ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

使い魔は刺激的-20

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匿名ユーザー

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 左はトリステイン魔法学院へ、右は城下町へと通ずる分かれ道。
 手綱を預かるジェシカは迷わず右の道へと馬車を進め、そっとモンモランシーを覗き見る。
「ん?なに」
「い、いえ!何でもないです!」
「そう」
 馬車に乗り込んでからずっと、モンモランシーは眉間に皺を寄せてブツブツと何かを呟いていた。
 ジェシカはそれが気になって仕方が無いのだが、あからさまに不機嫌なモンモランシーに
 声を掛けて良いものかと思案する。
「あなた歳は幾つ?」
「え?あっあたし、えとえと、じゅ、16です!」
 突然話しかけられて言葉を詰まらせながらも、何とかジェシカは答える。
「そう、私と同い年ね。…おかしいわ、絶対」
モンモランシーはポツリと呟き、眉根を寄せて目を瞑る。
「あはは…はは…は…」
 ジェシカはその態度に何かマズイ事でもしたのかと、ここまでの道のりを思い返す。
 背中合わせに縛った男達とカエルを馬車の屋根に乗せる。
 馬車を走らせながら、改めて感謝を述べる。彼女が笑ってそれを返す。
 暫く無言。その後、彼女が呟き始める。
 これと言った失敗はしていない。強いて言うなら何も喋らなかったのが気に障ったのだろうか?
 ジェシカは場を和まそうと、得意の『夜空の妖精』を歌おうと口を開きかけたその時、
 前方に月明かりに照らされる街道警備隊の詰め所が見えた。
 ほんの一日足らずの出来事ではあったが、詰め所の窓から漏れる暖かなランプの明かりに
 ジェシカは長い旅から帰ってきた様な感慨を覚え、自然と流れ出す涙を抑えながら馬車を走らせた

 モンモランシーは自分とロビンの視覚を同調させ、男達がまだ気絶しているのを確認すると
 屋根の上からジェシカを見下ろす。
 ジェシカは馬車の振動で胸をプルンプルンと揺らしながら涙を堪えている。
 モンモランシーは視覚を戻して手綱を握るジェシカを見詰める。 
「もうすぐ…家に帰れます…」
「そうね」
 涙ぐみながらジェシカは馬車を走らせる。やっぱり胸がプルンプルンと揺れている。
 モンモランシーはジェシカの胸を見た時、自分の目の錯覚だと思った。
 学院随一の超人胸度94を誇るキュルケと互角のおっぱいを平民が持っている。
 オマケにその持ち主が自分と同い年などと信じられる筈が無い。
 しかし、現実に目の前でおっぱいがプルンプルンと揺れている。
 これは『本物』なのか『贋物』なのか?その答えは決まっている。
 間違いなく『贋物』だ!これが『本物』の訳が無い!
 仮に『本物』だとしても!その存在を認める訳にはいかないッ!!  
 確認してやるッ!今ッ!ここでッ!!その正体を見極めてやるッ!!!

「モンモランシーさん…きゃうっ!」
 モンモランシーはおもむろにジェシカの胸を鷲掴みにし、その豊かな胸を揉みしだく。
「……あれ?」
「ななな、なにをっ!?はぅん!」
 モンモランシーはジェシカの抗議を無視して、押す、引く、握る、摘むなどの考えられる
 ありとあらゆる方法でジェシカの胸を確認するが、幻覚でも詰め物をしている訳でもない
 『本物』だけが持つ『凄み』が手から伝わり、モンモランシーは狼狽して頭が真っ白になる。 
「嘘だ!!」
「何が!ひゃぁ…あふぅぅぅん…あぁ」
 このおっぱいは『本物』。その事実に心が崩壊しそうになるモンモランシーは自分を守る為に
 尚も激しくジェシカの胸を揉みしだく!
 そして、モンモランシーの心にある変化が訪れた。
 心の奥底から沸き起こる感情、それは『恐怖』!
 おっぱいの圧倒的な存在感に心が埋め尽くされ、畏怖の対象であったおっぱいの感触が
 次第に『快感』に変わっていく。
 おっぱいを揉む動きを止めようとしても止まらない。心と身体が拒否しているのだ!
『あ~お嬢さん?そろそろ止めた方が良いと思うんだが』
 頭に響くロビンの声に漸くモンモランシーは我に返ると、押し倒されて身体をグッタリと横たえ
 荒い息を吐くジェシカの姿があった。

