ヴェストリの広場へ向かう4人の少女と1匹の使い魔。
双月は雲に隠れているため、道中はけっこう暗い。キュルケが魔法で灯したランプを頼りに進んでいく。
「別に着いて来なくてもいいのに」
ルイズがシエスタと名乗ったメイドの少女に話しかける。
「いえ、原因の発端は私ですし……」
「だから別にあんたの為に決闘するんじゃないんだってば」
もう何度目かになるそのやり取りをキュルケは苦笑しながら聞いていた。
双月は雲に隠れているため、道中はけっこう暗い。キュルケが魔法で灯したランプを頼りに進んでいく。
「別に着いて来なくてもいいのに」
ルイズがシエスタと名乗ったメイドの少女に話しかける。
「いえ、原因の発端は私ですし……」
「だから別にあんたの為に決闘するんじゃないんだってば」
もう何度目かになるそのやり取りをキュルケは苦笑しながら聞いていた。
「それに、ミス・ヴァリエールの使い魔さまにもいろいろお世話になりましたし」
それを聞いたルイズは足を止めた。すぐ後ろを歩いていたタバサがルイズにぶつかる。
「痛い」
「あ、ゴメン。………シエスタ。ブラック・サバスがどうしたって?」
「お手伝いしていただいたんです。夕食の準備とかを」
もっとも邪魔にしかならなかったが、それは言わないでおく。
「あいつ……!一日姿を見せないと思ったら何やってんのよ……」
不機嫌そうに呟くルイズを見て、シエスタは余計なことを言ってしまったことに気づく。
「あ、いえ、あの」
なにかフォローになることを言おうとするが、何も思い浮かばない。
ルイズから他の貴族とは違う何かを感じていたとはいえ、貴族は貴族。やはり恐怖心はあった。
それを聞いたルイズは足を止めた。すぐ後ろを歩いていたタバサがルイズにぶつかる。
「痛い」
「あ、ゴメン。………シエスタ。ブラック・サバスがどうしたって?」
「お手伝いしていただいたんです。夕食の準備とかを」
もっとも邪魔にしかならなかったが、それは言わないでおく。
「あいつ……!一日姿を見せないと思ったら何やってんのよ……」
不機嫌そうに呟くルイズを見て、シエスタは余計なことを言ってしまったことに気づく。
「あ、いえ、あの」
なにかフォローになることを言おうとするが、何も思い浮かばない。
ルイズから他の貴族とは違う何かを感じていたとはいえ、貴族は貴族。やはり恐怖心はあった。
そこに助け舟を出したのは意外にもタバサだった。
「昼間図書館で会った」
「え?」
タバサの方を向き疑問符を上げる。
「会ったって。ブラック・サバスと?」
コクリとうなずくタバサを見て、ルイズは質問を続けた。
「図書館で何してたのあいつ」
「何かしゃべってた」
実際にはタバサは図書館でブラック・サバスの姿を見たわけではなく、ただ話しかけられただけでしかない。
しかし、今さっきの食堂でのブラック・サバスの声とセリフを聞いて、昼間の図書館の声の主がそれだと理解したのだ。
「昼間図書館で会った」
「え?」
タバサの方を向き疑問符を上げる。
「会ったって。ブラック・サバスと?」
コクリとうなずくタバサを見て、ルイズは質問を続けた。
「図書館で何してたのあいつ」
「何かしゃべってた」
実際にはタバサは図書館でブラック・サバスの姿を見たわけではなく、ただ話しかけられただけでしかない。
しかし、今さっきの食堂でのブラック・サバスの声とセリフを聞いて、昼間の図書館の声の主がそれだと理解したのだ。
「そういえば、私も昼間に中庭で会ったわよ。あんたの使い魔の…ブラック・サバス?」
今度はキュルケが思い出したように話し出す。
「あんたも!?ほんとにあいつ一日中ほっつき歩いてたの!?」
ルイズはブラック・サバスに文句のひとつでも言ってやろうとして…ふと止まる。
「キュルケ、あんたブラック・サバスはさっきまで死んでたと思ってたんじゃなかったの?昼間に会ってんじゃない」
言われたキュルケは思わず、う……と声を漏らす。
まさか昼間に会ったルイズの使い魔を幽霊と勘違いしたとは言えまい。
「そ、そんなことより!早く行かないと、不戦敗になっちゃうわよ!」
急に慌てだしたキュルケに疑問符が浮かぶも、彼女の言うことももっともだったので思考を切り替える。
「サバス!この話の続きは、決闘の後でゆ~っくりするからね!」
さっきまで最後尾をヒョロヒョロついてきていたブラック・サバスに向かって言う。
が、そこには話題の中心になっている使い魔の姿は無かった。
今度はキュルケが思い出したように話し出す。
「あんたも!?ほんとにあいつ一日中ほっつき歩いてたの!?」
ルイズはブラック・サバスに文句のひとつでも言ってやろうとして…ふと止まる。
「キュルケ、あんたブラック・サバスはさっきまで死んでたと思ってたんじゃなかったの?昼間に会ってんじゃない」
言われたキュルケは思わず、う……と声を漏らす。
まさか昼間に会ったルイズの使い魔を幽霊と勘違いしたとは言えまい。
「そ、そんなことより!早く行かないと、不戦敗になっちゃうわよ!」
急に慌てだしたキュルケに疑問符が浮かぶも、彼女の言うことももっともだったので思考を切り替える。
「サバス!この話の続きは、決闘の後でゆ~っくりするからね!」
さっきまで最後尾をヒョロヒョロついてきていたブラック・サバスに向かって言う。
が、そこには話題の中心になっている使い魔の姿は無かった。
「…………ええええ!?まさかまた勝手にどこかに行ったの!?あのバカ犬!!!?」
今度はルイズが急に慌てだす。
「ちょっと!ヴァリエール!落ち着きなさい!うろたえるんじゃあないッ! ドイツ軍人はうろたえないッ!」
「ドイツ軍人ってなによ!」
「いいから落ち着きなさいって、もしかしたら先に行ってしまったのかも……」
言いながらキュルケは、ランプを前方へ向けた。その灯りの中にブラック・サバスの仮面のような顔がヌッと浮かびあがる!
