ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

第六話 テニヌの皇帝

最終更新:

familiar_spirit

- view
だれでも歓迎! 編集
「どうして解ったの?」
もはや演技の必要はないと言うことか。フーケの口調は変わっていた。
「勘。しいて言うなら・・・匂いだな。オレと同じ、悪者の匂いがプンプンするぜ。
 具体的な理由なら・・・有能な眼鏡秘書には気をつけろってな。」
「そんな抽象的な理由だったの?正直に言うんじゃあなかったわ。」
杖を握るフーケをメローネが止める。
「あ~、教えといてやるとお前はオレの射程内に入っている。怪しい動きをしたらその喉えぐってやるからな。」
「ふふっ。動いたりなんかしないわよ・・・。」
メローネがフーケを確保しようとした瞬間!
「おまえらァ!すぐにこの小屋から出るんだァァァァァ!!」
ボスが殴り込んできてフーケを外へぶん投げ、メローネを思いっきり殴り飛ばした!
「・・・っ!なにしやが・・・」
メローネが見たのは、跡形もなくスクラップにされている小屋だった。

新ゼロの変態第六話 テニヌの皇帝

「な・・・ナンテコッタイ・・・。」
そこには巨大な腕があった。
「あのジ・アースの腕かよ・・・。あんのクソメガネ!!」
そう言うとメローネはルイズ達の方へ走り出した。
「メローネ!!フーケが近くにいたの!?ミス・ロングビルは!?」
「こいつを頼む!」
『破壊の杖』をルイズに渡し馬車に戻るメローネ。戻ってきたとき、その手にはパソコンはなく・・・
我らがデルフリンガーが握られていた。
「あいぼぉぉぉぉぉぉお!!やっとオレを使う気になったんだね!!」
「あぁ。『ベイビィ・フェイス(ブースト版)』は対人間ならほぼ勝てるんだが、ああゆうでかいのは苦手だ。
 それにパソコンが壊れたら死活問題だ。雪風はもし折れちまったら大変だし、無限刃はなんか嫌な予感がする。
 その点お前は破壊力だけはあるし、もし折れても大したことにはならんしな。」
「ひでぇ!!でも許す。お前は相棒だかんな。」
「そんなことよりミス・ロングビルはどこ行ったのよ!!」
「あそこ。」
タバサが指さした先には、巨大ゴーレムの肩に乗っているフーケの姿が!
「うそ・・・。ミス・ロングビルがフーケだったの!?」
「遅い!!シルフィード!!コイツらを乗せて空から援護しろ!!」
「きゅいきゅい!(了解、おにいさま!)」
シルフィードが三人を乗せたのを確認すると、メローネはフーケに突っ込んでいった。

「アッハッハ!潰してあげるわ!!」
メローネにゴーレムの鋼鉄ストレートが迫る!想像以上の速さだが今のメローネに避けれない速さではない。
ガンダールヴの力はメローネの身体機能を増加させ、変態力も増加させ、精神力すら強化する。
つまりスタンドまでもを強化する!もっとも今はスタンドを出せないが。
「調子に乗るなよクソメガネ!デルフ!歯ァ食い縛れェェェェ!!」
「相棒?何する気「どぉぉぉりゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」
メローネは巨大ゴーレムの足を、デルフリンガーで斬りつけた。
      • いや、寧ろバットのように叩き付けた。
砕けるゴーレムの足首!
「ふん。土製じゃあ強度も知れたものだな。え、クソメガネ?」
「あいぼぉぉぉぉ!!殺す気か!!今のは折れるかと思ったよ!!」
「うっせーな。砕けたのは向こうだったんだからいいじゃあ・・・」
メローネは目の前で再生する巨大な足首を見て真っ青になった。

「ふふふ。ちょっとびっくりしたけど材料の土はそこら中にあるのよ。」
上空からの攻撃を防御しながらフーケが得意そうに言う。
「よっていくら破損しようとも修復可能!
 でも、このままだと攻撃もままならないしいつか押し切られてしまうかも・・・。
 そんな不安をなくすべく私は考えたのよ!絶対無敵の戦闘用ゴーレムを!!」
フーケがそう叫ぶとゴーレムの形が変わり始めた!

