ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

slave sleep~使い魔が来る-13

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匿名ユーザー

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デルフリンガー登場

馬を使って三時間走ったところに城下町はあった。
「少しばかり狭い通りだな。」
ブチャラティがふとそう言う。
「そう?でもここは大通りなのよ?」
「本当か?でも道の幅が5メートル・・・いや5メイルしかないぞ?」
「まあ、人がごったがえしてるからより狭く感じるのも確かだけどね。
 ・・・それよりアンタ、財布をスリにすられたとかそんなヘマやってないでしょうね!」
ルイズが急に思い出して聞く。
「ああ。誰もスる事なんてできないさ。」
「本当?でも言っておくけど盗賊やカッパライの中にもメイジがいるんだから気をつけなさいよ!?」
ブチャラティはその時マルトーがそんな事を言っていたのを思い出しながら聞く。
「そういえばなんで盗賊とかのメイジがいたりするんだ?前々から気になっていたが。」
「とりあえず貴族は全員メイジだけど、中には家を継がない次男や三男が色んな事情で
身をやつして傭兵や犯罪者になる者もいるのよ。」
「そうなのか・・・。まあいずれにせよどんなに魔法でカッパラえても、まさかお前の体の中に『ジッパー』を使って隠したとは思わないだろ・・・。」
「アンタ勝手に何やってんのよ!?」

そうこうしている内に路地裏へと進む。

「えっと、ピエモンの秘薬屋の近くだから・・。着いたわ。ここが武器屋よ。」
「なるほど。確かにそれらしい店だな。」
ブチャラティが受けた印象はまずボロい店だと言う点だった。
だがブチャラティはこの武器屋はいいかもしれないと思った。こういう店にこそ掘り出し物はあると思ったからだ。

カランカラン・・・。
パイプをふかしていた男がギョッとした顔で見る。
「旦那。貴族の旦那。うちはまっとうな商売してまさあ・・・。決してお上に目をつけられるような事は・・・。」
「客よ。」
ルイズがそう言うと店主が意外そうに言う。
「こりゃおったまげた。貴族が剣を!おったまげた!」
「どうして?」
「いや、若奥さま。坊主は聖具を振る、兵隊は剣を振る、貴族は杖を振る、
そして陛下はバルコニーからお手をおふりになる、と相場は決まっておりますんで」
「使うのはコイツよ。」
ルイズがブチャラティを指す。
「貴族さまの従者が?なるほど。確かに今は物騒は世の中、今や貴族が従者に剣を持たせるのが流行ってますからねぇ。」
「この辺りで何か事件でもあったのか?」
ブチャラティが聞く。
「はい。なんでも最近、土くれのフーケとか言うメイジの盗賊が貴族様方のお屋敷に盗みにはいるらしくって」
「ふ~ん、そうなの………」
「それだけじゃあないんですよ。最近は妙ななりをした不審な男が曰くありげの業物の剣を探してる
という噂もありますし、またこの付近の町でチンピラ集団に成り下がったメイジのグループが悪行を行って、
あちらこちらの町でのさばっていると言う噂まであるんで…。えっと、使うのはそちらの旦那ですね?」
ルイズが少しせっかちに言う。
「そうよ。私は剣のことなんか分からないから、適当に選んでちょうだい」
「へいへい、ただ今…。(へへ。こいつは鴨が葱加えてやって来たようだわい・・・。)
しばらく引っ込むと、店主は立派な大剣を持ってきた。

「旦那はこちら等いかがでしょう?店一番の業物で、かの高名なゲルマニアの錬金魔術師シュペー卿の傑作で。
魔法がかかってるから鉄だって一刀両断でさあ。」
ルイズが興味を持ったらしく聞く。
「それいくらするの?」
「エキュー金貨で二千。新金貨なら三千ってところでさ」
「立派な庭付きの屋敷が買えるじゃない!!」
ルイズが信じられないと言わんばかりな様子なのを店主が返す。
「名剣は屋敷にも匹敵するような価値があるんですぜ…。玄人の中にはむしろそれを手放して
まで買ってしまうような本物のマニアまでいるんですよ・・・。」
おろおろした様子のルイズをみて店主がほくそ笑む。
(ヒヒ。騙されてるとは気付かねえだろ!ざまーみろォ!!
これだから無知な貴族相手の詐欺はやめらんねーぜマヌケーッ!)
そう心の中で上機嫌にあざ笑ってた店主の耳に突然鋭く威厳のある言葉が突き刺さる。

