ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

サーヴァント・スミス-8

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匿名ユーザー

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ゴーレムの腕に、小さい切り傷が作られた。
まずは、ナランチャが囮になって弾幕を張りつつ後退。
後衛のキュルケとタバサが得意な攻撃魔法で応戦するが、全く効果がない。
崩した所で急激に回復していく。

あれにも精神力が要るのだろうか、そんな事を考える暇は、ない。

横っ飛びでステップを踏みつつ、軽やかにゴーレムの重い拳を避ける。
しゃがむと、『20メイル』の巨体からは若干攻撃が当たりにくくなる。
デルフリンガーを持ってアップした身体能力でゴーレムの隙を見出そうと、ギラギラと眼光を放つ。

「……前より、小さい?」

疑問を掻き消す、地面が抉れるほどのパワーを持った鋭い拳による殴打。
コンパスを模した動きで旋回し、勢いのままにデルフリンガーで切りつける。
それを蚊に刺されたようにさえ感じないゴーレムは、感情を表すことのない土の顔を剥き出しに、それでいて睨みつけられているような感覚に陥らせる
打たれる乱打。右に跳躍してエアロスミスを顔に打ち込む。
届くか。  届いた。
バスバスバスッと軽い音がして、顔が崩れる。しかし、また治る。

「ちっくしょー、ボスが回復使うのはやっちゃいけねぇことってミスタが言ってやがったぞ!」

どこからか異郷の地のゲーム特集の本を暇つぶしに読んでいたミスタがそんなこと叫んでいた気がする

地道に攻めたてる。タバサとキュルケの心強い援護もあって、何とか優勢に事を進める事は出来ていた
ルイズの失敗魔法も、周りに巻き込むものが無ければ、かなりの威力を誇る

しかし、それを全て無に返すようにゴーレムは再生する。
チッ、と舌打ちだけして、地面を蹴る。
跳躍した先は、ゴーレムの胸。

そこにデルフリンガーを引っ掛け、そのまま降下。
鍵爪でも引っ掛けられたように、胸が裂けていくゴーレム。それも、効いていない。
決定打を与えるには、1歩どころか5歩ほど足りなかった

着地した瞬間、蹴り飛ばされるも、デルフリンガーを盾代わりにして何とかしのいだ
踏ん張りつつ、急いでエアロスミスを呼び戻して、機銃掃射。

「ダメだ……どうも、勝負決めらんねぇ」

苦悩するナランチャ。考えた末、捨て身の攻撃を敢行する
一旦静止、つんのめった勢いでゴーレムの拳をかわし、下に潜り込んだ

「エアロスミス!!」

スタンド使いにしか聞こえないプロペラ音を鳴らしながら接近。
ほぼ0距離で爆弾を投下。もちろん自分も接近し、爆風で出来た隙に深く斬り込んだ
ドンッ、と、これもまたスタンド使いにしか聞こえない音を轟かせ、ゴーレムの両肩を落とした
重いのが仇だ。千切れ欠けになるとあっけなく地面に落下する

だが、当然のようにゴーレムは、フーケは、転んでもタダでは起きなかった。

「きゃあっ!?」

「キュルケ!……んのおッ!」

土を吸収して直す際、フーケが浮かせたと思われる土くれに、キュルケを巻き込んだ。

すっぽりとはまり、腕と同化するキュルケ。
杖は地面に落ち、こちらも下手に攻撃は出来なくなる
剣でキュルケの近くを攻撃するが、また再生。

「人質」

「野郎……エアロスミスッ!」

そこまで言ってハッと気づく、そうだ、自分のスタンドは精密動作性が低い。
しかも相手は呼吸をしていないゴーレム。レーダーを使った正確な攻撃は出来ない
かろうじて頭が出ている状態のキュルケに弾丸が当たるとしたら、もちろんその露出した……頭だ
もしかしたら、自分が殺してしまうかもしれないと言う恐怖感に駆られ、ナランチャは撃てない

「な、何やってんのよ!」

「……俺のスタンドは細かい動きが出来ねぇしー」

ばつが悪そうに答える

「もうっ!しょうがないわねぇ!」

「お前も同じだろ」

「あ」

ルイズの爆発も当然、完全にはコントロールできない。
ある程度場所の指定は出来るが、万が一もある、ここは確実な攻撃が出来るタバサが頼りだ

「タバサ」

ナランチャが無い頭を振り絞ってタバサに策を伝える
タバサも納得したようで、コク、と頷いた後、詠唱を始める。

「あ、あんたが作戦作ったの?コレって普通タバサの役目じゃ……」

ウィンディ・アイシクル。
『水』と『風』の高等呪文。氷柱はゴーレムの体に突き刺さって、止まる。
その氷柱を抜こうともしないまま、ゴーレムは余裕綽々と言った様子でこちらへ向かってくる

「実はな」

馬車から飛び出てくる一つの影。それは――フレイム
ルイズは「居たの!?」と驚いている。
空ではシルフィードが飛んでいるが、どうも介入しそこねているようだ。
ゴーレムのパンチを食らっては流石のシルフィードでも大ダメージは必死だからである。

