ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

邪悪! 神の頭脳ミョズニトニルン

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邪悪! 神の頭脳ミョズニトニルン

「はい、解りました。『ボスが来るまで』時間を稼ぎます」
そう呟いたミョズニトニルンは杖をポケットにしまうと額のルーンを輝かせた。
するとガーゴイルの群れが再び動き出し、承太郎と仗助に襲い掛かる。
「神の頭脳って割りには頭悪ぃーようだな~……ドララララッ!」
背後から襲い掛かってきたガーゴイルを仗助はラッシュで粉砕し、その破片をひとつ掴むとミョズニトニルン目掛けてぶん投げる。
同時に承太郎は破片を追いかけるようにして走り出した。
ミョズニトニルンはその破片を自分で受けようとはせず、マンティコアのガーゴイルを間に割り込ませて盾にしながらきびすを返して逃げ出す。
仗助はちょっと気に食わないというように眉をひそめる、スタンドで迎撃してくれれば目くらましになったというのに。
もっとも時間を止めるスタープラチナに恐れをなして逃げ出したのかもしれないが。
「まあどっちにしろ、すでにその破片は『直してる』ぜ~……」
拳に握れるほどの破片の後を追いかける承太郎を、さらに後ろから追い越す無数の破片、それは先程仗助が砕いたガーゴイルの身体。
承太郎を避けて通り抜けた破片は、最初に投げられた破片とくっつき、元通りグリフォンの形のガーゴイルとなってマンティコアと衝突した。
ふたつのガーゴイルが砕けてさらに破片が舞い、スタープラチナでガードしながら承太郎がミョズニトニルンを追う。
ガンダールヴの力で増した速力を持ってすれば追いつくのはたやすいが、ミョズニトニルンはポケットから無数の人形を放ると、
人形は人間と同じ大きさになり、騎士や戦士の姿となって立ちふさがる。
得物は剣、槍、ハルバードと様々だ。
「スタープラチナ!」
しかしそんな人形、壁にすらならない。
スタープラチナの拳が、デルフリンガーの刃が、いともたやすく蹴散らしていく。
それでもミョズニトニルンは焦りなど微塵も浮かべはしない。

「……何ッ!?」
壁となった人形達の背後では、ミョズニトニルンが五人ほどに増えていた。
「それは使用者と同じ姿になるタイプのガーゴイルっス!」
仗助が叫ぶと同時に五人のミョズニトニルンはそれぞれ別方向に逃げる。
だが人形相手ならば近づかずとも破壊可能だとばかりに、承太郎はポケットから銃弾を掴み取るとスタープラチナに渡し、素早く五人の後頭部目掛けて銃弾を弾き飛ばした。
だが五人全員、まるで銃弾の軌道を知っているかのように、背中を向けたまま首を傾けて銃弾を回避する。
こうなったら一人ずつ接近して片づけるしかない。
どれが本物か考えても解らないため、承太郎は即座に右から順番に倒すと決め、ガンダールヴの速力を持って三秒で追いつき背中から斬り伏せた。
すると一番右のミョズニトニルンは小さな人形になってその場に転がる、ハズレだ。
続いて二人目は身をひるがえし、杖を振り上げて襲い掛かってきた。
仮にこいつが本物なら杖はフェイクで、本命はスタンドによる攻撃のはず。
「オラァーッ!!」
スタープラチナは承太郎のポケットに手を突っ込むと、無数の銃弾を掴み取って、それを一度にミョズニトニルンに投げつける。
散弾のように迫る銃弾を回避するのはさすがに無理だったらしく、二人目のミョズニトニルンは穴だらけになって小さな人形に戻った。
残る三人はそれぞれ扉、柱の陰、部屋の隅へと逃げている。
クレイジー・Dを吹き飛ばしたスタンドパワーを考えれば、部屋の隅へ逃げている奴が本体だったとしても壁をぶちぬいて逃げられる。
「仗助! 扉に向かっている奴を倒せ!」
一人では手に余ると考え承太郎は仗助に助力を仰ぎ、隅に向かって逃げるミョズニトニルンを追いかけ、背後から胴体を真っ二つに切断する。