「本当に・・・・そいつは業物か・・・・?」

ドキッとした店主が視線を声の方向に向ける。
ブチャラティがさすような視線で見ていた。
(な、なんだ?この男・・。奇妙な威厳が感じられる・・?)
「お、お客さん、勘弁してくださいよ。うちの品物にケチをつけなさるんですか?」
図星を指された店主は内心慌てつつ、取り繕う。
(ふ、フン!ハッタリに決まってる・・。たかが従者なんかに見破れるわけないぜッ!)
だがブチャラティはまだ見てくる。
「鉄だって一刀両断って言うのはウソだろうと咎めているわけじゃあないんだ。
だがこの剣はどう見ても『業物』とまで言われる物ではない。」
「な、何が言いてぇんです・・・。」
「わからないのか?いかにもカモだと思ってコイツを騙して金を巻き上げるんだったら、
もしも見破れた時の『覚悟』をしているって事なんだよな・・?」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

「いい加減にしやがれ!いいがかりも甚だしい!」
店主が逆ギレを始める。
「これは言いがかりじゃない。『警告』だ。騙しているという疑いが出た以上、その右手から
今右手で持っている物が欠けてしまわない保障はどこにもなくなったぜ・・?」
「え・・・?」
バンッ!!
店主が持っていたもの!それは人間の指ッ!!
「ひ、ひえええええ!!!!」
「ひえ・・なにコレ・・・・。」
人差し指、中指、薬指、確かに本物の人間の物と思われる指をいつの間にか持っていた!
これにはビビらずにはいられないッ!!
だがブチャラティは眉一つ動かさず続ける。
「ところで・・・その指誰のだかわかるか・・?すぐにはわからないだろうから、ゆっくり考える
のはどうだ・・?『左手』でも見てさ・・・。」
「い、一体誰の・・・・。ハッ!!」
ルイズが顔を少々青くしながら絶句している。

「だ、誰のだってぇぇぇぇ!!??」
店主は見たッ!!左手の指が3本ないッ!!


「う、うわああああああああ!!!!お、俺の指があああ!!!」
「ブチャラティ何で・・・あれ?」
よくみると指の断面がジッパーになっている。どうやら脅しのために一時的に切り放してるだけのようだ。
(そのためにあんなことを・・?なんて大胆な行動をする奴なのかしら!)
そう思いつつも店主が顔に汗を浮かべて怯えているのを見てニヤリとしてしまうのだった。

「汗を・・・かいたな?」
べロンッ
「「えっ!!」」
ブチャラティが突然何の前触れもなく店主の汗を舐めたッ!!
「この味は!・・・・・・・・・ウソをついている『味』だぜ・・・店主!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・。

「な、な、ななな、何やってんのよブチャラティ・・・!」
ルイズがこれ以上ないと言うくらいに赤面している。
「ああ、おまえには言ってなかったな。オレは人の皮膚や汗の状態でそいつがウソをついてい
るかどうかがわかるんだ。汗の味を見ればより正確にわかる。」
「な、汗を・・?」
そこでルイズの脳細胞が初めて会った日の会話を思い出す。
――――――・・・・?何よ?人の顔じろじろ見て。用があるなら早く言いなさいよ。
――――――・・・汗ひとつかかないね・・・・。

