ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

第十七話 『過去を思う男・彼女を想う男』

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第十七話 『過去を思う男・彼女を想う男』

雲を裂いて現れた黒塗りの船は王党派と反乱軍の戦争に乗じて小ずるく稼いでいる空賊のものだった。
こちらの船は何とか逃げようと舵を切ったが、脅しの一発が船体を掠めるとあえなく停船してしまった。
船の横に着けると、数十人の屈強な男たちがこちらに乗り込みあっという間に船は制圧された。
船員たちは全員武装を解かれて甲板に集められ、その周りを空賊たちが囲んだ。ニヤニヤと笑いながら手で武器を弄ぶ姿に船員たちは恐怖した。
ルイズがウェザーの袖を握る。震えているのが伝わってくる。
「ウェザー・・・」
ウェザーはルイズの震える手に自分の手をそえてやる。その時、空賊たちがざわめいた。全員の視線が一点に集まる。
「おう、おう、この船の船長ってなどいつでい」
そこには他の空賊よりも幾分か派手な格好をした空賊が立っていた。
油に汚れたシャツの胸をはだけて覗いている胸は厚く、赤銅色に焼けていた。
鬱陶しそうに伸びたぼさぼさの長髪を赤いボロ布で乱暴に纏め、厳つい顔には無精ひげが張り付いている。
鋭い眼光を放つ右目。対照的に左目には眼帯が当てられているが、それが逆に威圧感を醸し出していた。
不謹慎にもウェザーは昔パンフレットで見た海賊映画の船長を思いだしてしまった。
確かその船長がチョコレート工場を運営しているというなかなか前衛的な内容だった気がするが正直うろ覚えである。
なんにせよ、間違いなく奴が空賊の頭であろう。


「わ、わたしだが」
頭の威圧感と荒っぽい仕草と言葉遣いに震えながら、それでも精一杯の威厳を保とうとする姿は健気だった。
しかし近づいてきた頭が抜き身の曲刀で船長の輪郭をなぞり頬を叩くと、小さく「ヒィッ」と息を呑んだ。
「船の国籍と名前、積荷は?」
「と、トリステインの『マリー・ガラント』号、つつ積み荷は硫黄だ・・・」
その言葉を聞くと空賊たちがため息を漏らした。頭はいかにも悪そうな笑顔を作ると曲刀で船長の帽子を跳ね上げて自分の頭の上に移した。手で具合を直している。
「よぉし、喜べ船長。船ごと全部買ってやるよ!代金はテメエらの命だ」
船長が膝から甲板に崩れ落ちた。「破産だ・・・」などとブツブツ呟いている。視線を他の船員たちに向けて見回していた頭がルイズとワルドに気づいた。
「おやおやぁ?この船はお貴族様まで運んでいるのかい」
大股でルイズの眼前に立ち、細い顎を持ち上げて目線を上げさせる。
「こりゃあ別嬪だ。お前、おれの船で船で皿洗いやらねえか?ママとパパが教えてくれないようなことも教えてやるぜ?」
頭のふざけた言葉に空賊たちから爆笑が起きた。しかしルイズは露骨に顔に怒りを表すようなマネはせず、頭の手をはねつけた。
ただし、その眼には燃えるような怒りを込めて頭を睨みつける。
「下がりなさい。下郎」
「ふっは!こいつはたまげた!このおれ様を捕まえて下郎ときたもんだ!」
男の笑いにつられて空賊たちの笑いがさらに大きくなった。
「野郎共、こいつらも積荷に追加だ。丁重に案内してさしあげな」




空賊に捕らえられていたルイズたちは船倉に閉じこめられていた。『マリー・ガラント』の船員たちは、その船の曳航を手伝わされているらしかった。
ワルドとルイズはメイジということもあり杖を取り上げられていた。
たったそれだけのことで、鍵のかけられた鉄の扉が永劫の牢獄とかしてしまったかのようにルイズには感じられてしまう。
船室の中には酒樽や日持ちしそうな穀物の詰まった袋、火薬樽が乱雑に積み上げられていた。
そんな船室でルイズは体育座りをしており、ワルドは興味深そうに積荷を見ていた。ウェザーはと言うと果物を頬張っていた。
「ちょっと!ウェザーッ!何食べてんのよ!それもしかしてここのじゃないの?空賊の物なんて食べたらダメよッ!」
ルイズがウェザーの肩を掴んで果物を奪ったがその拍子に左腕が触れ、ウェザーが小さく呻いた。ルイズが慌ててウェザーのケガを心配する。
「やっぱり痛いのね・・・傷を見せて」
しかしウェザーは頑なにそれを拒む。
「いや、心配はいらない・・・」
「いいから!」
ルイズは拒むウェザーの腕をつかむと服をたくし上げた。
「きゃ!」
ウェザーの左腕は桟橋で受けた電撃によって手首から肩まで走る巨大なミミズ腫れがその存在をさらに主張しており、水ぶくれが腕一面に張り付いていた。
「ひどい火傷・・・何で言わないのよ!誰か!誰か!」
ルイズがドアを叩いて人を呼ぶ。程なくして看守の男がのそりと立ち上がる。
「何だ?」
「水をちょうだい!それといるなら『水』のメイジも!怪我人がいるの!ひどいのよ!」
「ルイズなんのつもりだ?」
「あんたを治すに決まってるでしょ!」
「無駄だ・・・やめておけ」
ウェザーがルイズの肩を掴むがルイズはドアを叩き続けて振り向こうとしない。ウェザーが今度は強めに引くと、勢いに負けて振り向いたルイズの顔が見えた。


