ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

復活! 星の白金は砕けない

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集
復活! 星の白金は砕けない

キング・クリムゾンの拳を、スタープラチナの拳が撃ち砕く。
「ば、馬鹿なッ……!」
ミョズニトニルンは慌てて後ずさり、起き上がるその男を凝視する。
「やれやれ……重たいじゃねーか」
「承太郎!」
半身を起こす承太郎を見て、ルイズは慌てて横に飛び降りた。
承太郎はゆっくりと立ち上がると、ルイズに優しく微笑みかける。
「ルイズ……奴の攻撃を受けて解ったが、奴の能力は数秒間ほど時間を飛ばし、その中を奴だけが動けるようだ。
 だがお前がいれば何とかなる、フォローは頼んだぜ」
「任せなさい!」
阿吽の呼吸で二人はうなずき合うと、闘志に燃える双眸を同時にミョズニトニルンへ向ける。
「くっ……まさか蘇るとはな。
 だが虚無の担い手が現れたとて、俺の勝利は変わらん!
 帝王となるのは! このディアボロだァー!」
キング・クリムゾンが発動する中、ルイズはその光景を見た。
承太郎がスタープラチナを出し、仗助がクレイジー・Dを出し、ディアボロに向かって攻撃をするものの、ディアボロはすべての攻撃を予知して回避しながらルイズに迫る。
「貴様はこの吹っ飛ばされた時間を認識できるようだが、長ったらしい虚無の詠唱なんぞする前に――」
そこまで言って、ディアボロの動きが止まる。
仗助の動きも止まった。
だが承太郎は動いていた、すでにディアボロのいない見当違いの方向を攻撃している。


「時間を吹っ飛ばしている中で、時間を止めて動いてる……かなり訳解んない状況ね」
そう呟きながらルイズはディアボロの横を通り抜け、承太郎のかたわらに移動した。
さらに杖をディアボロの背中に向けて構えると、時間停止のタイムリミットが来たのか、ディアボロが動き出した。
「――ブッ殺す……なっ! い、いない!?」
「こっちよ」
声をかけると同時に魔法を発動させディアボロの背中に小さな爆発を起こす。
「ぐあっ!」
その爆発と同時にキング・クリムゾンの能力が消えた。
承太郎と仗助は突然自分達やディアボロが移動している事に気づき、即座に構え直す。
「こいつの能力、何となくは解ったけど説明しづらいわね。
 時間を吹っ飛ばしてる……って表現で正しいのかよく解らないけど、その間に承太郎が時を止めたら、私達だけが動けてあいつの動きは止まっていたわ」
「なるほどな、俺は時を止めて動いてはいたが、それを認識できなかったという訳か」
「勝てる?」
「虚無の担い手と虚無の使い魔がそろっていて……負けるはずがねー。そうだろルイズ」
「そうね、そうよね承太郎!」

そう、負けるはずがない。
この物語は承太郎とルイズの物語!
承太郎一人では、ルイズ一人では、駄目なのだ。
二人が心をひとつにした今、ルイズと承太郎はその真価を発現する!

ディアボロは焦っていた。
息の根を止めたはずのガンダールヴが蘇り、スタンド能力の影響を受けない虚無の担い手が敵として現れるとは。
今まではガンダールヴが時を止めるタイミングを予知して時を吹っ飛ばしていたが、ルイズはその吹っ飛ばした時の中を動ける。
しかも自分は時間が吹っ飛んでいる間、直接的に他の物に干渉できないが、ルイズはお構い無しに時間が吹っ飛んでいる最中にも攻撃や詠唱が可能なのだ。
さらに時間を吹っ飛ばしている最中の時間停止の中でも動けるとあっては、この場でもっとも時間を征しているのはルイズといっても過言ではない。
いずれはガリア王を屈服させ、聖地に行き虚無の力を得、ハルケギニアを支配し、その力を地球に持ち帰りバッショーネを越える巨大な組織を作り上げ、帝王として幸福の絶頂に君臨するはずの自分がここで敗北するなど、あってはならない。
そして自分のスタンド能力を知った虚無の担い手と使い魔達を生かしてはおけない。

