「うーん……絶対捕まえてやるわ……むにゃ……」
「いい加減起きなさい、ヴァリエール」
うるさいわね、今フーケと戦っている最中よ、だいたい何でこいつが
「フーケはどこよ!他のみんなは?」
「フーケなら、あなたの横に簀巻きにされて転がってるわよ。
セッコは隅で寝てる、タバサは馬を引いてるわ」
「いい加減起きなさい、ヴァリエール」
うるさいわね、今フーケと戦っている最中よ、だいたい何でこいつが
「フーケはどこよ!他のみんなは?」
「フーケなら、あなたの横に簀巻きにされて転がってるわよ。
セッコは隅で寝てる、タバサは馬を引いてるわ」
気づいた時には、全てが終わっていた。
紆余曲折あって結局セッコが仕留めたらしい。
紆余曲折あって結局セッコが仕留めたらしい。
「わたしも、もう少し強くなれないものかしら」
「強いかどうかはあれだが、役には立ってるぜ。
おめーが見張りしてなかったら、全員ゴーレムに踏み潰されてたろうよ」
デルフリンガーが珍しく私を擁護する。
言ってくれるじゃない剣の癖に。ちょっとだけ嬉しいわ。
「強いかどうかはあれだが、役には立ってるぜ。
おめーが見張りしてなかったら、全員ゴーレムに踏み潰されてたろうよ」
デルフリンガーが珍しく私を擁護する。
言ってくれるじゃない剣の癖に。ちょっとだけ嬉しいわ。
「そういえばミス・ロングビルはどこへ?」
「あなたの横に簀巻きにされて転がってるわよ」
「何言ってるのよツェルプストー」
ついに脳まで熱にやられたかしら。
けれど隣をよく見たら納得できた。
「あなたの横に簀巻きにされて転がってるわよ」
「何言ってるのよツェルプストー」
ついに脳まで熱にやられたかしら。
けれど隣をよく見たら納得できた。
「ああ、そういうことだったのね」
学院長室で、オスマン氏は戻った四人を呼び報告を聞いていた。
セッコはよほど疲れていたのか全く目覚める気配がなく、仕方なくルイズの部屋に置いてきたので実質三人ではあったが。
「ふむ……ミス・ロングビルが土くれのフーケじゃったとはな……
美人だったもので、何の疑いもせず秘書に採用してしまった」
「いったい、どこで採用されたんですか?」
側に控えていたコルベールが尋ねた。
「町の居酒屋じゃ。私は客で、彼女は給仕をしておったのだが、ついついこの手がお尻を撫でてしまってな」
「で?」
「おほん。それでも怒らないので、秘書にならないかと、言ってしまった」
「なんで?」
ほんとに理解できないといった口調でコルベールが尋ねた。
オスマン氏が突然真面目な顔になる。
「おまけに、魔法も使えるというもんでな」
「それって、決定的に怪しいですよね、オールド・オスマン」
「怪しい」
「怪しいわね」
「怪しいってレベルじゃあないわ」
全員の視線が、汚い物を見るような目つきに変わりつつあるのを悟り、オスマン氏は照れたように咳払いし、話題を変えた。
セッコはよほど疲れていたのか全く目覚める気配がなく、仕方なくルイズの部屋に置いてきたので実質三人ではあったが。
「ふむ……ミス・ロングビルが土くれのフーケじゃったとはな……
美人だったもので、何の疑いもせず秘書に採用してしまった」
「いったい、どこで採用されたんですか?」
側に控えていたコルベールが尋ねた。
「町の居酒屋じゃ。私は客で、彼女は給仕をしておったのだが、ついついこの手がお尻を撫でてしまってな」
「で?」
「おほん。それでも怒らないので、秘書にならないかと、言ってしまった」
「なんで?」
ほんとに理解できないといった口調でコルベールが尋ねた。
オスマン氏が突然真面目な顔になる。
