ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

サーヴァント・スミス-13

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匿名ユーザー

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「でっけぇ。見渡す限り石だな」

長い旅路を終え、何とか次の日の昼ごろには到着することが出来た
ナランチャの感嘆の声の源は、目の前にある石造りの港町、ラ・ロシェール
キュルケとタバサが合流し、前よりも余程騒がしくなった。
途中でナランチャがシルフィードに乗りたいと言い出したので、馬2匹をギーシュがここまでつれてこなければならなかった
キュルケもナランチャとのひと時を満喫していたが、一番満喫していたのはタバサであろう。
何かとハーレムなのは気のせいだと思いたい。

ここまで持ってきた自作のはしばみ草料理で、耐性があるはずのナランチャを「エンッ!」、その他にも喰った瞬間イデが発動したりした(悪い意味で)。
それでも、珍しいタバサの笑み 極少量 プライスレス。それを見れただけでナランチャは幸福と思わねばなるまい。
ただ、彼ではその価値は絶対に分からないので華麗なスルーをキメた。うわぁ。
キュルケは悔しそうにしていたが、ナランチャはといえば他の人に取られると悔しがられるほど狙われたくない。

「あ、あそこあそこ。宿だ」

「高そうだなオイ」

「いいのよ。お金ならあるし(ギリギリだけど)」

ルイズは言いながらポケットを確認する。
アンリエッタから、ウェールズへ渡してちょんまげ、と頼まれた手紙。
中身がすこぶる気になる。見てやりたい。
が、ぐっと堪えて宿へ足を踏み入れた。

見るからに、豪華な内装だ。
ワルドは桟橋で航行について交渉しているらしいが、ナランチャにはどうでもいい
いつの間にか学院内での自分の異名が『ド低能』になっていることすら気づかなかったド低能だからである。

一階には酒場があり、昼と言うのに結構にぎわっている。
見回すたびにぐでんぐでんに酔っ払った客もいれば、普通に友人らしき人物と飲み交わしているものもいた。今は昼だって。
恐らく貴族が多い。
何せ、この宿は高級旅館であり、並の平民には手が出ない。何かテンプレ的設定ではあるが気にしてはいけない所だ。

何はともあれ財布がピンチ。ルイズの胸並に痩せた。

「あー、ルイズ。部屋取れた?」

「取れた取れた」

「例のやつ」

「おう」

「「「YEAAAHッ!」」」

段々この「ピシガシグッグッ」が馴染んできているのは気のせいだろうか。
チビッコ3人組に手を焼かされたキュルケ(部屋を取ったのはキュルケであった)。
疲れた様子で部屋へ行く。
部屋割り――、ルイズ・ナランチャ・タバサ組。キュルケ・ギーシュ組(隣同士の部屋)
部屋が広い。流石といった所か。キュルケは一応隣にナランチャがいるのでご機嫌だが、タバサがもっとご機嫌なのを忘れてはいけない。

ワルド その2組からもっとも離れた部屋(他の部屋は全て使用されていた)。
帰ってきたワルドが号泣したのは言うまでも無い。
しかし、彼は確かに輝いていた。それは言わずもがなである。
寧ろMっ子なんじゃないのか?と思うぐらいに輝いていた。
肌がつやつやである。

「明後日まで出れない?つーか昼間から酒飲むなよ」

酒場で食事を取りながら、ワルドの話を聞いてナランチャが首を傾げる。
泣きながら飲み耽るワルドはヒクッ、としゃっくりを出しながら答えた。

「ああ。『スヴェル』の月夜ってのがあってだね、その晩はもっともアルビオンがここに接近するんだ。もう少しの辛抱だよ」

航行にはその日が一番適していると聞かされ、しょうがなく納得する。
タバサは相変わらずはしばみ草を食べていた。
注文役はキュルケであり、いいお姉さん役と化している。
チビッコ3人組の食欲は異常であった。
口を忙しなく動かす。

「きゅるけー!これ、これ」

「あーはいはい」

ワルドはその様子を微笑みながら眺めているが、ナランチャの目に、何か疑惑のようなものが含まれていたのは現実のものであろう。

(こいつ……婚約者とか言ってたが、ロリコンじゃあねーか)

そっち方面の疑惑であった。
全くあらぬ疑惑ともいえぬゆえ、反応に困る。

「で、ロリちー。結局明後日まで待つのか?」

「ロリちーて。まあ、そうなるだろうね」

「テメー何してんだよ。スケジュールの調整ぐらいしろよ」

「すんまそん」

イジメ集団VSいじめられっ子の図。ここに極まれり(大げさ)。
どうやらナランチャの中でワルドのあだ名はロリちーと決まったようだ。
何だかいかにもパパとママを守るとか言いつつ爆死しそうな名前だが、エアロスミスの爆弾で死ぬと言う暗示であろうか。
少なくとも今は、攻撃の意思はナランチャに無い。