「いい気になって勝ったような口を利いてんじゃあないぞッ!
 ガンダールヴ、お前には死んだ事を後悔する時間をも……与えんッ!!」
「やってみな! てめーが時間を吹っ飛ばしている間、俺達を攻撃できねーのは解ってる。
 だから……お前の時間が終わると同時に『俺達』の時間をてめーに叩き込むッ!」

承太郎、ディアボロ、二人がスタンドを出して肉薄する。
キング・クリムゾン第二の能力『エピタフ』による絶対の未来予知は、能力の後出しを目論む承太郎と自分が拳を打ち合っている姿を映している。
拳の軌道は予知できる! だからパワーやスピードが多少劣っていても打ち勝てる!

その予知の通り、二人は突きのラッシュを互いに繰り出した。
「スタープラチナッ!」
「キング・クリムゾンッ!」

予知通りディアボロはスタープラチナの拳を回避し、先読みして腕が伸びきる前に拳を打ち込んで威力を半減させたりと優勢に立つ。
が、さらに予知した姿では承太郎がデルフリンガーを振るっている。
そのタイミングを読んでディアボロは後ろに下がって剣を回避しつつ、背後から飛んでくる赤い刃をギリギリで避ける。
服の袖を切っただけに終わったその赤い刃は、ヴィンダールヴが自分の血を水圧カッターとして飛ばしたもののようだった。
「下らん小細工ゥッ!」
「オオオラァーッ!!」
間髪入れずにスタープラチナとデルフリンガーの果敢な追撃。
それも予知していたディアボロは、受け切る事は不可能と後退して回避する。
そこで意外な予知を見た、自分の腕目掛けて飛んできた銃弾の奇妙な軌道を。
左手を狙って飛んできた銃弾、仗助が放ったものらしいそれを回避するが、狙いのそれた銃弾は空中で弧を描いて方向転換し再び襲ってくる。
「俺の自動追尾弾だぜ。いくら予知しようとよ~……防ぐには叩き落すしかねーぜ」
銃弾には仗助の血が付着しており、ディアボロの袖についた血に向かって飛んでいる。
吉良との戦いで身につけた直す能力の応用だ。
「くっ、よ、避け切れん!」
銃弾を叩き落すために片腕を使った隙に、承太郎の攻撃を受けてしまうと予知。
こうなったら仕方ないと邪魔な自動追尾弾を叩き落し、デルフリンガーの刃が一直線に振り下ろされる命中する直前で能力を発動。
「キング・クリムゾン! 我以外の時間はすべて吹き飛ぶ!」
予知の先は……どうやらいったん距離を取るのが幸いらしく、ディアボロは承太郎と仗助から離れようとしている。
そうすれば自分は攻撃を受けずにすむ。
時が再始動した直後に承太郎が時を止めるような未来も見えないし、理由は解らないがこれで助かったと言えるだろう。安心感がディアボロを包む。

だが使い魔二人による怒涛の攻撃に手いっぱいだったディアボロは、致命的な攻撃を時の吹っ飛んだ世界で受ける事になる。

――スタープラチナ・ザ・ワールド。

吹っ飛んだ時の中で、時は止まった。
承太郎はその止まった時の中、静かにたたずんでいた。
なぜか? それは、承太郎は時を止めて攻撃するつもりは無かったからだ。
むしろ時が止まるのを予知ですら気づかせないために、承太郎は止まった時の中で微動だにすらしないつもりでいた。
ディアボロの予知では時が吹っ飛んでいる最中承太郎が時を止めた際、必ず承太郎は瞬間移動したかのように見えていた。だから時を止めたと解った。
だから承太郎が止まった時の中を動かない事で、時は止められていないと誤認する。

しかし止まった時の中、いくら動いても関係ない人物がいた。
彼女は時を飛ばされようと止められようと無関係に動き、そして未来予知にすら決して映らず、絶対の予知すらくつがえす。

