ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

ゼロの兄貴-36

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匿名ユーザー

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ゼロ戦&少年こと『平賀才人』をルイズが召喚してからしばらくたったが、その肝心の才人が何故か全身包帯の半ミイラ状態でルイズの部屋で寝ていた。
「…ヘンなやつよねこいつ。あいつみたいにスタンドってのも無いのに意地張っちゃって」」
「まー、兄貴の二代目としては何とか合格ってとこだな」
「……あんたが最初ちゃんとやってれば、こんなことにならなかったのよ」
ルイズの目が少し赤いのは寝不足だからだというわけでもないようだ。
「あれだけうるさかったのが、鞘から抜いても全然話さなかったのに」
抜けば要らない無駄口をあれだけ叩いていたデルフリンガーが、あれから一言も口を利かなかったのだ。
「あー…まぁそりゃあな」
それを最後に一人+一振りが押し黙り沈黙が流れる。

少し時間をバイツァ・ダストするが、通称『悪魔の手のひら』こと『ヴェストリの広場』で才人と一人のメイジを囲むようにギャラリーが出来ていた。
まー、何故にこのような状況になったかというと、早い話『決闘』というやつである。
なお、『悪魔の手のひら』の由来は、ギーシュの首を掴んだ見えない悪魔の手という事からだbyマリコヌル

原因は、この『ヴェストリの広場』を『悪魔の手のひら』に変えた者。つまるところプロシュートにある。
才人には全く以って関係無いのだが、平民が貴族を決闘で斃したという事は他の貴族にとっても非常に屈辱的な事だった。
だが、グレイトフル・デッドの能力と現役暗殺者のプレッシャーもあり手が出せないでいた。
それ程ギーシュの死に様は凄まじいものだったのである。

で、そこに新たに現れたのが才人だ。最初こそある程度警戒されていたものの
マジに平民と変わりないという事で、前々から良く思っていなかった生徒が決闘を仕掛けた。
一応、ザ・ニューガンダールヴ!という事も知っていたルイズだったが、相手はギーシュとは違うトライアングル。
ド平民という才人を止めはしたが、当人の性格的が負けん気が強いあたりルイズに似ている事もありホイホイついてきてしまったのだ。

ちなみにこのルイズ、一巡した世界というわけではないが、精神的にある程度鍛えられた事もあり寝床はともかく
才人の食事面や雑務などの扱いはかなり良い方だ。そんな事もあり才人のルイズに対しての好感度は結構高めである。
これで胸も多少あれば、のっけから惚れてたんだがナ、というのは初見の感想だ。
もっとも一番好感度を上げていた理由は『謎の組織の工作員で血も涙も無い殺戮マシーン』に殺されかけていたところを助けられたから、という事だが。
召喚され、当面帰れそうにない事と使い魔という事を聞かされた時は凹んでいたが
後ろに┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨ ┣¨┣¨┣¨┣¨という文字を出しながら迫ってくる金髪の殺し屋。
胸は『虚無』だが桃色の髪の美少女。一般的な価値からすれば、どっちを選ぶのは自明の理だ。いや、前者選ぶ人も居るけど才人は後者だ。
そのため、立ち直りは非常に早かった。

「いいのかい?逃げないでホイホイ着いてきて。俺は平民でも容赦しない男なんだぜ?」
「うるせぇ、誰が逃げるか」
才人がデルフリンガーを持っているが、止める気が無い事を悟ったルイズから渡されたものだ。
「ほんとに…!使い魔のくせに言う事聞かないんだから…何の力も持ってないくせに、そういうとこだけあいつに似て…
  はぁ…いいわ、やるならこれ使いなさい。べ、別にあんたの事を心配してるわけじゃないわよ!あんたはわたしの使い魔で『ガンダールヴ』なんだから!」
『あいつ』というのは気になったが、才人の頭の中に『お美事にございまする』という声が聞こえた程のクリティカルな台詞であった。
2分後
ヘナップ!もうホントごめんなさい。と言わんばかりに直撃を喰らった才人が倒れていた。

