ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

三人! 使い魔が来る!

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三人! 使い魔が来る!

二人、虚無の使い魔は首都ロンディニウム突入!
背負うはデルフリンガー、またがるはアズーロ。
待ち受けるは玉座を守護するメイジの精鋭!
「この人数、どうやらクロムウェルはそこにいるようだな」
「敵は十人ってところかぁ~? 上等だぜ~」
「まー相棒一人でも十分さね」
「キュイッ!」(俺の相棒一人でも十分だよ!)
目指すは前方の扉、ただ前を向く二人、物怖じせず突き進む。
轟音が響く。人が殴り飛ばされる音、壁や床が粉砕される音。
戦士の咆哮、敗者の悲鳴。
それらを聞きながら、彼は待つ。チャンスを待っている。

メイジを片づけた承太郎達は次々に扉を破って進み、玉座の間にやってきた。
勢いよく扉を蹴り壊して押し入ると、天井は高く、部屋は広く、アズーロの巨体でも結構自由に動けそうな空間だった。
そして玉座に堂々と座る男の姿。
「てめーがクロムウェルか」
男は答えない。違和感を持つと同時に、そこいらにある柱の影から、無数の敵が姿を現す。それは異形であった。

ドラゴン、グリフォン、マンティコア、四本の腕に武器を持つ騎士、人馬一体となって槍を構える者、三メートルの巨人の戦士。他にも様々な怪物がいた。
「これは……?」
「ガーゴイル(魔法人形)だな。ゴーレムと違って擬似意志で動く連中だ」
デルフリンガーは即座に敵の正体を見抜き、それにより対処法は決まった。
生物でないのなら動けなくなるまで粉砕すればすむ話だ。
「遅れるなよ仗助」
「この程度のガーゴイルでよ~……俺達にかなうと思ってんのか?」
二人は二方向に分かれて疾駆すると、それぞれガーゴイルに飛び掛る。
「オラオラオラッ!」
巨大な口腔から鋭い牙を覗かせて迫るドラゴンの口に飛び込んだ承太郎は、内側から拳のラッシュを叩き込んで頭部を完全に粉砕する。
それでも爪で反撃しようとするドラゴンの腕を即座にデルフリンガーで切断、続いて腹部に右手をぶち込むと、左手で腹を支えて持ち上げ、
横から攻撃しようとしていた人馬に向けてドラゴンをぶん投げる。
ドラゴンは投げられた衝撃でバラバラになり、人馬はぺしゃんこになった。
続いて屈みながらデルフリンガーを振り回して斬り上げ、飛び掛ってきていたマンティコアの胴体を両断しながら、スタープラチナの両手を横に突き出して、両断された胴体をさらに粉砕する。
破片が飛び散る中、承太郎の身体が陰に包まれた。
三メートルの巨人がハンマーを振り下ろしてきたのだ。
時を止めるまでもないと、ガンダールヴの足の速さを生かして回避すると、今度はスタープラチナの脚力で巨人の頭まで一気に跳ぶ。
「オラオラオラオラオラッ!」
そして落下しながらスタープラチナのラッシュを顔、首、胸、腹と叩き込み、さらにデルフリンガーでも連続して斬りつけて巨人の半身をバラバラにした。
着地すると同時にスタープラチナで右足の膝を砕き、デルフリンガーで左足の膝を切断して、巨人は戦うすべを失った。
「後ろだ相棒!」
デルフリンガーが叫ぶと同時にスタープラチナが背後目掛けて拳を振るう。
四本の剣を振り回す騎士の手を的確にスタープラチナの拳が打ち壊し、騎士が手放した剣を即座に奪い取ると、四本それぞれ別方向に投げる。
承太郎の前方にいたグリフォンの首に一本、仗助の背後に迫っていたマンティコアの額と胴体に一本ずつ、かく乱のために飛び回るアズーロを追いかけるドラゴンの翼に一本。
一騎当千の戦いをしながら、承太郎は仲間のフォローも完璧に行った。
承太郎と仗助は半数以上のガーゴイルを片づけると、一気にクロムウェルに迫る。
デルフリンガーを握りルーンを発動させている承太郎が一足早くたどり着くと、クロムウェルの胴体を玉座ごと真っ二つに切り裂いた。
悲鳴すら上げずにクロムウェルは倒れ、動かなくなった。
いや……むしろ斬られる前から動いていなかった?
承太郎は咄嗟にクロムウェルの両手を確認した。アンドバリの指輪は、無い。
「……まさか…………」
直後、死んだはずのクロムウェルが突然狂ったような笑みを浮かべて、隠し持っていたナイフを承太郎の足に深々と刺す。
「ぐうっ!?」
「承太郎さん!」
してやられた、と思いながらデルフリンガーを振るいクロムウェルの首を刎ね、さらにスタープラチナの足で頭部を踏み潰した。
