ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

サーヴァント・スミス-19

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匿名ユーザー

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「い、嫌だ嫌だ嫌だ!魔法の授業なんてもう受けたくねぇ!俺はまともな学校に行くんだぁぁぁぁ」

「いいからとっとと行けッ!」

強烈なキックを決めてドアを突き破り吹っ飛ぶナランチャ。
転がったその体をサッカーボールにして蹴り転がして教室まで連れて行く。
超ハイスピードで蹴りまくるので、質量を持った残像を発生させつつ、ギーシュをして「化け物か!?」と言わしめていた。


「オラァッ」

「あがあああ」

華麗な横7回転半というアクロバットを決め、ナランチャが教室に入場した。
蹴りで回転しただけである。
翼君も真っ青なキッカールイズ。
来週から「キャプテンルイズ」が始まるわけがない。

ドグシャドグシャドグシャ。骨でも砕けているような音が連続で響く。
見ている者は脇腹を押さえたりする。
凄まじく痛ましい。あれでよく体が持つな、と感心する者多数。

「え、えー。そ、そこまでにしておくように」

教室に来ていたコルベールがルイズを制止する。
ハッと気づいたように振り向き、ぎこちない表情で笑いながらまた蹴り転がして自分の席についた。
ナランチャ可哀想です。

と、ギーシュとモンモランシーがカップルで心配するほど悲惨な事になっているナランチャ。
ドカッ、と机に置かれた物体よりも、今、懸命に起き上がろうとするナランチャにクラス全員の目が行っている状況に、コルベールは歯痒い思いをする。
しかし、ナランチャが起きてくれたほうが好都合ではある。彼にはある『可能性』があるからだ。
にやりと歯を見せ、その物体に掛けられたベールを取った――

「なんですかそれ?」

第一声が、キュルケのそれだった。
やはり理解されないのであろう。フフフ、とコルベールは笑う。
そんなことは予想済みだ。
これさえ見せれば、文句は言えまい。

その『物体』は、所謂ピストン運動と呼ばれる動きをはじめた。そこ、卑猥な連想をしない。
そして連動し、蛇の人形が中から出てきたり引っ込んだり。
周囲の「お前は何をやっているんだ」という視線が痛く、コルベールはすぐさま「あ、あれれぇ?」と冷や汗かいていた。

「……あ?」

その蛇の人形のように、ぴょこっと起き上がったナランチャ。
すぐさまエンジンに近づき、見入る。
そうだ。これは、ナランチャの世界にもあった――エンジンである。

「作ったのこれ?」

「そ、そうですぞ!この私!コルベールがあああ!」

何か理解者が現れて以上に興奮しているコルベールは置いといて、まじまじと見つめるナランチャにルイズが不思議そうな視線を向ける。

「ど、どうですかな?」

「グッド」

ナランチャが親指を立てて返事を返すと、涙を流してコルベールはうずくまる。
いい年して「うっ、うっ」と泣いているコルベールに冷めた生徒達は、黙ってその光景を見ているだけであった。

「皆!要するにこれあったら飛行機、バイク、車、何でも作れちまうんだよ!それを分かるんだよ、皆ッ!」

「よく分からんけどそうですぞッ!」

「あ、授業終わった」

「なんか早く感じたわね」

「次なんだっけ?」

ナランチャの力説――粉砕。THE 空回り。せっかくシャアっぽく説明したのに。最後のあたりだけ。
そんな言葉を羅列されても、この世界の人間に理解されるわけがなかった。
ここは魔法の力や風石を用いて『船』を空に飛ばす世界である。
一応、工業の発展も進んできている。このエンジンとてそうである。とはいえ……

少なくともこのクラスにはそれを重要視する人間は殆ど居なかったりする。


その後、某エロ爺に呼び出されたルイズを放っておいて、コルベールの後を付いて行くナランチャ。
エンジンを生み出すほどの頭脳を持った者の行く場所に興味が湧いたのだ。
前方を行くハゲ頭は、小さい、即席で作られたような小屋に入っていった。つーか外じゃねーか。

(うおッ、この匂い……間違いない!実験室だ!多分!)

こそこそと入るナランチャ。
コルベールこっち向いてました。バレてました。

とりあえず興味が湧いたから、とストレートに意見を述べると、また涙を流して迎え入れてくれた。
下手に嘘をつかずに済んだので、ナランチャは内心ホッとする。

「すっげ、コレ何?」

「あ、それは捕獲したネズミですぞ。危険ですので眠りから目覚めさせないように」

「危険?いや、それはどうでもいいんだ」

もしもここで自分がコルベールに情報を提供し、その結果彼が偉大な発明者となったら……
自分も一緒に称え上げられるに違いない!