~少々お待ちください~

「・・・ねぇルイズ。今の間に攻撃しちゃあダメなの?」
「マナー違反よ。貴族たるもの変形中には手出し無用よ。」
「常識。」

――十分後――

ようやく変形を終えたゴーレムを見てルイズが一言。
「・・・何あの変なゴーレム。」
実に変であった。一回り小さくなり、頭が無くなっている。
そのかわり腹部に顔面がある。足も比較的短く、手の方が長いくらいである。
しかしそのボディは土色ではなく・・・金属特有の光沢を持っていた。
「まさか・・・鋼鉄製!?」
「へ?どういう事?」
キュルケはすっかりアホの子である。そんなキュルケにフーケは勝ち誇ったように言う。
「うふふふふ。教えてあげるわ!いくら魔法といえども人型で巨大な鉄のゴーレムを造ることは
 スクウェアクラスでも不可能に近いわ!なぜなら(以下略)!!
 つまりこれは私、いやメイジがが造り出せる中で最大最強のゴーレムって訳よ!!」
「・・・ぷしゅ~」「ボンッ!!」
頭から煙を出すルイズとキュルケ。
「あのゴーレムの破壊はほぼ不可能と言うこと。」
そう言いながら高等魔法『ウィンディ・アイシクル』をフーケに放つタバサ。
「そう!倒す方法は私を倒すことだけ!でもそれも不可能なのよ!!」
華麗なバク転で氷柱を避けるフーケ。しかし飛び出した先は空中であった。

「終わった。」
そう呟いたタバサの目に、信じられない光景が映った!
ガシャン!ウィーン スタッ!ウィーン ガシャン!
      • わかりやすく言うとゴーレムの腹部の口が開き、舌のようなものが出てきてフーケはその上に着地。
そのまま舌が中へ戻って口が閉じたのである。
『うふふふ。こうすれば私も無敵!つまり最強!これからあなた達を粉砕!玉砕!大喝采!!してあげるから覚悟なさい!!』
どういう原理か知らないがゴーレムが喋っているように見える。
「・・・やれやれ。ディ・モールト(とても)ついてないな。」
それを見ながら、メローネは呟いた。
「どーすんだよ相棒!さすがに俺アレは無理だよ!?聞いてる?」
「うっせーな。すでに殺し方はできている。」
かつてのリーダーの決め台詞を言いながら、再びメローネは突っ込んでいった。

「ふふふふふふ。無駄無駄無駄無駄ァ!!!」
先ほどを上回るスピードでラッシュを放つフーケinゴーレム。
(こいつがグレードアップしたのはスピードと装甲だけだ。攻撃力は先ほどとあまり変わらない。
 つまりこっちの防御はあまり心配しなくて言い訳だ。そして・・・)
ゴーレムの懐にはいるとメローネは飛び上がった。
「殺し方はぁ!できている!」
メローネは思いっきり顔の下唇部分にデルフリンガーを振り下ろした!・・・が変化なし!
「ちっ・・・!パワーが足りんか・・・」
跳んで距離をとるメローネ。追撃する鋼鉄左ストレート。
そして・・・落ちる左腕。
『何事ッ!』
「やはり間接は土・・・いや、粘土。」
「オッホッホッホ!!フーケ、ボディを鋼鉄にしたのが仇だったわねェ!!
 間接を防御する鋼鉄をこの『微熱』のキュルケが溶かし!タバサとルイズが柔らかい間接を破壊する!
 まさに完璧な作戦ね!」
「あの巨乳、なかなか脳味噌あんじゃあねぇか・・・。」
セクハラである。

『腐れジャリガール共がァァァ!調子に乗るんじゃあないよ!!』
ゴーレムが土を掴み、空に向かって放り投げた。その土は鉄に練金され、シルフィードに弾幕となって襲いかかる!
シルフィードがそれを気合い避けしている間に腕を拾い、すぐさま練金し直し修復する。
「バーカ!上に投げたって事は貴方に向かって落ちてくるって事よ!」
キュルケの叫びむなしく鉄球は全て土塊に練金された。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「キュルケざまぁwww」
『そしてェ!あんたもだこの変態!』
バカの一つ覚えのストレートである。間合いを完全見切っていたメローネは反撃に移るため
パンチの当たらないぎりぎりの距離を保っていた。
それがまずかった。
すさまじい轟音と共に地表がめくれ、衝撃波によりメローネは吹き飛ばされた。

