ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

引力=LOVE?-2

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 徐倫とルイズのふたりが居るここは、ルイズの部屋。豪華なホテルという感じの部屋だ。
 ルイズは椅子に腰掛け、徐倫は傍の壁に寄りかかっていた。
 本当は椅子に座っていたのだが、ルイズが「使い魔が主人と一緒の位置に座るんじゃあないわよ」と言ったのだ。

 ルイズから説明を受ける徐倫。
 説明といっても、徐倫の質問にルイズがただ答えているだけなのだが。
 徐倫がルイズに尋ねたことは4つ。
 ・ここはどこか
 ・自分は何故ここにいるか
 ・『使い魔』は一体何だ
 ・元の世界に帰れるか


「――大体のことは理解できたわ」
 まず、この世界は徐倫のいた世界ではないこと。
 ここはハルケギニアという魔法中心の、ファンタジーやメルヘンの世界なのだ。
 次に何故徐倫が呼ばれたかは、ルイズから「召喚が失敗したから」と一蹴されただけで終わった。
 特別に徐倫が呼ばれる理由があったわけではなかったのだ。たまたま徐倫だったのである。
 そして『使い魔』というものは主人に従事し、命令を忠実にこなさなければいけないらしい。
 言い換えれば、徐倫はルイズの奴隷になったも同然なのだ。
 最後に、徐倫は元の世界に戻れるかだ。ルイズの答えは「できない」。
 召喚する魔法はあっても、戻す魔法は存在しないのだという。
(……飛びてぇー……)
 頭が痛い、ふうとため息をつくと、視界に入った窓をちらりと見た。
 外は既に太陽が落ち闇に飲まれ、月が出ていた。しかしその月はふたつあった。
(異世界、か)
 説明を聞いていたときは信じられない、ありえないという思いが先走り脳が暴走状態だったが、
 こう冷静になって考えてみると、あまり衝撃を受けていないという事実に徐倫は気づいた。
 元の世界では、刑務所に入ってからの徐倫は数々の出来事に見舞われてきた。
 スタンド使いになったり、生死を賭けたバトルをしたり、大切な仲間ができたり……失ったり。
 そういう出来事を経て、徐倫は成長してきた。最初とは比べものにならないほど成長したのだ。

 そう。元いた世界に帰る可能性が無い訳じゃあない。
 帰る魔法が存在しないなんて、誰が確認したんだ?存在している可能性もある。
 例えその可能性がちっぽけだったとしても、顔を背けていてはいられない。
 どんな事が待っていようと、可能性を……希望を掴み取る。
(あたしのスタンドは『ストーン・フリー』……あたしはこの世界から『自由』になってやるッ!)
 徐倫はどんなことがあろうとも元の世界に戻ると決めた。 
 グッと拳を握りしめる。随分と前向きな考えだ。きっとこれが彼女のいいところなんだろう。

 ひとりで突っ走っている徐倫を、ルイズは欠伸をかみしめながら不思議そうに見つめていた。


「はい」
「は?」
 今、目の前にいる少女は下着一丁。徐倫の手の中にあるのは彼女の服。
 先程徐倫が渡されたのは、彼女の服だったのだ。しかも脱ぎたてホカホカ。
「なによ。ボーッと突っ立ってないでさっさと寝間着を取ってきなさいよ。
 あとそれは洗っておきなさい。今日はもう遅いから、明日でいいわよ。手抜きなんかしたら許さないからね」
「なんであたしがそんなことしなきゃならないのよ」
「さっき説明したでしょう。あなたはわたしの使い魔。使い魔の役目は主人の世話をすることなのよ」
 ルイズはビッと人差し指を徐倫に突きつけ言い放つ。
 徐倫は閉口せざるを得ない。
 以前の彼女だったら、こんな口をきかれたらいくら自分より年下の少女だったとしても問答無用でぶっ飛ばしていた。
(我慢だ、我慢よあたし。今だけ、帰るまでの辛抱よ……) 
 刑務所であったことに比べたら、こんなこと屁でもない。
「……服はあそこのクローゼットの中?」
 部屋の中をぐるりと見てから、目についた大きめのクローゼットを指さして言う。
「そうよ。早く持ってきなさい」
 ……いちいち頭にくる言い方をする。自覚はないのだろうかこのピンク頭は。

 クローゼットからネグリジェを取り出し、ルイズにそれを着せていく。
 「うまく着せられないから腕を少し上げて」と言うと、ルイズは素直に腕を上げた。
(……もしあたしに妹なんてものがいたら、こんな感じなのかなあ。こんな性格のひねたガキはイヤだけど)
 徐倫はそんなことを考えながらルイズの着替えを終わらせた。
「ところで、あたしの寝るところはどこ?」
 キョロキョロとあたりを見回す。そういえばクローゼットを探したときにも、徐倫の寝床になりそうなものは見つからなかった。
 別室で寝ろとでも言うのだろうか。
 しかし、ルイズから帰ってきた言葉はそれよりも酷いものだった。
「使い魔は床で寝なさい」
 ぴしゃりと言い捨てられた。目の前にあるピンクを殴り飛ばしてやりたい衝動に駆られる。
 いや、いっそ本当に殴り飛ばしてやろうか、スタンドで。
「ホラ、これを使いなさい」
 ボフッと顔面に何かが投げられた。どうやら毛布のようだ。
 薄くてあまり役に立ちそうにないが、ないよりはマシだ。ありがたく使わせて貰おう。
 徐倫は夜空が見えるように窓の傍で眠ることにした。壁に寄りかかり毛布にくるまる。

 パチンと音がしたと思ったら明かりが消えた。徐倫は目を閉じる。
 これからどうなっていくのだろう。帰る方法は見つかるのだろうか。
 徐倫の胸は不安でいっぱいだった。

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