―――汗一つかかないね・・・。

――『汗』一つかかないね・・・・・・・・・。
ルイズの赤面度が頂点に達した。



「こ、こ、こ、こ、こここここ・・・・!」
「さて、ウソをついていると言うことは、どうしてウソをついたのか聞かせてもらわなければならなくなったようだな・・・。」

「このスケベ犬ーーーーーーーーーッ!!!」

ドグシャア!!
ルイズのドロップキックがブチャラティにクリンヒットするッ!!
「うごぁッ!!いきなり何をする!?」
「何をするじゃあないわよッ!!ア、アンタ・・・あの時私の汗も舐めるつもりだったの・・!?」
冷静さをかいたルイズにブチャラティが困惑する。
「何の話だ!全く見えない!!」
「とぼけてんじゃあないわよッ!!初めて会ったとき!確かに言ったでしょ!?
あ、あ、あ、あ、『汗ひとつかかないね』って!!」
ブチャラティはそこまで聞いて、ようやくルイズが何を言ってるのか理解した。
「ああ、アレか。アレはしょうがないだろう。正直あの時はお前たちがあまりに怪しすぎたんで
騙されてるのかと思ったんだから・・。」
「しょうがないって何よしょうがないって!アンタは、よりにもよって!ヴァリエール家の・・!
公爵家の三女である私の・・・!このおかっぱ頭ぁーーーー!!」
ルイズが掴みかかってくるのをブチャラティが振りほどく。
「このエロ犬!スケベ犬!ヘンタイ犬!!」
「落ち着けと言ってるだろ!おい!やめろ!」
見かねた店主が泣き顔で懇願する。
「お、お客様!!貴族の旦那様!店内でのトラブルは勘弁してくだせぇ!
申し訳ありません!騙したのはお詫びしますからぁぁぁぁぁ!!」

その騒動だけで一時間使ってしまった。


一方キュルケとタバサ。町から少しだけ離れた森の辺りで着地した。
「到着~。」
キュルケがシルフィードから華麗に飛び降りる。
「急ぎましょう!あの二人もまだそう遠くには言ってないはずよ!」
キュルケがさっそうと町に向かう。
「お姉さま~。シルフィーもいっしょに連れてってほしいのー!きゅいきゅい!」
そんなシルフィードをタバサがなだめる。
「いい子だからお留守番。」
「またお留守番~!?お姉さまはいっつもそうなの。
たまにはシルフィーもいっしょに連れてって遊んでほしいのー!人間の姿もガマンするから!
布を着るのもガマンするから!きゅい!」
「黙ってお留守番。じゃないと後ではしばみ草部屋行き。」
タバサがキッと睨んで言う。
「タバサー!早く行きましょー!!」
キュルケが呼んでいる。
「行ってくる。」
「お姉さま・・。」
うらめしそうに見てくるシルフィードを無視してタバサはキュルケを追った。

『微熱』のキュルケ&『雪風』のタバサ 参戦。


「ハア、ハア、ゼエ、ゼエ、こ、この・・犬・・。」
ルイズが完全に疲れきった顔で力なくブチャラティを叩く。
「も、もういいわ。コレ以上何やっても無意味だし・・・。」
「へ、へえ。そりゃよござんした・・。」
店主が疲れきった顔で答える。
「と、とにかく店主。不良品を掴ませそうになったんだ。もちろん詫びの一つとして値段を負けるんだよな・・。」
ブチャラティが壁に寄りかかって立ち上がりながら言う。
「ね、値下げですかい・・。え、ええ!もちろんですよ!ですからさっきの魔法はご勘弁・・。」
そう言って店主は指の戻った左手を庇って言う。
「そ、それで、ご予算はどれくらいで・・?」
「新金貨で三百しか持ってきてないわよ・・・。」
「ええ?どんな剣でも大抵は二百と相場が・・・。わ、わかってますよ!格安の物でしたらお譲りいただけますよ・・!」
「では剣はオレが選んでいいな・・?」
ブチャラティは陳列してある武器を一つ一つ見ていくが、そのときふと一本の片刃剣に目が行った。
その剣は日本刀のように反りの入った剣で、剣とは思えないような威圧感と、刀特有の美しさを感じた。
「この剣・・・。近くでよく見るとすごく美しいな…。」
ブチャラティが魅入られたように剣を見る。
「ちょっとだけ・・・・。抜いてみても構わないよな・・・。」
そう言ってブチャラティがその剣に手を伸ばす。

「おい!ちょっとまちな!そこの兄ちゃんよぉ!」

威勢のいい声が耳に届く。
「その剣はやめときな!同じ剣だからわかんのかもしんねぇけどもよぉ!
なんかこのままアンタに持たせたらいやな予感がするんだよ!」
ブチャラティが声の方向に目を向ける。だがそこには一本の錆付いた剣しかない。

