ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

ゼロのパーティ-15

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過酷な状況であっても、目を閉じれば、否応なしに眠りの世界へと誘われる。
廊下で毛布にくるまって、既に1時間。
ようやく僕の意識も眠りの世界へつこうとしていた。

ちなみに隣の才人は、あれだけ寒い寒いと文句をたれていた割に、10分そこそこで寝てしまった。
全く以て、その順応性の高さには恐れ入る。
きっと枕が変わって眠れない等ということは、全く縁のない男なんだろう。

「おいおい、ルイズ。また、眠れないのか?」
「なんだよ、また添い寝して欲しいのか?」
「やっぱり甘えん坊さんなんだなぁ、ルイズは」

しかし、この寝言は何とかならないのか?
才人は寝てからずっとこんな調子で、ピンクな寝言を横で垂れ流している。
いわれた通り、本当に夢の中で暖めて貰う奴があるか!

……いっそ、たたき起こしてやろうか?

グニュオ

「へっ、お返しだ。こっちから抱きついてやったぜ」
……最悪だ。
才人が何かほざきながら、僕に抱きついてきた。
気色悪すぎるッ!

せっかく眠りにつく一歩前までこぎ着けた僕の精神は、才人の所為で完全に覚醒してしまった。

「いつまで寝ぼけてるつもりだッ!」
「オグェッ!」

密着状態な為、身体が動かせない僕は、スタンドで思いっきり才人の腹に一撃を加える。
才人はカエルがつぶれたような声を出して、ぴくぴくと震えている。
が、起きてくる気配はない。

失神したのか?

「へへへっ、照れ隠しかよ……」

ちょっと胃液混じりの涎を吐きながら、才人は未だたわけた夢を見ている。
少しばかり殺意が沸いた。

それはともかく、コレじゃあいつまで経っても眠れない。
とりあえず、才人を拘束しておこう。

「『タイラップスネーク』ッ!」

僕は自分のスタンドをひも状にほどき、毛布と一緒に才人を縛り上げ、団子状態にする。
とりあえず、コレで窒息寸前まで放置してやる。

「わあああ、ま、待てルイズ! 俺が悪かった! だから生き埋めは止めてくれ!」

どうやら夢の中でも窒息したようだ。
暫く、そのままの状態で反省していろ。

「しかし、完全に目が覚めてしまったな……」

強引に起こされた所為で、眠いのに寝られない。
仕方なく僕は、窓から顔を出して、二つの月を眺めることにした。
ボーっとしていれば、またそのうち眠くなるだろう。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

暫くボーっとしていたが、どうにかいい感じで眠れそうだ。
僕の意識がもう一度、眠りの世界へとさしかかろうとし始める。

やっと寝られる。
僕は身体を引きづりながら、所定の寝床へとたどり着く。
ちなみに才人入り毛布団子は、もはや何の反応も示さなくなっている。

……流石にこれ以上はマズイか。

僕はタイラップスネークを解いて、毛布を元の状態に戻す。
中に入っていた才人は、うつぶせのまま、ピスピスとわずかな呼吸音をならすだけだ。
もう寝言は聞こえない。

よし、今度こそ寝られるな。
僕は毛布と布団で身体を包み込み、寝袋のようにして地面に身体を横たえた。

さあ、後は目を閉じるだけだ。

僕は全身の力をゆっくりと抜く。
そして瞼を少しずつおろそうとした所で、丁度、目の前のドアが開いた。

確かあそこは、キュルケとかいう女性の部屋だったな。

そしてその開いたドアから、昨日の朝見たサラマンダーが顔を出す。
その部屋の主であるキュルケに、フレイムと呼ばれていたそのサラマンダーは、人なつっこい声できゅるきゅると鳴き、僕の方へと近づいてきた。
小型の虎ぐらいある蜥蜴だ。ちょっとしたことでも、危ないことになる。
仕方なく、僕はその横たえていた身体を起こすことにした。

どうやら今日、僕は眠れない運命にあるらしいな。
どうせ、ゲームを買うのに徹夜したこともあるんだ。
いっそ、起きておこう。

僕は開き直って、徹夜という選択肢を選ぶことにした。

「何なんですか?」

僕は目の前のフレイムに語りかける。
使い魔というからには、人語を解するくらいの頭はあるだろう。
そう、ふまえての行動だ。

フレイムは再び、きゅるきゅると人なつっこい声で鳴き、僕の服の袖を加え、くいくいと引っ張ってきた。

「ついて来い……ということですか?」

フレイムはその言葉を肯定するように、首を振る。
そしてフレイムは僕を、自分が出てきた部屋、つまりキュルケの部屋へと引っ張ろうとする。

一体、彼女が何のようなんだろうか?
そもそも、まともに話してすらいないと思うのだが。

しかし抵抗しようにも、相手は小型の虎ぐらいある蜥蜴だ。
確実に服がちぎれる。

僕は案内されるがまま、フレイムの主が入る部屋へと足を進めた。

キュルケの部屋は、明かり一つついていない、真っ暗な状態だった。
かろうじてフレイムの尻尾の火の周りだけが、ぼんやりとした明るさを持っている。

「扉を閉めて?」

暗がりの中から声が聞こえる。
この部屋の主、キュルケのものだろう。

ともかく、風が入ってきては寒い。
僕は言われた通り、後ろ手で入ってきたドアを閉めた。

バタンという音が部屋に響く。
それを聞いて、キュルケが何かを言い出す前に、僕は先手を切って、暗がりの方に訪ねた。

「一体、何の様なんだ?」
「もう、せっかちさんね」

キュルケは別に気にした風でも無い声で、返答する。
続けてパチンと、キュルケが指を弾く音が聞こえた。

すると、僕の入ってきたドアに最も近いロウソクから順に、一つずつ明かりが灯されていく。
何度かルイズの部屋でも見たが、便利なものだ。

そんなことを考えている内に、明かりはぼんやりとした光の道になって、キュルケまでの道を照らし出す。
照らされた先には、メロンおっぱい、あ、いやいや、ベビードールと呼ばれる下着を着たキュルケがいた。
そのメロンおっぱいは、見事にレースのベビードールを持ち上げている。

ブラボー! おお、ブラボー!