「ん?もうかい?ヴァリエールの使い魔のクセに意外に早いんだな」
確かに才人はガンダールヴだったが、その強さはテンションの高さによって変わるものだ。
魔法の事なんぞこれっぽちも知らない才人であるが故に
少しばかりそれが足りないでいたというのもあるが、デルフリンガーが魔法を吸わなかったのが最大の原因だろう。
(な、なんでプロシュートが使ってた時みたいに魔法を吸わないのよ…!)
焦ったのはデルフリンガーを渡したルイズだ。デルフがあればこそ決闘を許可したのだが、こうはなるとは思っていなかった。
才人が立ち上がろうとするが、もうスデにボロボロで、その脚は生まれたての仔馬かパンチドランカーのようである。
「へへッ…!誰が早いだって…?まだゴングは鳴っちゃいねぇ…俺はまだ世界を獲れるぜ…!」
最終ラウンド2ダウンを取られたボクサーのような台詞を聞いたルイズだが、完全にダメだと思った。頭だ。頭を打っている。
「まだ立つのか。…いいこと思いついた。お前、俺の下僕になれ。そうすれば許してやる」
「…とっつぁんよぉ…ちょっと油断しただけだ。良いパンチだったけど誰がお前みたいなムカつくやつの下僕なんかになるかよ」
「ああ…そうか。次は『ウィンド・ブレイク』だ」
風に吹っ飛ばされ壁に打ち付けられ一瞬意識が飛ぶ。ただまぁ、そのおかげで思考が正常に戻ったのだが。
「痛ぇ…参ったな…マジに魔法かよ…」
「サイト!もういいわ…!そこで寝てなさい!あとはわたしがなんとかするから!!」
ブッ倒れている才人の前にルイズが立ったが、鳶色の瞳は潤んでいる。
okこれもド真ん中クリティカルだ。そんな事を思いながら立ち上がろうとしたが、止められた。

「もういいわよ…だからそこで寝てて。わたしが召喚したせいでこんな事になってるんだから…わたしが『責任』とらなきゃいけないのよ」
暗殺者から教えられた行動に伴う『覚悟』と『責任』。短いような長いような時間だったが、少なからずそれを学習していた。
「あんたになにかあったら、プロシュートに何言われるか分かったもんじゃないんだから!」
「…誰だよ、そのプロシュートってのは」
「か、関係無いじゃない!もういいから…!ね!」
現在、心の直撃弾受けっぱなしの才人にとって、それはかなり気になるところだ。言うなれば、対抗心発動というヤツである。
それに伴い、体の痛みが少し和らぎ、剣を杖代わりに立ち上がる。
「…どいてろ!」
ルイズを押しのけ相手に向かうが、もうスデに詠唱を完了していたのか相手が杖を振り振り上げていた。
「そうか。それじゃあ…トコトン相手してやらないとな」
杖を振り下ろすと不可視の風の刃『エア・カッター』が才人目掛け飛んだ。
だが、杖が振り下ろされた時点で立ち上がったルイズが再び才人の前に立っていた。

ルイズ自身、前では考えられない行動だったが、考えるより先に行動していた。
(結構、影響されてたのね…)
そんな事を考えて目を閉じたが、ルイズ自身は再びサモン・サーヴァントが成功したという事がどういう事かを考えていた。
サモン・サーヴァントは使い魔が死ぬまで行う事はできない。つまり、単身組織に闘いを挑み死んでしまったと思った。
そんな思いもあり、そう行動させたのだが再び突き飛ばされ地面に倒れる。
自分が居た場所に目を向けると、才人が居た。
元より高速で疾る風の刃だ。事前に読んでいれば別だが、軌道に自ら突っ込んだような形ではテンションMaxのガンダールヴでも到底回避できない。
「サイト!」
思わず叫び、切り裂かれる光景に目を閉じたが、誰のものでもない極めて軽い別の声がした。

「『使い手』としては兄貴には及ばねぇけど、相棒としては合格ってとこか」
「剣が喋ってる!?」
「よぉ二代目、デルフリンガー様だ。これからよろしくな」
「…ああ、あんた!うんともすんとも言わないで今まで何やってたのよ!!」
「仕方ねーだろ。ただ『使い手』ってだけで使われたくなかったんだからよ」
武器屋での事は思いっきり忘れているが、まぁこっちも成長はしているのだろう。
「それじゃあ、相棒。さっさと終わらせちまおうぜ」
その言葉と同時にルーンが最も光り体の痛みも全て消えた。

で、時間がキング・クリムゾンし冒頭に戻る。
「兄貴は精神力とかが半端無かったかんなー」
もうすっかり思い出話になっているような形で話していたが、今の使い手はプロシュートではなく才人だ、と思っているのだろう。
と、そこに寝ていた才人が何か苦しそうな声をあげた。
「う…あ…スイマセン…スイマセン…スイマセン!」
何やら謝っているようだが、その声が尋常ではない。
秘薬で治療はしたが、容態が悪化したのかと思いルイズがテンパっているが、なおも声は止まらず呻き声に変化した時は焦ったッ!


