ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

流星! そして私は振り返る

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流星! そして私は振り返る

トリステイン、ゲルマニアの連合軍と、アルビオンの戦争が終わって一ヶ月。
ハルケギニアには平和が戻っていた。
ガリアやロマリアで多少不穏な動きがあるらしいが、特に面倒は起きていない。
平和を取り戻した人々は、それぞれの故郷で戦争の疲れを癒している。

――ガリア。
ジョゼフ王は戦争の準備を進めながら、サモン・サーヴァントを試みる。
しかし何度やっても召喚のゲートは現れず、彼は二度と使い魔を持つ事無く生涯を閉じ、無能王という汚名を返上できぬまま終わった。

――ロマリア。
教皇、聖エイジス三十二世も同様に、虚無の使い魔をその生涯で召喚する事は無かった。
彼はヴィンダールヴの行方を探したが見つからずに終わる。

――アルビオン。
敗戦国ではあるがあまり酷い扱いは受けていない。
むしろ戦災による被害の復興のため、トリステインと積極的に協力しているらしい。

――トリステイン。
女王アンリエッタは私財を売り払い、その資金すべてを国民のために使った。
戦勝した事もあり、アンリエッタは国民から絶大な支持を受ける。

――タルブの村。
復興は順調。焼かれた家も建て直し、ぶどう畑から作るワインは絶品。
シエスタの家族もみんな元気。

――トリスタニア。
魅惑の妖精亭の新メニュー『ヨシェナヴェ』が大人気!
一般層もターゲットにできると判断して、店長のスカロンはもう一件お店を立てた。
でもなぜか魅惑の精霊亭と名づけられたそのお店は美少年ばかりで、女性のお客さんばっかり来るようになったとかどうとか。

――時の狭間。
ディアボロは……二度と地球にもハルケギニアにも戻れなかった。
永劫の暗黒の淵で発狂した彼の額に刻まれたミョズニトニルンのルーンは、ガリア王が死亡すると同時に消え去ってしまう。未来永劫さ迷い続ける事に。

――杜王町。
海に面したベッドタウン。とても住みやすくて環境に恵まれている。
行方不明者の数が特別多い、などという奇妙な統計などあるはずもない。
1990年、一人暮らしをしていた吉良吉影は交通事故で死亡。
轢き逃げだったらしく、犯人は捕まっていない。
また、スピードワゴン財団は杜王町から弓と矢を二本回収する。出所は極秘事項。
東方仗助と広瀬康一は、特に事件に巻き込まれる事無く1999年の夏を平和にすごした。

――イタリア。
ギャング組織パッショーネは内紛を起こし、リゾットという男がボスの座につく。
初代ボスの再来とも思える手腕で勢力圏を広げるも、弓と矢の追跡者ジャン=ピエール=ポルナレフと『ジョジョ』により麻薬ルートを潰される。
噂によると『ジョジョ』はスタンド能力をふたつ持ち、うち一方は動物の操作だとか。
2001年、ジョルノ・ジョバァーナという少年がパッショーネに入団。
その後、彼等の抗争がどうなったのか――? それはこの物語では語られない。

――ラドクリアン湖。
とある夜、ラドクリアンの水辺に一人の少女が訪れた。
少女は持っていた指輪を水につけて精霊を呼んでみると、突然指輪は水の中に引きずり込まれて見えなくなった。
水の精霊は結局現れず、理由は直接約束をしたガンダールヴがいないからかじゃないかと、少女の持っていた剣は言った。