「・・・・・・泣くなよ」
「泣いてなんかないもん。使い魔の前で泣く主人なんかいないもん」
ルイズの作りの小さい顔がふにゃっと崩れ、瞳には涙が浮かんでいた。今にもこぼれそうなそれを上を向き鼻をすすることで耐えた。
「泣いてなんか・・・ないもん・・・」
ルイズはウェザーから逃げるように隅の方にうずくまってしまった。ウェザーがルイズの背中でも撫でてやろうかと思ったとき、扉が開かれた。
かなり痩せた男がじろりと三人を見回すと楽しそうに言う。
「お前さんがた、もしかしてアルビオンの貴族派かい?」
その問いにルイズもワルドも答えないのでウェザーも黙る。その様子に男はしょうがなさそうに肩をすくめた。
「おいおい、だんまりじゃわかんねえって。でも、そうだったら失礼したな。俺達は貴族派の皆さんのおかげでおまんま食わせてもらってるようなもんだ。
王党派に味方しようなんて連中をしょっぴいてこいって密命も帯てんのさ」
「じゃあこの船は反乱軍の軍艦なのね?」
「いんや、俺たちゃ雇われてるわけじゃあねえ。あくまで対等な関係で協力し合っているのさ。ま、おめえらには関係ねえがな。
で?結局お前ら貴族派か?もしそうならきちんと港まで送ってやるよ」
まるでそう言えと誘導するかのような話しぶりだった。実際そう言うべきなのだろう。なにせ安全が確保されるのだから。
しかしルイズは真っ向から空賊の男を見据える。
「誰が薄汚いアルビオンの反乱軍なものですか。バカ言っちゃいけないわ。わたしは王党派への使いよ。
アルビオンは王国で、正統政府はアルビオンの王室ね。わたしは大使なんだから、それ相応の扱いを要求するわ」
少しも物怖じしないで胸を張るルイズに他の三人は開いた口がふさがらなかった。だがやがて空賊の男が笑い出す。


「正直なのは美徳だな。だがお前ら、そんな犬も食わないもので命を落とす気かい?」
「あんたたちに嘘をついて頭を下げるくらいなら、死んだほうがマシよ」
当然でしょと言いたげなルイズにウェザーは知らず脱力してしまっていた。
「それって俺もか?」
「あんたは私の使い魔でしょ。ご主人様のために腹くらい括りなさい」
「もとよりそのつもりだが・・・」
そんな二人を見ていた空賊は頭に報告するために去った。
「にしても・・・ルイズお前世渡り下手だな。将来苦労するぞ」
「今知ったこっちゃないわ。いざとなったって最後まで諦めたりしないわ。杖も取り返して戦ってやるんだから!それに・・・あんたのことも信じてるから」
「俺もだよ」
「いいぞルイズ。さすがは僕の花嫁だ」
なんか良い雰囲気になっていた二人の間に割ってはいるようにワルドが現れた。
そう言えばいたなコイツ・・・
ルイズが複雑そうな顔をしていると、痩せすぎた空賊が帰ってきた。
「頭がお呼びだ」

狭い通路を通り、細い階段を上り、三人が連れて行かれた先はずいぶんと立派な部屋だった。どうやらここが頭の部屋らしい。
がちゃりと扉を開けると、目の前に豪華なディナーテーブルがあり、上座にボサボサ頭の工場長・・・じゃなくて船長がガラも悪く腰掛けていた。
その手には大きな水晶のついた杖が握られているのを見る限りではメイジらしかった。『貴族じゃないメイジここに極まれり』と言った感じだ。
ウェザーは部屋にはいると同時に室内状況と空賊の人数と配置を把握し始めた。
今入ってきた扉には二人、テーブルの両サイドに二人づつで、頭の隣にはおそらくかなりの腕っ節だろうと思われる男が一人控えている。
(計七人+頭一人の八人・・・武器は酸化で無力化できるがメイジはキツイな。人数はなんとかなるが背後を取られているのがつらいな。ルイズを守りながらでできるか?)
ウェザーが心中で計算していると、例の痩せすぎの男が後ろから声をかけてきた。
「頭の前だぜ、挨拶しな」
しかし当然ルイズが下げるわけもなく、頭を睨み続けるばかりである。そんなルイズに頭がニイッと笑った。
「気の強い女は好きだぜ。子供でもな。さて、名乗りな」
「大使としての扱いを要求するわ」
「同じ事を二度も言わせる気かお嬢ちゃん」
「そうじゃなかったら誰があんたたちになんか口をきくもんですか」
頭は自分で言ったとおり三度目はなかった。代わりの質問がくる。
「王党派と言ったな?」
「・・・・・・」
「なにしに行くんだ?あいつらときたら、明日には消えちまうよ。塩ぶっかけられたナメクジみたいなもんだぜ」
「・・・・・・・・・」

