ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

永遠の使い魔

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「永遠の使い魔」

○月×日
今日は待ちに待ったコントラクト・サーヴァントの儀式の日、
今日こそ魔法を成功させて私をゼロと呼ぶ奴らを見返してやろうと『思っていた』
『思っていた』という言葉の通り私の召還魔法は失敗した。
正しく言うと成功したのだけど召還したのは平民、それも変な格好をした訳の解らない奴だった…
しかも変な格好だけならともかくとして私が…その…契約の為の…キ…キスを(ああもうなんであんな奴にしなければならなかったのよ!)
しようとした時何かブツブツ言ってた、ハッキリ言って気持ち悪いし気味が悪かった、それに顔は無表情で何を考えてるかよく解らない。
でも見た目と言葉はともかくとして私が『使い魔になりなさい』と言った時にアイツはすぐに使い魔になることを了承した。
意外と根はまともなのかもしれない、きちんと敬語を使っていたし『洗濯も掃除もどんな雑用も、何でもやります、それに必ず貴女を護ってみせる』
なんて嬉しい事を言ってくれたし…(別に喜んでるわけじゃない、使い魔なら当然の事よ!!)
アイツには床で寝させようと思ってたけど忠実な所に免じて学院の余ってるベッドを部屋に運んで(使い魔がやってくれた、結構力持ちみたいだ)
そこで寝るように言ったら目を白黒していたけどすぐに喜んで礼を言った。
『必ず…今度こそ護って見せる』なんて訳のわからない事呟いてた、今度って何よ?やっぱり訳が解らない使い魔だ…

○月△日
アイツは結構…いやかなり忠実な使い魔だ。
昨日命令しておいた洗濯は完璧にこなしていたし、着替えも文句言わずにやったし、それに自分から掃除を進んでやってくれた。
かなり雑用はやり慣れてるみたいで、どこかで使用人でもやっていたのか?と聞いたけど違うと言っていた。
ご褒美にメイドに頼んで人間用の食事を用意させてそれを食べさせた(本当は別の物を食べさせようとしたのは内緒だ)
アイツは嬉しそうに(と言っても顔は無表情だったが)礼を何度も言った、実に忠実な使い魔だ。
しかも忠実なだけじゃない、頭も良いのだ!
只の平民と思っていたが、魔法の属性といった基礎知識やそれぞれの役割、得意不得意についてそこらのメイジ並み、いや私以上に理解してたのだ。
実はメイジなんじゃないのか?と言ったが違うといっていた、まあ使い魔が賢ければ賢いに越した事はないので良しと思う事にした。
それに優しい使い魔だ…
私がちょっと錬金を失敗させたせいで教室が壊れてその罰として掃除を命じられたのだが、アイツは命令もしていないのに掃除を手伝ってくれた。
それを私は喜ぶべきだったろう…だけどその時私は無性に惨めな気持ちになった。
こんなに忠実で賢い使い魔に対して私は「ゼロ」…思わず八つ当たりしてしまった、でもアイツはこう言ってくれたのだ。
『失敗があってもそれをいつか乗り越えていけば良いんです、私はそれを手助けするための存在ですから。
それに貴女はゼロなんかじゃありませんし、きっと立派なメイジになれます。
貴女は私を絶望から救ってくれた、希望を与えてくれた、かならずその恩を返して見せます。』
嬉しかった…あんなに優しい事を言われたのは生まれて初めてだったからだ…
私が失敗するたびに皆私を蔑む、見下す。家族だってどこか哀れんでいる様な気がしていた。私に味方なんていなかった。
でもあいつは私の味方でいてくれると言ってくれた。
私はきっとアイツの気持ちに応えてみせる。
でも『地獄から救った』というのはどういう意味だろう?私が召還する前の環境はそんなに酷い場所だったのだろうか?

○月◇日
今日は事件が起きた。
起こした原因はギーシュと私自身、それと私の使い魔。
食堂でアイツと昼食を取っていた時ギーシュが小瓶を落とした。
親切にも私がそれを拾って渡してやったがギーシュは『自分の物じゃない』と言い張った、こいつ頭脳がマヌケになったのか?
と思ったが『理由』があったようだ、何故解ったかというと私の目の前でその『理由』があっという間にギーシュをフルボッコにしたからだ。
何でも二股してたらしい、やっぱり頭脳はマヌケの様だ。
でも事件はそれで終わらなかった、マヌケは私に文句を付けて来たのだ。
『少しは気を利かせろ』だの『ちょっと話を合わせてくれたっていいだろ』とか実にマヌケらしい事を言ってた。
それだけならまだしもあいつは逆切れしてこう言おうとした。
『そういえば君は「ゼロ」だったね?そんな魔法だけでなく脳味噌も「ゼロ」の君にそんな事期待した僕が…』
マヌケがその続きを言おうとした瞬間アイツが助けてくれた。
あっという間の出来事だった、いきなりマヌケの顔を殴ったかと思うと、
『彼女に「ゼロ」などと言う者は許しはしない』とさらに続けてこう言った、『決闘を申し込む』マヌケは一人じゃなくて二人だった…
私が止めようとしたがアイツはそれを聞かずに『ギーシュ如きに負けはしない』なんて事を言ったのだ…
無論ギーシュはブチ切れて『ヴェストリの広場で待つ!!!!』と言い残して、去っていった。
アイツも直ぐに広場に向かった…どうしよう…このままじゃ…なーんて杞憂も決闘が始まって一瞬で消えた、決闘も一瞬で終わった。
ギーシュが青銅で錬成した「ワルキューレ」を出し決闘を始める宣言をする。
その次の瞬間にアイツがあっという間にギーシュの目の前に現れ、薔薇を模した杖を折って決闘を終わらせた。
凄い速さだった、本当に見えないくらいの速さだった。
アイツは賢くて忠実で優しいだけじゃない。とっても強い最高の使い魔。私の大切な使い魔…