「ちょ…!なんだよあんたら!」
そう叫ぶ才人は6人の男に囲まれている。
ハッキリ言ってそのプレッシャーはとんでもないものだ。
踵を返し逃げ出そうとしたが、鏡を踏んだと思ったら何故か首だけの状態になっていた。
「なな、なんだよこれ!」
「お前の首から下のみ、入る事を許可したッ!」
ワケが分からない。さっきまで剣を握って広場に居たはずだ。これも魔法なのか!?と思ったが、目の前の男達は貴族みたいに杖を持っていない。
「ヒラガサイト…天国・地獄・大地獄・天国・地獄・大地獄…喜べ、ディ・モールト良かったな!こいつお前と同じ大地獄だぞ!」
奇妙なパソコンらしき物を持った男が自分のノートパソコンを慣れた手つきで動かしながら個人情報を漁り愉快そうに叫ぶ。
「あ、あまり喜べねぇよ…」
そう言うのはパイナップルのような髪型をした、これまた妙な体型の男が釣竿を持っていた。
「しょぉぉ~~~がねぇ~~~なぁ~~~まぁ、これからあいつと付き合うってのならそれぐらいが丁度いいかもしれねぇがなァ」
どこからともなく、一人では持ちきれないであろうオーディオセットを取り出したのはソリコミが入った坊主頭の男だ。
「根堀り葉堀りの葉堀りってよぉ~~~…去年散って地面に埋まった葉っぱを掘るって事らしいんだが…
  掘りってのは分かる……スゲーよく分かる……掘らなきゃ埋まった葉っぱは見付からないからな…
  だがそれなら、なんで『地堀り』っていわねぇんだよォォォーーーーーッ!それって納得いくか~~おい…オレはぜーんぜん納得いかねぇ…
   ナメてんのかァーーーーッ!このオレを!掘ってるのは葉っぱじゃなくて地面じゃねーかチクショオーーー!どういう事だッ!どういう事だよクソッ!!」
眼鏡をかけた巻き毛の男が物に当たりながらこっちに向かってくる。
怖い。貴族なんて比にならないぐらい怖い。
「分からないでもないが…そろそろ止めておけ…」
落ち着いたような声がする。視線だけを動かしその方向を見るが、フードを被った男だ。
目の色が怖かったが、止めてくれた事に感謝した。
…が、次に出た言葉と現象にそれを撤回した。

「皆、そろそろ時間だ」
その言葉と同時に男達が整列する。何が起こるのか分からなかったが、瞼に釣り針が刺さりそれを糸で引っ張られ目を閉じれないようにされた。
その痛みに叫び声をあげようとするが、口は氷で固められ言葉を発することはできない。
シパァーーーーーーz_____ンという音がすると顎の下の石が形を変え、顔を斜めに上げるような台になる。
そうすると、目の前にレンズのようなものが空中に現れ太陽光がダイレクトに目に突き刺さる。
「オレ達のチームのスタンドの殆どを味わえるなんて滅多にない事だぜ?おいィーーー」
「オレのジェントリー・ウィープスをレンズ代わりにしやがってッ!クソッ!クソッ!」
「足りないのは兄貴のグレイトフル・デッドだけですぜ」
「こいつが、それを味わう前にオレ達の能力も全部教育しないとといけないな」
「それじゃあ…始めるとするか…」
「ふンがァァァァァァァ」

そうして丸刈りの男が持ってきたオーディオセットのスイッチを入れると大音量で音楽が流れ、六人の男達が一糸乱れぬ動きで踊り始めた。
ズッタン!ズッズッタン!
「うんごおおおおおおおおおお!!!」
ズッタン!ズッズッタン!
グイン!グイン!バッ!バッ!
ズッタン!ズッズッタン!