ルイズの黙りにも頭に機嫌を損ねた様子はなく、むしろ楽しげに、歌でも一曲歌うような声でルイズに言う。
「貴族派につく気はないかね?あいつらはメイジを欲しがってるから、たんまり礼金も弾んでくれるだろうさ」
「死んでもイヤ」
憎々しげにルイズは言い放った。その時ウェザーはルイズが拳を必要以上にきつく握っているのに気がついた。
ルイズは怖いのだ。怖くても、ルイズは真っ直ぐに男を見つめている。
「特別にもう一度だけ言うぜ。貴族派につく気は?」
「無いと言っている。蹴り殺すぞ」
震える口を開こうとしたルイズよりも先にウェザーが言葉を発した。頭が射殺すような視線でウェザーを睨みつける。
「貴様はなんだ?」
普通なら渇いて声も出せなくなるような威圧感をウェザーは真っ向から受け流した。
「使い魔さ」
「使い魔?」
「そうだ」
頭が興味深そうにウェザーを見回す。その視線に不快感を感じたルイズが注意を向けるために言葉を発した。
「とにかく、わたしたちはウェールズ皇太子に会わなくてはならないの。だからさっさとわたしたちを解放して港まで送りなさい」
その言葉に周りの空賊たちが一瞬キョトンとしたが、すぐに笑いを堪えるような空気が出来上がった。頭でさえも下を向いて肩を振るわせている。
至極まじめに言ったつもりのルイズはますます不愉快になりテーブルを叩いて怒鳴った。
「何がおかしいって言うのよ!」
その言葉が引き金となりとうとう空賊たちが爆発した。腹を押さえながら
「フハハックックックヒヒヒヒヒケケケケ、ノォホホノォホ、ヘラヘラへラヘラ、アヘアヘアヘ」と笑っている。頭なんかは椅子から転げ落ちそうなほどだ。
「ぶ、無礼よ!」
「ははは・・・いや、すまないな。だがこうも真正面から言われるとね」
頭はヒーヒー言いながら立ち上がるとルイズたちを見た。威圧感はない。

「失礼した。それと、君たちが会いたいというウェールズって言うのは・・・」
周りにいた空賊たちが笑いを一瞬で収めて直立した。口調の変わった頭を警戒しながら成り行きを見守る。
頭は縮れた黒髪を剥いだ。カツラだ。さらに眼帯をほどき付け髭だったらしい無精ひげを勢いよく剥がすと、現れたのは、凛々しい金髪の青年であった。
「こんな顔じゃあないかな?」
三人は息を呑んだ。ルイズがなんとか言葉を紡ぐ。
「ウェールズ皇太子!」
「いかにも。私がアルビオン王立空軍大将、本国艦隊・・・・・・もっとも、すでに本艦『イーグル』号しか存在しない無力な艦隊だがね。
その司令長官にしてアルビオン王国皇太子、ウェールズ・テューダーだ」
ルイズはあんぐりと口を開け、ウェザーは目を見開いた。ワルドはおもしろそうに見ている。
ウェールズは先ほどまでの悪党な顔つきから一転、にっこりと魅力的な笑みを浮かべてルイズたちに席を勧めた。
「ようこそ『白の国』アルビオンへ。歓迎しよう大使殿。さて、御用向きのほうをおうかがいしようか」
しかしルイズは呆けたまま帰ってこない。口を開いたまま前を凝視している。
「その顔はどうして空賊風情に身をやつしているのか?と言った顔だね。簡単なことさ。敵の補給路を断つのにこの格好は好都合だからね」
ウェールズはイタズラっぽく笑った。
「いや、大使殿には大変失礼をした。自分が目の前にいるというのに、ああも真面目な顔をしてウェールズに会いに行くと言われてはね。・・・それに、外国にまだ我らの味方をしてくれる貴族がいるとは夢にも思わなかった。試すようですまなかった」
深々と頭を下げられてようやくルイズも覚醒したらしく、あたふたしながらも要件を伝えた。
「アンリエッタ姫殿下より密書を言付かっております」
「ふむ、姫殿下とな」