「ここだよ、ここ。お前の目の前だよ!」
明らかにさっきからカタカタ言ってるボロボロの剣から聞こえる。
「こいつは・・・!剣が喋っているのか・・?」
「やい、デル公! お客様に失礼なこというんじゃねえ!」
店主が怒鳴る。
「これってインテリジェンスソード?」
ルイズが当惑した声をあげた
「インテリジェンスソード?何だそれは?」
「簡単に言うと意思を持った剣のことよ。」
「ええ。全くどこの酔狂な魔術師が始めたんだか・・。
おかげでやかましくてしょうがねえんです・・。」
ブチャラティの興味がボロ剣に向く。
「ちょっと面白そうだな・・。持たせてもらってもいいな?」
そう言って手に取ると剣が喋る。
「…おでれーた。見損なってたぜ。おまえ『使い手』か」
「『使い手』?」
「ふん?自分の実力も知らんのか。まあいいぜ。おいおかっぱ髪の兄ちゃん!!
迷わずにオレを買いな!悪い事は言わねーからよ!」
ブチャラティが驚く。
「お前をか?」
「ああ。お前が『使い手』だとわかっちゃなおさらあの剣に触れさすわけにゃあいかねえ。
いいから買えよ。」
ブチャラティは少し考える・・・。

「・・・よしわかった。ルイズ。コイツにしよう。気にいった。」
「え~。そんなのにするの?もっと綺麗で喋らないのにしなさいよ」
「そうか。ならあれはいくらする?」
ブチャラティが刀のほうを指差す。
「あれですか? 作者は不明ですが、さる遺跡から見つかったやたら斬れる名剣でしてね。
安値で売るってわけにゃ行きませんや。 先ほどの迷惑料を込めましてもエキュー金貨では1500、 新金貨なら2200ってところです。
貴族の旦那のご予算じゃあ譲るわけにはいかない正真正銘の業物ですんで・・・。」
「うっ・・・。」
「な、コレでいいじゃあないか。あの剣が買えないのは惜しいかもしれないが。」
ルイズが店主に聞く。
「あのデル公ってのはいくら?」
「へ、へえ!アイツは新金貨百枚・・・いや七十枚で結構です。」
「剣の相場は二百じゃないの?」
「こっちにしちゃ厄介払いみたいなもんでさ。今ならナイフもいくらかおまけしますが・・。」
ルイズが少し考えてから・・・。
「・・・じゃ、それでいいわ。」
「へい新金貨七十枚まいどありッ!!」
ブチャラティが剣を腰につける。
「へへ、これからよろしくな。オレ様はデルフリンガーだ。あんたの名前は?」
「ブチャラティ。ブローノ・ブチャラティだ。よろしく。」
そうしてルイズとブチャラティは店を後にした。

(チッ、あのオンボロめ・・。もう少しだったのに・・。しかしアイツ、あの感じ・・『スタンド・・使い』?)


―※―
「チッ!この店もダメか。」
その男は苛立った様子で店から出てくる。
妙ななりの男だった。使い込んだ紐のついたカウボーイハット、そして加えているのは禁煙パイプ。
だがそのなりで左手で抱えている一冊の本が目を引く。
「ダメだ。どこにもねえ。これで14件目なのによ。」
『ほら見ろ。やっぱりこれだ。もうこの町にもないんじゃあないか?』
その男は確かに一人で歩いている。だが男はそのどこからか聞こえる声に答える。
「まあいいぜ。まだ店はある。この町にある武器屋は17件。まだ3件も残ってんだ。
気長にやろーぜ。何もかも俺達自身のためなんだからよ。」
『フン。のんきな奴・・・。』

「お?アレ見てみろ。」
男の目に止まったのは女の子が二人。
一人は背が高く、褐色肌でグラマラスな赤髪の美女。
もう一人は青髪で人形みたいな印象を受ける綺麗な少女。
「あの二人いい綺麗所だねぇ・・。いっちょ口説いてみて、残りの武器屋の場所も教えてもらうか。」
『またか。あきれた男だね・・。』
「へっ。ついてこなくて結構。おれのやり方はわかっているよな。『相棒』よ。」
男が二人に、キュルケとタバサに近づく。