するとクロムウェルはピクリとも動かなくなり、同時に承太郎達を襲っていたガーゴイルの動きも止まった。
「くっ……こいつはアンドバリの指輪に操られていた、死体だ」
「まさか! その顔は間違いなくクロムウェルっスよ!?」
仗助は教皇の見せたクロムウェルの似顔絵を思い出しながら叫んだ。
まさか影武者? 顔を変える魔法もあると仗助は聞いた事があった。
とにかく今は承太郎の負傷を治して、今後の行動を考えねばならない。
仗助は玉座まで駆け寄ると、クレイジー・Dで承太郎の傷を触って治した。
出血もズボンの破れもきれいサッパリ無くなる。
それから二人は無言でクロムウェルの死体を見下ろし、頭を悩ませていた。
すると、部屋の隅から物音がした。
視線を向けると、そこには腰を抜かして怯えているメイジの少年の姿があった。
服装を見るにアルビオン軍の者で間違いはない、負傷しているのか頭や腕に包帯を巻いている。
「誰だ」
「ヒィィ~ッ! み、見逃してください!
 僕はただクロムウェル様に報告に来た連絡兵ですぅ~!」
承太郎が問いかけると、殺されると勘違いしたのか少年は酷く怯えて命乞いをした。
とりあえず承太郎じゃ迫力がありすぎるので、仗助が少年に歩み寄る。
「ま~そう怖がるなって。お前、アルビオンのメイジか?」
「そ、そうです~! 王党派が負けて、仕方なくクロムウェル様に従ってたんです!
 ですから許して下さい! クロムウェル様が殺されたんだから、僕達の負けです」
「別に殺しはしねーよ。殺さずにすむ場合は殺さないよう注意して戦ってたしよ~」
少年まで数歩の距離に近づいた仗助は、そこで立ち止まり少年の額を見る。
「ところで、おでこに怪我してるみてーだけど、大丈夫か? ちょっと見せてみろ」
「これは敵の魔法で火傷しただけですよ~、見て気持ちのいいものじゃ……」
「いいから見せろって。見たらそれ以上は何もしね~」
そう言いながら仗助はゆっくりと少年に近づくと、クレイジー・Dを出現させた。
少年は突然現れたスタンドに驚いて悲鳴を上げ、直後クレイジー・Dは少年の顔面目掛けて拳を振った。
だがそれよりもほんの一瞬だけ早く、少年の右手から『右手』が伸びる。
「何ッ!?」
咄嗟にスタンドの左腕でガードする仗助だが、威力を殺しきれず後ろに吹っ飛ばされる。
「……いきなり殴ろうとする……何て野郎だッ」
怯えを消した少年は、獰猛に光る双眸で仗助を睨みながら立ち上がった。
「て、てめー……ミョズニトニルンか……」
クレイジー・Dの右手には、吹っ飛ばされる直前に掴んでいた少年の包帯があった。
そして少年の額には使い魔のルーン。豹変し狂気に満ちた双眸が仗助を睨む。
「てめー等はクロムウェル殺しの罪をかぶって、ここで死んでもらうぜ!」
少年が仗助を指差すと同時に、首だけになっていたドラゴンのガーゴイルが、突然口を開いて仗助の背後から噛みつこうと迫った。
ふいうちのため仗助は反応できず、ただギョッとして動きを止めるだけだった。
だが次の瞬間、そのドラゴンの頭は粉微塵になっており、仗助のかたわらには承太郎が立っていた。
「じょ、承太郎さん……助かったっス」
「……注意しろ仗助。奴は『お前が殴りかかるよりも早く殴り返していた』……!」
その奇妙な言葉に、少年からとてつもない凄味を感じ取る仗助。冷や汗が頬を伝う。
少年は獰猛な双眸を真っ直ぐに承太郎と仗助に向け、メイジと偽装するために持っていた杖を耳元に当ててささやいていた。
「どうやら帽子の男がガンダールヴで、時を止めるスタンド使いはこいつです。
 リーゼントはヴィンダールヴ……謎だったスタンド能力は手で触れた物を直す。
 肉体の傷もズボンの傷も関係なく、両方直してました。間違いありません。
 ……こちらの能力はまだバレてませんが、どうします? 『ボス』」
ボソボソ声だったので、その独り言は承太郎達には聞こえなかった。
が、独り言を喋っているという事は判断できた。
「仗助……。奴は恐らくアンドバリの指輪も持っている。
 スタンド能力、ミョズニトニルン、アンドバリの指輪。
 この三つを攻略しねーと……奴を倒すのは難しいようだな」
「グレート。けど時を止めれば指輪で傷を治したり、スタンド能力を使う暇も無いっス。
 承太郎さんの傷は俺が治せますから……射程距離まで近づいてみてください。
 まだ残ってるガーゴイルは俺が抑えておきます」

首都ロンディニウムの城、玉座の間。
ここに三人の虚無の使い魔が集い、戦いの火蓋を切って落とそうとしていた。

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