(あ…ありのまま今起こった事を話すわ!
 『私はジェシカの胸を本物か確かめていたらいつの間にか止まらなくなっていた』
 な…何を言ってるのか理解できないと思うけど私も何をしたのか判らなかった…
 頭がどうにかなりそうだった…レベル5だとかおっぱい祭りだとかそんなチャチなもんじゃあ 
 断じてない。もっと恐ろしいものの片鱗を味わったわ…)
『まあ…私は楽しめたから良いんだが。ちゃんと理由を言わないと変態扱いされるぞ』
 顔を紅潮させて潤んだ瞳で自分を見るジェシカに謝り、モンモランシーが理由を説明すると
 胸元を直しながらジェシカが腹を抱えて笑い出した。
「なによ、笑わなくても良いじゃない」
「だってー、いきなり胸を揉んでくるからソッチの趣味の人かと思ってさ」
『間違ってはいないな』  
 屋根に乗ったロビンを掴み上げて道に放り投げると、モンモランシーは憮然とした表情を浮かべ、
 大笑いするジェシカから顔を背ける。
 その仕草にクスクスと笑いながら、ジェシカは詰め所の前に馬車を止めた。

 まだ笑っているジェシカに馬車から少女達を外に出すように頼んで、モンモランシーは
 こじんまりとした造りの詰め所の扉を叩く。
「誰かいないのー!」
 呼べど叩けど一向に返事は返ってこないのに苛立ち、モンモランシーは扉を開けようとするが
 扉には鍵が掛かっていて中に入る事は出来ない。
 アンロックで鍵を開けようかと思ったが、魔法の使いすぎで精神力は残り少ない。
 ラインが一回、ドットなら二回唱えられるだけの僅かな精神力しか残っていなかった。
 モンモランシーは中に入ることを諦め、裏手にある厩舎へと足を伸ばす。
「馬はちゃんといるわね」
 3頭の馬が繋がれて厩舎が全て塞がっているのを見て、中に警備兵がいる事を確信する。
 暇なので眠りこけているのだろう。
 扉を開けて叩き起こしてやろうと思い、踵を返し扉に向かう途中に奇妙なものを発見した。
 草の生えた地面の一箇所だけ地肌が剥き出しになり、そこには赤い筋の幾つも入った歪な木の根が
 天を掴むように逆さまに生えていた。
 詰め所の陰に隠れて正面からは見えなかったのだ。
 それを不審に思ったモンモランシーは、良く見ようと近づいてその場で凍りついた。
 それは木の根などでは無い。
 地面から生えているのは、殺され埋められた人間の手だった。

「むね~につけ~てるマークはようせ~い」
 父や酒場の仲間の下へと帰れる喜びからか、ジェシカは歌を歌いながら馬車の扉に手を掛ける。
「みんなもう大丈夫よ!」
「何が大丈夫なんだぁ~?」
 突然の声にジェシカは思わず振り向くと、下卑た笑いを浮かべた男に突き飛ばされて倒れ込む。
 ジェシカは立ち上がろうとするが、脇腹が熱くて身体に力が入らない。
 脇腹を触ってみると赤い液体がベットリと手に付いた。  
「惜しかったな~もうちょっとだったのによぉ~」
「くぁ…」
 血に塗れたナイフを向けながら、男はジェシカの髪を掴んで身体を持ち上げる。
「静かにしろよ~苦しみたくねぇ~だろぉ~が」
 ジェシカは残された力を振り絞り、男を突き飛ばすと覚束ない足取りで厩舎へと向かう。
 男は立ち上がってジェシカを追わずに、馬車の中の少女達を脅すと屋根に向かって声を掛ける。
「アニキ~オットーのアニキ~」
「良くやったぞハンザ」
 弟分のハンザを労い、オットーが屋根から飛び降りて姿を現す。
「アニキ、言いつけ通りしやしたぜ」
「うむ」
 オットーはハンザを労い、これから行う制裁を思い浮かべて顔を笑みで歪ませながら
 静かに厩舎へと歩み寄って行った。


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