一方仗助もガーゴイルをあらかた片づけていたため、ミョズニトニルンを追う余裕ができて、アズーロを呼ぶとその足に掴まり、風竜の飛行速度で追撃しクレイジー・Dの拳をミョズニトニルンに叩き込む。
攻撃された二人のミョズニトニルンは、偽者だった。
それぞれ破壊された後、小さな人形に戻ってその場に転がってしまう。
最後の一人は、天井を支える大きな柱に手をついて微笑を浮かべていた。
妙な気配を感じた承太郎は、何かする前に倒してしまおうと即座に襲い掛かる。
ミョズニトニルンは素早く柱の裏に回り姿を隠すが、承太郎はすでに柱の前まで肉薄していた。

ミョズニトニルンは柱の裏側にいる!
確信を持って承太郎はスタープラチナの拳を放ちながら時間を止めた。

柱は破壊された。スタープラチナのパワーによって粉砕された。
その向こう側にいる者の姿があらわになる。
柱の陰にいたのは、空条承太郎だった。

「こ……これはッ!?」
それは実に奇妙な光景だった。
時間が止まっているはずの世界の中、壊れた柱の破片が床に向かって落ちている。
そして気がついてみれば自分の視点は柱を破壊した側ではなく、破壊した柱の向こう側にいる自分に移っていた。
超スピードだとか、催眠術だとか、そんなチャチなものじゃあない。
時間停止とは異なる、とてつもなく恐ろしいものの片鱗を承太郎は感じた。

刹那、承太郎は突然横に跳んだ。
直後、承太郎がいた場所に拳が放たれた。
「まったく、使い手を動かすなんざ何千年振りだ?
 吸い込んだ魔法の分だけ動かせる……。こんな能力があったなんて忘れてた」
デルフリンガーがそう呟き、承太郎は事態をわずかだが把握した。
理由は解らないが自分の時間停止は失敗し、敵のスタンド攻撃を受けた。
その結果自分は気づかぬうちに柱を破壊してその向こう側に回っていた。
突然の出来事に混乱した自分をミョズニトニルンが背後から攻撃したが、間一髪デルフリンガーが自分の身体を操って攻撃を回避した。

承太郎はデルフリンガーを構えて振り向きながら、ミョズニトニルンを睨みつける。
そこにいたのは先程の少年ではなく、二十歳ほどの欧米人男性だった。
だがその男は少年と同一人物であるという証のごとく額にルーンが刻まれ、さらに正統派ともいえる人型のスタンドを発現させていた。
人型らしく両手両足があるが、不気味なのは顔の額に、もうひとつ小さな顔がある事。
「それがてめーのスタンドか……ミョズニトニルン」
「よくかわしたなガンダールヴ……。だが貴様のスタンドでは私には勝てん。
 永遠の絶頂を与えてくれる、このキング・クリムゾンにはな……!」

イタリアにて――新しいギャングが勢力を伸ばしていた。
そのギャングの名はバッショーネ、情熱を意味する。
他のギャングと違うのは、その組織の構成員にスタンド使いが大勢いた事。
もちろんボスもスタンド使いだ。能力はおろか、本体の情報すら誰も知らない。
正体を探ろうとした者はすべて返り討ちに遭い、
ボスは正体を完全に秘匿したままボスとしての地位を確固たるものにしていた。
だが1989年のある日、組織のボスは突然音信不通となった。
組織の者は気づいた、ボスは消えたのだと。
理由は解らない。ボス自身の意思なのか、それとも誰かが『消した』のか……。
ともかくボスを失ったバッショーネは勢力を衰えさせていく。
なぜボスが消えたのか誰も知らないように、ボスの名前も知る者もいない。
ボスの名はディアボロ。1967年生まれ22歳、法的にはすでに死んでいる男である。

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