前に進み出たワルドが答える。
「こちらは姫殿下より大使の大任を仰せつかったラ・ヴァリエール嬢。私はトリステイン王国魔法衛士隊、グリフォン隊隊長、ワルド子爵でございます。
そして彼がラ・ヴァリエール嬢の使い魔でございます。殿下」
「なるほど!君たちのような立派な貴族が私の親衛隊にあと住人ばかりいたら、このような惨めな今日を迎えることもなかったろうに!して、その密書とやらは?」
ルイズが慌ててポケットからアンリエッタの手紙を取り出すが、渡そうとした途中で止まる。
「その、失礼ですが本物の皇太子様?」
「まあ、さっきの件もあるしね。だが僕は正真正銘のウェールズさ。証拠も見せよう」
ウェールズは自分の薬指から光る指輪を外すと、ルイズの指にある水のルビーに手を取って近づけた。そうすると、二ツの石が共鳴しあってその間に虹を繋げた。
「この指輪は我が王家に伝わる風のルビーだ。君が嵌めているのは、アンリエッタの水のルビー。そうだね?水と風は、虹を作る。王家にかかる絆の虹さ」
「大変失礼をばいたしました」
ルイズは深く謝罪してからウェールズに手紙を手渡した。
ウェールズは愛おしそうに手紙を見つめると、花押に接吻してから丁寧に封を開いた。しばし真剣な顔で読んでいたが、そのうちに顔を上げた。
「姫は結婚するのか?あの、アンリエッタが・・・私の可愛い・・・従妹が」
ルイズが辛そうに頷き、肯定の意を示した。ウェールズは再び最後の一行まで読み返し、微笑んだ。その笑顔がウェザーにはなぜだか引っかかる。
「了解した。姫はあの手紙を返して欲しいとこの私に告げている。何より大切な、姫から貰った手紙だが、姫の望みは私の望みだ。そのようにしよう」
ルイズの顔が輝くが、やはりウェザーの表情は微妙なままだ。
「しかしながら、今、手元にはない。ニューカッスルの城にあるんだ。姫の手紙を、空賊の船に連れ込むわけにもいかぬのでな。
多少面倒だろうが、ニューカッスルまでご足労願いたい」


『イーグル』号はその後三時間ばかり航海して、大陸の下に潜った。反乱軍の艦が空を封鎖しているためだ。
途中この艦のゆうに二倍はあろうかという巨艦、『レキシントン』を見たがとても太刀打ちできそうにはなかった。
周りには竜が飛び、砲門の数も百八門という驚異的な数だ。
その包囲網を大陸の下からかいくぐりしばらく行くと、天井に穴があいていた。そこがニューカッスル秘密の港であった。
ルイズたちがようやく地面に足を着けると、背の高い老メイジが現れてウェールズの労をねぎらった。
「喜べパリー。硫黄だ、硫黄!」
ウェールズの叫びに兵たちがうおぉおおーっと吠えた。
「おお!硫黄ですと!火の秘薬ではござらんか!これで我々の名誉も守られるというものですな!」
「ああ、叛徒どもに示しつつ敗北できるな」
「栄光ある敗北ですな!して、叛徒どもは明日の正午に攻城開始との旨を伝えてきました」
「まさに間一髪!戦に間に合わぬでは武人の恥よ!」
ウェールズたちが心底楽しそうに笑い合っているのをみて、ルイズは恐ろしくなった。
彼らは笑ってはいるが、その言葉の合間合間に敗北や死といった言葉が聞こえるのだ。彼らは怖くないのだろうか?
「して、その方たちは?」
「トリステインからの大使殿だ。重要な要件でな」
「そうですか。やや、みなさま遠路はるばるアルビオン王国へようこそ。今夜はささやかながら祝宴が催されますゆえ、是非とも出席下され」