「おまけに、魔法も使えるというもんでな」
「それって、決定的に怪しいですよね、オールド・オスマン」
「怪しい」
「怪しいわね」
「怪しいってレベルじゃあないわ」
全員の視線が、汚い物を見るような目つきに変わりつつあるのを悟り、オスマン氏は照れたように咳払いし、話題を変えた。
「さてと、君たちはよくぞフーケを捕まえ、[破壊の杖]を取り返してきた」
誇らしげに三人が礼をする。
「フーケは、城の衛士に引き渡した。そして[破壊の杖]は、無事に宝物庫に収まった。一件落着じゃ」
オスマン氏は、一人ずつ頭を撫でた。
「君たちの、シュヴァリエの爵位申請を、宮廷に出しておいた。
追って沙汰があるじゃろう。と言っても、ミス・タバサはすでにシュヴァリエの爵位を持っているから、精霊勲章の授与を申請しておいた」
三人の顔が、ぱあっと輝いた。
「本当ですか?」
キュルケが、驚いた声で言った。
「ほんとじゃ、いいのじゃ、君たちは、そのぐらいのことをしたんじゃから」
その言葉に、ルイズの顔が曇る。
「オールド・オスマン。わたしは……」
オスマン氏が力強く言い返した。
「問題ない」
ルイズの表情が少し戻った。
「さてと、今日の夜は[フリッグの舞踏会]じゃ。
このとおり、[破壊の杖]も戻ってきたし、予定どおり執り行う」
キュルケの顔が更に輝いた。
「そうでしたわ!フーケの騒ぎで忘れておりました!」
「今日の舞踏会の主役は君たちじゃ。用意をしてきたまえ。
せいぜい、着飾るのじゃぞ」
三人は礼をするとドアに向かった。
誇らしげに三人が礼をする。
「フーケは、城の衛士に引き渡した。そして[破壊の杖]は、無事に宝物庫に収まった。一件落着じゃ」
オスマン氏は、一人ずつ頭を撫でた。
「君たちの、シュヴァリエの爵位申請を、宮廷に出しておいた。
追って沙汰があるじゃろう。と言っても、ミス・タバサはすでにシュヴァリエの爵位を持っているから、精霊勲章の授与を申請しておいた」
三人の顔が、ぱあっと輝いた。
「本当ですか?」
キュルケが、驚いた声で言った。
「ほんとじゃ、いいのじゃ、君たちは、そのぐらいのことをしたんじゃから」
その言葉に、ルイズの顔が曇る。
「オールド・オスマン。わたしは……」
オスマン氏が力強く言い返した。
「問題ない」
ルイズの表情が少し戻った。
「さてと、今日の夜は[フリッグの舞踏会]じゃ。
このとおり、[破壊の杖]も戻ってきたし、予定どおり執り行う」
キュルケの顔が更に輝いた。
「そうでしたわ!フーケの騒ぎで忘れておりました!」
「今日の舞踏会の主役は君たちじゃ。用意をしてきたまえ。
せいぜい、着飾るのじゃぞ」
三人は礼をするとドアに向かった。
タバサは、二人が出て行ったのを確認して立ち止まり、オスマン氏に向き直った。
「何か、私に聞きたいことがあるようじゃな」
タバサは頷いた。そして、無表情なりに表情を険しくする。
オスマン氏は、何か察したのかコルベールに退室を促した。
「何か、私に聞きたいことがあるようじゃな」
タバサは頷いた。そして、無表情なりに表情を険しくする。
オスマン氏は、何か察したのかコルベールに退室を促した。
コルベールが退室したのを確認して、タバサが口を開いた。
「オールド・オスマン」
「何かね」
「セッコのルーン。単体では意味のない破壊の杖」
タバサの脳裏に、嬉々として自分を試し、死地に送り出す上司の姿がちらりと浮かんだ。どこも似たようなものか。
少し考え直しその嫌な発想を振り払う。今回は志願だし。
しかし、もし志願者が私とキュルケだけだとしたら、オスマン氏は果たして許可しただろうか?
