ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

愚者(ゼロ)の使い魔-16

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だれでも歓迎! 編集
「ってな事があったんだよー、どうすればいいと思う?」
「うーん、謝るしかないんじゃあないですか?」

おれは昼食を取りながら授業中の事をどう誤魔化そうか考えていた。
あの後ルイズはオスマンに呼び出されたらしい。それはつまり相当ヤバイ事をしでかした、という事だ。
おれとしては今この学院を離れるのは惜しい。ここなら部下も集められるし、ルイズを通して国の動きもわかるからな。

だから謝ろうと思った。
方法としては砂人形で何とかなりそうではあるのだが、ワンパターンすぎるのが問題だ。
後の事を考えると他の方法も持っておいた方が良い。
だがあの怒りはちょっとやそっとでおさまりはしないだろう。
考えても分からない。
だから人に聞いてみた。具体的に言うとシエスタに。

「悪い事をしたのなら謝らなくちゃ駄目ですよ」
「うん」
「ちゃんと悪い事をしたという意識を持つんですよ」
「ああ」
「イギーさんはその辺を適当にしそうですけど、それじゃ駄目ですからね」
「うい~す」
誠意を持って謝る以外の方法を知らなさそうなので適当に返事してこの場を去る事にする。

「参考になったよ、ありがとー」
「どういたしまして、でもなんで私に相談したんですか?」
「え?いや、なんとなく」
謝りなれてそうだから、なんて口が裂けてもいえないよなー。

他にも色々聞いてみた。
「あんな見事な逃走しといて謝るのは難しいんじゃないの?そもそも私謝り方なんて知らないわよ」
そういやキュルケが謝っている所は見た事ないな。

「……知らない」
素っ気ねーなあ、でも話してくれるだけマシなのか?この前マリコルヌが完璧に無視されてたしな。

「プレゼントで機嫌をとれば良いのさ!薔薇とかはどうだい?」
それは金がもったいない。そもそも金を持ってない。

結局有効な手は見つからなかった。
仕方ないので直球で行く事にする。
部屋の前で深呼吸。
落ち着いて謝罪の言葉を思い浮かべる。部屋に入って『ゴメンナサイ』。
これで大丈夫だ。というかこれしかない。

ドアをノックする。
「誰ですか?」
「イギーです。謝りにきました」
おれはドアを開け、コルベールの部屋に入った。

「えーと、その、ゴメンナサイ」

「別にもう良いですよ。何とか修理もできそうですし」
何とか許してもらえた。
だがちょっと元気が無いみたいだ。心なしか頭にもいつものような輝きが無い。
机の上を見ると確かに教室に入ってきたときの物があった。
「すいませんでした。ところでそれ何?」
謝るのが目的だったがどこか見覚えのあるそれに興味がわいた。
「聞いてなかったのですか?」
そりゃまあ、寝てたし。

「これはですね、まずこうやって油を気化させて…」
コルベールは足でふいごを踏んだ。
「そうするとこの円筒の中に気化した油が放り込まれます」
コルベールは円筒の横に慎重に杖の先っちょを差し込み、断続的に発火させた。
「すると円筒の中では気化した油が爆発し、その力でピストンが上下に動きます」
あ、分かった。これエンジンだ。
「動力はクランクに伝わり車輪を回します。そうすると…」
コルベールは箱についている扉を見る。
「ヘビ君が顔を出してぴょこぴょこご挨拶するはずなんですが…」
机の上にはヘビ君の破片があった。
「まだヘビ君は修理していないんですよ」
本当にゴメンナサイ

「でもスゲーな、エンジンだよコレ」
「えんじん?」
「そう。おれの故郷ではこれをつかって車を動かしてるんだ」

おれはコルベールに車とか飛行機とか船とかの事を話した。
その最中におれが異世界の出身であることも話した。
実はこれ、ルイズにも言ってないんだけど別に隠してた訳じゃあないので問題ない。

「機械か…私にも作れるでしょうか?」
「うーん、難しいんじゃあないかな、あんたの系統は火だろ?」
「そうですか…」
コルベールの系統は火だ。何かを作るのに向いているのは土系統。
出来なくはないが難しいだろう。
そうだ!
「まず簡単な物を作るんだ」
「簡単な物?」
「そしてそれを売ってその金で土のメイジを雇うんだ」
「なるほど!」
「もしかしたら他にも同じ考えのヤツが見つかるかもしれない」
「仲間も増やすのですか!それは良い考えだ!」

その後すぐに何かのサンプルを作りたかったがコルベールは明日から用事があって学院を離れるのだそうだ。
仕方が無いので今日はここでお開きとなった。
サンプルの第一候補は今のところ『折り畳み傘』だ。アレは地味に役に立つからな。
鞄に入れておくだけで急に雨が降った時にも大丈夫!この英知の結晶は素晴らしい!一言にまとめると人間傘下!