「ちょいとそこのお嬢さん方。少しお時間をもらえますかな?」
キュルケとタバサを呼び止める。
(あら。ダンディーでなかなかいい男じゃない。見たところ平民なのに
呼び止めるなんていい度胸してるわ。)
「どういたしたんですかダンディーな殿方?」
「いえ、ちょっと道をお聞き願いたいんですがね、この辺りで穴場とも言われる
武器屋を知りませんかい?ちょっとした剣を探しているんですがね。」
キュルケが辺りを見る。
「このあたりではあの角を曲がった店が近いですわ。あと他には・・。」
「ほう・・。ありがとうござんした。」
男が帽子の淵をもって礼を言う。
「どうも。それだけですか?」
キュルケが悩ましい体制で男を見る。
「いや、もし時間があるのなら、そこらでお茶でも一杯いかがと思いまして・・。」
「そうね・・。どうしようかしら・・・。」
と、本気で考え始めた所でタバサが、
「…当初の目的。」
とキュルケの手を取る。ハッとしたキュルケが、
「あら、そうでしたわ。ごめんあそばせ。またの機会まで、と言うことでよろしかったら。」
「ええ、そいつぁもちろん。」
帽子を抑えて男が返す。
「申し訳ありませんわ。よろしかったらお名前だけでもお聞かせ願いますか?ミスタ。」

「ホル・ホース。そいつがオレの名前でございまさぁ。」

「またお会いできることを楽しみに待ってますわ。ごきげんよう。」
「再会を願ってますぜ。マドモアゼル。」

二人の距離は離れていった。
「惜しいな。あの青髪のお嬢ちゃんが邪魔しなければうまくいきそうだったのに。」
ホル・ホースは案外本気で悔しがっているようだ。
『バカな事やってないで急ごう。』
「バカな事とはなんだバカな事とは。」
男はまた一人で会話を始めた。

「んもう。タバサの意地悪。もしかしたらうまくいってたかもしれないのに!」
「・・・・心配。」
キュルケとタバサもまだ言い争っていた。
「さあ、行きましょ?ルイズは多分すぐ近くにいると思うのよ。」
「終わったら買い物。」
「わかってるって。ちゃんと付き合うわよ。」


ホル・ホース&? 参戦

チュンチュン

「うー。きゅいきゅい。」
森の中。シルフィードが留守番をしている。

「・・・・・・・・。」
ポロッポー、クルックー。

「きゅいきゅい。」
カー、カー、カー。

「あーもう!飽きた!退屈!私も遊びたい!お腹すいた!おにく食べたい!きゅいきゅい!!」
シルフィードが限界を訴えた。
「全くお姉さまはいつもこうなの!何か用事があるときは私を足代わりにして飛んでいって、
いざ目的地につくと『目立つからお留守番』だもの!いやになっちゃうわ!きゅい!」
シルフィードはさらに続ける。
「そしてやっと私もいっしょに町に入れたと思ったらガーゴイル扱いだし!
この間の吸血鬼騒動の時は変身して囮扱いされたし!もうお姉さまの竜扱いの荒さはひど
過ぎるわ!きゅい!」

「私もお姉さまと遊びたいの!いっしょに町を歩きたいの!お留守番なんてうんざりだわ!
きゅいきゅい!」

そしてしばらく黙りこくっていると・・。
ニヤリ。
プッ。口から何かを吐き出す。吐き出したのはタバサのトランク。

『我を纏いし風よ 我の姿を変えよ』
シルフィードが呪文を唱える。『風』の先住魔法で人間の姿になったのだ。
「お姉さまが戻るまではいいわよね?たまには遊びに行ってもバチはあたらないはずなの!
このさい人間の姿とか、布を着たりするのはガマンするの!」
トランクから以前タバサにいやいや着せられた服を今回はためらいなく着る。

「お姉さまが悪いの・・。お姉さまがシルフィーと全然かまってくれないから悪いの・・。 たまには
遊んでもいいはずなの!!」
シルフィードが服を着終わるとトランクを閉め、持ち上げる。
「楽しんでくるの!!きゅいきゅい!!」
さっそうと町に向かった。

きゅいきゅい 参戦

「さあ、アンタの剣も決まった事だし、今日残りは自分の買い物をするわ。
ブチャラティ。アンタは当然荷物持ち。」
「・・・わかった。やるよ。」

ブチャラティが歩きながら思う。
(こうやって、町を散歩するのはもうずいぶん久しぶりだな・・・。)
ブチャラティがかつて任務のない休みの日はネアポリスの町を散歩していたことを思い出す。
(帰ってまたカプチーノでも飲みたいな・・。故郷の料理もずいぶん久しく食ってない・・。)
「ほらブチャラティ!次はあの店に寄るわよ!」
「あ、ああ・・・。」