「……酒は大人になってから」

視線を横に泳がせる。
ナランチャが呟いた

「うるひゃい」

「お酒!ダメ!ゼッタイ!だから昼から飲むな!タバサそのはしばみ草何皿目だ!キュルケも止めろ!酒を飲ませるなぁぁぁッ」

本当に珍しい、これがナランチャの産ら……じゃあなく、ナランチャが常識的になっているシーン。
そのナランチャの一言でぴたっとタバサがワインを持っていた手を止めた。ナランチャに言われてからやめるという、キュルケも月までぶっ飛ぶこの衝撃。
実際吹っ飛んで大気圏を突き抜けて帰ってきた。

しかしはしばみ草を食べる手は止めない。現在39皿目。
それは置いておくとして、酒なんて飲んで体は大丈夫なのだろうか、
反してルイズの酔いっぷりは加速。
途中から失敗魔法で当たり散らかすようになったので、デルフリンガーの柄でボコッと殴って黙らせた。
乱暴だが、ルイズのほうが誰の目から見ても乱暴であり。
それでいて店が滅茶苦茶になるところだったのである意味正解である。

「キュルケ、パス」

「ん」

昏睡状態のルイズ。
ルイズの部屋まで運ぶキュルケ。
半眼で見送るナランチャ。
目の前で倒れた婚約者を目の当たりに呆然としているワルド。
何故か普通の表情をしているギーシュ。
ナランチャに視線を移すタバサ(さり気無く)
十人十色の様子を見せるご一行。

その後、目覚めた瞬間思いっきり吐いたり酔った勢いで服を脱いで外へ出ようとしたり(出口付近でナランチャが阻止。ワルドは鼻血を凄まじい勢いで噴出――再起不能)。

この事件は後に「10回飲んだら全裸になったでござる」事件(ナランチャ・キュルケ命名)と名づけられた。
奇特な行動を見せ始めたルイズにキュルケは振り回されっぱなしだったが、面倒を文句言わずに見ていたのは流石である。
明らかに慣れている様子から、ナランチャが来る前からこのようなことがあったのかと思われる。
宛ら母と子である。性的な意味ではない。

約2時間後
疲れきったワルドが、ナランチャの部屋を訪れる。
キュルケがそこでルイズの面倒を見ているため、今ギーシュは孤独であった。

「……もしかして、何時もこんな調子、とか。ハハ……」

「ちょっと俺にもわからなくなってきた」

「………」

この世界に来てからじわじわと、こういうハプニングに慣れきり、感覚が麻痺してきた。
どんな事が起きれば凄いのか、どんな事だったらつまらないのかが良く分からない。つまり、分かりやすく説明するとすれば。
状況によってはルイズの胸が大きくなっても驚かなかったり出来るわけだ。
ワルドは若干驚いた後、ルイズに質問する
公の場でする質問ではないだろうが。

「そうだ、ルイズ」

「ほえ?」

「この旅が終わったら、結婚しよう」

「黙れ」

「……よ、よく分からないな。今、言った事……何て言ったんです?」

酔ったルイズは口調がおかしくなっていた。それはもうナランチャの世界で言うなら株価のようにがくんがくんと落差が激しい。
そのひどい落差に落ち込むワルド。
酔っている時の言葉だから本心かもしれない、というのが余計彼を追い詰める。

「うるさいのよおー、ボケがッ」

「よし。酔いがさめたらまた話そう。ねっ。そうしよう。ねっ」

「やっぱり君はロリコンだった」

ワルドも段々と人格が崩壊してきた。こちらも口調が壊れてきて、背中を見られると死んじゃうスタンドに成り果てている
養豚場の豚を見るような目で見つめるナランチャの心配を他所に、ポジティブ精神で前向きに考えていた。
酔いがさめたらきっと本心を言ってくれるさ、と。
そしてナランチャは新しいあだ名『ロリ豚(トン)』を考え付いていた
そこから発展してロリの首領、『ロリ首領(ドン)』など、どんどんバリエーションが増えていく。
最終的に『ロリペ首領(ドン)』、つまりロリペドンを思いつき、ナランチャは考えるのを一時的にやめた。
無駄なことに思考力を使いすぎた。現在頭からは煙が出ている。

ワルドといえば、自室でポジティブ精神を保ちつつ笑顔。
数時間後、また質問したワルドは、酔っている時とほとんど変わらないルイズの返答で粉々に打ち砕かれることになるとも知らずに。