ルイズたちはウェールズの案内で居室へ通された。ウェールズの部屋は王家の者の部屋とは思えないほどに質素だった。
ウェールズは椅子に座ると引き出しから宝石のちりばめられた小箱を取り出した。
首に下げたネックレスが鍵だったらしく、首から外して箱に差し込むと、小さな音と共に蓋が開く。
その蓋の内側に、アンリエッタの肖像が描かれているのをルイズたちは見つけてしまった。
「宝箱でね」
はにかみながらそう言うと、中から一通の手紙をとりだした。どうやら件の手紙がそれらしい。
ウェールズはそれに愛おしそうに口づけた後、開いてゆっくりと読み始めた。何度も何度も読んだのだろうその手紙は、すり切れてボロボロだった。
しかしその手紙からはアンリエッタの確かな気持ちが込められていて、ウェールズがそれをどれだけ心の支えにしていたのかが読みとれた。
ウェールズは読み終えると丁寧にたたみ封筒に戻してルイズに手渡した。
「これが姫様から頂いた手紙だ。このとおり、たしかに返却したぞ」
ルイズは受け取った手紙をじっと見つめていたが、決心したように口を開いた。
「あの、殿下・・・・・・。先ほど、栄光ある敗北とおっしゃっていましたが王軍に勝ち目はないのですか?」
しかしウェールズはあっさりと答える。
「ない。我が軍は三百。敵軍は五万だ。万に一つもありはしない。我々にできることは、勇敢な死に様を見せつけることだけだ」
「その中には殿下も・・・?」
「私は真っ先に死ぬつもりだよ」
明日にも死ぬ身というのにウェールズにはいささかも取り乱した様子はなかった。ルイズはそのことが逆に怖かったのだ。
「・・・この任務をわたくしに仰せつけられた際の姫様のご様子、尋常ではございませんでした。
そう、まるで、恋人を案じるような・・・・・・それに、先ほどの小箱の内側の姫様の肖像・・・手紙に接吻なさった際の殿下の物憂げなお顔といい、・・・失礼を承知でお聞きします。もしや姫様とウェールズ皇太子殿下は・・・」
ルイズの言わんとすることは、この部屋にいる全員がわかっていた。そして恐らくはその真相も。

「・・・・・・そのとうりだ。これは恋文だよ。確かにこれがゲルマニアの皇室に渡ればまずいことになる。
なにせ、彼女は始祖ブリミルの名において永久の愛を私に誓っているのだからね。
この手紙が白日の下に晒されたのならば、なるほど、同盟は成立成らず。トリステインは一国にてあの恐るべき貴族派に立ち向かわなければならない」
「つまり姫様と殿下は恋仲であらせられたのですね?」
「昔の話だ」
「殿下、亡命なされませ!トリステインに亡命なされませ!」
わめくルイズの肩にワルドが手を置くがルイズは止まらない。
「お願いでございます!わたしたちと共にトリステインへいらしてください!姫様も歓迎するはずですわ!」
「それはできんよ」
ウェールズはどうしようもないほどに笑顔だった。
「殿下、これは姫様の願いでございます!姫様の願いは殿下の願いのはず!姫様の気性はよく存じております!
あの人が愛する者を見捨てられるはずがございません!姫様は手紙の末尾に亡命をお勧めする旨を綴っていたのではございませんか!」
「そのようなことは一行も書かれていない」
「殿下!」
ルイズがウェールズに詰め寄る。
「王族は嘘をつかぬ。姫と私の名誉に誓って言うが、私への亡命の勧めを記した文句など書かれていない」
ルイズはウェールズの意思がが果てしなく固いのを悟った。アンリエッタを庇うために、自分の心を殺しているのだ。あの笑顔はだからなのだ。
ウェールズがルイズの肩を優しく叩く。
「君は正直な女の子だな。正直で、真っ直ぐで・・・とてもいい目をしている。だから忠告しよう。そのように正直では大使は務まらない」
ウェールズが微笑む。魅力的な笑みだ。この笑みはきっとウェールズの本心であっただろう。
「そろそろパーティーの時間だ。君たちは我らが迎える最後の客だ。是非とも出席して欲しい」
今にも泣き出しそうなルイズを引き連れてウェザーは外に出たが、ワルドだけはウェールズの部屋に残った。



城のホールで行われたパーティーは、明日滅びる国のものとは到底思えないほどの華やかなものであった。
貴族たちは派手に着飾り、テーブルには所狭しと豪華な食事が並べられた。
隅の方で見ていたウェザーたちはどうにも馴染めないでいた。
「これが明日で終わる者たちの宴会か・・・」
「終わりだからこそ、明るく振るわなければならないのさ」
ウェザーの呟きにワルドが答えた。ルイズは複雑な表情で宴会の様子を見ていた。その時、ホールにウェールズが現れた。
その途端会場が歓声で沸き上がる。中には貴婦人たちの黄色い声援も混じっているあたり、凛々しい王子はどこでも人気なのだろう。
ウェールズに支えられた父王ジェームズ一世は、反乱軍『レコン・キスタ』が明日総攻撃をかけることを伝えた上で、自分の家臣たちに暇を出し、
『イーグル』で逃げるようにと言った。しかしそれに答える者は誰もいなかった。
「我らどうやら酒に酔ったようで、陛下のお言葉が耳に届きませぬ!」「我が待つは『全軍前へ!』それただ一つのみですぞ!」「陛下よ、それはどこの国の言葉か!」
一人の貴族から発せられた声は瞬く間にホール中に伝播した。その熱に老王は目頭を拭う。
「よかろう!なればもうしばし、この王に続くがいい!今宵は良き日だ!よく飲み、食べ、歌い踊れ!」
ホールは再び喧噪に包まれた。アルビオン最後の客人としてルイズたちは大いにもてはやされ、冗談を言い、料理や酒を勧めてきた。
「大使殿!このアルビオンの山の雪解け水をお試しなされ!まるで眼球が洗われるかのような味覚を楽しめますぞ」
「なに!いかん!それならばこのプディングも召し上がらなければ!貴族はそんなもの食べない?いやいやうまくて涎ズビッ!ですぞ!」
そして最後に「ぅんまあ~~い!」と歓喜の声を上げて去っていくのであった。
どこまでも明るく振る舞ってはいたが、死を前にした彼らの姿は悲しいもの以外の何ものでもなかった。