しかし、そんなことはおくびにも出さない。
僕は二枚目キャラなのだから! (才人とは違う)

僕はゆっくりと、キュルケと話すにふさわしい距離まで寄っていく。

丁度キュルケの手前、1mぐらいのところで、僕は足を止める。
ロウソクのわずかな光に照らされ、余計に艶めかしさが強調された身体に、僕は思わずつばを飲んだ。
色っぽい匂いの香水が鼻を支配する。

女の子に迫られたことや、告白されたことはあるが、こんな状況は流石にない。
どこぞのフランス人では無いが、頭がどうにか成りそうだった。

キュルケは、そんな僕の様子を知ってか知らずか、大きくため息をつき、悩ましげに首を振って話し出す。

「あなたは、あたしをはしたない女と思うでしょうね。思われても仕方がないの。わかる? 私の二つ名は『微熱』」

どうやら彼女は演出を大切にするタイプらしい。
僕の様子に関係なく、少々芝居がかった口調で、口上を続ける。
しかしながら、そのあふれんばかりの色っぽさばかりが強調され、話の半分も頭の中に入ってこなかった。

「……二つ名の『微熱』は、つまり情熱なのよ!」

なんとか頭に入ってきた言葉をまとめると、要するにギーシュを倒した時の僕の姿を見て一目惚れをした。ということらしい。
ディ・モールト解りやすい。

「本当に、あたしってば、みっともない女だわ。そう思うでしょう? でも全部あなたの所為なのよ?

さて、ここで僕はどうすればいいのだろう?
もし、これが普通の告白であるならば、こういう惚れっぽい子の告白は、適当なことを言うか、ばっさり言って断るのだが。

こんな想定外の事態に、僕の能は完全にフリーズしていた。
正直、困るのだが、どう断って良いのか、皆目見当もつかない。

そんな風に黙っている僕の姿を肯定と受けたのか、キュルケは顔を僕の方へと顔を寄せ、キスの体勢を作る。

僕はなんとか再起動を果たし、キュルケの肩に手を置いて押し戻す。
しかしぎこちない動作で行ったそれは、返ってあらぬ事態を引き起こした。

「きゃっ!」
「うわっ!」

僕の下にキュルケの顔が見える。
僕はベットに四つんばいの体勢になっている。
僕はキュルケの肩を持っている。キュルケはベットに倒れ込む。
つまり……押し倒す姿勢になるな……。

「あ~ら、随分情熱的で激しいアプローチね」
「OH! MY GOOOOOOOD!」

ああああああああああああ!
違う! 僕はこういうキャラじゃない!

ああああああああああああ!
違う! 僕はこういうキャラじゃない!

僕は起死回生を求めて、窓を見た。

「キュルケ…… 待ち合わせの時間に君が来ないから来てみれば……」
そこにはルックスもイケメンだ。な男が一人、浮いていた。
「ペリッソン! えーっと…… 二時間後に」
「話が違う!」

キュルケはベットを転がって僕から逃れ、そのメロンおっぱいの谷間から派手な杖を取り出す。
そしてうるさい蠅でも払うように、杖をふるった。
するとロウソクから日が伸び、窓ごと、イケメンを吹き飛ばした。

イケメンは、そのままくるくる回って蚊のように落ちていく。
……ここは三階のハズだが……大丈夫なんだろうか?

「まったく、無粋な梟ね」
「……今の、誰ですか?」
「彼はただのお友達よ。ともかく………」

友達がこんな時間に、窓からこんにちわ。などと言うわけ無いだろう!
つまり、彼女は今、堂々と二股をかけようとした訳だ。
ビィィッチ!

その後も、5人ほどの男が、その窓から顔を出す。
そのたび、キュルケは杖をふり、時にはフレイムに任せて、蚊トンボのようにたたき落とす。

とりあえず、解っただけでも僕を含めて、六股をかけようとしていた訳だ。
もしこの姿を見られれば、間違いなく100年の恋も冷めるだろう。

付き合っていられるか……
僕はキュルケに気づかれないように、部屋のドアに手をかけようとした。
しかし、それよりも早くドアが開けられる。

嫌な予感が、僕の背中を走った。


ドアを開けたのは、予想通り、ルイズであった。
後ろには才人もいる。

「ツェルプストー! あんた、誰の下僕に手を出してるのよ!」
「仕方ないじゃない、好きになっちゃったんだもん」

いや、そういわれても正直困る。
六股は勘弁だ。

僕は才人の方を見る。
才人は何もせず、ただニヤニヤと僕の方を見ていた。
助けるつもりは毛頭無いようだ。

後で覚えていろ……

さてあの後、名残惜しそうにこちらを見つめる、キュルケのいる部屋を後にして、僕はルイズの部屋の床に座らされた。
才人はというと、相変わらずニヤニヤとこっちを見ている。

そして僕はルイズに延々と、ルイズとキュルケの家の因縁を聞かされることと成ったのだ。

これも全部、才人が抱きついてこなければ……!

恨めしい目つきで、僕は才人の方を見る。
才人は既に、部屋の中で気持ちよさそうな寝息をたてていた。
僕はそんな才人を見て、明日、ハイエロファントグリーンで操って、便器でも舐めさせてやると心に誓うのだった。

To be contenued……

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