「使い魔君」

「ナランチャだ……二度と間違えるな……」

「すまないナラ茶君」

「ナランチャだ……二度と間違えるな……」

開き直ったワルドは、ナランチャに決闘を申し込もうとしていた。
ちなみに今は昼。あくまでも、ワルドがルイズに打ち砕かれるのは数時間後だ。
ワルドは内心、ガンダールヴの事を知っており、この少年がそれに当てはまるのだという事も知っていた。
だからこそ決闘を申し込んでいたのだ。
しかし、帰ってくるのは決まってこの言葉である。『メンドイ』。 
この仕打ちにロリちー……じゃない、ワルドも強い口調で迫る

「ほう。つまり、こういうことか?負けるのが恐い……」

「NO!NO!NO!NO!」

「やっぱり恐いんだね」

「NO!NO!NO!NO!」

「じゃあ何故受けない?」

「メンドイ」

ドグシャア。
こんな音を立ててワルドの心は殴り潰された。
完膚なきまでに打ちのめされたワルドは、本気で帰ろうかとも考えるようになる。
決闘イベントすっ飛ばしとルイズの毒舌の間を永遠にさまようのだ。
そしてワルドは考えるのをやめた。輝きながら。

ナランチャが決闘を引き受ければ、間違いなくエアロスミスの能力を包み隠さず披露したであろう(途中の戦いでは、ワルドが精神崩壊していたためにバレていない……か?)
結果的にいい方向へ傾いた。

「ああ、眠い、もう眠い」

いろいろあって疲れたナランチャのまぶたは今にも閉じようとしていた。
ルイズの酔いはさめたものの、先ほどのワルドに質問攻めを喰らってお疲れモードである。
実はバイツァダストが発動しており、運命どおりに難なく撃退(爆破)したものの、今ベッドにはタバサ、ナランチャ、ルイズと順番に並んで寝っ転がっているチビッ子達。
タバサの体温は急上昇していた。事あるごとにこうなるなら、彼女の体は持つのだろうか。
そしてその性格から、友人達から見れば奇特なことである。

「おいタバサ、熱があるなら普通に寝てろ。……うお、寄るな!熱い!」

体で目玉焼きが焼ける。
性的な意味じゃなくて。
とはいえ、もちろん40度越えたりはしないが。
まあ……ベッドだからであろう。
そう。ベッドだからだ。
言わずもがなだ。そうなんだよ。人は分かり合えるんだ。チビッ子の共感さ。相手は異性だし。年頃だし。

「お前はストーブか」

「………」

「熱はともかく理由を言えーッ!」

「………」

「うん。わかった、ごめん、いや、だから引っ付くなって熱いッ!!」

タバサ○-×ナランチャ(再起不能)
決まり手 沈黙の子羊→超高熱ジーグブリーカーだ死ねぇッ!
と、順調にフラグを立てつつ青春の一ページを刻んでいる途中。
先ほどまで降り注いでいた月光は、巨大な何かに遮られた。
振り向き、窓越しに外を見たナランチャは、全く会いたくなかった人物との遭遇を果たす。

「……?」

影で真っ黒に染められる部屋。
視線の先には、月明かりを背にした巨大なゴーレムと――

「誰だっけ」

「フーケよ!土くれのフーケ!」

「ああ!思い出した!頭から白いのがポロポロと……」

「そりゃフケよ!」

「ああ、あれか。結婚式の時の花束……」

「ブーケよそれ!」

掛け合いの後、ゴーレムが巨大な腕を振り上げた。フーケはどう考えてもプッツンしています本当にありがとうございました。
どう考えてもこの部屋一つ、楽々と潰せるだろう。
ナランチャはルイズをドアに放り投げ、タバサに逃げるよう促す
同時に見たレーダーには、大量の光点。
大量の敵。押し寄せる少しの不安。

「あい、てて……な、何すんのよ!」

「外にも大量に居るぞ!ドア開けて逃げ……」

言い切らないうちに部屋がひしゃげ、そのまま下の階まで拳がつきぬけた。
ナランチャの安否を確認する間もないまま、階段を転げ落ちる。

「あ……」

「大丈夫」

タバサは妙に自身のこもった声をルイズに向けた。遅れて、ワルドとギーシュ、キュルケが階段を下りてきた
階下も大パニックに陥っており、何かが起こったことはわかる。
先ほどのナランチャの言葉、『外にも居る』を受けて、タバサは宿のドアを急いで開け、外を確認する。
今まさに傭兵達が入ろうとしていた。
あの言葉もなしにドアを開けていたら、タバサは切り殺されていただろうか。
警戒から、すでに詠唱を完成させていたタバサは、エアハンマーで薙ぎ払う。
急いで階段の所で合流し、指示を仰ぐ。

「外にもいっぱい居る……攻撃」

「んもう、なんでこんな事になるのよ!」

まあそれはいいとして。


シルフィードの――出番はあるのか。


To Be continued ...

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