ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

砕けない使い魔-8

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匿名ユーザー

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「んむ~~~」
「ぬうううう~~~ッ」

ベッドの上にすわりこむルイズ
ドアの正面にアグラをかく仗助
いろいろ一段落はついたものの
ふたりは小一時間にらみあったままだった
たまに口を開いたかと思えば

「ンだよ、またバカにすんのかよ、髪」
「…ヘンタイ」

たがいにプイとソッポを向き
そしてまたチラリと目が合うと

「んッ、むゥゥ~~」
「ぬううう~ッ」

このくり返しだった

(くっそ~~
 そりゃチカンだろーよ
 ムネをさわりゃあよおおお~
 だけどオレがやろうとしたのは人命救助だっつうの
 釈然としねー ムカつくぜっ)

(なによこいつッ
 使い魔のくせにご主人様をなぐるし
 胸、さわろうとするなんてサイテー
 大ミエ切った手前、仕方ないから追い出してないけど
 ケガらわしいわ 不潔だわ このチカンッ)

こんなグチを心の中でタレるのも何度目だろうか?
いいかげん不毛だとはどっちもわかりきっていた

(だけどよぉー
 また一方で、コイツが助けてくれなきゃあ
 オレは死んでたっつー事実もあるわけでよー
 それに、ナニがどーなってんのかも聞いとかなきゃ
 ラチがあかねぇってやつだよなぁー)

(でも、こいつ…
 崩れた建物の下じきになったわたしを助けてはくれたのよね
 使い魔のくせに魔法をつかうなんて、もっとハラ立つけど
 ここであたしがムカついててどうすんのよ
 聞くことだってたくさんあるのに)

チラッ チラッ

ふたりはまた相手を見る
そして

(でも、やっぱりムカつくっ)

プイッ プイッ

また顔をそむけるのである
いつまでこんなことをしているつもりか
もう夜もすっかりフケていた
目が覚めたころからとっくに夜だったが
今は遠くから生き物の声しか聞こえなかった

トントン

「うおおわッ」

やっとしてきた物音は仗助の背後から
ドアを叩いてきた誰かだった
仗助はビビって軽くのけぞる

「これは失礼しました、ジョースケ様」
「だから、様はいらねェって」

声には聞き覚えがあったので
ドアごしにこころよく応じる仗助だったが

ムッ!

それがまたルイズのカンにさわったようだ

(使い魔のくせに「様」ですって、こいつッ
 というかジョースケ? 名前?
 使用人にカンタンに教えてやった名前なのに
 ご主人様には態度悪くして黙ってるって、そーいうワケぇ?)

ムッカァァ~~~~~ッ

「ルイズ様、よろしいでしょうか…」
「帰んなさい」
「ですが」
「聞こえなかったのッ」

即答
聞く耳もたないッ

「わかりました…
 ミセス・シュヴルーズからの、今夜の分は置いておきますから…部屋の前に」

ドア向こうの声、シエスタはスゴスゴと引き返していったようだ
仗助は少し落胆してからまたムカついた
今、目の前にいるピンク髪のバイオレンス女よりも
ずっと話が通じる相手だったのに!

「おい、なにもあんなフウによー」
「るさいッ おまえ何様よッ」
「何様だはてめーだッ ゴーマンチキッ」

そろそろ我慢の限界
仗助も声をあらげてしまった

「フンッ!!
 何様、ですって?
 いいわよ、教えてやるわよ」

バサァ
ザッ!!

ベッドから、マントをひるがえして立つルイズ

「ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール
 トリステイン王家につらなるヴァリエール家の三女とは、わたしのことッ」

ドン

気合いを入れた名乗りではあったが
それを聞いた仗助の顔といったら

「…………」

ホケェェ~~…ッ

(ルイズ・フラン…何…?
 「トリステイン」…どこのヨーロッパだぁ?
 王家っつわれても、聞いたこともねェんじゃあよー)

「ま…おめーが王家だろうが金持ちだろうが、どっちでもいいや」

気を取り直して、やっと話し合いに入ろうとする仗助
だがもう少し洞察力を働かせるべきだったのではないだろうか?
とはいえ実際、そんなものを「悟れ」と言う方に無理があるのだが
彼も彼女も、置かれた状況をあまりにも理解していなさすぎた

ヒクッ…

ルイズのまぶたがケイレンした

「ふっ…
 そ、そぅお~ クチで言ってもワカンナイやつなのね、おまえ」

ヒクッ… ヒクッ

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

ビンッ ビン

片手に取り出した鞭を指先でしならせ
じりじりと仗助に寄ってくる

「ちょ、待、待て…
 どうする気だ? そいつで…その『鞭』」
「わたしはご主人様で、おまえは使い魔なのよ」
「…はぁ?」

何デンパ抜かしてんだてめー
そうとしか言いようがないッ

(そーいや、出会い頭にも言ってたな
 使い魔だとか、ご主人様をおまえ呼ばわりだとか…)

まさか本気で言っていたのか
現在進行形でマジなのかッ?
だとしたら…イカレポンチか!
正真正銘のッ

「調教してやるわ、このド平民」
「冗談じゃねー 自衛すんぞコラァァ―――ッ!!」


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