インパクトの瞬間間接に至るまで全身を全て鋼鉄化。威力は普通のパンチの比ではないわ。
 剛体術・・・でしたっけ?学院長の部屋にあった本で見たわ。』
(クソッタレ・・・。あの爺にバキ売るんじゃあなかったぜ・・・。)
「おい、デルフ。どこだ?・・・埋まっちまったのか?ったく。ホント災難だ。」
吹っ飛ばされた先は幸いにも馬車の近くであったためメローネは馬車からラケットを取り出した。
「デルフでの空中強攻撃でも無理なら・・・後はお前に頼るしか無い。」
足を痛めたか。メローネは左足を引きずりながらフーケの元へ向かった。
そして、信じられないものを目にする。

「ルイズ!?何でここにいる!!?」
そこには『破壊の杖』を持ったルイズがいた。
「これならアイツを倒せるかも知れないじゃない!」
ルイズは杖を必死に振っている。しかしなにもおこらなかった。
「バカ!それだけじゃあ何も起こらん!せめてボールがないと!というか逃げろ!」
「嫌よ!アイツを倒せば・・・もう誰も私を『ゼロ』だなんて呼ばない!
 それに・・・ここで逃げたら・・・私は『貴族』じゃあ無くなる!」
ルイズはゴーレムの方を向き、毅然と言いはなった。
「解ったのよ・・・。魔法が使える者を『貴族』と言うんじゃあない!敵に後ろを見せない者を『貴族』と言うのよ!」
「バカかてめぇは!!何いってんだこのタコ!人間死んじまったらそこで終わりだ!
 貴族も平民もねぇ!!只のカルシウムの塊になんだよ!!解ってんのかこの・・・」
ここまで言ってメローネは気付いた。ルイズが今にも泣きそうであることを。
誰よりもプライドが高いルイズ。傲りにしか見えないが自分のことを誇りに思っているルイズ。
それだけに・・・誰よりも『ゼロ』の自分を嫌っているルイズ。
そして・・・巨大な敵に立ち向かう恐怖と必死に戦っているルイズ。
(おいおいどーした?こんなんで何で止まってんだ?カンケーねーだろーがこいつの誇りなんてよぉ。
 なのになんで次の言葉が出ねぇんだ?オレのキャラじゃねーよこんなの。)
(このガキの勝ちだ。諦めろメローネ。)
「うっせぇなぁ・・・。」
そう言うとメローネはルイズにボールを手渡した。
「好きにしろ。ただ、一つ言っておくが・・・。お前の身が危険だと思ったら命を捨ててでもお前を助けるからな。
 後悔したくなかったら何とかしろ。」
(なぁぁぁに変なこと言ってんだオレはァ!!キャラじゃねーよこんなの!!)

『おしゃべりタイムはお終い?そんじゃあ食らいなさい!サンダー・ブースト・ナッコォ!!』
只の、しかし強力なストレートが飛んでくる。そしてルイズは・・・!
皆さん、ラケットのガットと持ち手の間に隙間があるのは知ってますよね?
そこに!ボールを入れたのだ!
「さぁ、何でもいいから出てきなさい!体がほしけりゃくれてやるわ!!
 その代わり・・・!アイツをぶっ倒しなさい!!」
メローネは問答無用でルイズを突き飛ばし、そこにストレートが着弾した。

「うそでしょ・・・」
キュルケが呟く。タバサは無言であるが顔が蒼白である。
『うそでしょ・・・』
フーケも同じセリフを言う。しかも顔面蒼白である。
「おねえさま!あれを!」
うっかりシルフィードが喋る。だが二人ともそんなことを気にしている場合では無かった。
そこにはメローネを抱きかかえたルイズが立っていた。
「おい、貴様。彼奴の弱点は?」
釘宮ヴォイスでものすごい喋り方をするルイズ。
「口だよ。本当は俺様の相手なんだが・・・面倒だからお前にやるぜ。」
「貴様・・・跡部か?何で異世界で貴様と会わねばならんのだ。」
「うっせぇよ。さっさとやれって。」

