ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

L7 meets C-MOON-2

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匿名ユーザー

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ルイズは自分の周りに起こった現象に呆然としていた。
自分の周りにいた人間が片っ端から、自分から離れるように水平に落ちていく。
常人から見れば水平に吹っ飛んでいるように見える光景だ。
しかしルイズはそう思わなかった。
水平に落ちていっている。何故かはわからないがそう確信していた。
「な、なにこれ……。何がどうなってるのよ!」
自分自身の使い魔になってしまった自分。
嘲笑される自分。
怒り、悲しむ自分。
そして、水平に落ちていく人間たち。
それらが頭の中で交じり合い、その結果、ルイズの頭の中は何も考えられないほど混乱していた。
さらにとてつもないほどの気分がおかしかった。
気分が悪いのではなく、気分がおかしい。
それも混乱に更なる拍車をかける。
「なんなのよこれ……」
混乱の中、ルイズは一言そう呟いた。

「うわああああああああああああああああああああああああああ!」
初めに変化に気がついた彼は悲鳴を上げながら結構な勢いで落ちていた。
ルイズが混乱しているように彼もまた混乱していた。
突然感じた浮遊感に、その次の瞬間に訪れた体の落下、地面が壁になり、周りにいた人間も同じように落下している。
さらに体の落下に伴う本能的な恐怖が彼を一段と混乱させていた。
何とかしないと何とかしないと何とかしないと何とかしないと何とかしないと何とかしないと何とかしないと何とかしないと何とかしないと!
混乱の中そのことについて必死に考える。
そして閃いた。
「杖だ!」
魔法を使って浮かべばいいじゃないか!
それを意識した瞬間混乱していた頭が嘘のように落ち着いていくのがわかった。
しかしのんびり落ち着いている暇は無い!
速く、速く杖を手に取らないと!
そう思いつついつも杖が指してある腰に手を運ぶ。
しかし、
「あれ?」
いくら腰を探ろうとも杖は一向に見つからなかった。
「あれ?あれ?あれ?あれ?あれ?あれ?あれ?あれ?あれ?あれ?あれ?あれ?あれ?あれ?あれ?あれええええええええええ!?」
どうして無いんだ!?
いつも腰に差してるはずなのに!
そのときふと、落ちる前のことを思い出す。
あのとき自分は杖を手に持っていって、手を離してしまって杖を落としてしまったんだ。
拾おうとしたら何故か後ろの奴の腰にあって、返してもらおうとした瞬間に落ち始めたんだっけ……
     ・
     ・
     ・
     ・
     ・
     ・
「俺杖返してもらってねぇええじゃあああああああああああああああああああああああん!」
そう叫んだ瞬間、体中に衝撃を受け彼は意識を失った。

メイジが高い崖から落ちたらどうなるか。
普通の人間、つまり平民が高い崖から落ちれば、余程の運が無い限り必ず怪我をする。
高さによっては死んでしまうだろう。
しかしメイジには平民と違い魔法が使える。
落下中に魔法を唱えれば自分を浮かばして落下を止めることは簡単だ。
しかしそれが簡単にできるかどうかといえば答えは違うといえるだろう。
あらかじめ手に杖を持ち、落ちるとわかっていればできるだろうが、何の準備もなく突然落とされたら余程の者でない限り殆ど反応できずにそのまま落ちるだろう。
ルイズの周りに者たちにとって、今の状況はまさしく準備無しの突然落下だ。
さらに厄介なのは落ち始めた彼らの前に地面という壁があったことだ。
彼らの殆どはその壁に激しく体をぶつけた。
地面というのは平らに見えて実は結構ボコボコしている。
落ちたときに盛り上がっている地面に体をぶつけてしまうのだ。
もちろん運よくぶつからないものもいる。
しかしそういた者たちに襲い掛かるのは同じく落下している人間だ。
自分の上から落下してきた人間にぶつかってしまうのだ。
そんな中まともに呪文を唱えられるものなんて数人いればいいほうだろう。
時には地面に体をぶつけ、時には上から降ってくる人間にぶつかる。
しかしこのまま落ち続けるわけがない。もちろん終着はあった。
ある一人は突然地面にこすり付けられてその場に止まった。
またある一人は地面に斜めに叩きつけられ跳ね回りながら止まった。
落下して者たちが次々と地面に着地しつつあった。
水平落下が突然元の地面への落下に切り替わったら落ちていた勢いで地面にこすり付けられるのは当然だった。
着地したといっても無事というわけではない。
落下中に地面に叩き付けられたり、人にぶつかったり、着地の衝撃で怪我をしていた。
擦り傷や骨折など、酷いものは手がありえない方向に捻じ曲がったりしていた。
悲鳴が上がったり、呻き声が聞こえたりと、そこには助けを求める声で一杯だった。
そんな中にコルベールは降り立った。もちろん彼は浮かぶことに成功していた。
他にも何人かちゃんと浮かぶことに成功している生徒がちらほらと見える。
彼の目線は真っ直ぐ一つの方向に向けられていた。
約200メイルの先のルイズのところへ向けられていた。
そう、生徒たちはルイズのいたところから半径約200メイル先に転がっているのだから。
コルベールはルイズがいるであろう所から目を外し、助けを求める生徒たち目を向ける。
何故このようなことになったのか、原因を突き止めなければならない。
この惨事を引き起こしたのは間違いなく自分なのだから。
そう胸に秘め近くにいた無事な生徒一人に他の先生を呼んでくるように指示し、一直線にルイズの元へ向かった。
コルベールはまだあそこにルイズがいるということを確信していた。
何故なら自分が一番ルイズの近くにいて落ちるときもルイズを見ていたからだ。
彼女は落ちずにその場に立っていた。
コルベールは急いで足を動かしながらルイズの元に迫る。
もう水平には落ちなかった。


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