ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

白銀と亀の使い魔-17

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「…うぐぇあ…気持ち悪い……二日酔いか…?」
ポルナレフはソファから身を起こすと、よろよろと立ち上がった。
「お、ようやくお目覚めか相棒。」
「ん…ああ…あ?」
ポルナレフが首を傾げる。
「いつの間に亀の中に戻った?確かシエスタと酒を飲んでて…?」
デルフがカタカタ震え出した。
「どうした?」
「な、なななななんでもないぜ相棒。そ、そそれより早くしねーと娘っ子にまた亀取り上げられるぜ!」
「あ、ああ。」
ポルナレフはデルフを掴み取った。
「え、あ、相棒!?」
「昨日は迷惑かけたしな。それにまあなんだ。レイピアは持ち運びがな…」
相棒…!とデルフは涙した。目なんか無いけど。


(あ、あの犬ゥゥゥゥ!!)
私は亀の目の前でポルナレフが出て来るのをいまかいまかと待っていた。
(ダンス誘ってやったのに終わったらすぐに御主人様を無視してメイドと逢引ですってぇぇぇ)
ちなみに昨晩の騒動の後、水のメイジによる治療を受けられず応急処置しか受けれなかった(今日の内に治癒魔法を受けに行くが。)ため、左腕骨折に加え、頭に包帯、身体のあらゆる箇所にガーゼが貼られている。いわゆる『名誉の負傷』って奴だ。
(何が「俺は帰らなければならない。だが、それまではお前の使い魔だぜ。」よ!思いっきり違う娘に着いていってんじゃない!)

ポルナレフの自分に対する態度が全然気に喰わなかった。フーケの時も私を差し置いて他の二人と共に退却を提案した。
それでも見捨てず助けてくれたはいいが、御主人様である私と踊った後すぐに違う女、それもツェルプストーじゃないだけマシだが、メイド、すなわち平民と飲みだしたのである。
貴族である自分が誘われず何故あの平民が誘われなければならないのか(誘ってないbyポルナレフ)そのことが無性に腹が立った。
しかもその平民とキスをしようとしたのである。これには完全に頭に来た。別にあいつが好きという訳じゃないが、平民ごときに負けたのが悔しかったからだ。
気付いたらテーブルを二つ飛び越え、メイドの後頭部に目掛けて飛び膝蹴りを喰らわしていた。
ゴシカァン!という音と共にメイドがポルナレフと正面衝突した。メイドはゆっくりと立ち上がると、その怒り、羞恥、酒で真っ赤にした顔をこちらに向け、
「いいキックしてるぜッ!このアマッ!」
と挑発してきた。私も負けじと
「かかってきやがれッ!」と挑発仕返した。
その時私はワクワクしていた。メイドの最も強い部分が光り輝いて見えた気がした。
「いくぞ!」「私の方が!」「「最強という事を証明してくれるッ!」」

…今思い返せば最後だけ何かおかしかった気がする。
その後、私とメイドはバルコニーを破壊し尽くすまで闘った。終わった時には私もメイドも満身創痍だったし、私のドレスもメイドの服もボロボロだった。ただ、亀とポルナレフはギーシュがワルキューレを使って助け出していたため無事だった。私はギーシュに感謝した。

「よいしょ」ドゲシャ「ガミャッ!」
私は亀から出て来たポルナレフの頭を踏み付けた。ぐりぐりと。
「や、やめろ小娘ッ!」
「そんなことより御主人様に言うことがあるでしょ?ほら早くしないとどんどん強くなっていくわよ。」
「な、何の事だ!」
「あー、相棒。ひょっとしてあのメイドのことじゃね?」
「メイド…シエスタか?だがシエスタがどうした!?」
「全く、相棒はあれかい?女心が分かんないのかい?」
剣が呆れたように言った。ていうかようやく出番与えられたのね。と、そこに
コンコン。
「すいません、入ってもよろしいでしょうか?ミス・ヴァリエール。」
あのメイドがやってきた。

とても歯痒い。何故ポルナレフさんは私の気持ちに気付いてくれないのだろうか?
彼がメイジであるギーシュ様をナイフ一本で倒した時、私は彼に惹かれた。メイジを倒した平民としてでなく、可能性としてでもなく、私のような何の力も持たず服従するしかない一介のメイドの為に命を省みず闘ってくれた『男性』としてだ。
彼は私よりずっと年上だろうから親や周りも反対するだろうが、それでも構わないと思っている。
それほどまでに憧れ、慕っているのに…彼は気付いてくれない。
だから常日頃一緒にいるミス・ヴァリエールが羨ましかった。御主人様と使い魔という関係でも私よりずっと長く彼と一緒にいられるのが羨ましかった。

そしてフリッグの舞踏会で二人が踊っているのを見て、ついに我慢出来なくなった。
私は同僚の子に無理を言って仕事から抜け出し、彼の元に行った。
そして…
ここから記憶が無い。ただ起きたら部屋にいて頭痛がしたことからワインを飲んだに違いない。そうだとすると何かやらかしてしまったかもしれない。
そう思うとすぐにメイドの共同部屋を飛び出して謝りに行く事にした。
「ミス・ヴァリエール?いらっしゃいますか?」
「ちょっと待ってなさい。部屋を片付けるから。」
中から返事が返って来た。心なしか怒っているように聞こえる。やっぱり昨日何かやってしまってたんだ。


