ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

魅惑! 人気ゼロの妖精ちゃん

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魅惑! 人気ゼロの妖精ちゃん

夏期講習前日、フクロウが書簡を持ってルイズの所にやってきた。
差出人はアンリエッタで、ルイズに身分を隠しての情報収集任務を与えたのだ。
平民の間で何か不穏な噂が流れてないかを、信用できる人間から聞きたいらしい。
という訳でルイズは身分を隠して街へ向かおうとした。
しかし承太郎は断った。
「ガキじゃねーんだから、それくらい自分一人でやれ」
売り言葉に買い言葉で、ルイズは一人で街へ行ってしまった。
実を言うと承太郎は惚れ薬の一件のせいでルイズを避けたかったのだ。
学院に残った承太郎は、ギーシュを証人にして惚れ薬の誤解を解いたシエスタに、安全な紅茶を用意してもらって図書室に向かう。
図書室ではタバサが待っていた。
以前約束した通り、文字の勉強をするのだ。
タバサがお茶を淹れないよう、シエスタに用意させるという機転を利かせた承太郎。
これで安心して勉強できるというものだ。

夏期講習は普通生徒は実家に帰る。
だが国境を越えてゲルマニアに帰るのを面倒くさがったキュルケは、夏の暑さとフレイムのしっぽの暑さの挟み撃ちにノックダウンである。
せっかくタバサに冷たい風で涼しくしてもらおうと思っても、なぜか部屋にタバサはいないときたもんだ。
どこにいるのかなと思って、フレイムに留守番させてタバサを探しに行く。
多分図書館だろうなと思ったら、図書館にいた。承太郎と一緒に。
「ダーリン、暑くないの?」
と声をかけてみる。すると何か書き取りをしていた承太郎がキュルケに気づいた。
「別に暑くはねーな」
さすが砂漠を学ラン姿で旅した男である。
ザ・サンの灼熱地獄ですら脱がせられなかったこの学ラン、脱がそうと思ったらホウィール・オブ・フォーチュンのように直接燃やすしかない。
北風と太陽なんてレベルじゃねーぞ。

夏の暑さの中、平然と勉強をする承太郎と教えるタバサを見て、自分がおかしいのではないかとキュルケは思い始めてしまう。
でも暑いものは暑いんだから仕方ないと、タバサに頼んで涼しい風を起こしてもらい、タバサの隣の席で適当に魔術書を開いて読む。
真面目に勉強をしている承太郎にちょっかいを出すほど空気の読めない女ではないのだ。
しかしタバサが「休憩」と言うと、途端にキュルケは元気になる。
シエスタの用意した紅茶を飲みつつ、三人は歓談する。
ちなみに口を開く割合を表すとキュルケが7で承太郎が2でタバサが1だ。
承太郎発言集「ああ」「いや」
タバサ発言集「うん」
やる気の無さがうかがえる。
二人が食いついてくる話題はないかなと、キュルケはちょっと考えてみた。
と、食いつくつかないは別として思い浮かんだ疑問を訊ねてみる。
「そういえばルイズは? あの子も寮に残ってるの?」
「いや……当分街に泊まるらしい」
「そうなの? 何で?」
「平民の生活に興味があるらしい」
「殊勝な心掛けねえ、ルイズのくせに」
「怪しい」
タバサがボソリと呟き、キュルケは裏を感じて承太郎を見つめた。
しかしこの承太郎から隠し事を引き出すなんて無理だろうと思いあきらめる。
二人分しか用意されてなかった紅茶は、三人で飲むとすぐに無くなり、勉強再開の時間となると図書室は静寂に包まれた。
退屈なのはキュルケだ。
ほとんどの男子生徒は里帰りしていて遊べないし、承太郎とタバサは熱心にお勉強だし、ルイズは何を思ったのか街に泊まってる。
それに紅茶もちょっと飲み足りない。
かといって厨房まで言って用意させるのも面倒だし、どうしよう。
と思ってると、タバサの持っている小さな鞄の中に、数冊の本に混じった水筒を発見。
「タバサ、これ飲んでいい?」
顔を上げてタバサに問いかけると、タバサは振り向きもせずうなずいた。
さっそくキュルケは鞄の中の水筒に手を伸ばすが、いつの間にか水筒は消えていた。
「……あれ? タバサ、鞄の中に水筒入ってたわよね? あれぇ~?」
「……? 九号が無い」
タバサも鞄を確認するが、水筒が無くなっていた。誰の仕業だろう、と承太郎を見る。
素知らぬ顔で承太郎は文章の書き取りをしていた。
結局勉強会が終わって夕食の時間になっても水筒は見つからず、事件は迷宮入りした。
そして承太郎もその事を忘れて数日が経ち、勉強も一段落つく。