ルイズはそんな彼らの姿にいたたまれなくなったのだろう。顔を振りながら外に出ていってしまった。
しかしウェザーはルイズを追う気も起きず、結局ワルドが後を追った。ウェザーはどこか遠くにいるような感覚を感じながら壁に背を預ける。
「ミス・ヴァリエールの使い魔君だね」
家臣に囲まれていたウェールズが一人でウェザーに近寄ってきて話しかけてきたのだ。その手にはワイングラスが二つ。
差し出してきたのを見てウェザーに飲ませる気なのだと理解した。
ウェザーが受け取るとウェールズはワイングラスを掲げた。
「異国の出会いに」
「・・・乾杯」
二人のグラスが辺り涼やかな音が鳴る。ウェザーが一気飲みしたのを見てウェールズは笑った。
「ははは、豪快だな」
真似てウェールズもあおってみせた。空になったグラスを給仕のメイドに下げさせるとウェザーに向き直った。
「しかし人が使い魔とは驚きだ」
「よく言われる・・・・・・」
しばしの沈黙。周りの喧噪がどこか遠く感じられる。長かったのか短かったのか、今度はウェザーが話しかけた。
「死ぬ気なんだな」
「ん、まあね。その気がなくとも助かるまい」
「アンリエッタはいいのか?彼女はたぶん泣くぞ」
「いや、泣かないよ。アンリエッタは強いからね」


「・・・・・・なあウェールズ、悲しくて悲しくてしかたがないのに涙が出ない理由を知ってるか?」
「いや・・・寡聞にして知らないな」
「心に雨が降らないからさ」
「渇きか・・・なかなか詩的なことを言うんだな」
「素敵だろ?」
しばらくは二人で笑い合う。本当に短い時間だが、不思議と通じ合うモノを二人は感じていたからだ。一息着けるとウェールズもウェザーの隣に背もたれた。
――こいつは彼女を愛している。
――彼はだれかを愛していた。
――コイツは悲しみを背負う気だ。
――彼は悲しみを知っている。
――ペルラの心は俺と共に死んでしまった。
――アンの心はどうなる?
ウェザーの脳裏に最悪の想像が出来上がった。いや、甦った。ウェールズの死に絶望したアンリエッタの自殺。ウェザーが重苦しく口を開いた。
「お前は悲しくないのか?」
ウェザーはその最悪を口にすることができなかった。
「悲しくなど・・・」
しかしウェールズの言葉を遮るように家臣がウェールズを呼んだためにそれまでとなってしまった。ウェザーはぽそりと呟いた。
「・・・嘘をつけ」


ウェザーは暗い廊下を歩いていた。窓からは一つになった月が一人の少女を覗いていた。声をかけるかどうか迷っていると、ルイズがこちらに気づいた。
眼を赤く腫らしていた。ウェザーが近づくと抱きついてきた。
「いやだわ、あの人たち・・・どうして死を選ぶの?わかんない。姫様が逃げてって言っているのに・・・恋人が逃げてって言っているのに、
どうしてウェールズ皇太子は死を選ぶの?なによそれ、愛する人より大事なモノがこの世にあるって言うの?」
「あいつは・・・王子だろう?」
「そんなの・・・そんなの関係ないじゃない!愛しているのなら・・・関係ないじゃない・・・」
再び泣き始めてしまったルイズの頭を撫でてやる。ルイズも自分の言ったことが限りなく不可能に近いことはわかっているのだろう。だから泣いているのだ。
「お前は姫様に手紙を届けるんだろう?友達の信頼を裏切るのか?
「・・・・・・こんな国、早く帰りたいわ。誰も彼も、自分のことばかり・・・あの王子さまもそうよ。残される人の気持ちなんて何も考えてない」
ルイズはそう言いながらもポケットから何かを取り出した。
「左腕出して」
言われるがままに腕を出すと袖をまくられ、何かを塗られた。ツンと鼻を刺激する臭いと腕がスースーする感じは間違いなく軟膏だ。
「お城の人に聞いたらくれたの。火傷に効く水の魔法薬よ」
ウェザーはルイズのやりたいようにやらせた。ウェールズとアンリエッタのことで頭が一杯だった。