「たたた、頼むぜフレイム!」

「きゅるきゅるっ!」

ちょっと怯えるナランチャ
フレイムは火を吐き出し、氷を溶かす。
瞬く間に水に変わっていき、そして

豪快な音を立てて、ゴーレムが崩れて行った

「え!?え!?なんで!?」

「所詮土さ。錬金する暇すらなかったってとこか」

発想の転換。
すっかりナランチャを援護する訳に回っていたタバサは、自分自身が決定打を与える事を考えては居ない。
それこそ範囲の広い攻撃をすれば巻き込む可能性もあるからだ。
だからいっそ、『ナランチャが引いて、タバサが決定打を与える役に回る』。まるで特殊な作戦ではない。なれど、効果的。
二人の考えは一緒だったようで、あっさり作戦が決まり、殆ど実行までの隙が無かったのも良い点であった

必死だったルイズには考え付かず、キュルケは捕まってしまっていた為、この2人ぐらいしか思いつける人物は居ない

突き刺さった氷を溶かせば、内部から水を差し込まれたようなものだ。
氷の塊が解けると同時に、固まっていた土が溶解した。
土も一緒に溶けた訳ではない。
ただ単純に、内側からの水分でどろどろになった土が耐え切れなくなっただけだ。
乾かした泥団子と濡れた泥団子の違いである。
拍子抜けの決着に、ただただ戸惑う。

ただ、それが本当に『決着かどうか』、ゴーレムのその残骸を見て、ナランチャは疑っていた

「さあ、どうするか」

「な、何を?」

「多分、また復活すると思うんだよな。精神力を込めるほど強くなるってんなら……今のあれは、まだ全力を出したようには見えなかったぜ?あまりに脆すぎるしな」

タバサも肯定の意を示す。確かに、あれで終わるとは思えないし、囮とも思える。
急いでフーケと、ロングビルを探そう。
脱出したキュルケと、共に。

「見つかった」

「早ッ!?」

「ここ、ここ」

気楽に走っていくナランチャの後を追いかける。二酸化炭素レーダーが探知したという事は、生きている。
そこには、ミス・ロングビルの姿があった。
どうやら気絶しているようで、ゆすっても起きない。
息は当然ながらしていた。

「……ちょいと、確かめたい事がある。行ってくるぜ。言って置くが……」

「何?」

「絶対に……『そいつ』から目を離すんじゃねーぞ」

先ほどまでとは打って変わって、戦い慣れた者の目になったナランチャに、一同が驚く。
慌てて、ロングビルに視線を移し、とにかく目を離さないようにしていると。

ナランチャは、先ほどまで廃屋があった場所に駆けていった
まだ意図が分からないまま、見守る


……………………


「おっそーいッ!!」

1時間経った。3人とも眠りそうである。
夜だから眠るのではなく、疲れと退屈さからだ。
すでにタバサはすーすーと寝息を立てていた。

「まあまあ、ナランチャにはナランチャなりの考えがあるんじゃない?」

「だからって!私達をこんなに待たせてーッ! って」

「おう、よく耐えれたじゃん」

ナランチャが悪びれる様子も無く、地面にあぐらをかいて座る。
タバサは飛び起き、3人は思わず正座になった。

「いいか……よく聞け」

ひそひそと話をする4人。相当小声だ。
そのうち、ロングビルが起きたものの、終わった後であった。

「ん……あ、み、皆さん、無事でしたか」

「おーう、よし、今からあそこに置いてある破壊の杖を取りに行くんだ。全員で行った方が安全だ」

「え?何であそこに置いているんですか?フーケに取られるかもしれないのに」

「だいじょーぶ、だいじょーぶだって……!あ、でもやっぱ、ロングビルさんはそこで寝てなよ」

ナランチャが、凄まじい『策士』の笑みを浮かべた。
それは、彼の『能力があったからこそ』。
ロングビルは、一応従う事にしたが、その裏に、ナランチャと似た笑みを浮かべていた
そして、廃屋の残骸には破壊の杖が。無事に転がっていた。

キュルケ、タバサ、ルイズが。
『3人』が、破壊の杖をとりに行った瞬間――
残骸が猛烈な勢いで吹っ飛ぶ。予想通りだ。
破壊の杖は、地面から現れたゴーレムの手中に収められていた。
3人は唖然とし、口々に叫ぶ

――明らかに棒読みだった。
目の前では、どんどんゴーレムが形作られていく

(……?)

彼女らの反応に不信感を募らせる『土くれのフーケ』
どうみても命の瀬戸際だ。
奇襲を受けて、まともに対処できるような状態ではないというのに――
彼女は、経験豊富であり、常に油断はない。
だが、このときばかりは。
ほんの小さな異変に気づくことなく、土くれのフーケは確かなミスを犯してしまった。

「おーっと、数分振りッスね?ミス・ロングビル……いーや、土くれのフーケ、さん?」

背中に――冷たいものが走った。





To Be continued ...

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