ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

サーヴァント・スミス-6

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「いやー」

「……」

「虚無の曜日よ、虚無の曜日、ってあんた何死んだ魚みたいな目してるの」

「昨日の夜、何回爆発させたか覚えてんの?」

「4回」

「キュルケの部屋の近くでの爆発+1回、5回だ」

あんなくだらない事で医務室へ行くわけにも行かず、ボロボロのまま一夜を過ごしたナランチャ。
虚無の曜日イコール、休みの日らしい。いかにも学校といった感じである。正確には学院だが
頭のねじが外れたポンコツロボットのような動きを見せるナランチャの頭をポカッと叩く。

「買い物に行くわ」

「買い物ォー?いや、オレ、エアロスミスだけでも戦えるし……剣扱ったことなんてないぜ?」

決闘以来、「アンタの秘密を洗いざらい話しなさい」と強制させられ、エアロスミスの情報を全てルイズに話した(そこはナランチャなので多少話し忘れあり)
他言無用だとは言ったが、果たしてこのご主人はそれを守れるのか。
その前に決闘しまくってすでにレーダー以外バレまくりではないのか。

「あんたねぇ……悔しいけど『それ』、殺傷力ありまくりじゃない」

「剣も十分殺傷力ありまくりだと思うんだけどなぁ」

『それ』即ち、エアロスミスを差す。
剣もエアロスミスも殺傷力を持つのは同じだから、理由になってない気がする。
それとは別に、あの夢から覚めて気づいたが。
ナランチャのエアロスミスがルイズにはぼんやりと見えるようになっていた
見たことのないフォルムをしていたが、細かい所は見えない。
あくまでぼんやりとした、ハッキリしないビジョンだ

「第一、聞く限り接近されたら対処できそうにないし」

「いや、そんなことは……言い忘れたけどプロペラで対処とか」

「いいから来なさい!」

また引きずられるナランチャ。断末魔の叫びを上げて外へと消えていった
その様子をひっそり見ていたシエスタは心の内でエールを送った


「なあ、いつになったら着くんだ?」

「さあ?耐えなさいよコノぐらい」

「ちぇー」

もう3時間ほど足ったのではないだろうか。
ようやく城下町が見えてきた。見えてきたはいいが、狭い。
イタリアの町と対比し、急に感慨深くなったナランチャを馬車から引き摺り下ろして、武器屋を目指した
エアロスミスのレーダーは、凄まじい数の光点を示している
そりゃあそうだ。道を埋め尽くす人の群れ
二酸化炭素探知レーダーは今だかつてないほど物凄いことになっていた。
一つの太い線が描かれているようだ。

「スリには気をつけなさいよ」

「ふっふっふ、俺がスリにやられるとでも思ってってアッー!?財布がない!」

「………」

そんな中、城下町からスタコラサッサの一つの光点。
焦っているのか、吐き出す二酸化炭素が多い所為で大きい光点へ変化。

「待てやコラァァァァッ!!」

ルイズに「取り返してこなかったら……」と脅されているナランチャは死に物狂いでそのスリを追いかける
明らかにこっちを見て驚き、逃げているので間違いない、アイツだ
クソッ、年下に脅されるなんてッ、と思っているのもあって、半ばイライラしていたため

「うおりゃああぁぁーッ!!」

今のナランチャに『手加減』の3文字はなかった。エアロスミスが射程ギリギリまで離れて、一気に加速した。
あるのは自分の生命の危機。ストレスだけ。
生き残るが為の機銃掃射。生身の人間がそれに耐え切れるはずもなく……

「タコスッ!」

風になった。

「ルイズ!キュルケ!タバサ!終わったよ……」

悪ぶれる様子もなく財布を奪い返すナランチャ。スリは多分死んでないと思う。
だが、その後ルイズに人通りのない路地裏に連れて行かされ、爆発を一回喰らってしまった
スリにやられた時点で減点の対象だったらしい。

「あら?ちょうどいいじゃない、武器屋があったわよ」

「……えぇと、ドアと看板が吹き飛んでいるのは目の錯覚と言うことでよろしいでしょうか」

考えるまでもなく、先ほどの爆発の所為である。

「うるさいわねー、入るわよ」

入るなり、目の前には呆然としている店主が居た。
当然か。
いきなり爆発音。それでもってドアや看板が吹っ飛んだら驚くだろう。
何の前触れもなかったため、店主の心臓は下手すれば止まる所だった

「お……おお?き、貴族の旦那?わ、悪いですがうちは目を付けられるよーなことはしてま……」

「剣」

「は?」

「剣は?この使い魔も使えるようなもの」

店主の視線上には、どう見ても子供としか思えない少年。
その隣のご主人様はもっと小さかったが、この少年、ナランチャも背は低い
冗談だろ、と店主は思ったが、『貴族様』の命令である。逆らえばどうなるものか。
しかし、彼の肝っ玉は予想以上だった

「……難しいと思いますがね、こんなんどうでしょう、伝説の錬金魔術師、シュペー卿の作った剣でさあ。エキュー金貨で二千、新金貨では三千ってとこですかね」

「無理ね」

「やっぱり?」

「もっと安いのないの?」

だが、店主もめげない。
貴族を相手取って、あの手この手でこの剣を買わせようとするが「そんな金ない」で一蹴される
そんなやり取りを続けているうちに、誰も居ない方向から声が聞こえてきた

「何かと思えば貴族の娘っ子かよ、オメーに売る剣はねぇ!帰った帰った!」

「お、おいコラデル公!なに言ってやがんだ!」

どうやら剣がしゃべっているようだ。
ナランチャはその声の主、『デル公』を興味ありげに見つめている
さび付いていて、お世辞にも切れ味がよさそうには見えない。
それどころか口うるさく、とても買おうと思う人物はいないと思われた

「インテリジェンスソード?」

「そ、そうでさあ、デル公!いい加減にしねーか!」

「何だとこの……んお?」

一言も喋らないまま『デル公』を握るナランチャ。
それを見た『デル公』は、ピンと来た様に間の抜けた声を挙げる

「おでれーたぜ……こんな子供が『使い手』とはよぉ」

「ルイズー、コレ買うぜ、何か面白い」

「あ、あんたねぇ……そんな理由で剣買う奴がどこにいんのよ!」

「ここに」

呆れた様子でナランチャに軽蔑の視線をくれてやるルイズ。
ふぅ、とため息をついて、財布から金を出した

「いくら?」

「あ、厄介払いって事で100エキュー程度で十分でさあ。鞘に収めれば黙りますんで」

「はい」

「毎度ー」

淡々としたやり取りの後、デル公……デルフリンガーは、めでたくナランチャの剣となった
ルイズは終始納得いかない様子だったが。
武器屋を後にしたルイズとナランチャ。そしてデルフリンガー。
静かになった武器屋の中で、店主は呟く

「デル公……オメェが居なくなったら部屋ががらんとしちまったよ……。でも……すぐに慣れると思うからよ。心配するなよ、デル公」

ちなみに路地裏の奥には青い何かがスクラップとなって捨てられていた。
恐らく某ネコ型ロボットとは別である。 
そして今後のストーリーに繋がるものでもなんでもない

To Be continued ...

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