はルーンの力をほぼ制御しきっているのだが、『認識』しなければ能力を発動させる事ができないのだ。

 本来、ガンダールヴの能力は武器を手にすることで自然に発動するものであり、そこに術者の意識が介入する余地はない。
 今の才人のように意識して力を発動させるなどありえないはずだった。
 ガンダールヴレベルの高速戦闘の中で、『認識』と言う過程は致命的なタイムラグを生むだろう。そういう意味では才人のガンダールヴ能力は不完全なものといえる。

 ギーシュが教えた『まず力があると確信する』という言葉が原因になった、歪みだった。あの時あの瞬間では理想的なアドバイスが、時を経て大きな障害と化している。
 かといって、一度覚えてしまった能力の使い方を、一から覚えなおすのは困難だったし、今の才人にそんな余裕は無い。
 覚えなおしている間、恐らく才人の戦力はがた落ちになるだろうし、その間に襲撃されたら眼も当てられない。

(ほんと、どーしたもんだろーね)

 言うべきか言わざるべきか。
 軽々しく扱えない大きな問題に、デルフリンガーは低く唸った。



 夕焼けに照らされるヴェストリの広場を、とことこと歩く人間が一人。夕日に引き伸ばされた長い影を引き連れるのは、学院付のメイド、シエスタだ。

(才人さん、一体どうしたのかしら……)

 思うのは、己の想い人である少年の事だった。
 平民で使い魔というかなり代わった出自の持ち主ではあったが、最近の彼は特に風変わりな人物となっていた。
 ご主人様の事もほったらかして、メイジのギーシュと一緒に特訓特訓。しつこいほどに自己鍛錬を繰り返しているのだ。
 珍しいなんて門じゃない、口の悪いメイジの仲には、そんな二人を気でも違ったかと笑う者もいるのだ。
 いつも才人の事を見ているシエスタには分かる。笑い話にするには、特訓にいそしむ才人の姿はあまりに必死すぎた。

 当たり前の話だが、シエスタはアカデミー関連の騒ぎについて、完全に蚊帳の外だった。
 無理も無い……学内でも知るものの少ない騒ぎの情報を、一メイドが知りえるはずが無いのだ。
 それ故に、アカデミーに対抗する為の特訓が酷く不自然なものに見えてしまい、その必死さを心配する事しか出来ない。

 一体、何故そんなことをするのか。強くなるため? だとしても一体何故……その原因を、シエスタは全く知らない。
 恋する乙女である彼女にとって、想い人の情報で知らない事があるというのは、とても辛い事だった。
 ましてや、アレほどまでに極端な変貌の理由ともなれば、知りたいと思うのは当然だろう。

(私じゃあ、相談に乗れないんでしょうか……)

 気分転換にと散歩に出たシエスタだったが、気分は鬱々と沈むばかり……恋する乙女の悩みは、散歩ぐらいで軽くなるような生易しいものではないのである。
 まさか直接聞くわけにもいかず、シエスタは嘆息し……

「……あら?」

 その視界に大釜が飛び込んできたのは、丁度その時だった。



 大釜。
 厨房などでは良く見かけるものだが、広場の片隅にででんと置かれるようなものではない。
 その大釜は先日マルトーが捨てようとしていた古いものであり、それがこんな場所で火にくべられているというのは、なんとも奇妙な話だった。
 鍋自体から沸き立つ大量の湯気からして、お湯が沸かされているようだったが……

「……なにかしら、これ……」

 不思議がりつつも好奇心には勝てず、恐る恐る釜に近づくシエスタ……

「ん? 誰だ??」

 その湯気の向こうから声が返ってきた時、シエスタはまず幻聴を疑った。
 だって、想い人のことを想像している時に想い人本人が目の前に現れるなど、いつの時代の絵物語なのだろうか。

「才人、さん??」
「シエスタ!?」

 確かめるようにつぶやいた言葉に対する返事を耳にして、シエスタはこれが現実なのだと認識した。眼凝らせば湯気の向こうで湯船に漬かる才人の姿が見て取れる。

「これは一体……? 何をしてらっしゃるんですか?」
「な、何って、お風呂だけど」
「お風呂……ですか? サウナ風呂じゃなくて?」
「うん」

 タオルで股間を隠しながら答える才人に、シエスタはその顔に血流を集中させ、真紅に染める。自分が相手の風呂を覗いているという事実に気付いてしまったのだ。
 恥ずかしげに眼を逸らし、

「こ、こんな早い時間にお風呂ですか」
「……これでも、結構時間かかったほうなんだけどな」

 ポリポリと頬をかきながら、才人はつぶやく。


「朝の特訓の後、医務室の先生にしばらく休めって言われたんだ。だから、どうせなら派手に休んでやろうと思って」
「それで……お風呂?」
「ああ。さっぱり汗を流したかったし」

 言いながら浸かる才人の体は、思った以上に逞しい者だった。
 引き締まった筋肉は最近の特訓で作られたものなのだろう……間近でそれを見たシエスタは、照れる以前に息を呑んでしまった。
 そして思い出す。この肉体を作られるために流されたであろう汗と、それを流させた特訓の事を。
 まあ、そのことに悩んでる真っ最中に当の本人が目の前に現れたのだ。連想しないほうが可笑しい。

 何故、彼はこれほどまでに体を鍛えるのか? 最近になって特訓などし始めたのは何故なのか? まさか、ルイズに強要されているのでは?
 いくつもの疑問が、シエスタの脳裏で水疱の如く浮かんでは消える。まさかその全てを口に出すわけにもいかず……

「あの、才人さん?」

 何故、そんなに必死になっているんですか?

 搾り出そうとした問いは、気が付けば全く別の問いかけへと変容していた。

「……何か、欲しいものありますか?」
「え?」
「い、いえ! なんというか、お風呂上りに飲み物でもお持ちしようかと……!」
「あ、ああ……」

 いきなり飛び出したシエスタからの申し出に、才人は一瞬躊躇した後に、

「……じゃあ、冷たい飲み物でも」
「は、はい! よく冷えたワインですね! すぐに持ってきますので」

 シエスタは真っ赤になった顔を隠すように、慌てて踵を返し――

「! 危ないシエスタ!」
「へっ?」

 溢れたお湯でぬかるんだ地面に足を取られて、派手にスッ転んだ。
 どべちゃ、と鈍い音がして、純白のエプロンに泥の花が咲く。

「……わわ、やっちゃったぁ……」

 起き上がったシエスタは、自分のメイド服の惨状を見て、目じりに涙を浮かべた。
 このメイド服は学園側からの支給品であり、汚せば責任者である部屋長から特大の雷が落ちることになるのだ。

「部屋長さんにまた怒られちゃう……」
「だ、大丈夫か? シエスタ」
「は、はい」

 自分を案じる才人の声を嬉しく思いながら、シエスタは身を起こして……そこで、悪魔の囁きを聞いた。

『あーあ、ぐちょぐちょだなお嬢ちゃん……どうだい? 相棒と一緒にひとっ風呂浴びたら』

 その悪魔の名前は、デルフリンガーといった。

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