○月◎日
今日は虚無の日、アイツに何か武器を買ってやろうと思った。(別に昨日や一昨日の事を嬉しく思ったからじゃないわよ!!単にいくら力が強くても丸腰だったら危ないからよ!!)
でもツェルスプトー(コイツは私の天敵でいつもつっかかって来る!書き忘れていたが一昨日も使い魔を自慢してきたのだ!何がサラマンダーよ!!!こっちは平民でも世界で一番の使い魔よ!!!!)
とその友達のタバサ(この子はキュルケと違って静かでおとなしい子、よく解んない所があるけどね…)が
私達の買い物に着いて来たのが気に入らなかった。(タバサは無理やり連れて来られたみたいだからそんなに腹は立たなかったけど)
せっかく二人っきり…じゃなくて!とにかく鬱陶しいのよ!色情狂のエロスプトーめ!!
街の武器屋に着くとアイツは直ぐに変な武器を取りそれを買ってくれと言った、折角『もっと良い武器を買ってやる』と言ったのにアイツは、
『この剣に似た剣を使ったことがあります、だから慣れてて丁度良いんです』と言っていたのでその剣を買ってやる事にした。
インテリジェンスソード、しかもボロボロで口の悪い剣なんかに似た剣なんて…アイツはちょっと武器の趣味が悪いのかもしれない…
でも散々口喧しかったボロ剣、「デルフ」はアイツが持った時に「使い手」だのなんだの言って結局素直に買われた。
そういえば武器屋の店主が最近「土くれのフーケ」という怪盗が国中を騒がせていると言ったが、その話を聞いた時アイツが険しい顔をしていた。いったいどうしたのだろうか?
それよりもあのスケベプトーめ!!何しに付いて来たかと思ったら私の使い魔にアプローチする為に付いて来たのだ!!
『決闘での強さに惚れた』ですって!?冗談じゃない!私の方が先に…じゃなくて!!あれは私の使い魔よ!!誰にも渡すもんですか!!!絶対によ!!!!
別にアイツの事なんか好きでもなんでもないわよ!?単にあんなエロ女にアイツが騙されるのを哀れに思っただけよ!!
あのビッチプトーめ…武器屋で私が買おうとした一番高い剣を買ってアイツにプレゼントしようとしたのだ!!
まあアイツは『そんな鈍らなんか必要ない』って断ったんだけどね。でも見ただけであの剣が鈍らなんて解るなんて…
きっと魔法だけでなく剣の事も詳しいのね。

○月☆日
今日事件が起きた、それも大事件、決闘なんて比べられないほどの。
最近国中を騒がせている「土くれのフーケ」がこの学院に来たのだ!
巨大なゴーレムがいきなり現れて塔を殴り始め大騒ぎ、何でも学院の宝である「破壊の杖」を狙っていたそうだ。
私はフーケを捕まえる為にゴーレムを魔法で攻撃した、丁度その時にキュルケとタバサが居て私を止めようとしたけど私はそれを無視した。
本当に馬鹿だったと思うわ…二人は私を心配してくれてたのに…
でもあの時はそんな事考えられなかった。きっとフーケを捕まえたら立派なメイジとして皆に認められると思ったから…
でもゴーレムは何度も再生して倒す事が出来ず私を邪魔者と認識したのか私に向かってその巨大な腕で攻撃してきた。
あの時は本当に死ぬかと思ったわ。
でもアイツが助けてくれた、あっという間の速さでデルフを使いゴーレムの腕を切って、そして決闘の時のように一瞬でゴーレムに飛び乗ってフーケを捕まえちゃったのよ!!
アイツの早業にも驚いたけどフーケの正体がミス・ロングビルだったのにはもっと驚いたわ!!
(後でオスマンのエロ爺が『セクハラしても怒らなかった、自分に惚れてると思った』などとふざけた理由でロングビルを雇った事を聞いたときには驚きを通り越し呆れたが…)
それでも今日一番驚いたのはアイツが私を怒った事、アイツが私を怒るなんて初めての事だった。
でもアイツは本気で私の事を心配してくれた、それにキュルケやタバサも私の事を心配してくれた。
私の事を心配してくれるのはアイツだけじゃない…それがとっても嬉しかったわ…