オスマン氏は、少し深刻な、何か言葉を捜しているような表情になった。
「オールド・オスマン」
「何かね」
「セッコのルーン。単体では意味のない破壊の杖」
タバサの脳裏に、嬉々として自分を試し、死地に送り出す上司の姿がちらりと浮かんだ。どこも似たようなものか。
少し考え直しその嫌な発想を振り払う。今回は志願だし。
しかし、もし志願者が私とキュルケだけだとしたら、オスマン氏は果たして許可しただろうか?
オスマン氏は、少し深刻な、何か言葉を捜しているような表情になった。
「……オレも聞きてえな、校長先生よォォォ」
地の底から響くような声がし、部屋の隅から、寝ていたはずのセッコが現れた。
手に、不思議な金属の杖のようなものを持って。
オスマン氏の顔が更に険しく真面目になり、そして口を開いた。
「順番にじゃ、ゆっくりとな。それと、分かっているとは思うが他言無用じゃ」
「「……」」
無言で頷く。
「ミス・タバサ」
頷く。
「そのルーン文字については、まだまだ謎が多いのじゃ。じゃから、今は何も言えん。
それで[破壊の杖]じゃが、確かにそれだけでは役に立たん。じゃが、これだけは言わせてくれ。
教師が生徒を信用して、悪いことでもあるのかね?」
これ以上は、話す気がなさそうだ。
地の底から響くような声がし、部屋の隅から、寝ていたはずのセッコが現れた。
手に、不思議な金属の杖のようなものを持って。
オスマン氏の顔が更に険しく真面目になり、そして口を開いた。
「順番にじゃ、ゆっくりとな。それと、分かっているとは思うが他言無用じゃ」
「「……」」
無言で頷く。
「ミス・タバサ」
頷く。
「そのルーン文字については、まだまだ謎が多いのじゃ。じゃから、今は何も言えん。
それで[破壊の杖]じゃが、確かにそれだけでは役に立たん。じゃが、これだけは言わせてくれ。
教師が生徒を信用して、悪いことでもあるのかね?」
これ以上は、話す気がなさそうだ。
「ありがとうございます、オールド・オスマン」
「すまんの、ミス・タバサ」
セッコの話も興味深い。しかしオスマン氏の視線が、“出ていかなきゃ無理にでも退室させる”
凄みを放っていたので、仕方なく礼をして部屋を出る。
フリッグの舞踏会(で出される料理)を想像すると、少し心が安らいだ。
「すまんの、ミス・タバサ」
セッコの話も興味深い。しかしオスマン氏の視線が、“出ていかなきゃ無理にでも退室させる”
凄みを放っていたので、仕方なく礼をして部屋を出る。
フリッグの舞踏会(で出される料理)を想像すると、少し心が安らいだ。
タバサが出て行くのを確認し、ヒゲジジイがこっちに向き直り口を開いた。
「質問に答える前に、それをどうして持ってきたか聞いてもいいかのう?」
「宝物庫に入って探して来た。正しく質問に答えて貰う為によお」
鋭い目でオレを見る。
「そうではない。私が聞きたいのは場所や理由ではなく、手段じゃ」
糞、食えねえヒゲだ。
「フーケと戦ってる間に思い出した、オレは地面や壁に潜れるってな。多分[左手]とは関係ねえ」
「思い出したとな?」
「オレは、自分についての記憶があいまいなんだ。理由は知らねえ」
「なるほどの。じゃが、その力は余り人に見せん方がいいのう」
んなこたあ言われんでも分かる、基本だろうが。
「てめーボスだろう。だから教えた」
ヒゲが妙に嬉しそうだ。
「そうかそうか、では質問を聞こうかのう。できるだけ力になろう」
「校長先生よお~、[破壊の杖]とこの[弾]の使い方を知ってんのかあ?」