(ルイズの言うように早く帰るべきだろうな・・・)
上の空だった思考は、しかしルイズの言葉で現実に帰された。
「もし・・・・・・もしよ、王子さまが死んだと姫さまが知って、悲しみで自殺してしまったらどうするの・・・?」
「・・・・・・やめろ」
「姫さまは真っ直ぐな人だから、きっと・・・・・・」
「・・・・・・やめろ」
「わたしに力があれば・・・こんな戦争終わらせて・・・ううん、せめてウェールズ皇太子だけでも連れて行くのに・・・」
「やめろと言っているんだッ!」
ウェザーが恫喝した。眼を血走らせてルイズを睨む。しかしルイズは黙らなかった。
「わたしは愛し合う人たちが引き裂かれてしまうのを見たくないわ!」
「知ったことか!お前が言っているのは世迷い言だッ!お前はお前の仕事をしていろ!」
手をはねつけられたルイズは一瞬ハッとしたような顔をしたが、背中を向けて走り去っていった。ウェザーは追うこともせずに自分の手を見ている。
「ペルラ・・・・・・俺はどうしたいんだ?」

翌朝、ニューカッスルの礼拝堂でウェールズは礼装に身を包んでいた。昨日ワルドがルイズと結婚式をするから司祭役を頼まれたのだった。ウェールズは快く返事をした。
窓から空を見れば、決戦前とは思えないほど凪いだ空だった。風一つない、結婚日和だ。
そこに同じく礼装に身を包んだワルドとルイズが現れた。ルイズは普段とは違う、純白のマントをまとい頭には新婦の冠がそえられていた。
ウェールズの前に二人が並ぶと、ワルドが一礼した。
「では式を始める」
王子の声がまるで水中にいるかのように霞んで聞こえてきた。ルイズの心にはいま霧がかかっているかのような状態なのだった。
「新郎、ジャン・ジャック・フランシス・・・・・・」
ルイズはウェザーのことを考えていた。
(昨晩のウェザー・・・怒っていたわ・・・当然ね。あんな突飛なこと言って、ウェザーを困らせて・・・)
「新婦、ラ・ヴァリエール公爵三女、ルイズ・・・・・・」
(でもウェザー・・・またあの『眼』をしていたわ。哀しい眼・・・ずっと遠くを見ている眼)
考えてみれば自分はウェザーの過去を知らなかった。スタンド能力やかつて監獄にいたことは教えてくれた。
でも、それ以前のことは決して喋らなかったのだ。あの眼は、きっとそこを見ているのだとルイズは思った。
(教えたところで・・・わたしには何もできないものね。わたしはゼロのルイズだもの)
過去のことを考えていたせいか、少し前のことを思い出していた。ウェザーを呼び出してからのことを。
(今頃は『イーグル』号に乗って帰ってる頃よね。そう言えばあいつ、わたしのことまだ信じてくれてるのかな?)
ウェザーに信じていると言われてから、さらに励んだ。まだ成果は出せてないけれど、ウェザーの信頼に報いるために頑張ってきた。
(そうよ・・・何諦めてるのかしら・・・できるできないなんてやってみなくちゃわからないじゃない)
ルイズは自分の誇りでもある言葉を思い出した。『敵に背を向けない者を貴族と呼ぶ』。
(ウェザーの悲しみも、アンリエッタの悲しみも見たくない!わたしは逃げない!できることはちっぽけかも知れないけど、最後まで足掻いてみせるわ!)

「新婦?」
ウェールズが返事のないルイズに呼びかけるが一向に返事がない。
「まあ、これは儀礼に過ぎないからね、気負いすぎはよくない。肩の力を抜いて、もう一度いこうか。始祖ブルミリの名に・・・・・・」
そこでルイズはようやく動いた。首を横に振って。
「新婦?」「ルイズ?」
ルイズはワルドに向き直ると確かな口調で言い放った。
「ごめんなさいワルド・・・わたしまだあなたとは結婚できないわ」
「新郎はこの結婚を望まぬか?」
「わたくしはこの結婚を望みません。まだ・・・まだわたしは信頼に応えていません」
途端に顔に朱が差したワルドにウェールズが困ったように告げた。
「子爵、誠に残念だが、花嫁がこの式を望まぬならば続けるわけにはいかぬ」
ワルドはウェールズの言葉など聞こえないかのようにルイズの手を取った。
「緊張しているんだ。そうだろルイズ。きみが僕との結婚を拒むはずがない」
「ごめんなさいワルド。憧れだった。恋だったのかも知れない。けれど、今のわたしにはやらなくちゃいけないことがあるの」
するとワルドは今度はルイズの肩を掴んだ。目はつり上がり優しさの欠片も感じられなくなっていく。
「『世界』だルイズ、僕は世界を手に入れる!そのためにはきみの力が必要なんだ!」
ワルドの剣幕に思わずルイズは後退った。
「ルイズ、君はいつか始祖ブリミルに劣らぬ優秀なメイジに成長するんだ!」
「子爵、君はフラれたのだ。いさぎよく・・・」
「黙っておれ!」
ウェールズもワルドの言葉に驚きを隠せないでいた。再びワルドがルイズの手を握る。瞳孔の開いた目がヘビのように絡みついてくる。
「ルイズ、きみの才能で共に世界を掴もう!」
「そんな結婚死んでもイヤ!あなたちっとも愛なんかなかったのね!ひどいわ!こんな侮辱!」
見かねたウェールズが止めに入ったが今度は突き飛ばされた。するとウェールズの顔にみるみる赤みが走り、杖を抜いて立ち上がる。
「なんたる無礼!なんたる侮辱!子爵、今すぐにラ・ヴァリエール嬢から手を離したまえ!さもなくば我が魔法の刃が君を切り裂くぞ!」
そこでようやくワルドはルイズから手を離した。どこまでも優しい笑顔は嘘にまみれていた。