「ジュラ・イサ・ウンジュー・ハガル・ベオークン・イル……」

それはルイズによる虚無の詠唱だった。
スタンド使いが戦う中、吹っ飛ばされた時の中、止まった時の中、ルイズはひたすら詠唱を続けていたのだ。
「エクスプロージョン!」
詠唱が完成し、白い光がディアボロを包み込む。
それにディアボロは気づかない、気づけない、時が止まっているから。
だから気づかせるために、ルイズはご丁寧に教えてやった。
「スタープラチナ・ザ・ワールド……止まっていた時は、刻み出す」

時間停止が、時間の吹っ飛ばしに変化する。
その瞬間、ディアボロは己の身を焼く痛みに気づいた。
「こ、これは! 虚無!?」
「さっきから小声でずーっと詠唱してたんだけど、気づかなかった?」
個性の強い異世界の三人がそろっているせいで、何気に影の薄かった主人公ルイズだが、汚名返上とばかりに会心の笑みを浮かべる。
「ぐああああっ!! よ、予知では……助かるはずだったのに!」
「自分の能力を過信しすぎたわね。あんたはスタンド使いだけど、虚無の使い魔でもあるのよ? 私の動きは予知できない……。
 さっきまでの小さな爆発なら耐えられると思ったんでしょうけど、今度はちゃんと詠唱したエクスプロージョン。
 範囲は狭いけど『殺傷力のある方』を選んだわ。
 そして! 時は正確に刻み出す……誰もが自由に動けるように……!」
キング・クリムゾンの能力が消えた時、ディアボロは結局一歩も動けずにいた。
さらにエクスプロージョンのダメージで足腰が立たなくなり、その場に崩れ落ちようとし――胸倉を掴まれる。
「おっと、オネンネするにはまだ早ェーぜ」
承太郎はディアボロを持ち上げながら、乱暴に指輪を掴んで引き抜く。
「何ィッ!?」
「アンドバリの指輪……返してもらう。これでそのダメージは回復できねーな。
 そして時間を吹き飛ばした直後という事は、再び時を吹き飛ばすのに、数呼吸の休息が必要だ……だが、そんな暇はてめーには与えねー。なあ、仗助」
吹っ飛んだ時の中、承太郎に加勢するため駆け寄っていた仗助は、いつの間にかディアボロの背後まで来ていた。
「そ~っスね~……こいつをぶちのめすのなんて一呼吸もあれば十分っス」
二人は申し合わせたかのようにスタンドを出して拳を構える。
そして何が起こるかを予知したディアボロは、それが起こるよりも早く悲鳴を上げた。
「や、やめろぉぉぉぉぉぉっ!!」


承太郎が、ディアボロの胸倉から手を離す。
身体に力が入らないディアボロが再び倒れるよりも早く、目の前にいる承太郎がスタープラチナを、背後にいる仗助がクレイジー・Dを、渾身の力を込めて突き動かす。
圧倒的パワーとスピードの奔流の挟み撃ち!

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!」
「ドラララララララララララララララララララ!」
「オラオラァーッ!!」
「ドラララァーッ!!」

前後から同時に浴びせられる拳のラッシュ!
その威力によりディアボロは倒れる事すら許されず、全身をスタープラチナとクレイジー・Dにより打ち砕かれる!
肉は裂け、骨は砕け、内臓にまで衝撃が突き抜け、思考すら断絶させる。
そして一呼吸、承太郎と仗助の咆哮が終わった時、数え切れないほどの拳を受けたディアボロは声も無くその場に崩れ落ちた。
完全敗北により再起不能――。
戦いは終わった。
だが。

「ん? 相棒、ちょっとアレ見てみ」
承太郎の左手に握られていたデルフリンガーが言い、三人は異変に気づく。
部屋の中央で、白い光が渦を巻いていた。しかもその渦は次第に大きくなりつつある。
「召喚のゲート……があった場所っスね」
白い光の下に承太郎の血痕を見つけた仗助が呟き、デルフリンガーは直感的に判断した。
「相棒! 今すぐここから逃げろォォォッ!!」
デルフリンガーが叫ぶと同時に、光の渦は爆発したかのように部屋中に広がった。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

記事メニュー
目安箱バナー