ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

貴族らしく死ね その①

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貴族らしく死ね その①

爆風にブッとばされたミスタが目を覚ますと、惨状を呈している教室に落ち込んだ様子の
ルイズが佇んでいた。
「教室の掃除を命じられたわ…あんたも手伝いなさい」
「わかったよ…しかし、よく寝れたぜ、ありがとよ…」
痛む頭をおさえつつミスタが立ち上がる。
「これで分かったでしょ。アンタの思ってたとおり、私は魔法の使えない『ゼロ』の
ルイズなのよ…」
酷く落ち込んだ様子でルイズが言う。
「何言ってんだオメー?おまえなかなかスゲー魔法使えんじゃねーか。あの爆発かなり
ヤベー威力だったしな。おめーの横にいたエラソーな教師もどっか逝っちまったんじゃ
ねーか、ウケケケ」
きっとボロ雑巾のようになったであろうシュベルーズを想像して笑うミスタ。外道だ
「まあなんにせよちょっと『魔法』って奴を見直したぜー。あれって何系統なんだ?火か?」
「あれは、失敗魔法よ…」
かなり落ち込んだ様子のルイズ。
「失敗?魔法ってーのは失敗しただけであんなスゲーのができるのか!成功してたら
オレ死んでたな」
さっきの3倍の爆発を想像するミスタだが、ルイズは突然叫びだした。

「違うわよ!失敗してこうなるのは私だけ!だから、みんな私のこと『ゼロ』って
バカにするのよ!どんなに簡単な魔法も使えない『ゼロ』って!」
肩を震わせ、何かを吐き出すように叫ぶ。なんだかやばそうな雰囲気だ。
「え?なに?どーした?なんで泣きそーなんだよ?」
「泣いてなんかいないわよ!」
半分涙声で叫ぶ。
(どーやら、魔法が下手なんでイジメられてんだな…キュルケとかが言ってた
『ゼロ』っつーのもそれか。どーしたもんかねー)
「なんだかよくわかんねーけどよ…魔法がつかえねーなんてことは
ねーんじゃねーのか?オレを『召喚』したのも魔法だろ?だいいち、その失敗魔法
とやらも、できんのはオメーだけなんだろ?だったらそいつがお前の
『才能』っつーことなんじゃねーのか?」
「『才能』?」
「ああ、そーだ。テメーだけができるっつーことは、それはテメーの『才能』っつー
ことだろ?まあ他の魔法が使えねーのはザンネンだが、オレに言わせりゃあ
『四』大系統とかいう縁ギの悪ィー魔法より爆発のほうがよっぽどイカしてるぜ!
まあ、さっきのはちょーっとイカしすぎてたがな。見ろこコレを。コブになっちまってる」
気楽な口調で言うミスタ。きっとバカにされると思っていたルイズは、
ミスタの言葉を呆然と聞いていた。それはたしかに励ましの言葉だったからだ。

「なな、な、なによ!つ、使い魔の癖して偉そうなこと言ってるんじゃないわよ!」
素直ではないルイズの言葉だが、機嫌は直ったようだ。
「へーへーすいませんね。じゃあとっとと掃除を終わらせるとするぜ!」
教室の片付けは、ルイズもちゃんと手伝ったこともあり意外と早く終わった。
ルイズが見ていないスキにピストルズたちが細かい瓦礫の破片を弾き飛ばしたりして
手伝っていたから、ということもあるが。
「そろそろ昼食の時間ね。いくわよミスタ」
「オレ、あのブタ用の餌ならいらねーぜ」
固いパンと味の無いスープをおもいだしげんなりするミスタ。厨房にに行こうとする。
「ど、どこいくのよ?」
「シエスタのとこだ」
「…シエスタって?」
「厨房で働いてる娘だよ」
ルイズの眉がつりあがっていく。
「…いつ知り合ったの?」
「朝、洗濯の場所を教わったんだ。メシもくれたしな。親切ないい子だぜ。
オメーと違ってムネもあるしな」
ウケケケと笑うミスタにルイズはプッツンきた。
「ここ、この犬ー!」
「うごぅあー!!」
ルイズの蹴りがミスタの大事なピストルに炸裂!しばらくはスタンドできないだろう
「て、てめー…なにしやがる…」
大事な部分を押さえて呻くミスタ。
「うるさい!あ、あんたみたいな犬、去勢されちゃえばいいのよ!」
呻くミスタを教室に残してルイズは去っていった…

しばらくして立ち直ったミスタ。
(くそ!なんてことしやがんだあいつは!再『起』不能になったらどうするつもり
だったんだ!全力でやりやがって!…ムネのことを言うのはやめておいたほうがいいな…)
まだ痛む部分を押さえつつ、厨房へ向かうミスタ。
「あ!ミスタさん!来てくださったんですね!」
「ああ、手伝いに来たぜ。なにをすりゃーいいんだ?」
「あとしばらくしたら、デザートを運んでいただけますか?」
「承知したぜ!」
巨大な食堂でデザートをくばるミスタ。当然ルイズもいるので、ルイズにも配る。
「…なにやってんのよ、犬」
「見てのとおりデザートを配っているぜ」
「へー。平民の娘はどうしたの?」
ジト目で見てくるルイズ。
「なんだかカン違いしているようだが、別にシエスタとはなんにもねーぜ!」
「どうだか…」
どうしたものかとシエスタのほうを見る。すぐ近くにいた。

「ミスタ・グラモン。何か落とされたようですが」
なにかの瓶を金髪の少年に差し出している。だが金髪は眉をひそめる。
「これは僕のじゃあない。なにを言っているんだ?」
「ですが…」
金髪の友人らしき人物たちが騒ぎ出す。
「その香水は、もしや、モンモランシーの香水じゃないのか?」
「そうだ! その鮮やかな紫色はモンモランシーが調合している香水だぞ!」
「つまりギーシュは今、モンモランシーとつき合っている。そうだな?」
「違う。いいかい? 彼女の名誉のために言っておくが……」
どうやら金髪の名前はギーシュというようだ。
「違う。いいかい? 彼女の名誉のために言っておくが……」
ギーシュが何か言おうとすると茶色いマントの女子生徒がやって来た。
「ケティ。君は誤解をしている…」
だがケティは突然掌底でギーシュのあごを吹っ飛ばした。
「(女の)敵だなてめー」
「なに!」
もう一人の女子生徒がやってくる。
「モ、モンモランシー…」
「(女の)敵か!」「(女の)敵かッ!」「(女の)敵かッ!」「(女の)敵かッ!」
ギーシュに蹴りを叩き込んで二人は去っていった。
しばらくして友人たちの笑い声に囲まれて立ち直ったギーシュはシエスタに向き直る。
「君が軽率に香水のビンなんか拾い上げたおかげで、二人のレディの名誉が傷ついた。
どうしてくれるんだね?」
「も、申し訳ございません!」
青ざめた顔で謝罪するシエスタだったがギーシュの怒りは収まらない。
客観的に見ても原因はギーシュにあるが、平民であるシエスタはギーシュの責任転嫁の
矛先を向けられることになったようだ。
「さて、どうしてくれようか」
「お、お許しを!」
周囲の空気も『平民』であるシエスタが槍玉にあがることを容認しているようだ。
ただ一人、ミスタだけはゆっくりとリボルバーに弾丸をこめていた。


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