「ああ。それがどうかしたかね?」
「オレは多分、ここじゃねえ場所の人間だ。それはオレが昔居た所の武器だ」
……多分な。
「質問に答える前に、それをどうして持ってきたか聞いてもいいかのう?」
「宝物庫に入って探して来た。正しく質問に答えて貰う為によお」
鋭い目でオレを見る。
「そうではない。私が聞きたいのは場所や理由ではなく、手段じゃ」
糞、食えねえヒゲだ。
「フーケと戦ってる間に思い出した、オレは地面や壁に潜れるってな。多分[左手]とは関係ねえ」
「思い出したとな?」
「オレは、自分についての記憶があいまいなんだ。理由は知らねえ」
「なるほどの。じゃが、その力は余り人に見せん方がいいのう」
んなこたあ言われんでも分かる、基本だろうが。
「てめーボスだろう。だから教えた」
ヒゲが妙に嬉しそうだ。
「そうかそうか、では質問を聞こうかのう。できるだけ力になろう」
「校長先生よお~、[破壊の杖]とこの[弾]の使い方を知ってんのかあ?」
「ああ。それがどうかしたかね?」
「オレは多分、ここじゃねえ場所の人間だ。それはオレが昔居た所の武器だ」
……多分な。
「本当かね?」
多分な。
多分な。
「それのことを知ってんだよな?なら、オレの記憶や居た場所についての手がかりも、何か教えてもらえるんじゃねーかと思って」
ヒゲがため息をついた。
「残念だが今は無理じゃ。それを私にくれたのは、私の命の恩人じゃ。
使い方を教えてくれたのもな。だから直接は知らんのじゃよ」
当てが外れたかなあ。
「そいつはどうなったんだ?」
「死んでしまった。今から、30年も昔の話じゃ」
畜生、結局振り出しか。
ヒゲがため息をついた。
「残念だが今は無理じゃ。それを私にくれたのは、私の命の恩人じゃ。
使い方を教えてくれたのもな。だから直接は知らんのじゃよ」
当てが外れたかなあ。
「そいつはどうなったんだ?」
「死んでしまった。今から、30年も昔の話じゃ」
畜生、結局振り出しか。
「うう……」
「すまんのう。だが、これなら知っておるよ」
ヒゲが俺の左手を掴んだ。
そう知りたいわけではないが、一つずつでも疑問が解決するのは気分がいい。
「ガンダールヴの印じゃ。伝説の使い魔の印じゃよ」
「伝説ぅ?」
伝説だから光るのかあ。確かにモグラやシルフィードの印は光ってなかった。
「そうじゃ。その伝説の使い魔はありとあらゆる[武器]を使いこなしたそうじゃ。[破壊の杖]について細かく分かったのも、そのおかげじゃろう」
推測かよ。
「うー、むぅ……」
「すまんのう。だが、これなら知っておるよ」
ヒゲが俺の左手を掴んだ。
そう知りたいわけではないが、一つずつでも疑問が解決するのは気分がいい。
「ガンダールヴの印じゃ。伝説の使い魔の印じゃよ」
「伝説ぅ?」
伝説だから光るのかあ。確かにモグラやシルフィードの印は光ってなかった。
「そうじゃ。その伝説の使い魔はありとあらゆる[武器]を使いこなしたそうじゃ。[破壊の杖]について細かく分かったのも、そのおかげじゃろう」
推測かよ。
「うー、むぅ……」
「どうしてそうなったかは分からん」
ヒゲがきっぱりと言いやがった。知ってるつって形だけじゃねえか。
結局、オレは一体何なんだ。
「力になれんですまんの。ただ、これだけは言っておく。私はおぬしの味方じゃ、ガンダールヴよ」
ヒゲはそう言うと、オレの手を強く握った。
「よくぞ、恩人の杖を取り戻してくれた。改めて礼を言うぞ」
どいつもこいつも、何であれが杖に見えるんだあ?