◆月★日
日記を書くのも久しぶりね…あれから色んなことがあったから…
あれからアンリエッタ姫様に頼まれてワルドとアルビオンにウェールズ様に送った手紙を取りに行く任務を任せられたのよ(何故かギーシュも着いて来た)。
その途中で盗賊に襲われてピンチになった時偶然私と姫様の話を聞いてたらしいキュルケとタバサが助けてくれて。
思えばあの時から、私は彼女たちの事を「友達」と思っていた、友情は今も、そしてこれからもずっと続くと思う。
(もっともあの頃は素直になれなくて何度か喧嘩してけど、それも今となっては良い思い出ね)
ラ・ロシェールでは捕まった筈のフーケが白い仮面の男と一緒に襲ってきてキュルケ達が囮になってくれたのよ。
目的地のアルビオンに向かう途中の船で海賊に襲われたと思ったらその海賊達が変装したウェールズ様達だったのよね。
それからアルビオンではワルドが急に結婚式を挙げようとして(正直性急ってレベルじゃないわよって思ったわ)
結婚を断ったら急に自分の目的とか明かしてウェールズ様と私を亡き者にしようとして危うく殺されるとこだったわ。
まあアイツが私たちを護ってくれたんだけどね。
その後私が虚無の使い手だって解ったり、レコン・キスタと戦ったり、タバサのお母様を助けたり、
本当に色々あったわ…でもいつだってアイツは私の傍に居て、どんな時も護ってくれた。
貴方は強くて、賢くて、優しくて、私の…私の大好きな使い魔よ…
本当にいつもありがとうね、ディアボロ…私の一番大切な人。
これからもずっと一緒に居てね…

「永遠の使い魔」完



永遠の使い魔―プロローグ―

『私は…私は…いったい何度死ぬのだろうか?次はどこから死が襲ってくるのだろうか?』
そう思っていた、完全に絶望していた。
あの少女に出会うまでは…
最初にあの少女に出会ったとき訳が解らなかった。
いきなり『使い魔になれ』だの、『平民なんて最悪だ』だの『メイジ』や『二つある月』だの訳が解らなかった。
唯一つ暫く時間が経って解った事は、『死が襲ってこない事』だけであった。
始めはいつもより時間が掛かって死ぬだけだと思っていたが何時間も経っても、一日が過ぎても結局死が訪れなかった。
この目の前に居る『ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール』という名の少女は私を無限の地獄から救ってくれたのだ。
私は嬉しかった、苦しみから解放されたことに。
そして私は決意した、あの地獄から救ってくれたこの主人を護ろうと。
彼女は私に雑用を命じた、初めての事に戸惑いながらも少しずつこなしていった。
彼女の恩に報いる為に、自分を救ってくれた主人に幸せに成ってもらうために…
だがその決意も虚しく彼女を護る事が出来なかった。
殺されてしまったのだ…『土くれのフーケ』と名乗る怪盗をルイズが捕らえようと戦いを挑み、返り討ちに遭ったのだ…
あっけなかった…キング・クリムゾンでも間に合わなかった…
そして次の瞬間私は当たり前のように自分の首をキング・クリムゾンで切っていた。
『恩人を護れなかった自分は死がお似合いだ』そう考えたのだろうか?何にせよ、私は死を選んだ。

そして私は久しぶりにあの暗く、どこまでも深く、絶望的な死の闇に飲まれた。
だが私は目を覚ました、私はまたあの『地獄』が始まるのだろう、
そう思いながら次に目を覚ました瞬間信じられない光景を見たのだ!!!!
ルイズが居るではないか!?死んだはずのルイズが生き返っているではないか!!
あの光景は悪い夢だったのか?そう思って喜び彼女に話しかけたその時、彼女は信じられない言葉を口にした。
『あんた、私の事知ってるの?』
彼女は私の事など「知らなかった」それも当然だ。
戻っていたのだ、あの日に。
ルイズに絶望から救ってもらったあの日に…
これは奇跡か?悪夢か?そう考えた時ふっとある事を思い出した、私を地獄に堕とした『奴』の言う「終わりのない終わり」の事を…
何故そんな事を考えたのかは解らない、だが一つだけ解った事がある。
私はまた『護ることが出来る』のだ、と…
あれから何度も戻った、彼女が殺されるのみならず事故や病気でも、彼女が死ぬ度に私は自ら命を絶ち時を戻したのだ。
いったい何度死ぬのだろう?いったい何度目で彼女を最後まで護り通す事が出来るのだろう?
だが何度死のうと私は護ってみせる、今度こそ最後まで護ってみせる。
そして私は今も自ら命を絶つ、今度こそ護り抜く為に。
彼女は私の主人なのだから、私は彼女の使い魔なのだから…

『我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ』


『…今度こそ…護ってみせる…』



プロローグ 「終わりのない使い魔」 完


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