――トリステイン魔法学院。
この学院に関しては何から記せばよいか……。
まず、キュルケがコルベールに乗り換えた。
コルベールはツェルプストーおよびゲルマニアの力を借りて新しい艦を造っていた。
これなら仮にガリアと戦争になっても優位に進められるだろうが、コルベールは平和のための研究もがんばっている。
最近、紙タバコのツェルプストー・サラマンダーがようやく発売された。
売り上げは徐々に伸びていて、コルベールとツェルプストー家の収入はかなりいい。
ギーシュは戦争でもらった勲章を自慢しまくってたけど、何の相談もなく従軍したギーシュの身勝手さをモンモランシーは怒り、これまた仲直りするのにずいぶんと時間がかかったらしい。
ちなみに手柄を立てたギーシュは女生徒からの人気がうなぎのぼりで、ますますモンモランシーの怒りに拍車をかけまくったそうだ。
シエスタは今まで通りメイドをやっている、ただあまり元気が無い。
ギーシュやキュルケ達が気にかけているけれど、時間以外に解決策は無さそう。
タバサはというと、読書とはしばみ茶作りに没頭している。
けれどガリアの動向を気にかけているようで、ガリアに関連する事件や噂を集めて色々と物思いにふけっている事が多い。
タバサとガリアの関係を知る唯一の親友キュルケは、そんなタバサを元気づけようと魅惑の精霊亭に連れて行き、スカロン製のはしばみ料理につき合ったりしてやるのだった。
その後トラブルもあったが、ゲルマニアが軍事力を飛躍的に伸ばして戦争の抑止力となり、おかげでタバサの不安が解消しキュルケとコルベールに感謝するのはまだ先の話。

ルイズは、相変わらず勤勉ではあるが、魔法は失敗してばかりだ。
おかげで相変わらずゼロと馬鹿にされてはいるが、ルイズは決して相手にしなかった。
虚無の事を知らない者の前で虚無の魔法を使う訳にはいかないから、学院で他者から認められるという事はほとんど無い。
それでもいいとルイズは思う。
近しい友人は認めてくれているし、それに誰に認められずとも、あいつは認めてくれている。
そして自分はそれを誇りに胸を張って生きていける。
双月と星々のよく見えるある晩、ルイズはサモン・サーヴァントの授業で使った庭に行くと、そこにデルフリンガーを突き立ててから、杖を取り出した。
「どうする気だね?」
「別に。ただ、どうなるのかなって、試してみたいだけ」
そう言うとルイズは、サモン・サーヴァントの詠唱を始めた。

歌うように軽やかに、恋人に愛の調べをささやくように。
たった一人の姿を胸に秘め、爽やかな風が吹く空の下、唱えた。

「あっ、流れ星。何だかいい事がありそう」
「そうかい。まあ、これもいい事だったのかもしれんね」
デルフリンガーはそう呟きながら、天を仰ぎ背伸びをするルイズの笑顔を見つめていた。
ルイズの前には、召喚のゲートは現れなかった。
それはつまり――そういう事だから。
それでいいとルイズは思う。

――サウスゴータ。
アルビオンにあるサウスゴータ地方の一角に、孤児達と暮らす少女がいた。
少女は、家に仕送りをしてくれている姉同然の女性が久々に遊びに来てすごく喜んでいた。
少女は『自分を怖がらない同じ年頃の男の子』と友達になったと報告し、女性を驚かせる。
どんな人物か確かめたいと女性は言ったが、少女の友達は今はいないらしい。
『彼』が『誰』で『どこ』から来たのか……それは女性を十二分に驚かせるのだった。

――流れ星の下。
サモン・サーヴァントの結果がどうなるか、多分私は解っていた。
だから、あまりにも想像通りだったので、つい笑ってしまう。
デルフはそんな私を見て呆れてたみたいだけど、気にならなかった。

生きてる。
生きてるんだ、承太郎は。

それだけで何だか胸がいっぱいになって、幸せな気持ちが満ち溢れる。
手を伸ばせば掴めてしまえそうに思えるほど綺麗な星空で、私は双月を抱くように両手をうんと伸ばして広げる。
また、星が流れないかな?
頬を撫でる夜風が気持ちよくて、アルビオンの風を思い出す。
機会があれば、また行ってみたい。今度は任務も戦争も無しで。
見上げていると、また流れ星。
私の頭上から、後ろへと流れたかと思ったら、後ろで草を踏む足音。誰だろう?
そして私は振り返る。

第二部 スターダストは砕けない

   ミ☆  THE END  ☆彡

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