「わかった」
「おぬしがどういう理屈で、ここに現れたのか、どうして記憶が抜け落ちているのか、私なりに調べるつもりじゃ。でも……」
「でも?」
「何も分からんでも、恨まんでくれよ。記憶を消す魔法や壊す薬はあっても、取り戻すものは現状存在しとらんしのう」
「……」
「なあに。ここだって住めば都じゃ。嫁さんだってさがしてやる。
あと、今日は[フリッグの舞踏会]がある。まあパーティじゃな。飯もうまいぞ」
それはいい。早速食いに行こう。ルイズに怒られる気はするが、正当な報酬だ。
ヒゲの目が再び鋭くなる。
「それとな、そいつを、[弾]をちゃんと元に戻しといてくれよ。こっそりとな」
ヒゲがきっぱりと言いやがった。知ってるつって形だけじゃねえか。
結局、オレは一体何なんだ。
「力になれんですまんの。ただ、これだけは言っておく。私はおぬしの味方じゃ、ガンダールヴよ」
ヒゲはそう言うと、オレの手を強く握った。
「よくぞ、恩人の杖を取り戻してくれた。改めて礼を言うぞ」
どいつもこいつも、何であれが杖に見えるんだあ?
「わかった」
「おぬしがどういう理屈で、ここに現れたのか、どうして記憶が抜け落ちているのか、私なりに調べるつもりじゃ。でも……」
「でも?」
「何も分からんでも、恨まんでくれよ。記憶を消す魔法や壊す薬はあっても、取り戻すものは現状存在しとらんしのう」
「……」
「なあに。ここだって住めば都じゃ。嫁さんだってさがしてやる。
あと、今日は[フリッグの舞踏会]がある。まあパーティじゃな。飯もうまいぞ」
それはいい。早速食いに行こう。ルイズに怒られる気はするが、正当な報酬だ。
ヒゲの目が再び鋭くなる。
「それとな、そいつを、[弾]をちゃんと元に戻しといてくれよ。こっそりとな」
このヒゲに逆らうのはやべえ、ルイズの次ぐらいに。本能が告げてやがる。
「……わかった」
「……わかった」
食堂の上の階が、大きなホールになっている。舞踏会はそこで行われていた。
テーブルにつき、目の前の料理を貪る。
あれ……?甘くねえのにうめえ。
何故だろう、味覚が少し回復している。
何かがオレに起こっているんだろうか?
「お前、さっきから食いすぎじゃねえのか」
背中からデルフリンガーが話しかけてきた。
「あいつに比べたら普通だぜえ」
斜め向かいに視線を向けてやった。
黒いパーティドレスを着込んだタバサが、それにも拘らずオレと変わらない勢いで料理を平らげている。化け物か。
あれ……?甘くねえのにうめえ。
何故だろう、味覚が少し回復している。
何かがオレに起こっているんだろうか?
「お前、さっきから食いすぎじゃねえのか」
背中からデルフリンガーが話しかけてきた。
「あいつに比べたら普通だぜえ」
斜め向かいに視線を向けてやった。
黒いパーティドレスを着込んだタバサが、それにも拘らずオレと変わらない勢いで料理を平らげている。化け物か。
「おでれーた……」
その時、ホールの扉に控えている呼び出しの衛士が、ルイズの到着を告げる声が聞こえた。
「ヴァリエール公爵が息女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール嬢のおな~~~り~~~!」
随分と遅かったなあ、何やってたんだあ。まあ飯の方が大事だ。
テーブルに向き直り、食事を再開する。
「ヴァリエール公爵が息女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール嬢のおな~~~り~~~!」
随分と遅かったなあ、何やってたんだあ。まあ飯の方が大事だ。
テーブルに向き直り、食事を再開する。
少しすると、白いパーティドレスを着たルイズが声をかけてきた。
「楽しんでるみたいね」
いきなりだったのでちょっと料理がむせる。
「うおっ、おっ」
えーと、あれはどういう表現だったっけなー。
「胡麻にも衣装、じゃなくて……猫にも衣装、……は違う……うぐぐ……独楽にも衣装でもなくて、巫女の衣装……」
「何意味わかんないこと言ってるのよセッコ」
「ハハハ、[馬子にも衣装]だな、ちげえねえ相棒」
デルフリンガーが聞いてもないのに助け舟を出しやがった。知ってんだよお、ちょっと忘れてただけだあ。
「失礼ね」
「ヴぇ」
デルフリンガーが殴られる。正確に思い出せなくてよかったぜ。
「あんたもよ、セッコ」
「……いてえ」
全く、この体のどこにそんな力がありやがるんだ。
「ま、今回は許してあげるわ、セッコ、わたしと踊りなさい」
こいつ何言ってやがるんだ?