『ありえない!あり得ないわ!』
貴族のモヤシ娘が20メイルほどの距離を一瞬で移動したというのか!
      • ちなみに10メイルはテニスコートの横幅の長さにほぼ等しい。
これだけでもあり得ないのに、さらにあり得ないことに彼女は遭遇する!
「侵掠すること火の如く」
その娘っ子が杖で撃った直径5サントほどのボールがゴーレムの凸あたりに当たり
事もあろうに仰向けにひっくり返ってしまったのだ!屈辱のアオテンである。
『な・・・なんて衝撃ッ!でも私の超ウルトラデリシャスゴーレムには効かないわ!』
その台詞も聞こえていないのか跳ね返ってきたボールを執拗にゴーレムへぶつける。
ガンッ!ガンッ!ガンッ!バキッ!
『きかねえといっとんのが聞こえんのかこの田子作がァァァ!!!』
無理矢理立ち上がらせるフーケ。しかしすぐに足をとられ片膝をついた。
ガンッ!ガンッ!ガンッ!バキッ!
『いい加減にしろこのガキ・・・』
ガゴォン!!

再び立ち上がったフーケは仰天した。自分を護っていたゴーレムの口が開いたのだから。
(まっ・・・まさか!上唇と下唇の部分にボールを当て続けて、顎関節を破壊したのかッ!
 まずいっ!!早く修復を・・・!)
時すでに遅し。ボールはすでにルイズの元にあった。
口を閉じるまでに約一秒。それだけの時間があれば『彼』には十分すぎた。
「疾きこと風の如く」
コンマ2秒ほどで、ボールはフーケの杖をへし折りフーケ自身も吹っ飛ばした。

「ひっ・・・!!お・・・お許しを・・・!」
10メイルほどのゴーレムを簡単にひっくり返すのである。人間などミンチになってしまうだろう。
その頼みすら聞こえていないと言った様子でルイズはフーケに近づき
      • 思いっ切りその横っ面をぶん殴った。三回転ぐらいしながら吹っ飛ぶフーケ。
「貴様がなぜ盗人を始めたのか、そんなことは知らん。恥を知れ!貴様の精神がたるんどるからこのような結果になったのだ!
 その罪、しかる裁きを受けて償え!」
その言葉にフーケは縮あがる。あれだけ多くの貴族をコケにしたのだ。ほぼ間違いなく死刑。よくて島流しである。
「・・・まぁ、罪を償えと言うのならさっきの『制裁』の分だけは刑は軽くしてもらわないとな・・・
 結構重たい刑だからな『制裁』は。」

皆さんはツンデレというものをご存じだろうか?
ツンデレとは、ハリケーンミキサーの如くツンとデレの距離が大きいほど威力を増すのだ。突き放す距離が大きいほど破壊力も大きい。
このとき、最強のツンデレに最強のスパルタンが入っていたのである。その威力は計り知れない。
「あぁ・・・ありがとうございます!うぅっ・・・何と言っていいのやら・・・」
フーケが何年かぶりの涙を流した瞬間である。こうしてこの怪盗。あえなく御用となった。

「・・・いくのか?」
「当たり前だ。俺は手塚と決着をつけねばならん。それに、ここは俺達のいるべき場所じゃあない。」
「そうかい。じゃあいこうか。」
「跡部・・・貴様・・・」
「勘違いすんなよ。手塚を先に倒すのは、この俺様だ。」
「ふん。たわけが・・・。」

「・・・だめね。記憶が完全にトんじゃってる。」
「なによ、やっぱりあんたのおかげじゃあないのね。良かったわ、『ゼロ』に手柄丸々とられなくて。」
「なんですって!!もう一度いってみなさい!あんたなんて只の空気じゃない。」
言い争いをする二人を捨て置き、フーケを馬車に積み込んだタバサがメローネに話しかける。
「・・・どうしたの?」
「別になんでもない。さぁ、戻ろうか。」
なぜか敬礼のポーズをとっていたメローネは馬車へ戻った。
(なんか忘れてるような・・・)

「だーれかー!助けてくれー!相棒ーー!!」


タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

記事メニュー
目安箱バナー