ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

砕けない使い魔-1

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匿名ユーザー

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「宇宙の果てのどこかにいる私のシモベよ…
 神聖で美しく、そして、強力な使い魔よッ
 私は心より求め、訴えるわ
 我が導きに…答えなさいッ!!」

ドッグォオォ

今更、爆発くらいでは誰も驚かない
慌てて身をかばいはするが、誰も彼も、ただそれだけのことだ
ゼロのルイズが魔法を使えば爆発する
馬を怒らせたら蹴飛ばされるのと同じくらい、彼らにとっては当然
だが、煙がおさまったあと、そこに見えてきたものは違った
そういえばルイズは召喚魔法を使ったのだ
クラスメートは皆、そのことを思い出していた
そして―――

「…なに? この…鳥の巣アタマ…は?」

当のルイズがのけぞりおののいた時、それは噴出する
煙から現れ出た男、その頭ッ
彼らの目にはまさしく鳥の巣ッ 笑い出すにはあまりに充分ッ


「うはッ」
「くくくっ」
「あっはっはっはっはっは」
「ぶーっはっはっはっはァ――――ッ」
「ちょ、ちょっと、ぷはっ、アハハハハハハハハ」
「鳥の巣、鳥の巣、くわははははは」
「さっすがルイズッ ぐはははは」
「鳥の巣男を召喚したぞおおおお」
「そこにしびれるあこがれるゥ――ッ ヤッハハハァァ」

腹を抱え、転がる
教員にも収集がつかない
引率のコルベールは頑張っていたが
その努力はむなしかった
笑い声に囲まれたルイズは拳を握り、
どうしてくれようかと男を見やった瞬間である

「DORAa!!」

ズド

ルイズは空を飛んでいた
何が起きたのかわからなかった
空と地面がぐるりと視界を一週、二週、三週
桃色がかったブロンドも歌舞伎のように乱れ、そして


ドザアッ

肩から落ちた
笑い声がぴたりと止んだ
「鳥の巣」の様子はおかしかった
誰が見ても明らかだった
そいつは今まで座っていたが
立ち上がってみると、意外なまでに大きな男だった
「鳥の巣」もそうだが、見たこともない黒ずくめの服装、その装飾
何から何まで奇妙だ
だが奇妙なのは、もっとも奇妙なのはッ

 ・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・  ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
男が一体何をしたのか、誰の目にも見えなかった

「お…おまえ、ご主人様にッ
 つ、使い魔のぶんざいでぇぇっ」

痛みを忘れたルイズは身を起こし、半泣きで怒鳴るが
虚勢は一瞬で消し飛ばされた

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

「鳥の巣」が影となって、その目元はよく見えない
見下ろすように顎を上向けているにも関わらず


(何、こいつ…
 なんか知らないけど、ヤバいッ)

直感し、立って少し離れようとした直後
男が初めて喋った
聞き取れる声を出した

「oreno…」
「オ、オレ、ノ?」
「orenoatamaganandatte?」
「わ、わっかんないわよっ
 人間の言葉しゃべんなさいよッ!!」
「darenoatamagaDORAEMONnoSUNEOmiteedato~~~ッ」

「そこまでだッ」
「不審なヤツめ、取り押さえてやる」

衛兵がやってきた
誰かが呼んだのだろうか
どうでもいいが彼らは不運だった


ドゴ バキャア

兜と顎が砕け割れる
二人同時だった
同時に別方向に飛んでいった
今度こそ確かに言える
「見えない何かに殴られた」
この場にいる全員に、そうとしか見えなかった

「kikoetazoKORAaa!!」

ズンッ

踏み出す男、全員後じさる

「い…い…」

ゲドゲドの恐怖ヅラで、生徒の一人が命じてしまった
緊張に耐えきれず、火蓋を切ってしまった
召喚したての使い魔に、自らの半身にッ

「いけえええ、ビーティィィィ―――ッ」


パニックだった
頭の血管がプッツンした生徒が次々と使い魔をけしかける
だが、彼らなどよりも「鳥の巣」男の方が圧倒的にプッツンしていた
彼らはそれを知らなかった

プッ
プッ…
プッ……
プッ ツ~~ン

「DORARARARARARARARARARARARARARARARA」

バス バスッ ドゴォ ベキッ ズドム

使い魔達が空を飛ぶ
木の葉の軽さで宙を舞う
大惨事である

「なんということだ…」

コルベールは戦慄する
あと数分もしないうちに、このままでは生徒達が「殴られる」
応援を呼ばせようと、先に殴られた衛兵二人に向き直り…
目の玉をひん剥いたッ


「治っている? ひとりでに? いや…違うぞ」
「た、助けてくださ、助けてェェ」
「これ、は…こいつはッ」

ドドドドドドドドドドドドドドドド

(兜と顎が、癒着…しているのか?
 これは魔法か? 何の系統だ…水、土?
 スクエアメイジだとでもいうのか、あの青年がッ
 そんなことはどうでもいい
 もし子供達がこの力で殴られてみろ…ハッ!?)

すでに一人殴られている
コルベールは咄嗟に彼女の方を見た
抜かした腰でずりずりと下がっていく彼女の胸にある、マントの留め金…五芒星の、学園制式の…
本人は気づいていないようだが…
三日月にも似た前衛芸術と化し、一部はシャツと同化していた

(ダメだ…応援を呼んでいるヒマは、ないッ
 守るのだ!! 私が、生徒をッ)


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