ズッタン!ズッズッタン!
ズッタン!ズッズッタン!
グイン!グイン!バッ!バッ!
「うんがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……」
ズッタン!ズッズッタン……

…………
……………………
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」
勢いよくベッドから身を起こし辺りを見渡す。
部屋だ。ルイズの部屋だ。
「夢…かよ」
全身汗だくだ。ハッキリ言って17年間生きてきた中、最大級の悪夢だ。
ベッドから降りフラフラと立ち上がるが、秘薬で治ったとはいえ病み上がり。さらに最悪の悪夢を見た事で再びベッドに倒れた。

だが、倒れた先は柔らかいベッドの感触ではない。いやまぁ柔らかいっちゃあ柔らかいが、何かこう暖かいモノ。
ルイズが下になっていた。
まだ目を閉じていた事に安堵し慌てて退こうとするが、時スデに遅し。
衝撃で目を開けたルイズが震えだしている。
「…わたしになにをしようとしたの?ねぇ」
「…あーいや、落ち着こう。な。不可抗力だから」
「一ついい事を教えてあげるわ」
笑顔だが、何かヤバイ。そういう顔だ。さっき夢の中で見た気がするんだから間違い無い。
「な、なんでしょうか。ルイズお嬢様…」
「ある人がねぇ…よく言ってたのよ。最初は分からなかったけど、それが今凄くよく理解できるの」
どこからともなく鞭を取り出す姿を見たが、動けない。蛇に睨まれた蛙の気持ちを理解していたッ!
「ブッ殺すと心の中で思ったなら、その時スデに行動は終わっている…っていうのよ………この…この…このエロ犬ーーーーーーーーーーー!!」
「おま…!俺は怪我人だぞ!それに不可抗力だっt………ギャーーー」
10分後、ボロボロになった才人とやっと落ち着いたルイズがマジに不可抗力だったと理解し、テンパりながら治癒の魔法をかけさせにいった事は言うまでも無い。


「…クソッ!マン・イン・ザ・ミラーかと思ったが何だよありゃあ」
ようやっと意識を取り戻し目を開けると見知らぬ部屋の天井だった。
スタンド攻撃かとも思ったが、前にも味わった事があるし何より場の空気が違う事に気付き半信半疑だが結論を出した。
「また、来ちまったってワケか?…洒落にもならねー」
しばらく寝ながら部屋を見回していたが、明らかに現代の、特に言えば日本のものではない。
そうこうしていると、部屋の扉が開き、よーく知っている色の髪が見えた。
ディ・モールト見知っているため文句の一つでも言ってやろうと思ったのだが、違っていた。
髪の色は同じだが、なんっつーかこう一つだけ、明らかに違っていたからだ。主に胸とかが。
「お目覚めですか?」
「…ここは何処だ?」
「その前に、こちらの質問に答えていただけると助かります。…どこでそれを?」
そう言って指差すのは風のルビーだ。ご丁寧に机の上に置かれているあたり、今すぐには敵では無いと判断した。
敵であるならば、こんな高価な物とうに消えている。
ただ、どう答えるかが問題だ。ウェールズから直接だが、素性も知れん相手に言う気にはなれない。
「…悪いが、誰とも知らんヤツにそれを言うほど、マヌケじゃねぇよ」
憮然とした口調で言ったが、相手は不快になるどころか寧ろ微笑んでいた。

「確かにそうでしたわ。ごめんなさいね。カトレア・イヴェット・ラ・ボーム・ル・ブラン・ド・ラ・フォンティーヌと申します」
(……どっかで聞いたな)
何処だったかと必死こいて考えるが、一つ思い当たる事があった。
常人なら忘れてもいいが、情報を重視する暗殺者ならではと言えるだろう。
『ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール』
アホみたいに長い名前だったが、一致点はある。
まさかと思ってもう一度見たが、髪の色が同じで
ルイズを大きくしたらそんな感じになるという事もあり、確証はまだ無いが心の中で一族か何かだろうと判断した。
「それで、どこでそれを?」
変わらない笑顔だったが、その目の奥底に確固たる意志の光を見た。
「…そいつを知ってんのは?」
「ご心配なく。今のところ、わたしだけですわ」
『今のところ』というからには場合によっては全て知らせる準備があるという事だ。
グレイトフル・デッドで乗り切ってもよかったが、状況の把握もままならないままそれをするのは自殺行為に等しい。
一応、確証を確実なものにするために最後の質問をしなければならないが。
「…ルイズって名前に心当たりはあるか?」
「わたしの小さいルイズをご存知ですの?」
これで確実だ。もう一度その笑顔を見据えるが、目を見て少なくとも現状では敵意は無さそうだ。
元ギャング視点から見ても裏切るようなタイプでもないし、ルイズの血縁であるという事も手伝って、ある程度の部分は隠しながらも話す事に決めた。
「分かってるだろうが他言無用だ。そいつは……」

プロシュート兄貴―ヤバイ『実家』にIN!!


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