というわけで。
車バイク飛行機船。思いつくものを片っ端から喋り、コルベールを号泣させる事に成功する。
もちろん話し手がナランチャなので高が知れているが、コルベールはそんなものが存在していると知り、ハンカチ二枚を使い切る勢いで涙を流した。

「そういえば……ナランチャ君はどこの出身なのかな?もしや、東方のロバ・アル・カリイエ?」

「うん、それ。多分」

「えッ!?今なんて言った!?多分!?」

「心配すんなよー、本当だって。 きっと」

「何ですかそれ!?きっとぉぉ!?」

このように出身はどこかと聞かれた。とりあえず誤魔化す。
最後にちゃっかり「先生がもし金持ちになったら、俺のおかげだからなー」と呟いて部屋を出て行った。
金を分け与えてもらう算段である。

にやにやして部屋に戻ると、椅子に座って燃え尽きたルイズが居た。真っ白である。
その手には『始祖の祈祷書』と呼ばれるものが掴まれていたが、ナランチャには当然興味をもたらすほどのものではない。

「燃え尽きた……燃え尽きたわ、真っ白に……」

前もこんな光景を見た気がするが、簡単に言うと
へんじがない ただのしかばねのようだ

「あ、ああ。ナランチャ。助けて……って言っても、あんたにゃ無理よね」

軽く こっ酷い
実は、ゲルマニアとの同盟の式が、この度何事もなく行なわれる事になり、本人も忘れかけていた約束。
ゲルマニア皇帝との結婚の際、某エロ爺から「アンリエッタ王女が『詔を考えてきてちょんまげ』とか言っとったぞい」との事で、ルイズがこれに詔を書き込むことになったのだが。

10分……耳の穴から煙
20分……頭がボン
30分……涙が止まらなくなる
40分……何か分からんが肩こりが治った
50分……内臓が一度外に飛び出る
1時間……味にめざめたァーッ
1時間10分……考えるよォーッ 何度でも考えるもんねーッ
1時間20分……考えるのをやめた

というふがいない結果に終わってしまったのだ。ちなみにルイズは頭が悪いというわけじゃあありません。不慣れ+プレッシャーの攻撃を受け続けた結果なのです。
そのルイズをベッドに寝かせ、ため息を一つ。
あまりに暇なので、散歩してみる事にする。

またギーシュがモンモランシーに無駄無駄されていた。
すごく血を吐いているが、ナランチャは大丈夫だろうと完結する。大丈夫じゃないと思うが(床真っ赤)


「あ、ナランチャさん」

厨房辺りでシエスタに呼び止められた。
ピタッ、と一瞬止まった後、なんとなく無視して歩き出すと腕を掴まれた。
シエスタ必死。ナランチャ疑惑の目線。

「裏がありそうだから帰る」

「ええ!?」

ナランチャにはデリカシーと言う言葉さえないのだろうか。(「反応を見てみたかっただけなんです本当です」byナランチャ)
認めたくない若さゆえの過ち。
無理やり厨房に押し込まれた時には、シエスタは本当に泣いていた。
謝られるとすぐに機嫌を直したが、その件でギーシュに「女性を泣かせるとは何事だ」と決闘を挑まれたので、その場で返り討ちにする。
その間5秒の早業であった。

「珍しいものって何?」

「東方の『お茶』です。ロバ・アル・カリイエの」

「どこだよ。茶って聞いたことあるな」

イタリアに住んでいたナランチャだが、お茶ぐらいなら知っている。まあまあ有名だ。
紅茶とは違う、若干緑色の液体が出てきた(こういう書き方をすると何か変な薬のようである)
作法?何それ食えるの?な勢いで飲み干す。
喉が波打って動き、ごとんと机の上へ豪快にティーカップを置いた。

「……美味いと思う」

「えっ?あ、ああ、はい」

「……もう一杯ッ!」

「あ、はい」


その後は脳が拒否反応を出すまで飲み、11杯目でギブアップ。
ぶっ倒れたナランチャを起き上がらせて椅子に座らせると、その真正面の席にシエスタは座る。

「……あのう」

「んー?」

「さっき、お茶のことを聞いたことがあるって言いましたけど、どこに住んでたんですか?」

ナランチャの動きがピタリと止まる。
心の葛藤。
言ってもバカにされるんじゃねぇの?という思考。
まあ言ってもいいじゃん?何の害にもならねぇし。という思考。
つーかコルベールに誤魔化しいれたし、やっぱりここも誤魔化すべきだろ?という思考
どっちにしようか迷って1分。

「……い、いやいやいや。違う。俺の住んでたのはイタリアだ。こことは違う世界。うん、それこそ空飛んだっていけないようなところ」

「そ、そうなんですか?」

久し振りに心の底からため息をついた気がする。
感傷。そういうに値する。
何の変哲もないことだ。ここに住む人間にとっては。お茶が珍しいだとか、そういうことも。
そして、段々ここの世界も悪くないと思っている自分が居る事。それを打ち破る為に、今、本当のことを言った。言ってしまった。
自分の仲間の姿が次々と視界に浮かぶと、いよいよ苦笑を浮かべて、椅子から立つ。

「じゃあな。俺、部屋戻るわ。あいつうるさいから」


シリアスモードに入ったナランチャを放り、ルイズは祈祷書と格闘している。
帰って来たナランチャが目にしたものは、全てを諦め椅子に座り再度燃え尽きている『ご主人様』の姿であった。

「こ……こいつ……死んでいる!」

間接的とは言え、殺害(?)したのはアンリエッタである。
そういえばオスマンも共犯と言うことになるだろうか。
兎も角、ほったらかしにしてナランチャは『ベッド』で寝た。朝起きた時、凄まじい攻撃を喰らう事になるのも知らずに。

To Be continued...

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