「あんたの愛する平民が来たわよ。犬。ああ、御主人様の部屋に呼んでまでイチャイチャしたいだなんて、どれだけ性欲あましてるんだか。」
ルイズは見下すように言った。いや、確かにシエスタはいい娘だが、別に愛しては…ってデルフよ、なぜ震えている?
「…何か貴様勘違いしているな?俺はシエスタと恋仲ではない。」
「嘘おっしゃい。だったら何で御主人様の見てる前で逢引したり、今もこうやって来てるじゃない。そんな犬にはお仕置きが…」
酷い言い掛かりだ。両方とも身に覚えが無い。あのギーシュじゃあるまいし、そのような事は絶対にしないはずだ。
「何も聞く気はないようだな…この小娘が…ッ」
「何とでも言いなさい。でも…そうねぇ『私が悪うございました。許してくださいまし、私の美しい美しい御主人様』とでも言ったら許してあげようかしら。」
「いい気になりおって…ッ」
「あー?聞こえないわよ?ほら早く言わないとこんな姿をメイドに見られるわよ?」
ぐりぐり更に踏み付けてきた。こうなったらやるしかない。

「…ゼロの癖に…」
腹に力を込める。
「この期に及んでまだ強がる気?阿呆ねぇ…まったく、おたく阿呆ねぇ…」
「生意気だぞッ!小娘がッ!」
俺は身体を海老のように反らせ、亀の中にあった足でルイズの身体を蹴り飛ばした。対メイジように身体を鍛えといて良かった。
「キャッ!」
ルイズの足が離れた隙に俺は走った。目的は窓。
「チャリオッツッ!」
窓をチャリオッツで切り裂き内側に倒す。外に誰かいたらやばいからな。
窓から飛び出すとデルフを抜いてチャリオッツの剣と共にそのまま壁に当てる。摩擦により落下速度を落とすためだ。
ガリガリと盛大に音を鳴らして地上に降り立つとすぐに走った。行き先は走りながら決めよう、と考えると何かにぶつかった。
「な、こんな所に壁が!?」
「壁じゃない!僕の使い魔のヴェルダンテだ!…ん?その声はポルナレフかい?」
この声…確かどっかで聞いたんだが、誰だっけ?
「えーと…プッチ?」
「違う!ギーシュ!ギーシュ・ド・グラモン!忘れたのかい!?昨日助けてやったというのに…」
「昨日…すまない、全然記憶に無い。昨日何があったんだ?」
「本当に覚えてないのかい?あれほどの惨事を?」
「ああ。シエスタと酒を飲んでる所までは覚えてるんだが…そこからが…」
ああ、とギーシュは天を仰いだ。あれを自分から言えというのか始祖ブリミルよ、とだけ言うと、ギーシュは丁寧に教えてくれた。
「…というわけだ。後は自分で何とかあの二人を抑えたまえ。」
それだけ言うと笑いながら去って行った。
「…デルフ、何故教えなかった?」
「だって恐かったから。」
「…」

「昨日はすいませんでした。ミス・ヴァリエール。」
メイドは入って来るなりいきなりそう言った。
「はあ?」
訳が分からなかったので話を聞いてみると昨日は酒に酔ってたらしく、そのために無礼な事をしてしまったと謝りに来たらしい。別にポルナレフに呼ばれたり、会いに来たという訳では無いみたいだ。
しかも本人いわく自分から一緒に飲もうと誘ったらしい。なんだ、全て私の勘違いじゃないか。また謝らなくちゃ…その前に探さないと!
「シエスタだっけ?頼みがあるの。一緒にポルナレフを探してちょうだい。」
「え?あ、はい!」
私とメイドは学院中を探しだした。


「相棒、何処向かってんだい?」
「厨房だ…あそこならルイズも分かるまい。」
「そんなに上手くいくかねえ?」
厨房までもう少しで着く所で見つかった。
「ミス・ヴァリエール!いました!」
いきなりの大声にギクリとし、後ろを振り向くとこちらを指差すシエスタと猛然とした勢いで突っ込んでくるルイズが見えた。
「ほら行かなかったw。」
「笑うな。」
パチンとデルフを鞘に収めると降伏するつもりで両手を挙げた。自分の直前でルイズが停止する。
「はぁ、はぁ、一体何処に行ったと思ったらこんな所にいたの…」
「ふん。今更何のようだ?何度もいうが俺は…」
「まったく、少しは弁明させなさいよ…」「?」
「あの娘から聞いたわ。あんたは本当に何も悪くなかったようね。」
おいおい今更か。
「だから…あーその…ごめんね?」
「え…ああ。」
正直、此処まで勘違いしやすい主人も考え物だ。簡単な話でも相手の主張を認めないから此処までこんがらがってしまう。だが素直に自らの過ちを認めた時の謝り方は、どこかかわいらしいものがある。娘みたいな感じの、がな。
そんな自分達をシエスタは嫉妬に駆られた目で睨みつけていて、デルフはその視線にまた震えていた。
ああ、明日からがまた不安だ。誰か俺の女難の相を取り除いてくれるスタンド使いの方、待ってます。


To Be Continued...

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