ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

仮面の番外編

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匿名ユーザー

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ニューカッスル城の頂上で、ルイズは辺りを見回していた。
空では『レキシントン』が、その巨体をゆっくりと移動させている。
レキシントンの方向から、どこん、どこん、と間を置いて発射された大砲の弾は、ニューカッスルの城を囲む城壁へと着弾した。
「またか」
すぐ側で、見張りに立っていた衛兵が言葉を漏らす。
「いつもの嫌がらせです」
「…あの大砲は、なんで直接ニューカッスルを打ち砕かないのかしら」
「我々に降伏しろとでも言いたいのでしょう」

ふと城下町を見ると、吸血鬼の視力が妙な光景を映し出した。
小さな子供が石造りの家から出てきて、屋根の上に登り、石ころを戦艦に向かって投げているのが見える。
「城下町では、貴族派に石つぶてを投げるつもりで、幼子らが『レキシントン』に向かって投げているそうです」
なるほどな、と思った。
「衛兵さん、ちょっと聞きたいんだけど…ここから『レキシントン』まで、どのくらいの距離があるか分かる?」
「それでしたら、まず太陽の位置と時間を計測してですね……」
衛兵は、距離のはかり方から、船の速度のはかり方まで、事細かに説明してくれた。

その晩、レキシントンは、その力を誇示するかのように月を背にして浮かんでいる。
ルイズは城壁の近くを歩き回り、着弾した弾の破片を探していた。
掌より大きい、比較的原形を留めている鋼鉄製の弾を見つけると、ルイズは当たりに人がいないかを見回した。
周囲に誰もいないのを確認すると、ルイズは鋼鉄の弾に指がめり込むほど力を入れて、握りしめた。
反動をつけるために上半身を回転させると、ゴキゴキゴキゴキと背骨がありえない角度にまで曲がり、上半身が360度回転する。
「………………KUAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!」
叫びと共に、しなった弓矢が元に戻るように、ルイズの身体は人間の頭ほどもある鋼鉄の塊を投げ飛ばした。

しばらく後、部屋に戻ったブルリンは、ルイズがベッドの上であぐらをかいて考え込んでいる姿を目撃する。
「……よく考えたら届くはずないわよね……何やってるんだろ私……」
「? 姉御、どうしたんだい?」
「な、何でもないわよ、ちょっと考えごとよ考え事。」


その日、レキシントンの周囲を飛ぶ竜騎兵の一騎が、なぜか自軍の砲弾で墜落したとかなんとか。

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