そしてこれは大収穫だ。
コルベールの協力があれば機械は無理にしても様々な道具が作れる。
作る国の方向性が見えてきた。『技術の優れた国』だ。

おれは意気揚々と部屋に帰ったが、部屋の前で思い出した事がある。
ルイズも怒ってたんだよなあ、すっかり忘れてた。どうしよ。

意を決してルイズの部屋に入る。

「あ、おかえりー」
あれ?何で怒ってないの?
てっきり罵詈雑言の後に体を切られたけどズレたままで固定されたり
体を小さな板のように切り崩されてそれでドミノ倒しされたり
息を吐けなくされたり吸えなくされたりして最後にご飯抜きの刑が待ってると思ったのに。
まあ良いや、怒ってないならそれで良い。話題を逸らしてやり過ごそう。
「いや勘違い、で何やってるの?」
「見て分からない?」
ルイズは机で本を読んでいる。だがその本のページは真っ白だ。
つまりあれは本ではなくノートということだろうか。
そして机の上には筆記用具。
考えに考えた末におれは答えをだした。
「分かった。作詞だ」
多分バンドでも組むつもりなのだろう。
なるほど。これに集中しすぎて怒りを忘れたって訳か、やっぱバカだな。

「正解。作詩よ、でもよく分かったわね?」
「これでも使い魔ですから」
とりあえずへつらっておく。
「やっと使い魔としての自覚が出てきたみたいね。
んなワケねーだろ。
「これはね、姫様の結婚式で使うのよ」
お、頼んでも無いのに説明しだした。
これは話したくてしょうがないって事だから適当に聞いて適当に相槌を打っておこう。

「……(説明中)……という訳なのよ」
「へー」

「そういえば午後は見なかったけど何してたの?」
このタイミングでそれ?てっきり完全に忘れたと思ってたのに。
「あれ?そういえば何か午前中に大変な事があったような…」
思い出すな、頼むから思い出すな。
「何があったっけ?確か最初はコルベール先生の授業で……」
おれが悪かったような気がするから止めて!
「コルベール先生が変な装置を披露して……あ!」
NO!remember(思い出す)NO!
「イギー、さっきはよくも逃げてくれたわね」
にこやかに言うな!まだ怒鳴ってくれた方が怖くないから!

ルイズが息を吸い始めた。怒鳴りだす準備だ。

「バカ犬~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!」

おれは逃げ出した。謝れって?無理だよあんなの。

ちょっと走ったら少しドアが開いてる部屋があったので飛び込む。
そこにはギーシュとモンモランシーがいた。
「匿え!」
命令形の文で話し、ベッドの下に隠れる。

「何なんだね君は!」
「うるせー!静かにしてろ!」
ギーシュに怒鳴り返す。って怒鳴っちゃマズイだろ、おれ!

「この部屋にいるのね?」
悪夢が、悪夢がやってくる!
「人の部屋でブツブツ言わないでくれたまえ」

勢い良くルイズが入ってきた。
「ここにイギー来なかった!?」
「来たよ。ベッドの下」
バラすな!
「なるほど?ベッドの下とはまたセコイ所に隠れたわね?」
ベッドの下を馬鹿にするなよ。
ここには青少年の秘密が隠されているんだ。ここはモンモンの部屋だからそんな物無いけど。
「捕まえてこの世に生まれた事を後悔させてやるわ!」
うわ、完全に悪役の発言だよアレ。
「それはそうとこのワインもらうわよ」
「あ!それは…」
モンモンの静止も空しくルイズはワインを飲んでしまったらしい。
だがワインを飲んでいるという事はつまり上を向いているという事!
おれはこの隙に部屋から逃げ出した。


再び廊下を走る。
でももう入れそうなドアは無い。
厨房とかおれが普段行く所はバレるだろうし、どうしよう。
走ってる内に前方に人影発見。キュルケだ。
おれはキュルケの後ろに隠れる。
「ちょっと、何よ?」
「すぐ分かる」
そう、すぐ分かる。
すぐにルイズが来てキュルケに噛み付くだろう。そしておれはその隙に逃げる。
完璧な作戦だ。

「キュルケ!?どきなさ…」
ルイズがやってきてキュルケを見つけた。が、様子がおかしい。
キュルケを見たまま動かないのだ。
そしてキュルケに跳びかかり、抱きついた。

抱きついた。
ルイズが、キュルケに、抱きついた。

「キュルケってやっぱりスゴイわね~。胸とか、胸とか、胸とか。もう大好き!」
胸しか褒めてねーじゃん。同感だけど。
ルイズはキュルケをどこかに運んでいく、すごい力だな。
キュルケも抵抗するのだがルイズが間接を押さえているのであまり意味が無い。
ここで逃げたほうが賢いのだが好奇心からおれも付いていく。もちろんすぐに逃げられる距離を保ちながらだが。
そのままルイズは自分の部屋にキュルケを持ち帰った。

あ、コレはヤバイ。R指定だ。
これ以上は色々ヤバイ事になるので別の寝床を探そう。
部屋から離れようと思ったらキュルケの部屋からフレイムが出てきておれに話しかけてきた。
「あの、マスターからすぐに助けるよう言われたんですが、なにがあったんですか?嫌な予感がするんですけど」
どうやらキュルケがフレイムに助けるように言ったらしい。
「行かない方が良いぞ」
「でもマスターの命令ですし…」
やはりフレイムも行きたくないらしい。
「おれに邪魔された事にすれば良いだろ」
「あ!そうですね!」
キュルケの部屋はこんな時間でも訪問者があるらしいので、フレイムと別の寝床を探すことにした。


「お兄様たちと一緒に寝れるなんて嬉しいのね!」
おれ達もお前が寝ている場所を貸してくれて嬉しいよ。
ありがとうな、シルフィード。

その日の夜。女子寮にR指定なR指定がR指定だったらしい。


To Be Continued…

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