唐突だが彼の名は疾風のギトー。
風こそ最強の系統と信じる自惚れ屋さんである。
とある夜、彼はちょっと調べ物をするため図書室を訪れた。
そして発見した。なぜか本棚の上に放置された水筒を。
何だ? これは?
ディティクトマジックで魔法がかけられていない事を確認してから水筒を開けてみると、中からは薔薇の香りがしてきた。
そういえば居残り組のミスタ・グラモンが、高価なローズティーが手に入ったと喜んでいたらしい。
なるほど、これは彼の忘れ物か。高価なローズティーか。よだれズビッ。
飲んじゃおう。と思って彼は水筒から一気にローズティーをあおった。
ああ、スカッと爽やかな味わい。身体が軽くなったような気がして、レビテーションやフライを使わずともこのまま空に飛んで行けそうな気がした。
ふと気がつけば空には花畑が広がっており、下には図書室で倒れている自分の姿が。
その光景を奇妙に思いながらも、空にあるお花畑で手招きする美女達に弾かれ昇っていく。
四人の美女は名を名乗る。
「私はミドラー」
「私はマライヤ」
「私はネーナ」(変装済み)
「私はエンヤ」(OVA版)
『四重スタンド攻撃』
翌朝、気絶しているギトーの姿がタバサによって発見され、水筒を回収された。

ギトーが何者かに毒物を飲まされ倒れていたところを発見された図書室は、関係者以外立ち入り禁止となり、そこで勉強する事は不可能になった。
そこでキュルケは気晴らしに街へ遊びに行こうと言い出し、道中でギーシュとモンモランシーに出会い、一緒に行く事に。
そしてギーシュが行ってみたいお店があるというので行ってみた。

魅惑の妖精亭。
女の子が可愛らしい格好でお酒を選んでくれるという怪しくも妖しい店だったが、面白がったキュルケにより反対派の意見は黙殺され入店決定となってしまった。
するとキモいおっさんが出迎え、貴族のお客様と大歓迎してくれた。
一番いい席に案内された面々は、承太郎とタバサ以外興味深そうに店内を見回している。
そしてギーシュは女の子に見惚れてモンモランシーに耳を引っ張られていた。
席についてすぐ、桃色の髪の少女が注文を取りにきて、慌ててお盆で顔を隠した。
「……こんな所で何をしてやがる、ルイズ」
一発で承太郎に見抜かれ、キュルケ達から好奇の視線を向けられたルイズは、そりゃもう愉快な反応をして必死に誤魔化そうとしてくれた。

平民の間で妙な噂が流れてないかを調べに街にやって来たルイズは、上等な宿や馬を調達したために、一日で軍資金を使い果たしてしまったのだ。
途方に暮れて街をさまよっていると、この魅惑の妖精亭の店主スカロンに拾われたのだ。
店内ではミ・マドモワゼルと呼ばなくてはならない彼の下で、給仕としての仕事をやりつつ情報収集をしているだけだと承太郎にだけ説明した。
「という訳だから、他のみんなにはうまく誤魔化しといて。ねっ!」
「やれやれ……仕方のねー奴だ」

こうして承太郎はルイズが魅惑の妖精亭で働いている理由を説明した。
「この店で働いた女は……胸が大きくなるとの噂があるらしい」
「なるほど納得。それでルイズはこんな所で給仕をしているのね」
「こんな店で働いただけで胸が育つとは思えない」
「はっはっは! でも見たまえ、ルイズ以外の女の子はみんな胸が……」
「どこ見て鼻の下伸ばしてんのよ! この浮気者!」
真面目な言い訳を考えるのが面倒くさかった承太郎は、一発で完璧に納得のいく説明を思いついたのでそれを話した。
みんな一発で信じ込んだ。
そして「こんな店で働いてるなんてバラされたくないわよね?」とキュルケが脅し、ルイズはキュルケ達の飲食代を全部支払わされる事になってしまうのだった。

トイレのために席を立ったタバサは、給仕をしているルイズを呼び止めた。
「何よ?」
「ここで働いて何日?」
「え、え~と……もう一週間以上だと思うけど」
タバサはルイズの胸を見た。噂が本当なら少しくらい大きくなっていてもいいはずだ。
しかし相変わらずである。ルイズが着ている色っぽい衣装が可哀想になるくらいだ。
「そう」
興味を無くしたタバサは、そのままトイレへと行ってしまった。
ルイズは質問の意図がよく解らず、そのまま給仕の仕事を続けたそうな。

そしてさらにすごくどうでもいい事だが、ある料理を口にしてタバサが店長を呼んだ。
「どうしました? お口に合わなかったかしら?」
「この料理を考えたのは誰?」
「あら、それなら私よ。隠し味の苦味が利いててベリィ~グッドだと思うんだけど……」
「……もしかして会員?」
「えっ!? 貴族のお嬢ちゃん、あなたもなの!」
はしばみ草愛好会の会員が偶然の出会いを果たしていたとかいないとかー。
ちなみに承太郎はその料理を一口食べた後、トイレに駆け込んだらしい。

そんな調子で彼等、彼女等の夏期講習は終わるのだった。
ルイズが情報収集任務を果たせたかだって? 知らんよ。



第五章 トリスタニアの休日 完

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│To Be Continued  >
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