ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

影の中の使い魔-11

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匿名ユーザー

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虚無の曜日。
この休日を魔法学院の生徒達はそれぞれ思い思いに使っている。
キュルケはもちろんデートの予定だし、タバサは静かに読書ができればいい。
ルイズはというとトリステインの城下町目指して馬で草原を駆けていた。
正確には使い魔を引き連れているのだが、ブラック・サバスは馬の影に入り込んでいるため姿が見えない。
道中会話をするわけでもないので、片道3時間の道のりは実質一人旅のようなものだ。
城下町でルイズはブラック・サバスに何かを買ってやるつもりだった。

モンモランシーに言われたからではないが、ブラック・サバスの力はあまり回りに見せるべきではないと思うようになっていた。
そこで、それなりの武器を渡しておけば、あの力に頼らなくてもいいのではないかという考えに至ったのだ。
もちろんヘタに危険物を渡して、また面倒ごとが増えるのではないかという懸念もある。
だが、最近のブラック・サバスは使い魔としての意識が芽生え始めたためか、ルイズの影にいることが多くなっていた。
授業にも、食堂にもついてくる。ただし何も食べようとしないが。
朝起こしたり、着替えを手伝ったり、掃除をしたりはしないが、洗濯だけは謎の使命感を持って毎日毎日している。
これはどうやらシエスタがいつも手伝ってくれているらしい。
シエスタは洗濯自体を手伝うだけでなく、ブラック・サバスが通れない道があったら自分の影に入れてやったりもしてくれているそうだ。
その事についてシエスタに礼を言ったら、自分も楽しんでやっているので気にしないでと言われた。
最近はブラック・サバスとも会話が弾むらしい。
と言っても一方的に話しかけるだけだが、それでも最初のときのような重苦しい雰囲気は感じないそうだ。
それはルイズも感じていた。何より最近はあのワンパターンのやり取りも減ってきている。
……結局何が言いたいかというと、今のブラック・サバスになら武器を持たしてもそれほど危険ではないと判断したのだ。

トリステイン城下町に入る少し前でルイズは馬から下りた。
「サバス」
その呼び声に反応して、ルイズの影からニュッとブラック・サバスが現れる。
「ここからは歩いていくから。他の人の影とかに付いて行ったりしたらダメだからね!」
ルイズが腰に手をあて、まるで子供に対するようにブラック・サバスに注意事項を聞かせる。
「スリも多いからね。…………あんた財布は大丈夫?」
そう尋ねるとブラック・サバスは口を大きく開き、その中をルイズが見えるように向ける。
たしかにその中には、金貨が詰まって膨らんだ財布が入っているのが分かる。
それを確認したルイズは機嫌よさそうに笑った。

ピンクの髪の美少女と黒づくめの亜人のコンビは大通りでも目立つ存在だった。
ブラック・サバスからの妙な威圧感からか、通行人が避けて歩き、ルイズ達は目的の武器屋まで割とすぐに到着した。
薄暗い店の奥にいた親父はルイズが貴族だと気づくと、くわえていたパイプを離した。
「旦那。貴族の旦那。うちはまっとうな商売してまさあ。お上に目をつけられることなんかこれっぽちも」
それを聞いたルイズはブラック・サバスを指差す。
「客よ。使い魔に武器を買いに来たの」
「忘れておりました。最近は『土くれ』のフーケとかいうメイジの盗賊も暴れてるって噂ですし、下僕にまで剣を持たせるのも当然ですね」
ルイズはそこらへんの話は適当に聞き流し、ブラック・サバスの方を見る。
店の中が暗いため、今はルイズの影から出て店内を物色している。
「サバス。店の奥に行ったらダメだからね」

ルイズは改めて店主の方を向き尋ねた。
「『矢』とかないかしら。弓はいらないんだけど」
ルイズはブラック・サバスに合う武器はなんだろうと考え、口から剣を飛ばすよりも、矢のほうが様になるという結論に至っていた。
しかし、店主は首を横に振る。
「スイヤセン。あいにく矢も弓も置いておりやせんが……これなんかいかがです」
実際は店の奥に弓も矢も置いてあったが、せっかく世間知らずの貴族の娘が来たのだ。
鴨がネギをしょってきたとはまさにこのこと。店主は見栄えはいいだけで、使い物にならない剣を持ってきた。
「剣ですが。これなんかいかがです?」
店主の出してきた剣はまさに豪華絢爛。鋭く光る銀色がまぶしい。
「なかなかよさそうね。サバスこれにする?」
ルイズは一目見た瞬間から、その美しさに目を奪われていた。
だが一応使う本人であるブラック・サバスにも聞いておこうと、後ろを向いた。
「離しやがれ!この陰気臭えヤローが!」
急に聞こえた罵声に驚く。その声はブラック・サバスの方から聞こえてくるが、そのしゃべり方も声色も全く違う。

「離せって言ってんだろ!人間以外に使われる気はねー!」
その声はブラック・サバスが掴んでいる一振りの剣から発せられていた。
「やい!デル公!お客様に失礼なことを言うんじゃねえ!」
「デル公?……もしかしてこの剣インテリジェンスソード?」
ルイズは珍しそうにその剣を眺めた。珍しいと言えば、ブラック・サバスも興味深げにジロジロとその剣を見つめている。
「フ~ン確かに珍しいけど。どうせ使うならこっちの綺麗なほうがいいでしょ」
そう言ってルイズは再び店主が持ってきた、豪華な剣を手に持ってみる。
「は!上等だ!テメーらみてーな奴らに使われるなんて、こっちから願い下げだ…………ん?」
急に罵声が止まる。剣はブラック・サバスとしばらく見詰め合った後、口を開いた。
「おでれーた。見損なってた。てめ、使い……え、ちょっなにす……………………アッー!」

「ちょっと!サバスーー!ストップ!出しなさい!そんなの食べたら腹壊すわよ!」
ルイズはブラック・サバスが、デル公と呼ばれた剣を口の中に押し込んでいくのを見て、慌てて止めに入る。
刃の先端から入っていき、もうすでに顔の部分と思しき場所まで飲み込まれつつある。
サバスは動きを止めルイズのほうを見る。
ルイズは口の中に手を突っ込み柄をしっかり握ると、ブラック・サバスに。
「なによ!こんなのやめときなさい!もっといい剣買ってあげるから!」
「いやあ!やめてえ!他のもっといい剣買ってあげてェ!俺はいやだああ!」
口の中から悲鳴が聞こえる。ルイズは少しその悲鳴を聞いていたが、無視して再びサバスの方を見る。
「…………」
「…………」
「あっちのほうが綺麗よ。あっちにしときなさい」
「…………」
「口の中でしゃべられたら、きっとうるさいわよ」
「…………」
「…………これを気に入ったの?」
サバスがルイズの顔を見つめる。
ゴクリと唾を飲み込む音が口の中から聞こえる。恐らくインテリジェンスソードのだろう。
ブラック・サバスはこくりとうなずいた。
ルイズは溜息をひとつついて、柄から手を離した。
再び剣は口の中へと吸い込まれていく。
「ぎゃあー!!たぁすぅけぇ…………」
断末魔の叫びも聞こえなくなったところでルイズは店主の方へ振り向いた。
あっけにとられた顔をしてこちらを見ている店主に、ルイズは事も無げに伝えた。
「このインテリジェンスソード買うわ。おいくら?」

デルフリンガーGET!


To Be Continued 。。。。?

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