「キャア!」
後ろから甲高い悲鳴が上がった。
「サバス!!!フラフラしないの!私の影の中にいなさい!」
ルイズが杖を向けながら怒りの声を上げる。
「だいたいあんた影の中しか歩けないんでしょうが!なんで普通に歩いてんのよ!」
そこまでまくし立てて、気づく。
今度はルイズが急に慌てだす。
「ちょっと!ヴァリエール!落ち着きなさい!うろたえるんじゃあないッ! ドイツ軍人はうろたえないッ!」
「ドイツ軍人ってなによ!」
「いいから落ち着きなさいって、もしかしたら先に行ってしまったのかも……」
言いながらキュルケは、ランプを前方へ向けた。その灯りの中にブラック・サバスの仮面のような顔がヌッと浮かびあがる!
「キャア!」
後ろから甲高い悲鳴が上がった。
「サバス!!!フラフラしないの!私の影の中にいなさい!」
ルイズが杖を向けながら怒りの声を上げる。
「だいたいあんた影の中しか歩けないんでしょうが!なんで普通に歩いてんのよ!」
そこまでまくし立てて、気づく。
「……………………そうか。今あんたが立ってるところも影なのか」
さっきまでルイズは、ブラック・サバスは『自分たちの影』を踏んで付いて来ているとばかり思っていた。
しかし今、このパーティーはブラック・サバス、ランプを持ったキュルケ、ルイズとシエスタ、タバサの順番で並んでいる。
ブラック・サバスは誰の影も踏めてない。ならばブラック・サバスが踏んでいる影は、何の影か?
恐らくブラック・サバスは『月を隠している雲の影』を踏んでいるはずだ。
(てことは…………今暗いところは全部雲の影で……てことは………暗いところは全部こいつのテリトリー?)
さっきまでルイズは、ブラック・サバスは『自分たちの影』を踏んで付いて来ているとばかり思っていた。
しかし今、このパーティーはブラック・サバス、ランプを持ったキュルケ、ルイズとシエスタ、タバサの順番で並んでいる。
ブラック・サバスは誰の影も踏めてない。ならばブラック・サバスが踏んでいる影は、何の影か?
恐らくブラック・サバスは『月を隠している雲の影』を踏んでいるはずだ。
(てことは…………今暗いところは全部雲の影で……てことは………暗いところは全部こいつのテリトリー?)
今度は急にニヤニヤし始めたルイズにキュルケは少なからず不審の目を向ける。大丈夫かしらこの子。
「ワケが分からないけど…自己解決したみたいね」
「ええ。これで勝ちは決まったも当然よ。私が手を出さなくてもサバスだけでも勝てるわ」
またもや妙に自信満々に言う。
「この使い魔そんなに強いの?」
疑いの目でキュルケはブラック・サバスを見る。
「もちろんよ。こう見えてこいつ、ものすっごい力持ちなんだから」
ルイズは昨日と今朝で二度、ブラック・サバスに捕まる経験をしていた。
あのとき感じたパワーは今まで体験したことの無いものだった。
物理的な強さというよりも、なんというか魂ごと押さえ込まれるというか……。
「ワケが分からないけど…自己解決したみたいね」
「ええ。これで勝ちは決まったも当然よ。私が手を出さなくてもサバスだけでも勝てるわ」
またもや妙に自信満々に言う。
「この使い魔そんなに強いの?」
疑いの目でキュルケはブラック・サバスを見る。
「もちろんよ。こう見えてこいつ、ものすっごい力持ちなんだから」
ルイズは昨日と今朝で二度、ブラック・サバスに捕まる経験をしていた。
あのとき感じたパワーは今まで体験したことの無いものだった。
物理的な強さというよりも、なんというか魂ごと押さえ込まれるというか……。
この自信満々のルイズに対して疑いの目を向けるのはシエスタもだった。
どう考えてもこの使い魔が力持ちとは思えない……。大丈夫かこの人。
「サバスちゃんと言うこと聞きなさいよ!働きようによっては、特別に今日フラフラ歩き回ってたこと許してあげてもいいわ」
ルイズは上機嫌だった。もう勝った気でいる。
(後で泣くことにならなければいいけど)
キュルケの心配をよそに、ルイズは勝った時の決めゼリフへと思考を移していた。
「遅刻」
後ろからのタバサのつっこみでやっと一行はヴェストリの広場へ歩き出した。
どう考えてもこの使い魔が力持ちとは思えない……。大丈夫かこの人。
「サバスちゃんと言うこと聞きなさいよ!働きようによっては、特別に今日フラフラ歩き回ってたこと許してあげてもいいわ」
ルイズは上機嫌だった。もう勝った気でいる。
(後で泣くことにならなければいいけど)
キュルケの心配をよそに、ルイズは勝った時の決めゼリフへと思考を移していた。
「遅刻」
後ろからのタバサのつっこみでやっと一行はヴェストリの広場へ歩き出した。
To Be Continued 。。。。?