ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

姫殿下からの第一指令 土くれのフーケを捕縛せよ その①

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姫殿下からの第一指令 土くれのフーケを捕縛せよ その①

ミスタとルイズは夜中の間に謹慎処分を解かれた。
ミスタが王女直属のある部隊に所属したという情報が入ったため
王宮との小競り合いを恐れた教師陣が一斉に罰の免除を叫んだためだ。
平民が王女直属の部隊に登用されたという噂は学院全体に広がり、
あの『決闘』の様子をほとんどの生徒が見ていたこともあったため
『ゼロのルイズの使い魔』は生徒たちの畏怖の念を集めていた。

ミスタは朝食を分けてもらうために、寝ているルイズを無視して
厨房に向かっていた。謹慎中もさすがに食料はもらえたが、
ミスタに割り当てられた食事はかなり酷いものだったため
謹慎が解かれると早速食事にありつこうとしたのだ。

「シエスタ、いるか?ちょっと悪ィーんだがメシをわけてくれねーか?」
いいつつ厨房に入ると、なぜか厨房全体の視線がミスタに向く。
「あ、何?オレ迷惑?それなら別にあとでもいいんだが…」

「よく来たな、『我らの銃』!!」
一瞬朝の忙しい時間に来たため迷惑がられたと思ったミスタだが、
40くらいの男を中心とした厨房のほぼ全員による歓迎っぷりに驚く。
「飯だな?おい、我等の銃に食事の用意をしてやりな!」
「へい、マルトー親方!」
どうやら料理長らしきマルトーという男がコックたちに呼びかける。
促され席に着くとメイドたちがすぐさま席を作っていく。
「何だかズイブンな熱烈歓迎っぷりだが…なんだかめでてーことでも
あったのか?」
近くにいたシエスタに話しかける。
「いえ。みなさん、ミスタさんが来て下さったので、喜んでいるんですよ」
いまいち理解していない様子のミスタに続ける。
「ミスタさんが私をかばっていただいた後、決闘で貴族の方を倒して
しまったっていうことで、いま厨房のヒーローなんですよ」
「そうだ!お高くとまってる貴族様の鼻を見事にへし折ったお前は
まさに平民の希望だ!」
うれしそうに言うマルトー。
「まー、あんなふざけたガキにオレが負けるわけはねーがな」
「さすが『我らの銃』だ!頼もしいことをいってくれる!」

そんな会話をしているうちに、食事が運ばれてくる。
「やっぱりここのメシはうめーな」
「おかわりもありますから、たくさん食べてください。
…あ、そういえば妖精さんたちはどうしてます?」
「あ、ああ、よ、妖精さんたちは夢の国にかえったぜ。
シエスタによろしくとかも言ってたような気もしなくも無いな」
(『任務』がある以上、ピストルズのことはあまり知られない
ほうがいいだろーな…一応こっちの人間はピストルズを見ることは
できるみてーだし、迂闊に情報を撒き散らすのは得策じゃあねー)
「そうなんですか…また会えますかね?」
「ああ、心を清らかに保っていればいつか会えるぜ」
適当に答えるミスタ。
「なにか保存がきくような食料はねーか?」
「それでしたら、サラミがあります。持ってきますか?」
シエスタに袋に入ったサラミを貰い、マルトーの接吻を華麗にかわして
部屋に戻る。


部屋に戻ると、ルイズがすでに起きていた。
「今日は虚無の曜日だし、街に行くわよ!」
「はぁ?」
唐突なルイズの言動についていけないミスタ。
「アンタ、姫様に登用されたことだし、お祝いに何か武器を買って
あげるわ!…そうね、剣なんかがいいわね」
「別に剣なんかいらねーが…」
「ご主人様が買ってあげるっていってんだから、素直に受け取りなさい!」
(剣はまったくあつかえねーし、持ってる意味はねーが、銃かなんかが
あるだろう、ただ問題はどれくらいの性能のヤツがあるかって事だが…
まあ行ってみなきゃあわかるはずもねーか)
「まあそれもいいかもな。どれくらいかかるんだ?」
「馬で三時間よ」
「遠いな…」
乗馬経験の無いミスタは往復6時間の道のりを思い浮かべゲンナリした。

ルイズと共に厩に向かうミスタ。
そこに、平民らしき女性が笑顔で近づいてくる。見覚えの無い人物だ。
困惑しているルイズをむしして女性はミスタに話しかける。
「ああ、会えてよかったわ。アンから伝言をたのまれてるの」
ミスタの顔つきが鋭くなるが、すぐにふざけた表情に変わる。
「ああ、またあいつか、どうせなにか用事を押し付ける気だろ?
まあいい、あいつはなんだって、エミリー?」
女性はミスタに近づくと、声を潜めて言う。
「000号へ『調査』要請。これが書類です」
ふところから紙を出す。ミスタはそれをすぐたたむ。
ミスタも神妙な顔つきでうなずく。
「…ところで、今度一緒にに行く劇の予約の代金を立て替えて
もらってたわね?…これでいいかしら」
再び笑顔に戻った女性が皮袋を渡しながら言う。
「ああ、悪ィな。ところで、アンはいつ来いっていってたかい?」
女性は思案顔になったが、やがて、
「いつでもいいそうよ。ただ、あんまりほおっておくのは感心しないわ」
「グラッツェ、エミリー。アンによろしく」
「ええ。それじゃあまたね」
女性は踵を返すと足早に去っていった。
「な、な、何よあの女!?あ、アンタいつのまにそんなこと!?」
呆然としていたルイズが立ち直って言う。
「んなわけがあるか。…わかんねーのか?『アン』からの頼まれ事だよ」
周りを確認しつつ言う。

「…!まさか、姫さm…モガ」
ミスタによって口を押さえられるルイズ。
「な、何すんのよ!」
「テメーは頭脳がマヌケか…芝居の意味がねーだろうが」
「あ、そ、そういうことね…」
やっと理解したルイズを無視して、壁際によって書類に目を通す。
……読めねえええええ!
「しまった!オレ文字読めないのわすれてた!!」
「え?アンタ、文字読めないの?言葉はそんなに流暢なのに」
「わかるはずがねーだろ…話せてるのだって、魔法とかの
影響じゃあねーか?」
(パッと見、星の記号は無い、するってーと、『捕縛』だな。
見たらヤバイような情報はそんなにねーだろ)
「ルイズ。悪ィーんだが、これ読んでくれねーか?」
ルイズを壁際に来させて言う。

「しょーがないわね…まあ、読んであげるわ、感謝しなさい。
…『土くれのフーケ 素性不明 トリステイン国内で盗賊行為を行った罪
  土のトライアングルメイジ 巨大ゴーレムを使役
  トリステイン魔法学校の宝物庫を狙っているという情報
  学校内に潜伏している可能性に注意されたし
  任務完遂には時間がかかると予想
  完遂後は手近な憲兵隊に書状とともに引き渡すこと』
だって。…あの『土くれ』のフーケ?大丈夫なのミスタ?
すごいメイジだって噂になってるけど」
「戦闘の問題より、どうやって見つけ出すかだな…期限はとりあえず
ねーみたいだが、逆に厄介だな。宝物庫っつーのはなんだ?」
「この学院にある貴重なマジック・アイテムがある保管庫よ。
スクエアクラスの『固定化』の魔法がかかってるから、『錬金』は
できないと思うけど…いまは教師の方たちが見張られているみたいよ」
「…まあいい、すぐに破られるってもんでもなさそーだ…とりあえず街に
いくぜ」
ミスタは紙をポケットにしまい、二人は厩に歩いていった。


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