「ああ、あの店もいいわね!アレ前からほしかったのよね・・。」
「ああ!あの本やっと入荷したわ!」
「ブチャラティ早く!おいてっちゃうわよ!」
ブチャラティはさっきから忙しく動く。
(騒がしい・・・。やっぱ散歩は一人でやるべきだな・・・。)
そう思ったとき、彼の目にある物が止まった。
(あれ・・?)
とある店の前。そこに一人の女がいた。
タバサを思い出させる青髪。但し長い。服装からするとメイジだろうか。
しかもよく見ると騎士の服だ。メイジの中でも高い役職のほうだろう。
そのメイジが地面に膝をついて店を覗いている。貴族のわりに少々行儀が悪いのではないか?
と怪しく思った。まあしょうがないだろう。だってそれは騎士の服を着たシルフィードなんだから。
だが店の窓を見たときだった。
「・・!?アレは!?」
ブチャラティが目にした物、それはここに来てから久しく目にしてなかった故郷の料理!
「ちょっとどいてくれ!」
「きゅい!」
ブチャラティが女騎士・・・にを突き飛ばす。
「あ、あなたは・・。」
「カラスミソースのスパゲッティ・・。ボルチーニ茸とホタテ貝のオーブン焼き・・。 好物なんだ・・。
見間違えるはずはない・・!
なんでオレの国の料理が・・!ルイズ!来てみろ!この店の料理・・・。」
「ほら、ブチャラティ!このマジックアイテムなんか便利そうだと・・・。」

「ルイズ?」「ブチャラティ?」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・・・。

「「アイツどこ行ったんだ(の)!?」」


「はぐれただと!?クソッ!あのじゃじゃ馬・・・なんで落ち着いていられないんだよ!!」
「は、はぐれたの?きゅい。」
ブチャラティがうろたえている時だった。
「お、お、お、お、お、お、お、お客様・・。
ひや、ひや、冷やかしはごカンベン・・・ください。  ハイ。」
店から出てきた店員が注意に来た。
「ああ。すまないな。ちょっと取り乱した。」
「み、み、店に入るんですか?入らないんですか?   ハイ。」
「い、いや、金がなくてね・・。それよりアンタ店員か?質問がある。
この料理をどこで知った!?他に店員がいるのか?」
「う・・。あ・・。」
店員がしろどもどろになっている。
「・・どうした?具合でも悪いのか?」
ブチャラティがそう聞いた時、店員の後ろから違う声が聞こえる。
「お客様・・・。申し訳ございません。こいつは・・弟は人見知りが激しくてね。
もっとも昔よりはましになったんですが。」
長身の男がブチャラティの目の前に現れる。流石にブチャラティもたじろいだ。
「も、申し訳ない。」
「どう言ったご用件でしょうか。なんならおれ・・私どもがお取次ぎいたしますが。」
取ってつけたような敬語で長身の店員(兄)が言う。
「この料理は一体どこで知ったのか・・・それを聞きたかった物で。」
店員(兄)の眉がピクリと動く。
「この料理・・・。間違いじゃあなければオレの国の料理なのかもしれなくて・・。」
「なんだとお!?こ、この料理ってお前!!」
「どうしたの?二人とも。何の騒ぎ?」
店から今度は24、5くらいの女が出てくる。

「店長!コイツの話を聞いてやってくれないか!?」
「アンタが店長か?ちょっと聞きたい事が・・・。」
ブチャラティがそう喋った時だった。
「・・・!『イタリア語』が喋れるの!?」
その一言はブチャラティを動揺させるには十分な一言だった!!
「イタリア・・・。じゃあアンタたちはッ!!

オレと同じ『世界』から・・・!!!」

一方ルイズ。
「あのおかっぱ!ご主人様をおいていくなんて!!どういう神経してんのよアイツはッ!!」
そう苛立っているがルイズは歩いているうちに不安になって来た。
「・・・・バカ。一人にしていくなんて・・。」
ルイズは普段の高飛車な態度はどこへやら急に心細くなってきたようだった。
「ブチャラティ・・・。どこ行っちゃったのよ・・・。」

途中経過。

ルイズ ブチャラティとはぐれ、現在地不明。

ブチャラティ&きゅいきゅい 異世界の住人らしき男女と出会う。

キュルケ&タバサ ホル・ホースと接触。

To Be Continued...

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