「こうまで僕が言ってもダメかい僕のルイズ?」
「誰があなたのルイズよ!」
ルイズの剣幕にワルドは両手を広げて首を振った。
「こうなってはしかたない。ならば目的の一つは諦めよう」
「目的?」
「そうだ。この旅における僕の目的は三つ。内二つが達成できただけでも良しとしなくてはな・・・」
「達成?二つ?何を言ってるの・・・?いかれてるの?この状況で・・・」
ルイズが尋ねると、ワルドは悪そうに口の端を歪めて笑った。
「一つ目はもちろんきみ。とは言え、これはもう無理だろうな」
「当たり前よ!」
「二つ目は、君が持っているアンリエッタの手紙だ」
ルイズははっとした
「ワルドあなた・・・」
「そして三つ目は・・・・・・」
「逃げるんだヴァリエール!」
『アンリエッタの手紙』で全てを察したウェールズが杖を構え呪文を詠唱した。が、ワルドの閃光が一瞬速く呪文を完成させた。
ワルドが風のように身を翻すと間に合わないと理解して胸の前で腕を交差させたが、その両腕を『エア・ニードル』が貫き、胸に刺さった。
「がふ・・・貴様・・・・・・『レコン・キスタ』・・・」
ウェールズの口から鮮血が溢れた。ルイズの悲鳴を心地よさげに聞きながら、ワルドはウェールズを突き飛ばした。
「そう・・・貴様の命だ、ウェールズ」
力無くウェールズは床に崩れ落ちる。それを確認するとワルドはルイズの方を向いた。いつの間にかルイズが杖を向けていた。
「あなた・・・アルビオンの貴族派だったのね!」
「いかにも。僕は『レコン・キスタ』の一員さ」
「この・・・!」
ルイズが詠唱を開始した瞬間に杖がはね上げられてしまった。そこへワルドの蹴りが腹に決まる。あっけなくルイズは転がった。咳き込むルイズを見てワルドが首を振る。
「だから共に『世界』を手に入れようと言ったではないか!」
倒れたルイズにさらに蹴りをぶち込む。ワルドの眼は血走り、加虐的なシチュエーションに興奮を覚えているらしかった。


「だがね、ルイズ。多少計画は狂ったが、僕は満足しているよ。見たまえ外を!風さえ僕を祝福してくれている!あれほど凪いでいた風がッ!今はまるで嵐だッ!
これこそ始祖ブリミルからのお告げだ!『世界』を掴むのはこの僕だというお告げ!おお、風のメイジたる僕に相応しい祝福ッ!」
外を見たルイズは小さく呟いた。
「うっく・・・風が・・・・・・吹いてる・・・」
「そうだ!そして仕上げだルイズ。言うことを聞かぬ小鳥の末路は・・・・・・死だ。せいぜい鳴いてくれ」
ルイズの体に衝撃が走りボロ切れのように飛ばされた。『ウィンド・ブレイク』だ。殺せるくせにトドメを刺さない。ワルドは遊ぶ気なのだとルイズは気づいた。
(いやだ!)
壁に叩き付けられる瞬間身を固くした。しかし衝撃はやってこず、代わりに背中に柔らかいものが包むように触れた。
「これは・・・」
「なんだと!」
「そうだよなあルイズ。いつまでも目を背けているわけにはいかないよな・・・」
いつの間にか開け放たれていた礼拝堂の扉にもたれ掛かるかのようにして人影が見えた。
ルイズが待ちこがれた人物。澱んだ風を吹き飛ばす吹き荒ぶ風。
「ウェザーッ!」
「待たせたなルイズ」

今まさにアルビオンが暴風域に入ろうとしていた。

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