「オレはこの料理があればそれでいいんだがなあ」
「いいから」
「何でだよお、踊る相手なんていっぱいいるんじゃねえのかよ」
「楽しんでるみたいね」
いきなりだったのでちょっと料理がむせる。
「うおっ、おっ」
えーと、あれはどういう表現だったっけなー。
「胡麻にも衣装、じゃなくて……猫にも衣装、……は違う……うぐぐ……独楽にも衣装でもなくて、巫女の衣装……」
「何意味わかんないこと言ってるのよセッコ」
「ハハハ、[馬子にも衣装]だな、ちげえねえ相棒」
デルフリンガーが聞いてもないのに助け舟を出しやがった。知ってんだよお、ちょっと忘れてただけだあ。
「失礼ね」
「ヴぇ」
デルフリンガーが殴られる。正確に思い出せなくてよかったぜ。
「あんたもよ、セッコ」
「……いてえ」
全く、この体のどこにそんな力がありやがるんだ。
「ま、今回は許してあげるわ、セッコ、わたしと踊りなさい」
こいつ何言ってやがるんだ?
「オレはこの料理があればそれでいいんだがなあ」
「いいから」
「何でだよお、踊る相手なんていっぱいいるんじゃねえのかよ」
「あのね、ありがとう」
「はあ?」
わけがわからねえ。
「その……フーケのゴーレムに潰されそうになったとき。
助けてくれたんじゃないの?キュルケから聞いたわよ」
「それが仕事だってルイズオメーが言ったんじゃねえか」
「いいから。踊りなさい、命令よ!」
「はあ?」
わけがわからねえ。
「その……フーケのゴーレムに潰されそうになったとき。
助けてくれたんじゃないの?キュルケから聞いたわよ」
「それが仕事だってルイズオメーが言ったんじゃねえか」
「いいから。踊りなさい、命令よ!」
なるほど、ルイズなりの礼のつもりなのかあ。まあ腹ごなしに付き合ってみるか。
本当は飴の方が嬉しいんだけどな。
「わかった。……だがよお、オレは踊りなんてわからねえ」
「わたしに合わせてくれればすぐ慣れるわよ、あなたなら」
「わかった」
……たまには悪くねーなあ。
本当は飴の方が嬉しいんだけどな。
「わかった。……だがよお、オレは踊りなんてわからねえ」
「わたしに合わせてくれればすぐ慣れるわよ、あなたなら」
「わかった」
……たまには悪くねーなあ。
そんな様子をテーブルに立てかけられたまま眺めていたデルフリンガーが呟いた。
「おでれーた!」
二つの月がホールに月明かりを送り、ロウソクと絡んで幻想的な雰囲気をつくりあげている。
「相棒!てーしたもんだ!」
踊る相棒とその主人を見つめながら、デルフリンガーはおでれーた!と繰り返した。
「主人のダンスの相手をつとめる使い魔なんて、初めて見たぜ!」
「おでれーた!」
二つの月がホールに月明かりを送り、ロウソクと絡んで幻想的な雰囲気をつくりあげている。
「相棒!てーしたもんだ!」
踊る相棒とその主人を見つめながら、デルフリンガーはおでれーた!と繰り返した。
「主人のダンスの相手をつとめる使い魔なんて、初めて見たぜ!」
料理を胃に流し込みつつ、一部始終を見ていたタバサは思った。
使い魔的教育が一段落したら、シルフィードにダンスを教えてやろう。と。
使い魔的教育が一段落したら、シルフィードにダンスを教えてやろう。と。